見習い看護婦 ニーナ −自宅・寝室− 【夢を見ていた。父さんが昔はなしてくれていた色んな事。 それは魔術がなんなのかわかっていなかった私にとって、頭を通り過ぎていった言葉。 父さんが成した魔術は、私の魔力では使えるものではなかったけど、刻印さえ残せば私の次の代には使えたかもしれないのに。 どうして残さなかったのか。 父さんは人を傷つけることを嫌っていた。今思えば、聖杯戦争のことだというようなことも言っていた気がする。 だからこそ刻印を残さなかったのではないのだろうか。 攻撃する手段。 それが刻印からは抜けている。父さんはもっと使えていたはずなのに。 おそらく、私を、私から後の代を戦いから遠ざけるために。 夢が切り替わる。 昨日のこと。そして先日のこと。傷つくマスターたち。消えていくサーヴァントたち。 みんな何かを願うために戦っていた。 私は、今何を一番願いたいのだろう。】 | |
(0)2006/03/30 12:52:17 |
雑貨屋 レベッカ [それは祖父からの電話だった。 麗香が呼び出したサーヴァントの名前をもう一度教えて欲しい、と言った祖父は、麗香の返事に対しこう言った。 ――お前に渡した家宝。あれは遠いご先祖が帝から賜った"龍珠"のようだ―― と。 古い書物に当たったのだろうか、それとも街の長老に聞いたのだろうか、祖父がどうやってそれを調べたのかは知らないが、いつも麗香が大切に持ち歩いていたものは、大陸からもたらされ朝廷が保持していた"龍珠"と呼ばれる宝を、手柄を立てた遠い先祖が賜ったものらしかった。 そんな大層なものであったら、まさに戦の渦中に巻き込まれている自分が持っているのはまずいんじゃないかと祖父に問うと、祖父は麗香の身の守りになるのならば持っていなさい、とだけ言って電話を切った。] | |
(3)2006/03/30 21:02:49 |
文学少女 セシリア −− 樹那大学 −−(回想) [まことは倒れたバーサーカーの元へ走った。 しかし、バーサーカーの身体は一瞬光ったかと思うと、消滅した。] 【う、うそ…だよね…】 [まことはバーサーカーが倒れたその場所に座り込み、呆然とした。] バーサーカー… [さっきまで確かにその場にいた者の名前を呟く。 そして視界に剣の先が入ってきた。] バーサーカーのマスター、だな…。 [見上げると、そこにはさっきまでバーサーカーと戦っていた相手がいた。] 【あ…】 [まことの頭の中には「己の死」というものがよぎっていた…が、] バーサーカーは倒れ、私のマスターは死んだ…。 [死という言葉に耳を疑った] え…死んだ…誰が… | |
(12)2006/03/30 23:46:23 |
墓守 ユージーン 巻き……込まれた……? サーヴァント同士の戦闘に……。 [それがどんな結末を迎えるか、容易に想像できる。 アーチャーのマスター……あの夜、青い騎士に抱かれて颯爽と飛び去った彼女。 つい先日まで生き生きとしていた彼女は、もう此の世の住人では無くなったという事実。 その事実に、魂が揺さぶられるような感覚を覚える。 己が踏み込んだ世界の異様さを、改めて認識させられた。 ――何かを得るために、何かが奪われる。 前者が人の命である事は、自身が一番望んでいた事だ。 が、それが後者と入れ替わった瞬間、己の願望が酷く歪なものに思えた。] そうか……彼女が……。 [もう一度、凛とした声の女性の顔を思い出し、目を閉じてそれだけ呟いた。] | |
(16)2006/03/31 00:07:57 |
文学少女 セシリア 【殺した…んだ…。あの人を…】 [まことの中でさっきバーサーカーが貫いた人が浮かぶ。] 【あの人がきっとこの人のマスター…そして殺してしまった。】 [まことはその罪悪感からか身体がカタカタッと震えはじめた。 そして目の前の人は話を続けた。] 提案しよう。 君が私のマスターとなれ。聖杯を手に入れるために。 【私が、この人の…マスターに? でも、この人はバーサーカーを…】 [まことは突然の提案に驚いた] そしてその聖杯を使って…彼女の願いをかなえる。 君は君で願いを適えればいいだろう。 【聖杯を使って…願い…】 [まことはこの戦いに参加した理由を思い出した] 私の願い… [最愛の父が原因不明の病を治すため、それがまことのこの戦いの参加理由だった。しかし…] | |
(20)2006/03/31 00:25:17 |
見習い看護婦 ニーナ …あの理性なくしてたのを考えると、昨日いなくなったのはバーサーカーよね。相手は…剣を持ってたからセイバー……ううん、セイバーはその前にやられたあの人、じゃあ…該当するクラスって言うと。 … 当たらないかもしれない考えより、ランサーに聞いたほうが早いのか。 遠目でもわかるくらい、血が流れてた。 それに、あの話。再契約がどうとか言ってたっけ。 てことは。 バーサーカーだけでなく、昨日あそこであの人のマスターも亡くなったんだ。 … 私も、ああなっちゃうのかな。こればっかりはランサーに頼るしかないけど。 でもランサーがどれだけ強いのか、とか私知らないんだ。 | |
(31)2006/03/31 00:46:34 |
