学生 メイ [とっぷりと日が暮れるまで、セイバーと二人で随分と色んな話をしていた。 二人とも一番大事なことは告げてしまったせいもあってかどれも他愛のない話ばかりだったけれど、そのことに芽生はとても満足していた。] 【…ほんと、そんな場合じゃないのにね】 [気持ちを認めてしまうのは簡単だ。目の前の彼に惹かれているということ。けれどそれを受け入れてしまった時点で、聖杯を手に入れて適えたい願いというものが根底から覆されてしまいそうで。だから、認めることはできても受け入れることは出来なかった。 やがて夕飯も済ませ、夜の帳が降りれば、芽生は自身の中に流れる魔力というものらしきそれを確認して、セイバーを見やった。] ねえ、今日はどうする?セイバー。 私はそろそろ回復してきたみたい。 アンタは出れそう? とりあえず敵を探しに行く? | |
(399)2006/03/23 22:21:54 |
雑貨屋 レベッカ ……それでお願いします。 [キャスターの返答を確認し、麗香は寂しそうにメニューを畳んでウエイターにそう告げた。] えっと。 何て言うか、不要ってどんなニュアンスなのかしら。無駄?有害?無意味? 強要するのは好きじゃないけど……。 [言葉に詰まって改めてキャスターの佇まいを見つめた。 やはり美しい。自分の想像を絶する美貌の君は、レストランに溢れ返る女性の突き刺さる視線を麗香に感じさせるには十分な程だった。 素っ気無いとも言える簡素な受け答えばかりのキャスターに対し、しかし優美で優しげな彼の目にどうしても怒ることすら出来ない。 何となく胸中にもやもやしたものを感じながら、テーブルに置かれた水を飲んだ。] | |
(402)2006/03/23 22:29:03 |
雑貨屋 レベッカ そう。 ……無駄、か。 [テーブルに頬杖をついて、どこか詰まらなさそうにキャスターを眺めた。召喚したあの日から、自らの体内を巡る霊力が目の前の男に流れ込んでいる感覚は日に日に強まっている。 繋がりを感じられるほど近いけれど……こうしてテーブルを挟んで座っていると遠く感じる。 彼の美貌も、唇を開けば紡がれる声も言葉も、原因なのかもしれない。 そんな事をぼんやり考えていると、ふとキャスターの溜息が聞こえた。] 【ああ、そうか……!! この人が口にするものを積極的に摂りたがらないのも、確かに無理はない!】 私、ごめんなさい、そこまで気が回せなかった……。 | |
(411)2006/03/23 22:42:23 |
見習い看護婦 ニーナ −住宅街 自宅の書斎− [目を閉じ、意識を集中して体内の魔力を感じ取る。 時折魔力に反応して刻印がうずく。 書斎で魔術の鍛錬をしだしたから、ずいぶんと感覚が鋭くなってきた気がしていた。 今まで見えなかったものが見えるように。 束紗の体内にある魔力は、少なくはあったが、それを「上質」にする方法ならば教えられて知っている。 問題は、それを利用する手段。 基礎程度の魔術であれば「精製」などしなくて良い。 けれど、父は束紗に魔術刻印を移し、基礎を教え込んだ後、「精製」を教えた。 わずかな量でも、強い魔術を行使できるように。 だが、その後教えられた魔術は、合わないのか発動することはなかった。 今これを行うのは、ランサーが少ない魔力でも動きやすいように、と思ってだった。 「精製」を終えて目を開ける。] | |
(412)2006/03/23 22:42:58 |
学生 メイ −西ブロック・樹那川− [謝罪の言葉を告げられると、ううん、と芽生は首を振った。] 遠出しなきゃマスターを探し出せないわけじゃないもん。 こないだだって駅でずっと張り込んでても駄目だったじゃない。 ここらへんに他のマスターが来ている可能性だってあるし。 [のんびりしようという彼の言葉に、たまにはそんな日があってもいいのかな、と、微かな笑みを零し。 川原を歩いていると桜がちらほらと咲いているのに気付いて、芽生は見て、とセイバーの袖を引っ張った。] …なんだか毎日慌しくて、全然気付かなかった。 もう桜が咲いてたのね。 セイバーは桜って見たことある?この花が咲くと春が訪れたってことなのよ。 まだ肌寒い日も多いけど、もうすぐ春なのね。 | |
