人狼審問

朝か。……生きているな。
彼女を埋葬してから、診療所に仕掛けられたカメラとマイクを捜すか。

陽光か……。

全身筋肉痛だが、休んでいるわけにいかんな。

少しは隠したらどうだ……。阿呆め。

[ヴィンセントは、捜せば捜すだけ、次々と出てくるカメラとマイクに呆れ果て、悪態をつくことを忘れた。山となったカメラとマイクを打ち捨て、ヴィンセントは診察室に入り、診察台の脇に置いたカウチを眺める。]

確かに、この島では、こんなものは無意味だったな……。私も何を考えていたやら……。

[ヴィンセントは、妻の拳銃をポケットから取り出して眺める。]

[ヒンヤリとした森の朝の空気に目を覚ます。寒さのせいか、眠ってしまった恐怖のためか、ブルッと身震いをする。] 朝…か。[立ち上がり周りをうがう。木の穴の中でリックとメイがスヤスヤと寝息をたててある。少し微笑むが、ウェンデイが居ない事に気付く。毛布も…無い。] ウェンデイ？

顔でも洗いにいったのかな？ [池の畔に向かうと、そこには……かつてウェンデイだったものが、散らばっていた。] 　っ！！！！！

[正視に耐えきれず傍らにあった毛布をかけると、ドサリと音がして何かが落ちる。] これは……？ [広い上げるとズシリとした重みは、死の重さを感じさせる。] ウェンデイの……銃なのか？

銃声があがらなかったという事は……。いや、僕が深く眠ってしまってただけだ……。戻ろう……。メイと……リックに伝えなければ……。この銃は……どうするべきか……。[迷いながらも、ズボンの背中に銃をしまった。二人の居る場所まで戻り寝顔を見つけるが、もうさっきのようには微笑めなかった。] 僕は……どうしたらいいんだ……。[木に寄りかかりながら、清々し過ぎる森の空気に途方にくれている。]

[カミーラは目を覚ますと、ベッドの上に体を起こした。はらりと毛布が胸元から落ち、健康的な褐色の肌が露になる。カミーラは毛布を手繰り寄せると、昨夜のことを思い出してしばし赤面した。]

マンジロー…

[部屋を見回した彼女は、ドアの前に崩れるように倒れているマンジローに気付いた。]

マンジロー…？ まさか…

[カミーラは慌ててマンジローに駆け寄ると、彼の顔を覗き込んだ。マンジローは、脂汗を顔に浮かべながら苦しげにうめいている。彼女はマンジローが生きていることに安堵したが、彼を苦しめているのがトビーの打ち込んだ麻薬だと気付いて暗澹たる気持ちになった。]

トビー… バカだよ、あんたは。大バカだよ。

[カミーラは涙を払って手早く服を着ると、小一時間かけてマンジローをベッドの上に引きずり上げた。]

一度、医者に見てもらわないとね。…殺し合いになる前に。

[クインジーは目を覚ました。目の前でゆっくりと両手を広げ、そして握ると、何かに納得するように頭を縦に振る。
斜め前方に視線を向ける。新たに作られた赤黒い跡……トビーの血痕を見ると、もう一度頭を振り、おもむろにリュックを取って立ち上がった。]
まだ……殺し合いは続くみてぇだな。

単なる殺し合いになっちまったか。隠れ場所を探しといたほうがいいな。
[クインジーは、１食分の携帯食料を食べ終え島の地図をざっと確認すると、集会所を発ち北方へ歩き出した]

[リックは不意に目を覚ました。
隣にあるべき温もりが感じられず、
漠然とした不安に襲われる。]

…散歩？一声かけてくれればいいのに…。

[穴から顔を出し下を見ると、ラッセルが見えた。]

[カミーラは、集会場に足を踏み入れた。]

誰もいない… クインジーは？

[がらんとした集会場。床に残る血痕。カミーラは溜め息をつくと厨房に入った。ボウルを探し出して水を満たし、タオルを放り込む。そしてそれをマンジローの寝室へと運んだ。]

お、おはよう……。[自分の顔が、泣いてるのか、笑らっているのかわからない。]

おはよう、ラッセルさん。
寝坊しちゃったみたいだ。
ウェンディ、どこ行ったか分かりますか？

[リックは、今までと違う…何かが足りない感覚に戸惑っている。ラッセルの反応を見て、ますます不安が募る。]

リック……。[肩を掴み真面目を向いて、意を決してから、静かに、伝えた。] ……落ち着いて聴いてくれ……。……ウェンデイが……人狼に……襲われた……。

[ラッセルが震えながら指差した方向へ、リックは走った。
ラッセルが引きとめようとしたが、乱暴にその手を振り払う。]

[リックは池畔にたどり着いた。]

[ ひんやりとした空気と共に鼻腔を刺激する異臭。
だが、それはここ数日「馴染みのある」臭いだった。
視界に、無造作に散らばる「肉」。その中心部に毛布が掛けられていた。
息を整えることもせず、リックは毛布を乱暴に引き剥がした。]

[血がまとわり付いたブロンドの髪が、地面に根を張るように広がっている。
艶やかだったはずのそれは、今は光を返さない。]

[半眼に閉じられた瞳。力なく弛緩した口。
後頭部がぽっかりと開き、形容しがたい赤みが見える。]

[生前の面影を全く感じさせないその現実の姿に、
リックは否応無く頭を叩き付けられた。]

[不思議に言葉は出ない。ただ、息苦しくて、呼吸が乱れているのが自分でも分かった。]

はぁ・はぁ…はぁ・・はあ・・・

[苦しそうに喉を掻き毟る]

