冒険家 ナサニエル シャ、シャロ…、なん…で? 嘘だろ…、なあ、嘘だと言ってくれ!! [叫ぶ――叫ぶ――叫ぶ―― ナサニエルの頭は現実を理解している――もうシャロは、何も答えるとが出来ないということを…。 だが、感情のみがそれを受け入れない、喉が枯れようと叫び続ける] 頼む! たの…む、か…ら…、お願いだ… シャロ!! 「ナサニエルはシャーロットの頭をゆっくりと抱えた] くっ、うっ。 [胸の奥で堰をきって、何かがあふれ出す。シャーロットの頬を、水滴が濡らしていく…」 シャロ、なんでだよ…。俺は! 俺は…。 [シャーロットは答えない、答えるはずがない…] [そして、ナサニエルは、ただ、ただ、涙を流していた…] | |
(10)2006/08/07 23:26:09 |
冒険家 ナサニエル [どれだけ、そうしていたのだろう…] [ナサニエルは、涙をぬぐうこともせずに、ゆっくりと囁きだした] シャロ…。 俺さ、お前を連れて行きたい場所がいっぱいあったんだ…。 全てが透けるような、コバルトブルーの海を見たことがあるか? 山の山頂から、辺り一面の紅葉が、夕日によって染め上げられるのを見たことがあるか? ないよな…、シャロは、ずっとこの村に居たんだもんな。 そんな光景をお前に見せてやりたかった…。 俺が感じた感動を共感したかった…。 感動した顔を、俺に見せてほしかった…。 はは…は、もう無理なんだな…。 もう…、話すことすらできないんだもんな…。 | |
(13)2006/08/07 23:33:50 |
冒険家 ナサニエル [やがて、ナサニエルは顔を上げる。そしてその瞳は、静かな決意に満ちていた] ハーヴが人狼だったんだな…。だから、お前はここに来たんだろう…。 なあ、シャロ。お前は、俺がハーヴを殺すなんて、望まないんだろうな。 わかってる…、それはわかってるんだ…。 だが、俺は俺のために、ハ−ヴの事を殺す。殺すよ。 俺はシャロを殺したあいつを許せない。俺は自分の自己満足のために、あいつを殺す。 [そう言って、ナサニエルは力のない笑みを浮かべた] ごめんな…、そうじゃなきゃ、もう何をどうしたらいいのかわからないんだ…。 [ナサニエルは、シャーロットの唇にそっとキスを落とした] シャロ…、少しの間だけ、ここで待っていてくれ…。 [ナサニエルはそう言い残し、その部屋を後にした…。 その手は、血が滲むほど握りこまれていた] | |
(17)2006/08/07 23:50:32 |
修道女 ステラ [荒々しい口付けに、思わず息を呑む。 しばらくの時間がたち、顔を離したところに、ゆっくりと話しかける] よく、ここで一緒にお茶を飲んで、お話しましたよね… [教会の中を、ふと見回して] あそこの奥への入り口で、私、よく転んでましたよね。そのときに、いつもハーヴさんが私を助けてくれましたよね。 [思い出すように、くすりと笑い] あの思い出は、嘘じゃないですよね。私に差し伸べてくれた、手の暖かさ。幻じゃないですよね。 私は、あの思い出を、あの暖かさを信じています… [再び、ハーヴさんのダークブラウンの瞳を見つめる] …生きてさえ居れば、人間何度でもやり直せます。変わることができます。 ハーヴさんだって、いままでこんなことをせずに生きてきたんでしょう。だから、もう一度やりなおして。 一緒に、生きていきましょう… | |
(20)2006/08/08 00:21:07 |
書生 ハーヴェイ [つられるように教会内を見回す。 奥の部屋の椅子に座って、お茶の用意をするステラさんの後姿を、目で追うのが好きだった。 紅茶の香りと、甘いお菓子の香りが、いつも俺を満たしてくれた。 また転ぶだろうな…って、ステラさんがパタパタ走るたびに思ってて。 転んだら、ステラさんに触れるきっかけができるのに…なんて考えてた。 手をかして、起き上がるのを手伝って…二人で顔を合わせて笑い合って…。] 一緒に…? ステラさんと…一緒に生きて…? [また、笑顔でお茶を飲める日がくるのだろうか?と希望が頭を過ぎるけれど。 それは無理だと首を振って] そんなの、できない。 何度やり直したって、きっと何度でも失敗する。 上手くなんていかないんだ。 | |
(21)2006/08/08 00:32:24 |
修道女 ステラ [ナサニエルさんは猫のチコと、再び冒険の旅に出ると言う。 『ステラさんはこれからどうするんだい?』 昨日、村長さんにお願いしてきました。こちらの墓地の墓守にさせていただけるようにと。 ユージーンさんも…いらっしゃらなくなったことですし… [消えていった青年の笑顔が、すっと浮かんだ。 そして、次々と、みんなの笑顔が浮かんでいく] 私は…皆さんのお墓を守っていきますわ。 『そっか。…一人じゃ寂しくないか?』 大丈夫ですわ…この子達もいますから。 [ナサニエルさんの問いに、足元の猫たちを示し、笑顔で答える。 …それに、なんとなく。 一人じゃないような、そんな気がしていた] | |
(55)2006/08/08 04:48:57 |