美術商 ヒューバート [耳を疑った。あの、レベッカが……人狼、だって? よくバーに飲みに来て絡んできた、少しお節介ながらも、優しさに溢れていることが目に見えて判った……彼女が……村を滅ぼす、人狼? アーヴァインの躰をずたずたに引き裂き、貪り、ぐちゃぐちゃにした人狼―――それが、彼女? 信じられなかった。信じたくなかった、と云う感情も含められていたかもしれない。 続いて、口から出た言葉は。] ―――レベッカ。 君が、本当に、人狼だと、云うのか? [そう云うと、倒れたケネスに一瞥をやり、レベッカに目線をやった。 意識的なものか無意識的なものか、その目線は非常に鋭い。] | |
(205)2006/08/01 02:44:43 |
学生 メイ あ、そっか。シャロちゃんかケネスさんのどちらかは確実に偽者なんだ――そんな事って……。 [まだ占い結果が違う事に信じられない様子で、混乱している。] 確かに!レベッカさんはガサツだし、美味しいお菓子はよく見付けてくるし、仕事はすぐサボって僕に回してくるし、掃除はしないし、たまに服に泥を付けて帰ってくるし、冷蔵庫のお肉は急になくなったりするし……。 [あれ……と言い掛けてメイはセシリアの顔を覗き込んだ。 わかっている、わかっているつもりだ。占い師が人狼を見付けたと言っている以上、今日から毎日処刑をすると決めた以上、レベッカを処刑しなくてはいけない事は――] | |
(224)2006/08/01 03:18:04 |
美術商 ヒューバート [レベッカの沈痛な言葉を聞き、言葉が出なくなる。 ただ、目だけは逸らしてはいけない、と、視線はレベッカに向けたままだ。 ……これから殺されようとしているのに、何故そこまで落ち着いていられるのだろう? 答えはすぐに見つかった。そう、もし、彼女が人狼であるならば―――普通の、鉛の弾丸では死ぬことはない。だからこそ、落ち着いていられるのでは、ないのだろうか? ……余計な思考は、エッタの声でストップした。 哀しそうな表情の彼女に語りかける。] ……駄目、だ。 レベッカが人狼の可能性が、このなかで最も高いのならば―――レベッカを、処刑しなければいけないんだよ。 エッタ、君は……見ないほうが良い。 [もう一度、処刑と云う言葉を口にすると、そのことが現実のものとして再認識させられた。 今にも泣き出しそうな顔をしているエッタから、再びレベッカへ視線を向けた。 右手に握られたその銃は、まだ銃口を下に向けたままである。] | |
(244)2006/08/01 03:51:22 |
冒険家 ナサニエル [レベッカが死ぬ…。 わかっていたことだが、この処刑という方法に対して、改めて戦慄する。 セシリアとて、苦渋の上の決断であろうことは間違いない。 セシリア自身の判断で、人間かも知れない人の死を決めなくてはならないのだ。 納得はできない…納得はできないが、彼女を責めることは決してできない…。 自ら恋人を撃たなければならないギルバートの胸中は、いかがなものだろうか…。 ナサニエルは彼にかけるべき言葉をもたなかった…] シャロ、送っていく…。 [そう言うと、ナサニエルはシャーロットの腰に手を回し、ゆっくりと進みだす。 蒼ざめた様子のシャーロットが倒れないように、支え、集会場から出て行く] | |
(246)2006/08/01 03:59:28 |
新米記者 ソフィー [他の面々に挨拶もしないまま、新聞社の方に駆けていく。 叫びたかった。皆の前に居ると、叫んでしまいそうだった。 何かが狂っている。処刑を受け入れたレベッカも、彼女に銃を向けたヒューも、 絶望するギルも、処刑を宣告したセシリアも、コーネリアスとハーヴェイの言い合いも。 そして、あの場に居て何も言えなかった自分自身も。 何もかもが狂って見えた。みんな、こんなはずじゃなかった。] [事務所の応接間に入り、手頃な毛布を被る。彼女が死ぬ音を聞きたくなかった。 嗚咽とも慟哭ともつかない声を漏らしながら、部屋で震えていた。 眠れるよう羊を数えようとして、思った。先ほどのざらついた不快な声と、自分の声が重なった。*羊は私たちだ*] | |
(253)2006/08/01 04:12:27 |
美術商 ヒューバート [レベッカを抱きしめたまま、静かに泣いているギルバートを見ている。 声が掛けられない。声を掛けるには余りに悲しい後ろ姿だ。 自警団員たちが、セシリアと共にやってきた。少しほっとする。 漸く、ギルバートに向けた言葉を口から出す。] ……ギルバート。 肩を貸そう。家まで、送らせて貰うよ。 [構わないだろう?とでも云うように、セシリアのほうへ目線を投げる。 彼女が頷くのを確かめると、ギルバートの返事が返って来ないままだったが、彼の腕を自身の肩に回し、彼をそのまま立ち上がらせる。] さ、行くぞ、ギルバート。 [結局、『大丈夫か?』の一言は云えず、出て来たのは別の言葉だったが。] | |
(273)2006/08/01 05:40:03 |
美術商 ヒューバート [床に落ちている銃に気付くとそれを拾い上げ、何時ものポケットの中に突っ込む。 セシリアや自警団員たちに頭を下げると、ギルバートをかかえ、真っ暗闇の中を歩きだした。 隣のギルバートは完全に茫然自失と云った状態だ。 ―――やはり、声が掛けられない。 彼女を、レベッカを……あのようにしたのは、自分にも大きな原因があるからだ。 もしあのとき、銃を取り出していなかったら。 もしあのとき、レベッカに妙な疑惑を抱かず、彼女の庇護に回れていたら。 もしあのとき…… いつの間にか、空は少しづつ晴れ始め、雲の切れ間から月が見られる。 そのことに、ヒューバートは、気付く余裕もない。] | |
(277)2006/08/01 06:10:55 |
美術商 ヒューバート [レベッカの家が見えてきた。この二人の恋人は随分前からこの家で同棲をしている。……いや、していた、と云うべきか。 ギルバートの目が覚めたとき、隣にレベッカの姿がないのは―――悲しいだろう。とても。 暗い表情のまま、隣のふらふらと歩いている彼に話し掛ける。] 着いたよ。鍵は…… [開けっ放しのようだった。扉が若干開いているのに気付き、無用心だな……と、こんな状況ながらも失笑を禁じ得ない。 入ってすぐ見えた右手のドアを開き、ギルバートを横に寝かせる。] ……おやすみ。お疲れ様、ギル。 [そう呟き、薄手のタオルケットを体に掛けてやる。 そのまま家を出、少し歩いたところでふと立ち止まった。 ゆっくりとした動作で煙草に火を点け、煙を吐いた。 煙は昇り、夏の夜空に*染み込んでいった。*] | |
(282)2006/08/01 06:34:17 |