[カミーラは、マンジローの体を濡れタオルで丹念に拭いた。まだ意識は戻らないものの、呼吸は徐々に落ち着いてきたようだ。カミーラは自分の額に浮いた汗を拭うと、ベッドの縁に座って一息ついた。]

この様子だと、しばらくはここから動けそうにないね…

[カミーラは、マンジローの頬に手をやると、そっと唇を重ねた。]

…水を換えてくるよ。待ってて。

[そう言うと、彼女は集会場に向かった。]

リック、よせ！[血がにじんでも首をかきむしるの止めないリックの両手を掴んだ]

[肩で息を繰り返していたが、我に返ってラッセルを見つめる。]

ラッセルさん！
大変だ…。

ウェンディ、怪我しちゃってるよ…。
結構酷い。手当しないと…。

[リックは唖然とするラッセルの手をゆっくりと解くと、
心配そうにウェンディの首を抱えた。
手がべっとりと、血で赤くなる。]

[リックの瞳は焦点が定まっていなかった。]

手当しないと…。

[カミーラが集会場に入ると同時に、テレビの画像が音を立てて切り替わった。ざらついた画面に、人間の姿が二人分映る。カミーラは不審そうにテレビを見やった。もみ合う二人がリックとラッセルだと分かるのに、数秒の時間を要した。そして… 彼らの足元に散らばる「人間だったモノ」が、彼女に現実を思い出させた。]

今日は、双子の片割れが襲われたのか…

[カミーラは、ポケットから煙草を取り出して咥えたが、自分が火を持っていないことに気が付いた。しばらく思案した後、彼女は厨房に入るとガスコンロに着火し、少し苦労しながらその火で煙草に火を点けた。]

もう、死体を見ても驚かなくなっちまった。そのうち、人を殺してもなんとも思わなくなるかも知れないね…

また、生き延びた･･･。ココのおかげかどうか、分からないけど・・。

クソ･･･ッ。今日こそ、人狼を殺す・・。
でも、僕はこの頼りない食器しか無い・・。

[ミッキーは昨日のメイのトラップを思い出している。]

そうだ･･･トラップだ！人狼を殺す為に、何かを仕掛けておくんだ！

[ミッキーは洞窟の中で流れる水を飲んで顔を洗うと、彼なりにトラップについて考え始め、行動しだした。]

[ミッキーは、とりあえず食料を探しに森の中を歩き回っていると、リックとラッセルが居るのに気がついてすぐに木隠に忍び込んだ。一瞬、何かの死体に昨日のように驚きそうになったがミッキーは若干図太くなっていたせいか、こらえる事が出来た。]

・・・クソ、何だ？誰か死んでるな・・。
誰が死んだんだ？確か、アイツらは赤毛のはラッセルと、双子の･･･。

[リックがラッセルに何かを言って立ち上がると、ウェンディの首らしきものを持っているのが鮮明に見えた。]

･･･ッ。
そうか、双子の妹が死んだか・・。でも、双子の兄が人狼なら何で殺したんだ？

[ラッセルがリックに何かを言って近寄ると、背中に銃らしき武器が見えた。]

アイツが人狼なら・・・双子の武器を奪う為か？
・・・それなら、あの赤毛が、怪しいな。
そうか、殺してやる・・・。僕が、人狼を、殺してやるんだ・・。

[ミッキーは食べていた木の実の芯を捨て、いつものように呟きながら森の北東のほうへ向かいだした。]

[ヴィンセントは、自警団の詰め所を物色している。]

……呆れたな。治療に使えそうなものは洗いざらい持っていくくせに、こういうものは平気で置いて行く。何を考えているやら……。
この調子だと、島のそこかしこに色々残してあると考えた方が良さそうだ。さて……。何をしても、蟷螂の斧か……。

[諦めや徒労感を感じながらも、ヴィンセントは自警団の詰め所の中にある残りの家具を引っくり返したり、移動させたりして、荒れた様子を作り上げた。]

……ここでは缶入りのビスケットか。ふん。たいしたお駄賃だ。

[外に出たヴィンセントは、夕刻を知らせる空を見あげ、足早にその場を去った。]

[クインジーは森の中を探索して歩いていた。途中、ラッセル達のいる場所を通りかかる。しばらく、遠くから彼らの様子を木の陰で伺っていたが、自分の姿を客観視して苦笑した]

何から隠れようとしてるんだろーな、俺は。まだ夜じゃねぇってのに……。

[そして、ラッセルに近づいていく]
おい、何があったんだ？

[ヴィンセントは集会場に戻り、陰鬱な表情でソファーに腰掛け、煙草に火をつけた。持って来たきり放り出してあったカバンと本に気覚く。]

すっかり忘れていたな……。

[ヴィンセントは、本と鞄を持ってソファーに戻る。往診用の鞄には、とりあえず詰め込んであったガーゼと包帯。数枚のカルテと聴診器しか入っていない。ヴィンセントは鞄を足下に置き、本を読みはじめた。]

ふぅ……。

今日も殺し合いか。
気が進まんな……。

[急に声をかけられて、ビクッとする]
あ、あぁ。クインジー。

[どこか目が虚ろだ。リックがウェンディを、　かき集めている　のを手伝うことも出来ずに突っ立っている]

[マンジローは穏かな顔で眠っている。彼の寝室で、カミーラはベッド脇に座り、携帯食料を噛りながらマンジローの顔を見ていた。]

マンジロー… 生き延びようね、一緒に。

[カミーラは、マンジローの手を握ったまま、いつしか眠りに落ちてしまった。部屋の窓から夕日が射し込み、二人の姿を朱に染めていく…]

[クインジーは、周囲に漂う悪臭に気づき顔をしかめる。そして、地を這って残骸をかき集めるリックのほうを見て、さらに顔をしかめる]

