美術商 ヒューバート [頭がぼんやりと思考を始める。 ニーナが逃げ出したのはつまり、シャーロットの占いで彼女が本物であると証明されたからだろう。ナサニエルの話を思い出しながら、そう考えていた。偽物だとバレてしまったニーナとケネス…… それはつまり、レベッカもソフィーも人間だと云うこと。私は二人、罪のない村の人間を殺してしまった、と云うこと。 完全に身体中の力が抜け切ってしまった。本当に、私は何をしていたのだろう。 あのときと同じように、仲間を全員失わなければ、私は気付かないところだった。 ケネスの叫び声。ギルバートの怒声。コーネリアスの声。ヘンリエッタの声。シャーロットの声。声。声。声。 そして、銃声。 何もしないまま、ただ呆然として眺めていた。] | |
(226)2006/08/03 05:43:42 |
お嬢様 ヘンリエッタ [突然抱きしめられて、一瞬だけ眉をしかめ、 しかしきょとんとしてヒューバートを見上げた] [煙草の匂いと硝煙の匂いが鼻先を掠める。 でも柔らかな笑顔はいつも通りのヒューバートで] あの……。 [さっき。たくさんの出来事が起こった中で、唯一人止まっていたヒューバートを思い出す] 「ヒューバートさんも、誰も信じられないの…?」 「もう処刑なんてやめようよ」 [ちゃんと、そう言おうと思っていたのに。 あのヒューバートを見た後で、そんなこと、言えない。言ってはいけない、と、ぼんやりと感じて] うん。あのね、家まで送って行ってくれる? [抱きしめられたまま、ヒューバートの顔を覗き込むように見つめた] | |
(232)2006/08/03 06:29:34 |
美術商 ヒューバート [複雑な表情をしながら、エッタが口を開いた。 ……何をどのように、彼女が不安に思っているかは想像に難くない。 処刑のときの彼女の顔や、襲われた人間の名前を聞かされたときの表情を思い出す。 ―――すっかり、見失っていた。 自分自身も、周りの皆も、そして目の前の少女さえも。 ……大人たちがお互いに疑心暗鬼となり、殺し合って行く様子を、一人、涙を必死に堪えているのは、どれほど悲しいことだろう? ……日々、人狼に殺されるかもしれないと云う恐怖を抱いて過ごした日々は、どれほど切ないことだろう? ……たった一人で真夜中、広い家に帰り、ベッドで眠ることは、どれほど寂しいことだろう?] ……うん、送って行くよ。帰ろうか。 [そう云ってエッタを腕の中から離すと、一歩だけ先に出て手を差し延べた。 それだけしか、今の私には、云えなかった。] | |
(235)2006/08/03 06:58:50 |
美術商 ヒューバート [一瞬、言葉に詰まる。頭でぱっと物事を考える癖が抜け切ってしまったようだ。 情けないものだな、と思いながら口を開く。] そうだね…… 良い人狼も居れば、悪い人狼も居るだろう。 [いや、違う。私は『人狼』と云う種族そのものに、嫌悪感を抱いている。 それは何故か。 私は『人狼』に仲間を殺された、と認識しているからだ。ただ、それだけのこと。 ただの個人の感傷である。そんなことは判っている。だが、憎い。] けれども、人狼は私たちのような人間を食事としなければ、生きていけない生き物なのかもしれない。 もしそうなら……人狼は、私たちの敵、ということになる。 人狼が良い生き物なのか、悪い生き物なのか、そういう問題を放って憎むことが出来るもの。それが『敵』なんだと、私は思う。 | |
(240)2006/08/03 08:46:52 |
美術商 ヒューバート [順序よくエッタがそれぞれの部屋、一晩泊まるのに必要なものを説明して行く。 程なくして大体の場所の説明が終わり、階段を昇る。 さて、ここが私の部屋となるらしい場所―――彼女の父の部屋だ。 彼女の言葉を聞き……これはまた妙なところでませてるな、と失笑を漏らしそうになる。] エッタも何か私に用があったり、そうだね……一人では眠れない気分だったりしたら、何時でも私の部屋へどうぞ? それじゃ…… [今度はエッタの唇のほうへ、軽く口付けをする。 ―――目に見えて彼女の頬が赤く染められて行くのが判った。 これ以上虐めてしまっては可哀相かな、と少し思い、次の動作は思い留めた。 至近距離のままで囁く。] ……おやすみなさい。良い夢を。 [そう云うと屈めていた身体を起こし、エッタに背を向けると、扉の向こう側へと*ゆっくり歩いていった。*] | |
(245)2006/08/03 10:43:28 |