人狼審問

ヒューバート。……気を付けろよ。

[トビーはそう声をかけると、そのまま*寝転がった*]

あぁ・・・本当にやろうとするなよ、ヘンリエッタ。
俺は死にたくない。
すまん・・・私も、感情で話してしまいました。

ソフィー。それは本当か？
そりゃ・・・良かった。のか？

【あぁ・・・落ち着けよ、俺。】

……ローズ……
仲間だった……の……か？

［ヘンリエッタはローズのつぶやきを思い出す。］

あの最後の言葉は……

［ソフィーの言葉に愕然とする。頭の中を横目に見たローズの死の瞬間が何度もフラッシュバックし、もう他には何も聞こえない］

JIN-ROH……だった。
そう言ったか。おい……

【つ…やはりヒーリングと睡眠じゃ完全回復は…無理か…明日にでも泉を探さなくちゃな…

　駄目だ…頭がボーっとする…今まさに目の前で…貴重な情報が…展開…され…てるの…に…】

[ソフィーはその場に力なく座り込んだ。茫洋とした表情で顔を上げ、答えた]

ギルバートさん…ほんとう、よ。
あたしは……良かったか、どうかなんて……わからない。
なぜって、それだけしか……思えない。

ゴメン、あたしは……あっちゃん……。

ケネスさん、そう。そういったわ……。

……
とりあえず……全員消耗している。
どうする？このまま屋敷で寝るか……？

［ヘンリエッタはソフィーを支えようとした。が、動かせない］

……非力な身体だね……

ありがとう、エッタちゃん……ヘンリエッタさん。

大丈夫、とはいえないけど……怪我してるわけじゃないから。部屋まではなんとか戻れそうだよ。

それよか、ニーナちゃんを運ばないと、いけないかな。

グレン。もう一度言う。退け。

俺はあんたを信用してない。
明日、もう一度、落ち着いて話せ。
その時は・・・銃を向けないで近付いてくれると嬉しいな。

ヘンリエッタ。
そこでニーナも倒れてる。よければ手を貸す。
・・・信用、出来ないか？

・・・あぁ、グレンは、もう、行ったのか。

悪い。混乱してるな。

[頭を振る。]

ギルバートさん、じゃあニーナちゃんのことはお願いするわ…。
あたしは、休ませてもらうね。
正直、今は何も考えられないんだ……

ああ……そうだな。
明日にしよう。全部それからだ。

ギル、お前も一緒に来るんなら……オレは反対しねぇよ。ニーナを運んでやりな。
オレじゃ力が足りねぇからよ。

［ヘンリエッタは少し考え込んだ後、ギルバートの申し出を受けた］

完全には……信用できないけどね。
屋敷内には人が多い。一応何かあったら誰かが気がつくだろ。
……今日は全員で寝た方がいいのかね？男女別とかあまり考えねえ方が良いような気がしてきた。

[ニーナを背負う。]

【こいつも・・・何を考えているか、分からないが。】

ニーナの部屋はどこだ？
部屋数は足りてるのか。
俺は・・・他の場所で寝るよ。

昨日は宿屋で眠ったんだ。

あたしも範囲つかっちまったからね……
倒れる前に寝ておくさ。

ニーナを頼むよ。なんか気になるんだが……。
［ヘンリエッタはそういうと、*屋敷の中へ入っていった*］

俺を監視したいなら、ここで寝ても構わない。
部屋があるなら、だが。
出来れば、鍵のかかる部屋。

……部屋を考え直すか？
確か広い部屋が一階にあったろ……ああ、あそこは窓があるか。
っち、いい部屋がねぇな。今日のところは仕方ねぇよ。

ギル。他で寝るならニーナ置いていけ。
オレらが寝る部屋、見られたくねぇ……疑うわけじゃねぇが用心だよ。

……ああ、クソ！　なんでこんな心配しなきゃいけねぇんだ！

分かったよ・・・。
部屋の近くまで運んで、そこで降ろす。
いいか？

鍵のかかる部屋……入れる部屋ならたいがい、どこでも鍵はかけれる。
だが、寝るならオレらと一緒の部屋だ。思うところはあるだろうが……何かあったとき、複数なら対処しやすいだろ。

どうする？　オレはどっちでもいいぜ。

まだ敵さんは二人いるんだろう。
複数の方が対処しやすいとは限らないさ。

すまない。

疑うわけじゃない。
信じられないだけだ。

[屋敷の中、適当なところでニーナを降ろす。]

後は頼む。

[ギルバートはひらひらと手を振って*立ち去った。*]

……勝手にしろ。

［ケネスはギルバートの背中を見送ると、ニーナを女衆の部屋に運んだ］
［男の部屋まで戻る］

見えねぇと思ったら、コーもラッセルも先に来てやがったのか……っち。どっちにしろ部屋割りは意味無かったか。

［二人の姿を確認し、寝転がる］

［寝転がりながら、今日一日のことを思い返す］

グレンが殺した、ローズはJIN-ROHの仲間だった……か。
残りは、二人。
なんなんだろうな。どうすりゃ、いいんだろうな……

【大宮……誠一……】

［思い返している間、記憶が微かな断片を拾い上げた］

あれ……？

［跳ね起き、記憶を探る］

オレの名前……そうだ。ケネスじゃねぇ……大宮誠一は、現実世界のオレの名前。
確かに……呼ばれた記憶がある。

いつだ……誰だ？
ああ、そうだ。ローズがJIN-ROHだって聞いて驚いて……それから、あれは女の声……ヘンリ……エッタの……？

［そこまで考えついて体力が尽きたのか、倒れるようにして再び寝転がる。そのまま*ケネスの意識は眠りの闇に吸い込まれていった*］

[見張りをしてるヒューバートの前方に5ｍ程の影が空から静かに舞い降りた]
[目は狂気に満ち　ヒューバートを捉えている]