ウェンディが、やられたか……。
せっかくの銃が役に立たなかったみてぇだな。

[そして、リックに近付き、後ろ襟をつかんで、思いっきり引っ張った]
おめぇが人狼じゃねぇんなら、しっかりしろ！やられるだけだぞ！

[ミッキーは、ボロボロになった金のナイフを捨てて踏みつけ、全身泥だらけになったまま2メートルほどの先の尖った棍棒を引きずって歩いている。]

クソ･･･ナイフはもう、使えない・・。

僕は人狼を殺すんだ・・・。ク・・・。
ボクガ人狼を殺すんだ・・。クフフフフ・・・。

[ミッキーは棍棒を隠した後、仕掛けた罠を見て哂いだした。]

後は、どうやって罠の場所に誘導するかだ・・。
アイツらをまとめて八つ裂きにしてやる・・。殺さなければいいんだ、八つ裂きにしてやる・・・。

[ミッキーは集会場に向かっていった。]

[メイは憔悴した酷い顔のまま目を覚ました。]
･･･こんなに寝ちゃったんだ･･･。
ラッセル！？
ラッセル！！
[メイは慌てて外に出た。]

[メイはラッセルを探して走り回ったが、見つからない。]
いやだよ、ラッセル･･･。メイを置いていかないで！

[メイはようやく池の畔にたどりつくと人影を見つけた。]
あれは･･･ラッセルと･･･クインジー？
[メイは人影の方向に走っていった。]

ラッセル！！
何かあったの！？
[メイはリックに気が付いた]
リック･･･どうしたの･･･？

[メイは今更ながら異様な匂いがしていることに気が付いた。]
ま、まさか････。

[駆け寄ってくる人影に身構えるが、メイと気づいてほっと息を吐く。]
メイ……。

ウェンディ･･･?
嘘･･･嘘だよね･･･。
なんでこんなことに･･･。
昨日、メイやリックと一緒にいたんだよ？
あの場所はメイたち以外知らなかったはずなのに･･･。
いやだ・・・いやだよう･･･。
[メイは子供のようにいやいやをしながら泣いている。]

ウェンディに怪我させたのは…ダレだ…

[クインジーに目を向けるが、やがて興味が無さそうに目を逸らすと、ウェンディの首を抱えなおした。]

リック･･･。
ここなら大丈夫だと思ったんだよ。
ごめん、本当に･･･ごめん･･･。
[メイは泣きながらリックにただただ謝っている。]

リック。メイ。クインジーさんも。
そろそろ集会場に戻ろう。物資を取りに。

……リック。
ウェンディを……ヴィンセントさんに診てもらおう。ね？
[ウェンディだったものを毛布ごと持ち上げた]

[ステラは長時間に渡って拘束され続けた睡眠というある種の天国から抜け出した。
横たわったままで見えるオフホワイトの現実と真っ暗闇の自分の中を、数回行き来した後、ゆっくりと体を起こす。]

天にまします我らの父よ……。

[日課の祈りを捧げた後、ステラはようやくベッドから抜け出した。]

[メイに慌てて笑顔を返す。]

ごめん、取り乱しすぎて心配かけたね。

見つけたときは酷くてさ。
とりあえず、血は止まったみたいだから大丈夫だよ。

[ラッセルに力強く頷き、立ち上がった。]

あとはあのお医者さんに診てもらおう！

[メイはリックを見て、リックが一番つらく、死んだことを無理やり信じないことに気付いた。]
リック････。そう、そうだね。ヴィンセントさんに見てもらおう。きっと･･･良くなるよ。
[涙でぐしゃぐしゃにしながら無理やりに微笑んだ。]
ラッセル･･･集会所に行こう。
クインジー、あなたはなぜここに？

[リックにしばらく哀れみの視線を向けた。突然メイに質問され、はっとして答える]
人狼から隠れられる場所探してたんだがよ。たまたまラッセルを見かけたんだよ。
俺からすりゃ、お前らが何故ここにいるのかがわからねぇけどな。ウェンディやったのおめぇらじゃねぇの？

…ここ…は…どこ…だ？

[首を廻らせて辺りを見回そうとしたが、体中が鉛のように重く、やっとの思いで動かすと頭の中が割れるように痛む…]

[クインジーに言われて]
メイはこんなことできないよ･･･。
ラッセルだって･･･。突然人狼にでもならない限りラッセルは人間だもん！
リックだって･･･あんなに大事にしてたウェンディを襲うわけがないじゃない！

…カ…ミー…ラ…？

[舌がカラカラに乾いてスポンジのようにゴワつき、思うように喋れなかったが、穏やかに眠るカミーラの姿を見ると、ホッと息をついて、何度もその名を呼んだ。]

カ…ミーラ…カミ…ー…ラ…

さて、そろそろ集会所へ行かないとな……。

……もう、そんな時間ですのね。
[苦しそうに言うと、ヘンリエッタにならい、出る準備をした。]

[ルーサーは目を覚ますと日課と決めた銃の点検と訓練を行い、集会所のホールへとへやってきた]
[ヴィンセントが座っているのを確認し、テレビを見てウェンディが死んでいるのを確認した]
今日は彼女ですか…
そういえばそろそろ食料が投下される時間ですね。
それまでにこのメモをまとめてしまいますか…
[そうつぶやくと手帳に表を作って記入し始めた]

あぁ、気をつけろ。ステラ。
殺されないようにな……。

まあ、おめぇが人間だとしても、ラッセルやリックに食い殺されんよう気をつけとくこったな。

[言い終えると、ラッセル達より早足で集会所へと下りていった]

