人狼審問

……ハーヴェイさんっ……！！

…ハーヴェイ、今更あんたが死んだところで、あんたに殺されたヤツらが浮かばれる訳じゃない… それでも…

･････！

うっ、何て事だ…

[ゆっくりとハーヴェイの死体に近づき、一気に抱き上げる]

････せめて、星の見えるところに埋葬してくる･･･

[といって、ホールを出て行った]

[ウェンディはハーヴェイが倒れるのを見つめながら呟いた]

……仕方、なかったんだよね。
こうしないと、私たちが死んじゃうんだから……。

…トビーさん…
どうして投票をしなかったのですか？

処刑の瞬間まで黙っていたのは何故？

[ステラは丘まで登ると、さっきまで握り締めていた左手を右手でささえるように頬に押し当てた。]

ハーヴェイさん……っ。

[ステラは只、丘に一人座り、声を押し殺して泣いた。]

…………。

[シャーロットは、ラッセルがハーヴェイの死体を抱えて去った後に、残された床の血溜まりを無言で見つめた。]

[丘の上に座るステラの姿を見つけて、慌てて引き返す]

どうしたらいいんだ････。

[マンジローは床に残った血溜りをじっと見つめていたが、やがて懐から手ぬぐいを取り出すと、血に染まった刃を丹念に拭い、鞘に戻した。]

…皆、よく覚えておいてくれ…
彼を殺したのは俺だ。

投票した者を恨むな…恨むならば俺を恨め…。

カーミラさん……大丈夫ですか？

ハーヴェイ……。
お前はただの悪党だったのだろうな。

神よ。彼の魂に慈悲を与えたまえ。
アーメン。

…片付けましょう。
まさか血溜まりをこのままにしておくわけにはいきませんから。

もう…引き返せない…。

…俺も手伝おう。
どこに埋める？

[流れ者 ギルバートは、顔色が悪く真っ青だ。]

気分が悪くなってきた。セシリア、部屋に戻ろう。

すまない、今日はこんな決め方を選んでしまって。明日はもっとましな方法にしたいんだが…
いや、人殺しにましな方法なんてものはないか…

ああそうだ、ヘンリエッタ。メモ用紙は残しておくから、投票結果は好きに見てくれ。

……セシリアさん。

僕は……僕は……。

ウェンディ、ありがと…

埋葬、手伝うよ。あたしも… 彼を殺したんだから。

[カミーラは、そう言って目を伏せた。]

マンジローさん･･･丘の上には･･･ステラさんが･･･。

[目を合わせずに答えた]

これで、俺達は全員殺人犯になったな。
マンジローだけじゃねえさ。

とにかくこれで俺達は、人狼プロジェクトってのに参加することを決めたわけだ。もはや逃げられねえな。

[ステラの肩が上下して、静寂を打ち破るように微かに嗚咽が響く。]

……神さま……。

…そうか。

[マンジローは無言で丘の上を見つめた…]

ともかく、これで今日の義務は果たしたな。
私は、今晩も外で寝る。
こんな血臭漂う部屋の中では寝られん。
人狼と同じ屋根の下で寝るのもまっぴらだ。

ギルバートさん、本当に大丈夫ですか？
お水とか…欲しいですか？
部屋まで歩けますか…？

[ギルバートを支えるように寄り添う]

村の方に行こう… 自警団長の死体もそこに埋めたんだ。

ああ、俺も手伝うぜ。
ハーヴェイには世話になったしな。

[建物を見下ろせる丘の中腹あたりで立ち止まった]

･･･ここで大丈夫でしょうか･･･

[マンジローは、泣き咽ぶステラの側に立つと、静かに告げた…]

…ハーヴェイの遺体を、ここに埋めてやりたい。
見るのが嫌ならば、集会場に戻っているんだ…

[ウェンディはその場に立ち尽くしている]

……シャーロットさんは人狼は夜になると人を襲うって言ってた。
それなら、夜に起きてて、昼間寝たほうが安全って言う事だよね……。

そう……ですか……。

[マンジローを焦点があっていない目で見つめると、ステラは集会所とは逆の、北の方へ歩き出した。]

セシリア…、俺はハーヴェイを殺す決断をしてしまった。やつの声が忘れられない…。
人狼が自分を殺せなんて言うのだろうか？ただの人間を殺してしまったように思う。

俺は…俺は…

[ギルバートは、セシリアの膝に頭を落とした。]

[シャーロットは、集会所の裏のゴミ置き場に、血で染まったボロ布を運んで捨てた。]