･･･やれやれ、こんな深夜にお客様とはね･･･
御持て成しの用意が出来てないからお帰り願いたいんだがな？

[アークデーモンは低い唸り声を上げながらヒューバートに向かってくる]

拒否・・・って事ね

[ヒューバートは銃を構えた]

だがこっちも一応　「紅の暴君」とまで呼ばれた身なんでね・・・

[ヒューバートの目付きがいつも違う鋭いものに変わる]

そう簡単に殺れると思うなよ？

[ヒューバートは全力で右の方に移動しながら引き金を引いた]
[アークデーモンは空に飛び上がり回避した]
[アークデーモンは口からファイアーボールを放った]

ちぃ！無詠唱ときたか！

[ヒューバートは横に飛び退き、ファイアーボールを回避をしながら再び引き金を引く]
[アークデーモンの腹部に当たるが効果は見られない]

ノーダメージってか･･･舐めてやがるな･･･
だが･･･入り口から離れた今でも俺に向かってくるって事は･･･
JIN-ROHの狙いは俺って事か･･･
【照明弾のカートリッジは･･･洞窟の中か　まぁあれ使っても逃げられそうにないしな･･･】
ふん･･･まぁいい　とことん付き合ってやるよ

[ヒューバートは再び引き金を連続で引いた]
[アークデーモンは何事もないように右腕で銃弾を払いのけた]
[アークデーモンはバーストエンドを詠唱した]

バーストエンドまで使うのかこいつは！？

[ヒューバートは全力で後ろに飛び退いた]
[辺り一面が炎の海に包まれる]

【ハァ･･･ハァ･･･
流石にバーストエンドは無詠唱じゃなかったか･･･
だが･･･明らかに通常より詠唱が早い･･･
疲労が溜まって反応が遅れれば避けるのは無理だな･･】

[ヒューバートは火の海の上空に佇むアークデーモンに引き金を引く]
[アークデーモンは銃弾を右手で払いのけながらヒューバートのほうへ急降下してくる]
[アークデーモンは急降下の勢いを乗せ爪でヒューバートを攻撃した]

ぐぁぁぁっ！？
[体を捻って避けようとしたが　完全には避けれなかった]
[ヒューバートの腰のポーション瓶が両方割れ、レザーアーマーが切り裂かれ、血が流れ出す]

糞が･･･直撃じゃ･･･なくて････もコレか･･･よ･･･
【ポーションも割れちまった･･･　回復の手立てなし･･･か･･･】

[地上に降り立ったアークデーモンはリルボムを放った]
[ヒューバートの左腕が吹き飛ぶ]

がぁぁぁぁぁぁぁぁっ！！！！！
【糞がっ･･･爆裂系まで･･･無詠唱で使えるのかよ･･･】

ちょいと･･･バランス･･･悪す･･･ぎじゃ･･･ねぇ･･･の?

[ヒューバートの意識が少しづつ遠のいて行く]

【コリャ･･･流石に勝てない･･･か･･･？】

[諦めかけた時、ヒューバートの脳裏にメイと交わした約束が浮かんだ]

【生きる為に全力を尽くす･･･か･･･
･･･約束は･･･破っちゃいけないよ･･･な･･･】
特に･･･惚れた女との約束はな･･･！！

[ヒューバートはアークデーモンに向けて全力で駆け出した]
[アークデーモンはヒューバートに向けてファイアーボールを連続で放つ]
[ヒューバートは掠るのも構い無く最小限の動きで避けながら距離を詰める]

おらぁぁぁぁぁ！

[ヒューバートはアークデーモンの腕自体を足場にしてアークデーモンの顔に飛びついた]
[ヒューバートはアークデーモンの口の中に銃口を突っ込んだ]
[アークデーモンはそのまま自分の頭にしがみつくヒューバートに炎を放つ]

ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！

･･･喰らい･･･やがれぇぇぇっ！

[ヒューバートは炎に焼かれながら銃口を引き続ける]

[アークデーモンの口内に銃弾が放たれ続ける]
[銃弾がアークデーモンの頭部を遂に貫通し始め、原型がなくなり始めた]
[アークデーモンの放つ炎が止まり、頭部を失った体のみが倒れる]
[半身が消し炭となったヒューバートはそのまま倒れる勢いで焼け野原となった草原に投げ出された]

ハァ･･･ハァ･･･

【コレで･･･もう･･･JIN-ROHが俺たちを殺す手段はなくなった･･･】
【俺はもう駄目みたいだが･･･】
【メイ･･･君は･･･生き延びてくれ･･･】

[ヒューバートの体が光に包まれ始める]

【守れたんだ･･･悔いは･･･無いさ･･･】

[ヒューバートは最後に満足そうに笑うと　光となって消えて行った]

･･･

･･･

･･･

･･･

[ヒューバートが光になって消えたあと　アークデーモンの体が立ち上がる]
[アークデーモンの頭部が再生をはじめ　ものの数秒で元の姿に戻る]
[アークデーモンはヒューバートが消えた辺りを一瞥すると　静かに夜空へと飛び去って行った]

*後には　誰も居ない静寂な焼け野原が残っただけだった*