……ありがとうございますわ。
死なないために気を張らなければいけないなんて……。
でも、今は文句を言っている場合ではありませんわね。

今夜は、よく晴れているな。
月の色は相変わらずだが……。

これだけ星の綺麗な夜に死ねるとしたら、それは一つの救いかもしれんな……。

昨日の雨が、嘘みたいですわ。
確かにこんな綺麗な星空の下で死ねたら……、少しは救われそうな気もしますわね。
[ステラは空を見上げた。]

…案外わかってないことが多いですね。
ハーヴェイとセシリアを確認し損ねたのは不覚、と行ったところですか。
クインジーやカミーラが知っていると助かるのですが…

[空からヘリの飛ぶ音が聞こえたかと思うと遠くへと消えて行った]

おっと、食料が配給されてきたようですね。
中に運び入れて整理しておきますか。

[外に出て木箱を集会所に搬入しはじめた]

ご苦労だな、牧師。
祈りを捧げる姿より似合ってるよ。

[ミッキーは鷹に多少驚いたが、ルーサーが運んできた一つ目の木箱から食料を取り出すと、自分の椅子にさっさと戻った。]

ふん・・・あんな鳥、いつか食ってやる。

[ミッキーは鷹を睨みながら、食事を始めた。]

[ステラはルーサーに深深と会釈をした。]
……。
[何か喋りかけようと言葉を捜したが、昨日のトビーをルーサーが殺した、というヘンリエッタの言葉を思い出し、目を伏せた。そのまま敢えてテレビ画面は見ないようにしながら、ヘンリエッタのように配給されたものをバックにいれた。]

[マンジローは上半身を起こした姿勢で、手や首をゆっくりと何度も動かした。体の重さは相変わらずだが、強張っていた筋肉はだいぶ解れてきた。

枕元に置かれた刀を苦労して取ると、左手でカミーラの髪を撫で、カーテンから差し込む夕日の残照を眺めた。]

…日が沈んでいく…もう、こんな時間なのか。

[テレビの音量があがり画像が切り替わると、例のあの女性の声で新しいアナウンスがはじまった。]

『こんにちは、皆さん。今日も楽しい夕食の時間がやってまいりました。
皆さんは配給の食料は受け取りましたか？
もう一度確認だけどまだの人は18時までに受け取らないと、体に穴が開いちゃうからね？
さて、また二人減っちゃったね。順調でおねーさんはうれしいですよ。』

今夜はまだ、人がそろっていないようだな。
このまま、遅刻した者が処刑されてくれると助かるよ。

『食事を済ませたらまた楽しいゲームの時間。
今日もスタート地点は、集会所。
逃げるも隠れるもよし。先着１名様が殺された時点でその日のゲームはストップ。
やりすぎちゃったりした場合は楽しい罰ゲームが待ってるから覚悟してね？
さてさて、今日は誰が死んじゃうのかな？そこの可愛い女の子？それともそこのカッコイイお兄さん？
ほんと、わくわくしてきたわね？わくわくして…きたわね…？』

[若い女性の映像は、にこやかな笑顔のままフェードアウトしていく。
最後に見慣れたメッセージが浮かび上がって終わった。]

[牧師の貼ったメモを見たヴィンセントは、兵士という職業を経験すると、こうも抜け目無くなるものかと苦笑して、ポケットの中から妻の銃を取り出す。銃の中には空になった薬莢が二つ。銃をポケットに戻したヴィンセントは、取り出した空薬莢を手の中で弄んだ。]

死体を見ながら食うのが楽しいわきゃねーだろ。バカヤロが。

[ヘンリエッタの言葉に気がつくと椅子に座り顔を向けた]
下積み時代もありましたからね、一通りの雑用はこなせますよ。
確かに私には祈る資格は無いかもしれませんね…

遅刻した人間が処刑されると楽だ、というのには同意しますね。
その人の責任で死ぬのですから…。

[ヴィンセントの視線に気がつくとメモを片付けた]
クインジー、後で話したいことがあります。
マンジローの部屋に集まってください。
[そうささやくと自分の食料を持って自室へと引き上げて行った]

[飽きる事無く髪を撫でていると、カミーラは小さく身じろぎして目を覚ました。しばらくボーっとしていたが、起き上がっているマンジローの姿を認めると、泣き笑いの様な表情をして、顔をマンジローの胸にうずめた。]

大丈夫…だ、俺達は…生きてる…。

[カミーラは、泣きながら何度も強く頷いた…]

まだあったか。
斧はしっかり回収されたというのにな。
無粋で野蛮な人間の集まりは、これだから嫌いだよ。

[シャーロットは、日が傾きかけている小屋の中で、集会所へ行くための身支度を整えていた。リュックを背負い、クロスボウを利き腕に、昼間に収集した隠しカメラや集音マイク、コード等の残骸をもう片方の手に持っている。]

結局のところ、人狼さえ倒し終えれば平和に家に帰れるなんて、まるきり嘘だと言うことよ。人狼を見つけるよりも先にすべき事が、私にはわかっている。だから、今日の目的は１つ…。

行きましょう。

[シャーロットは、そう言って、静かな目でギルバートを振り返った後、付け加えた。]

あなたが協力してくれると言ってくれて、嬉しかった…。

ヘンリエッタさん……？
[ヘンリエッタの言動の意味がわからずに、首をかしげた。]

ステラ、何か弾けるか？

いいえ……、何も弾けませんわ。
……ヘンリエッタさんは？

[ドアを睨み付けるとカミーラを自分から引き離し、よろめきながらも、ベッドを降りて刀を手元に引き寄せた…]

…誰だ？

音楽も、母上の考える理想の貴族の一要素だったさ……。
剣術同様にな。

ルーサーです。
今、よろしいですか？
身支度が整っていないようでしたら少し時間を開けますが。

チューニングが狂ってるな。
長いこと使ってないのか……。

[流れ者 ギルバートは、この場にそぐわない陽気な調子で喋っている。]