シャワーのように惜しみなく空へと飛び散る血しぶき。
ごろりと転がる、一瞬前までは生きていたもの……人間。
それを仕方がないことだと思ってしまう、私たちの意識。

彼が嫌悪すべき『ゲーム志願者』だったとしても。人狼だったとしても。

………無力すぎる。

人狼プロジェクトなんて……。

クソ、クソッ、クソ・・・ッ。

何で、こんな、事に、なったんだ・・。
クソ･･･僕のせいじゃない、僕のせいじゃない、僕のせいじゃ、ない・・・。
僕はただ、巻き込まれた、だけなんだ・・。

ただ、イカれたヤツが、イカれたヤツに、殺された、それだけ、じゃないか･･ッ。

クソ、クソ、クソ・・。

[厨房の奥でひっそりと、何度も何度もナイフを腐り始めた魚に振り下ろした。]

死にたくない・・。死にたくない・・。僕は、死にたくない・・。死にたく、ない・・。

こうやって人を殺して行くんだね、メイたちは･･･。
疑ってはいたけど、やりきれないよ･･･。
みんなが共犯･･･だね。

ギルバートさん…
[そっと彼の髪を撫でる]

私…昨日、船を降りたところで、ハーヴェイさんに声をかけられて…その時とか、その後にクインジーさん…？…彼やカミーラさんが揉めたりしていて…

彼には狂気が宿ってると思い込んでいました。

…こんなところでしょうか。
[シャーロットの横で同じくボロ布を捨てた。
そしてシャーロットだけに聞こえるようにささやく]
シャーロット、一人で全てを終わらせることができると考えるのは間違いだよ…
今の君は切れる寸前の細い糸にしか見えない。
自分でもわかってる、とは思いますがね。
せめて夢だけでも悪夢ではない事を祈っています。
[そういうと寝室に引き上げて行った]

[トボトボと丘を登り、マンジローの元に着いからハーヴェィの死体をそっと降ろす]

････ここで･･･いいですよね･･･

[黙々と土を掘り返し始める]

[カミーラは、ラッセルと共に、昼間アーヴァインを埋める時に使ったスコップでゆっくりと穴を掘りはじめた。]

それでハーヴェイさんに投票したのですが…彼の死ぬ間際の言葉を聞いていると…
私も彼が人狼とは思えなくなってきて…。

でも処刑が決まってから、彼が処刑されてしまうまでが早くて、ろくに口も挟めませんでした。

人狼達が貴方の気が変わる前に一気に事を進めたかったのではないかと…思ったりしました。

[シャーロットは、しばらくしてなんとか立ち上がると、そっと寝室に引き上げた。]

[クインジーは埋葬を終え集会所に戻り、ハーヴェイの残したリュックを目立たぬよう寝室へと持っていった。そして、その中からノコギリを取り出し自分のリュックに入れる]

使えるかどうか微妙だが、まあ、持っていて損はねぇだろう。
ありがとよ、ハーヴェイ。お前が人間であっても死は無駄にしないさ……。

ハーヴェイは人狼だったと、信じたい…

人狼は死んだら正体を現すのだろうか？見たところ、ハーヴェイは人間のままだったようだが。

くそっ、あと何匹人狼が残っているかも分からないのか。せめてどれだけ残っているかが分かれば…

[そう呟くと、セシリアに抱きつき乱暴に服を脱がす。]

あの女、何をやっている？
自殺する気か？

[マンジローはハーヴェイを埋葬した場所を見つめながら、誰にともなく呟いた…]

俺が…人を殺めたのは…これが初めてじゃない…
俺は彼を人では無いと言ったが…俺も同じだ…同罪だ…

終わったね…

[カミーラは、ハーヴェイの眠る土を見ながら呟いた。]

ハーヴェイ… あたしは、あんたが憎かったよ。殺してやりたいくらい憎かった。でも… 殺したかったわけじゃないんだ… 殺したくなんて…

あたしも… あんたと同じになっちまったんだね。あんたと同じ人殺しに。

[座り込んで顔を伏せたカミーラの頬に、一筋の涙が伝って落ちた。]

今夜はさすがにここじゃ寝られねぇな。
なるべく自分の姿は周りに見せておくべきだ。ヘンリエッタみたいに疑われかねん。
無難に集会所にいるとしようか。

[クインジーは集会所に戻り、そのまま床に転がった]

[崖を覗き込むと、波が綺麗に打ちあがっていた。
ヘンリエッタに声をかけられてから、はっとなりヘンリエッタに向き直る。]

こん……ばんは……というのも、なんだかおかしいですね。

[ウェンディは、リックに声をかけた]

お兄ちゃん……今夜も一緒に居よう。そのほうが安全だよ。

[そう言うと、リックを自分の寝室に引っ張っていった]

何をやっている？
死ぬ気か？

ハーヴェイさん･･･。

死ぬ……。それも、いいかもしれませんね。
ですけど、……洗礼を受けた身、死ぬことはできませんの。

……心配してくれてありがとうございますわ。

…すまないセシリア。今日は心が乱れているようだ。
乱暴にして悪かった。

[そう言って灯りを消すと、セシリアを優しくベッドにエスコートする。]

俺は明日も生きてるのかな…？

[聞こえるか聞こえないかの声で、呟いた。]