(440)2006/03/23 23:15:50 |
学生 メイ [視線が一組のマスターとサーヴァントに引き寄せられる。 弓を持った男。ほぼ間違いなく、アーチャー。 その隣にいる女性が、マスターか。] …セイバー。 解ってるわね。 サーヴァントだけを、倒すのよ。 もしもマスターが動けば、そっちは私が対処するわ。 貴方はサーヴァントに集中して。 [言いながらも芽生の声はどこか震えていた。 もう三組目のマスターとサーヴァント。 それでも、ここで死ぬのかもしれないと思うと、まずはそれへの恐怖が先んじてしまう。 いけない。気持ちが押されていては勝てるものも勝てない。] 【…おばあちゃん。お母さん。二人が残した血を、私は消そうとしている。でも、今だけは…この血で私たちを守って…!】 [少女は祈るように心の中で二人の最愛なる者へと*呼びかけた。*] | |
(494)2006/03/24 00:11:47 |
お嬢様 ヘンリエッタ [ バーサーカーは、激突した木の根元に転がったまま動けないでいた。] カ… クァ… [ 何が起こったのだろう。もう少し、髪の毛ひとすじほどの距離にアサシンがいた。あとはこの手で、首をねじりきるだけだったはずだ。] ガ。 [ それが、何故ここにいるのだろう。何故、木に身体をぶつけ、そして無様に地べたに転がり落ちているのか。何故、立ち上がることができないのか。全てが、バーサーカーにとって判らないことだった。] ………!! [ はた、と我に返る。主が、近くにいたはずだ。この身に流れてくる魔力はごく僅か。それが、どういうことなのか。] が、が… [ 右腕に力を込める。なんとか、動いた。 ずる… ずる… 僅かづつだが、主から送られてくる魔力で身体は治癒をはじめている。だが、回復など待っていられぬものなのか。バーサーカーは右腕一本で我が身を引きずり、主の元へと向かおうとしていた。] | |
(548)2006/03/24 01:31:32 |
学生 ラッセル はっ、弓兵が無理して接近戦なんか挑むからだよ! 【……この距離なら行けるな。 一気に決めちまうか――メイが耐えれるかどうかだが……】 [セイバーが剣を握りなおすと、マナがセイバーへと集結し始める。 その量は莫大、見る者には驚嘆を、受ける者には消滅を齎す。 そのマナがセイバーを中心として突風を生み出し始め、 それに呼応するかのように、セイバーの握る剣が黄金色の光を放ち始める……] バル――― 「二度生まれし――― [主たるセイバーが2つの名を持つように、その剣もまた2つの名を持つ。 そして、その2つ目の名こそ宝具としての能力を開放するその剣の真名。 しかし、その真名を紡ぐ声は――] 『ドサッ』 [何かが倒れる音により中断された。] | |
(558)2006/03/24 01:55:22 |
雑貨屋 レベッカ −北ブロック オフィス街− [今日は朝から職場のビル内にある書庫に仕事で篭る用事があった。業務上の一通りの調べ物を終えると、無意識に今一番麗香が知りたい情報を探す。] ああ……。 まさかここにあるとは思って居なかったわ。 [それは聖杯戦争について記された書物だった。 静かにページを捲ってゆく。 大方は監視者に教会で聞いた話に近い事が書かれていた。 しかし……。 過去の戦争については余り聞かされていなかったのが、本を読むごとに明らかになった。 虚栄心―エゴイズム―欲望―虚飾―偽りの正義― 聖杯が生み出したのは、どう考えても世界を掴む栄光ではなく……殺戮と廃頽への前奏曲。そう見えて仕方がなかった。] | |
(599)2006/03/24 09:30:55 |