昨日は少し冷えたな。シャーロットが風邪をひいたみたいで参ったよ。でも今日はもう元気になったみたいでよかった。

ヘンリエッタさんは、何でも出来てしまうんですね。
[ステラはうっすらと微笑んで、ヘンリエッタをじっと見つめた。]

[マンジローはカミーラと目配せを交わし、開かれたドアからは死角になる位置に、苦労して移動した。カミーラは反対側の壁際に張り付き、抜き身の小太刀を手に構えている…]

…どうぞ。

【ヘンリエッタはヴァイオリンケースから音叉を出すと、調弦に取り掛かった。二弦をＡに、一弦をＥに。簡単にやってのけた。そして、『きらきら星』のイントロを弾いた。】

温かいものが欲しいな……。お茶ぐらいあるか？

[ヴィンセントは厨房に向かった。]

今日はきっと誰かが死んでいて、誰かを殺さなければならないっと…
まったく、ひどいルーチンワークだぜ。。

15引く2は13か。。今日の夜は13人。

おお、ナイスアイデアを思いついたぜ！

良いヴァイオリンだな。
トビーが後生大事に抱えていたのもわかる。

ステラ、どういう曲が聴きたい？
夜想曲か？　それとも葬送曲か？

[ミッキーはギルバートのほうを暗い目で一度見て小さく嘲笑すると、独り言を言いながら食事に戻った。]

アイツは、そういえば、うちに遊びに来たときも、女の子を、追いかけてるバカだった・・・。
だから伯父さんに、見捨てられるんだ・・。クソ、気に食わない・・・。いつか殺してやろうか・・・。

[ヘンリエッタの弾く「きらきら星」を、静かに瞼を瞑って聞き入った。]

……良いヴァイオリン、なんですか。
わたくしは、ヴァイオリンのことはよくわかりませんけれど……、
心が和んで、素敵ですわね。

[流れ者 ギルバートは、拳を打った。]

13人が半分ずつに分かれて、6人と7人の組になって交代でお互いの見張りをすればいいんだ。
そうすれば、人狼がこの中に混じっていても、手を出せないんじゃないか？

まあ6人とか7人全員が人狼だったらお手上げだけど、それはないだろ。

[そこまで言ってギルバートは、誰も話を聞いていないのに気がついた。]

[部屋に入ってきたルーサーに、カミーラが素早く小太刀を突きつけた。が、ルーサーは一向に気にする素振りもなく「やはり二人ともここでしたか…」と笑いかけた。手に武器は持っていない…]

…カミーラ、大丈夫だ。

牧師殿、驚…いてはいないようですが…失礼しました。

水でも飲むか…

[ギルバートは、厨房に向かった。]

リクエスト、して良いんですの？
わたくしは……ヘンリエッタさんが、一番好きな曲が聴きたいですわ。

[メイはヴァイオリンの音が聞こえてきたので不思議に思った。]
誰が･･･弾いてるの？
ラッセル。メイはちょっと向こうに行ってくる。
[メイはヴァイオリンの音が聞こえた方に向かった。]

[マンジローに微笑みかける]
私は貴方達と協力する、と約束しましたからね。
私が約束を違えない限り君は私を斬れるはずが無い、そういうことです。
あとからクインジーも来ます。
今は横になってください。

私の好きな曲か……。

ヴィンセントさんは……どちらでしょうか。
診て欲しい人が……居るんです。

お気遣い、ありがとうございます。
しかし、体を起こしていたほうが幾分楽ですので…
こんな姿勢ですみません。

[マンジローは、ゆっくりとベッドの端に腰を掛けた。]

[メイは勘で扉を開けたがそこは空室だった。]
どこ･･･?

【ヘンリエッタは見栄を切るように弓を一振りすると、叩きつけるように弦を弾き鳴らした。と同時に、圧縮された音符の連なりが空気を震わせて音の波形を描き出し、流麗なメロディを紡ぎ始めた。サン・サーンスの『英雄行進曲』だった。】

[メイは再びヴァイオリンの音が聞こえると慌ててそちらに向かった。]
ここ･･･だね。
[メイは静かに扉を開けた。]

[流れ者ギルバートは、厨房を物色している。]

何もなし、か。まあそりゃそうだ。何かあれば食糧なんて配給する必要ないもんな。
コーヒー位は飲ませて欲しいよなあ…

なんて、飲み食いの心配をする前に、今日どうやって生き延びるかの算段をしないとな。
犠牲者の携帯武器は他の者に取られてしまったみたいだし、どうしたものか…何か他に役立つ物は持っていなかったか…

ハーヴェイ、セシリア、トビー…

[どこからか勇壮な音色が聞こえてくる。]

お茶ならあるよ。お湯はもうすぐ沸くだろう。

[ヴィンセントは、紅茶の入った缶を振ってみせた。中でかさかさと茶葉の音がしている。]

[マンジローはしばらく瞑想していたが、やがて目を開けると、カミーラに今日配布された食料を取って来てくれるよう頼んだ。カミーラはルーサーとマンジローを交互に眺めやったが、マンジローが「頼む…」と重ねて言うと、頷いて部屋を後にした。]

く……。腕がだるくなってきた。
剣を振りすぎたせいか……。

大丈夫ですか……？
何か、出来ることはありますか？
[ステラは心配そうにヘンリエッタの目を覗き込んだ]

[メイは演奏が途切れたのを見て、ヘンリエッタに聞いた。]
ここは･･･トビーの部屋？
そのヴァイオリンはトビーのものなの･･･?