私が起きて見張ってるから、お兄ちゃんはゆっくり休んでね。

[ウェンディは、両手で銃を握ると、部屋の隅に座り込んだ]

集会場に戻りましょう･･･もう、夜も遅いですから･･･。
[トボトボと丘を降りて、ホールまで戻った。床の一部が薄っすらと濡れているのを見つけて、呟く]

これでよかったのか？

[マンジローは刀を鞘に戻し、カミーラの肩に手を置いた。]

さぁ…戻ろう…。

心配しているわけではない。
お前が味方なら、死なれては困るだけだ。

………ちょっと驚きました。
ギルバートさん、人狼は深夜に１人で居る人を襲うのですよね？
だったら私達、一緒に居れば…大丈夫ですよ。

昨日、２人で護りあうって約束したじゃないですか。

……、それでも、ありがとうございます……。
[ステラはうっすらとほほえんだ。]
ところで……ヘンリエッタさんは何故こんなところへ？

[カミーラは頷くと、マンジローと共に歩きはじめた。]

[リックは首を振り、ウェンディの手を掴んだ。]

…ウェンディ、ちゃんと寝るんだ。
何か起きたら、大声で、みんなを起こすこと。

明日も…そしてこれが、いつまで続くのか分からないんだ。徹夜なんて体がもたないだろ…？

セシリア…、ありがとう。

集会所で眠る気にならなかったのでな。
そこの、灯台を借りようと思ったところだ。

そこらの民家より、マシなベッドがある。

[マンジローはカミーラと並んで歩きながら、諭すように呟いた…]

今日の事を忘れろとは言わん…
だが…今夜だけでも、その事は考えるな。

これがいつまで続くのか分からないが…今は自分が生きる事だけを考えろ。

ヘンリエッタさんらしい理由ですわね。
一人で過ごす夜は、怖くありませんの？
こんな騒ぎですのに……。

[カミーラは、マンジローの言葉にコクリと頷いた。]

[ウェンディが両手で銃を握り締めている姿が、酷く痛々しく見えて、リックはたまらず泣きそうになった。]

メイ…。大丈夫、大丈夫さ…。
でも、今夜も、くっついて寝てもいいかな…。

[壁に寄りかかっていたが、崩れ落ちるように眠りに付いた]

[集会所に着くと、カミーラを寝室の方へと軽く押しやった。]

とにかく…ゆっくりと体を休めるんだ。
何かあれば、大声を出せば皆にも聞こえる…。

怖いのは誇りを失うことだけだ。
それ以外、私は何も恐れない。

ねえ、マンジロー… 今夜だけでも一緒にいてくれないか…? どうやっても眠れそうにないんだ… だから…

…分かった。
ずっと手を握っておいてやる。

…それでいいか？

……強いの、ですね。
普段の振る舞いからわかりますから、今更という感じですけど。羨ましい……。わたくしもヘンリエッタさんぐらい強ければ……。

ふん……。
私は灯台で寝るが、お前もそうするか？　ステラ。

よろしいのですか？
わたくしなんかが一緒でも。
[ステラはどことなく安心したように言った。]

おやすみ。ラッセル。
･･･トビーはどうしたんだろう？
[メイはラッセルにもたれかかるように眠りに落ちた。]

…こんな血まみれの手で悪いが…朝まで側にいよう。
だから…安心して休め…

[マンジローはカミーラの髪を撫でると「お休み…」と告げた…]

構わん。
では、ついてこい。

……ありがとうございます。
[ステラは深く頭を下げて、弱弱しく微笑んだ。]

住み込みの燈台守だったのだろうな。かなり立派な寝室がある。ベッドは二つあるから、好きなように使え。
残念ながら食料はないようだがな。

灯台の中ってこんな風になっているんですね……。
……ヘンリエッタさん、もうお休みになられますか？

そうだな……。
今日は疲れた。

…よし、これでここに人狼が現われたら、正体を掴めるだろう…

……そう、ですよね。
今日は色々ありましたし……。

ところでステラ。
武器は何をもらった？

え？　……武器、ですか？
……あ。わたくし、まだ箱開けていませんでしたわ……。

[昼間の疲れもあったのだろう…やがてカミーラは静かに寝息をたてはじめた。マンジローは右手に抜き身の刀を握り締めたままで、じっとドアを睨みつけている…]

…来るなら来てみろ…一匹たりとも逃がさん…！

……よほど抜けているのか？
銃でも入っていれば少しは役に立つものを。

まぁいい。
ステラ、お前はもう寝ろ。
私はもう少し起きている。

なんだか、アーヴァインさんのこととかに吃驚してしまっていて……。
ごめんなさい。
[ステラは少し苦笑した。]

……あの、こんなことをお願いするのは、自分でもどうかしてると思うんですが……、どこにも、行かないで下さい。
少し、心細いんです……。

ああ。わかったよ。

［トビーは一人、混乱する集会所を抜け出し、海岸に座って海を見つめている］

……ハーヴェイさん……。