ああ、ありがとう。ちょうど喉が渇いていたんだ。

[小声でヴィンセントに囁きかける。]

今日の「殺し合いの時間」だが、俺達と協力しないか？
ルーサーやマンジローに立ち向かうには、役立たずの武器を持つ俺や非力なシャーロットでは、心もとない。

あんたみんなから狙われてるみたいだぜ。視線を感じなかったか？
俺達と組まないと、きっと命を落とすぜ。

いや、ステラ。
お前は黙って見ていればいい……。

時間が無いので、手短に言います。

…発電施設を探してください。
これだけの数の機械に、休む事無く供給している以上…それなりの大きさのものがある筈です。

…おそらく燃料は…ガソリン。

あぁ、メイ。
これはトビーの遺品だ。

今のところまだ、使い道は思いつきませんが…
きっと切り札になる筈です。

それと…もう一つ…

もし、俺が死んだら…

あいつを…カミーラを…守ってやって下さい…

【ヘンリエッタは演奏を再開しようとしたが、指先が細かく震えていることを認めると苦笑いを浮かべてヴァイオリンをベッドに寝かせた。】

……はい、わかりましたわ。
申し訳ありません、余計なことを……申し上げて。

[ステラはメイの声に吃驚したが、すぐにぺこりと会釈をした。]

忘れていたよ。
剣術より楽器の稽古の方が疲れることを……。

私の事を人狼だと思っている連中が居るってことかな？
それとも、皆、この環境に順応して、殺人を厭わなくなっているんだろうか……。
[ヴィンセントは、沸いた湯に無造作に茶葉を放り込んだ。]
……考えておこう。
それよりも、マグカップはあるかな？ぼんやりしていて、捜すのを忘れていた。

そっか･･･。
[メイはトビーのことを思い出すと涙が溢れてきたが、ヘンリエッタにお願いをした。]
このヴァイオリンで、トビーや･･･死んだ人達のために葬送曲を弾いてもらえないかな･･･?
[メイはヘンリエッタの様子をみて慌てて付け足した。]
今日じゃなくてもいいけど。

葬送曲か……。
私が生きていたら、明日弾いてやろう。

マグカップか…いくつかコップが転がっているが、全員分あるかどうか。

[そこらじゅうの戸棚を開け回る。]

そうだ。

ヴィンセントさあ、、麻薬って人狼には効くのかなあ？
いや、トビーとマンジローには麻薬が効いてたみたいだったからさ。

ステラ、腕をマッサージしてくれ。
このままだと、今日の「殺し合い」に影響が出そうだ。

うん･･･。生きていたら、ね。
明日メイが死んでいたら、思い出してね。
[メイは力なく微笑むとヘンリエッタとステラに一礼をして部屋を出た。]
･･･トビー。

メイさん……、お気をつけて。
[メイの背中に呟いてから、ヘンリエッタの元へ歩み寄る。]
わかりました。
あまり、無理はなさらないで下さいね。

どうだろうね。全員に打ってみて、反応が違う者が居るか試してみるかい？ちょっとオススメできないな。
[ヴィンセントは、自分の分のマグカップをせしめると、茶を注いで飲み始めた。]
皆の分か。考えてもみなかったよ。もっとお湯が必要だね。

この状況下で、無理をせずに生き抜けると思うのか……？

[目を開くと静かにマンジローの目を見つめた]
一つ目はＯＫだ。ただ、期待しないでもらいたい。
双眼鏡でもあれば変わるんだがな…

二つ目は断る。
私のこの銃はただ一人のためだけにある。
ゆえに引き受けられない。

君に足りないのは覚悟だ。
本当にその人を守りたいと願うなら最後の一瞬まで生きることにしがみつく、そうあるべきだ。
今の言葉は聞かなかったことにしておこう。
[そういうと再び目を閉じた]

[ステラは目を伏せた。]
そう、ですわね……。……申し訳ありませんわ。
ですけど……、心配、なのです。
ヘンリエッタさんの身に、何かあったらと思うと……。

……余計なお世話ですよね、本当に申し訳ありませんわ。

[マンジローはルーサーの言葉に微笑んだ。]

そうですね…。
ありがとう…その言葉、心に刻みましょう…

私の身を心配してくれる者など、初めてお目にかかったよ。
まったく、どうかしている。

[クインジーは、部屋全体を見回すて言った]
全員いるみてぇだな。
牧師さんよ、話ってなんだ？

[クインジーの後を追うように、カミーラも部屋に戻ってきた。２人分の配給食糧を手にしている。]

[少し口調を作って話はじめた]
では話を始めよう。
まず、このメモを見てくれ。
私が知る限りの各自への配給された武器のリストだ。
埋められる項目があれば埋めてくれ。
相手の武器がわかればどう動けばいいかが考えられる。

あとは今日の方針。
マンジロー、君がなんと言おうとまともに動けない今の君は足手まといだ、現実を認めろ。

ゆえに我々には二つの選択がある。
一つは全員でここを守る。
もう一つは私が単独で誰かに奇襲をかけ、残り二人でここを守る。
…どちらがいいと思う？

……わたくしも、不思議ですわ。
こんな状況ので、ヘンリエッタさんが人狼かもしれないのに……。
……ですけど、どうしようもなく不安ですの。ヘンリエッタさんが、いなくなったら、と思うと……。
確かに、わたくしはどうかしているかもしれませんわね……。

…わかったよ。

[うわ言のように呟くと集会所の中に入り、扉をゆっくりと閉めた。]

[マンジローはメモを見ていたが、ルーサーに尋ねた。]

…この「Ｃ、Ｓ、Ｌ」というのは？

私を誤解しているようだな、ステラ。
私は、いざとなれば平気でお前を盾にする。

それでも私を心配するのなら、好きにしろ。

ヘンリエッタさんにとって、それが誤解であっても、わたくしからみたら真実ですの。
わたくしにとって大事なのは、それだけですわ。
これからも……、お言葉に甘えて心配させていただきますわね。

[メイはラッセルにこっそり聞いている。]
今日は･･･どうしよう？クインジーがあの場所を見つけていてもおかしくないんだよね･･･？
[メイはラッセルが銃を持っているのに気付いた]
あれ？これは･･･ウェンディの？
ラッセル。無茶はやめてね･･･。

Ｃが格闘戦、Ｓが２〜３ｍまでの武器戦闘、Ｌが狙撃可能な長距離、だよ。
ヘンリエッタがＬ分類なのは鷹がいるからだな。

なるほど…

[マンジローはしばし逡巡したが、ルーサーに答えた。]

…バラけるのは危険だと思います。部屋の明かりを消して、部屋の４隅に分かれましょう。

無茶……か。
[泣きそうな顔で笑って答える]

この銃は、ウェンディのなのかい？

昨日,寝る前にちょっと･･･見えたんだよ。
ウェンディのだと思う･･･。
ラッセル,銃を撃てるの？

こちらから打って出るとしても…一呼吸置いてから。

…出るのは、窓か裏口が良いと思います。

・・・クソ、寝てたか・・。
もうすぐ、時間か？・・・まだ集会場に人も着てないから、まだか・・。

俺が知ってるのはこんなところだな。

[クインジーはしばらく考えて]
ここを守っといたほうがいい。
ハッキリ言って、あんたが単独行動するのが一番危険だ。いろんな意味でね。

そうか。するとウェンディは、銃を持っていたにも係らず、人狼に襲われたのか。
なら……こんなものは、人間にしか通用しないってことか。

撃てるよ。撃ち方だけなら、父さんに教わったから。
[といって、銃をいじりだす。]

……！？

[メイはラッセルが固まったのを見て怪訝そうに見た。]
どうしたの？ラッセル。

[こっそりとメイに囁く]
これは……フェイクだ。
メイ。ウェンディが持っていたのは、偽者の銃だったのか？

[メモに目を通すと顔を上げた]
なるほどね…やはり銃を支給されたのは私だけではなかったんですね。
お二人の意見はわかりました。
明かりを消してここを守りましょう。
皆さん、懐中電灯を持って置いてください。
相手が暗がりから来たなら顔面に光を当てることで相手をひるませることもできますから。
[そういうと左手で懐中電灯を握り締めた]

[マンジローは頷いて、懐中電灯を手に取り、片目を硬く瞑った。カミーラもそれに習う]

…こうしておけば暗闇に目が慣れます。
明かりを消すと同時に、反対側の目を瞑ってください。

[メイはラッセルの言葉に驚いた。]
ううん･･･。本物のはずだよ。昨日ウェンディが手入れをしてたみたいだし。
偽者って･･･。誰かに取られたのかな？それとも、最初から偽者なのかな･･･？
[銃を見て]
本当だ。弾をこめるところがないね。
･･･人狼が･･･襲って銃を奪った？

おれぁ、もともと片方がみえねぇんだ。
あいつのおかげでな……。

[クインジーは、忌々しげに言った。]

……そういうことになるな……。

メイ。乱戦になったら逃げろ。リックを無理にでも連れて行ってくれ。トビーと同じ運命を辿ってしまいそうで……そんなのは、もう沢山だ。

ラッセル･･･ラッセルはどうするの？
昨日みたいにラッセルが居ないのは嫌だよ。
一緒に逃げよう！

[マンジローはクインジーの言葉に逡巡したが、一つ頷くと言った。]

では、明かりを消す役をやってくれ。
手を伸ばしてスイッチに触れたら、目を瞑るんだ。

…心の中で５０数えたら消してくれ。

リック。
ウェンデは僕から頼んで先生に診てもらうから。
メイと一緒に……あの森で待っててくれ。
[リックからウェンディの頭を預かった]

[流れ者 ギルバートは、セシリアの荷袋に入っていたサバイバル・ナイフを弄んでいる。]

セシリア…、生き残る方法を教えてくれ…

[ミッキーはラッセル達の様子を部屋の端でずっと睨むように見ていたが、やがて最後の携帯食を手掴みで食べ終えて立ち上がった。]

ハッ、せいぜい仲良く逃げ回るんだな・・。
そろそろ時間だ・・・今日こそコロシテヤル・・。

馬鹿だな。メイ。
美味しいきのこのスープを作って待っててよ。
[毛布ごとホールのソファーに下ろす]

[クインジーの右手は、スイッチに触れた。そして、心の中で５０をカウントすると同時に電源を切る]

[メイはラッセルに小声で話した。]
ウェンディが襲われたし、クインジーもミッキーも近くまで来ていたのであの場所は危ないと思うよ。
南の方に逃げない？一緒に行こうよ。

っ！！！！！

[マンジローは明かりが消えると、反対側の目を瞑り、それまで瞑っていた目をゆっくり開いた。暗闇の中に３人の姿を確認すると手で合図を送る。反対側の窓際に近い隅にいたカミーラも同じように合図を送り返した。]

メイ、リック！こっちだ！！
[ホールの扉を開け外に出る。月明かりが照らされ、出口が明るく写る]

[反対側の目を瞑り、それまで瞑っていた目をゆっくり開く。マンジローの合図に返答するとまわりの音を聞き取ろうと耳を澄ませた]

空気が変わったな……。
始まったのか？

[コード類を並べながら考え事をしていたシャーロットは、開始時間が近いにも関わらず、ギルバートが台所から戻らないことに気がついた。]

……離れているのは危険かもしれない。

[メイとリックが外に出たのを確認すると、扉を閉めた。]
なぜだ。なぜ急に電気が落ちたんだ？

空気が……？
その割には、騒がしくないですわね、昨日のように……。

[シャーロットが、装備を持って立ち上がったその時、テレビの音量が野外にも聞こえるほどブーンと大きくなり、例の放送がはじまった。]

[今日、テレビから流れ出した音楽は、先刻ヘンリエッタが演奏としていたのと同じ英雄行進曲だった。どうやらこのアナウンスは、リアルタイムで放送されているらしい。女性の声が始まる。]

『では、皆さん今日も殺し合いの時間がやってまいりました。今日も元気に、好きな場所に移動して、殺し合いをはじめましょう！
ルールは昨日と同じ、最初の１人が殺されたら、合図に花火があがりますので、それ以上は殺し合いはルール違反。違反者には死を。

では、英雄を目指して、今日も楽しい素敵な殺しあいを！
』

[アナウンスが終わった。]

･･･ふん。始まったか。
相変わらず騒がしい奴らだ・・・。

[ミッキーはゆっくりと入り口から出ると、集会場の裏手のゴミ収集場に隠した棍棒を持って振り回した。]

今日は、気に食わないアイツだ・・。
ク・・・クフフフフフ・・・・。ボクガ、気に入らないヤツを・・・殺してやるんだ・・。全て僕がコロシテヤルんだ・・・。ククククク・・・。

[ミッキーは何度も殺してやると呟き、棍棒を引きずりながら闇へと消えた。]

ラッセル！どこへ行くの！？
[メイは走りながらラッセルに聞いた。]

[小声で言葉を発する]
…一時間経過しても誰も死んでいない場合、私が出ます。
よろしいですね…？

つくづく、趣味の悪い放送だな……。
ホールから外に出るぞ、ステラ。

[クインジーはルーサーに向かって頷くと、ドアの方に向き直り、辺りの音に集中し始めた]

[シャーロットは、ギルバートを探しに台所に行こうとして、マンジローたちの部屋のある一角だけ、電気が消えている事に気がついた。]

………あれは？

……全くですわ。
同じ音楽でも、こうも違うもの、なのですね。
承知しましたわ。

誰かを殺さなければ、全員死ぬ。
僕が２人を護るなら……誰かを殺す！
僕が死んでも、２人は護れる。これしかないんだ。

行け！メイ。リックを連れて行け！
[振り向きもせずに、集会場に駆け出した]

[廊下の向こう側にシャーロットを発見する。]

シャーロット、いたか。

[辺りに気をつけながら、ゆっくりと近付く。]

だめだよ！ラッセル！
ラッセルが死ぬなんて、そんなことはいやだよ！
[メイはラッセルの静止を無視してついていった。]

[ヴィンセントは、一瞬で変わってしまった空気を感じて戦慄した。]

なんという有様だ。何故、こうなってしまうんだ。

[自分が定位置にしていたソファーに近づいて、そこに置いてある毛布をいぶかしげに見つめる。]

あっ、ごめんよ。大丈夫か…？

どうしたんだキョロキョロして、何かあったのか？

あっ。……ギルバートさん。
建物の一部の電気が、何者かの手によって切断されたみたいです……。あれは、マンジローさんが使っていた寝室。

後、ヴィンセントさんを見ませんでしたか？

[ミッキーは遠くに集会場のほうに走ってくるラッセルを見て、小さく哂った。]

わざわざ、あっちから来たか・・・。赤毛・・。
僕はお前のように、何にもしないでも幸せそうなヤツが、大嫌いだ・・。コロシテヤル・・・。僕が気に入らないヤツを、コロシテヤル・・・。

[ミッキーは棍棒を横に構えて、こちらの姿に気がつかれないようにゴミ収集場の壁に張り付いて身を隠した。]

･･･死ね。ここを通ったら一発で、やってやる・・！

【ヘンリエッタはステラを物陰に隠すと、蛇腹剣を右手に構えて柄のスイッチを外した。ジャラリとほどけた剣が地面に垂れて、魚鱗のように滑らかな光沢を放った。】

[集会場の扉の前に近づき、辺りを伺う。]
よし。

[物陰から、ヘンリエッタを祈るような思いでじっと見つめた。]
……ヘンリエッタさん……。

[メイはラッセルに追いついて話し掛けた]
ラッセル、やめて、居なくならないで。
メイはいやだよ。
お願い。
どうしても集会所に入るなら･･･メイも一緒に行くよ。

マンジローの部屋？ああ、あの部屋か。
何かあったんだろうか。様子を見に行ってみるか。

ヴィンセントねえ。。
集会室に戻ったと思ったけど。

・・・チッ、逆方向から入り口に回ったか。

メイ。わかった。
じゃぁ、ここを見張っててくれ。
頼んだ！
[意を決して、ホールに飛び込む]

威勢のいい男が、自ら死地に飛び込んだか。


死んだな、ラッセル……。

[シャーロットは、ギルバートにもたれかかったままになっている事に気づかず、何かを考える風に首を傾けた。]

いえ……。
私は、昨日も言ったとおり、ヴィンセントさんを殺します。
だから、マンジローさんの様子よりも、彼を……。

[ソファーに座っているヴィンセントを見つける]
ヴィンセントさん……。
[鉄パイプを握りなおす]
ウェンディを襲ったのは、貴方ですか？

[小さな声でささやく]
…誰か来ます。
扉の前に来たら銃撃します。
いいですね…？
[そういうと撃鉄を起こした]

どうやら、今日も集会所で死体が転がることになりそうだ。

出てきてもいいぞ、ステラ。

やはりターゲットはヴィンセントか。
きっとまだ集会室にいるはずだ。戻るぞ。

[先に立って歩き出す。]

[メイはラッセルが誰かに話し掛けているのに気付き、後ろを確認してから扉を閉めるとラッセルのそばに駆け寄った。]

[ヴィンセントは、静かに応えた。]
私ではないな。