文学少女 セシリア −− 樹那大学 −− [昨夜と違い、まことは一人で門をくぐる。 そしてペンダントを握り、約束したその場所に向かって走った。] 【彼はマスターを失った。そしてそのままだと自分自身も消えてしまうって言ってた。 私もバーサーカーを…失った。でも私は消えたりはしない。 それに彼はマスターが叶えたかった願いを叶えると言ってた。 私にだって譲れない願いがある。お父さんの病気を治したい。】 [約束の場所につくと彼は既にそこにいた。] 待たせてしまってごめんなさい。 昨日、あなたのだした提案… [まことの中で既に答えは出ていた。] 【お父さん、私頑張るからね…】 受けたいと思います。 どうしたら貴方のマスターになれるのか、教えてください。 | |
(37)2006/03/31 01:00:38 |
見習い看護婦 ニーナ [ランサーを召還した時のことを思い出す。} 【ランサーをはじめてみたとき、少しだけがっかりした。 英霊に年齢なんて関係ない。そうは思っても見た目から受ける先入観って大事だもの。 今は、ランサーでよかったって思える。 でもそれは強さとか関係なくて。 明かりの消えていた家の中で明かりを新品に取り替えたような。 寿命の短い電灯だろうけど。 でも、自分が死んでしまうことも、ランサーを亡くすことも、今は考えられない。 少しでも有利に動くために、情報は必要よね。 ランサーがどれだけ強いか、とかそんなのは後回しでもかまわない。知ったところで何ができるわけでもないし。】 よし、ご飯食べに行くついでに大学にもいってみようかな。あの二人が再契約するなら、まだ残るってこと。いつか戦うかもしれないわけだもの。 | |
(38)2006/03/31 01:03:17 |
見習い看護婦 ニーナ ランサーのことを信じてないわけじゃないよ? ただ、戦いの現場を見てちょっと意識改革をね。 ……ねえ、サーヴァントって今は肉体あるんだし怪我をすれば痛いのよね。 死んでも肉体がなくなってしまうだけで、また次に呼び出されるのを待つんだって父さんの手帳には書いてあった。 サーヴァントが亡くなっても気にするなって事なんだろうけど、でも、おんなじようにランサーが、とか思ったらやっぱりそれは避けたいし。 聖杯戦争はサーヴァントが一人になるまで続く。 わかってるけど、頭ではちゃんと理解してるつもりだけど、実際目にするとやっぱり色々考えちゃう。 いつか、明日はひょっとして、ひょっとしたら今すでに、とか。 そういう不安が、なくならないの。 | |
(92)2006/03/31 02:47:54 |
雑貨屋 レベッカ −中央ブロック 駅前− [流石に日中の駅前は人通りが多く、行き交う人々は早足で通り過ぎてゆく。] 【なるほどね。ここならば大量虐殺の趣味でもない限り、お互いに危ない目に合う事もないわ。 しかも、みな慌しくて、私たちの会話なんかに耳も止めないでしょうしね。】 [指定された場所に赴いて、ぼんやりと噴水の水飛沫が光を受けてキラキラと輝く……平和そのものの風景を眺めていた。] 【それにしても、思わぬ所で"マスター"という存在と会話をする機会が得られるなんて。 マスターと退治する時は、殺しあう時だけなのかと思ってた。】 [反芻するのはアーチャーのマスターから攻撃を食らい、土手を転がり落ちた場面。相手マスターは常に好戦的なのだと強烈に感じた瞬間だった。] | |
(96)2006/03/31 11:35:31 |
雑貨屋 レベッカ [蘇る記憶……衝撃に傾く列車……不安、恐怖、そして……。] 貴方は……。 【一人じゃないじゃない。こうして、貴方に触れて微笑むのは、過去に亡くした加奈ちゃんだけじゃないじゃない。生きていれば必ず未来があって出逢いがある!】 [そう思った。だけどその言葉は喉元で止まる。そんな無責任な事を言うほど私はこの人を知らないし、立場は敵対するマスター……。] そんな。 私の方こそたったひと時だったけど、あの列車でのひと時は忘れられない。 加奈ちゃんは本当に、素敵な子だったわ。 ……ねえ、一緒に加奈ちゃんの冥福を……本当の幸せを祈ってあげましょうよ。 [麗香は、そう言うと大祐の手を握ったまま目を閉じた。 暫し黙祷を捧げると、一度ぎゅっとその手を強く握り、そっと、手を離した。] | |
(117)2006/03/31 16:11:53 |
双子 リック [この世に這い出てきた時には、俺はもう盗賊だった。 …いや、本当はそうではなかったかもしれないけど。 実際、俺が覚えている一番古い記憶は、木の上に同い年くらいの仲間と一緒に座って大人の男の仲間達が商人から通行料を巻き上げているのを見物している時だ。…多分、だけど。 だから、俺にとっては俺は生まれた時から盗賊だったし、例え実際にはそうではなかったとしても、それは俺には全く関係のない事だった。 俺は、当たり前に盗賊だった。 死ぬまでそうであると思われた。 だって、そうだろう? 生まれた時に人間であるなら、死ぬ時に人間である事を疑っても仕方がないじゃないか。 人間としていかに生きるかを考える方が建設的だ。] | |
(131)2006/04/01 00:29:59 |
見習い看護婦 ニーナ −自宅・寝室− [束紗は起きあがって部屋を見回した。なんでもない、いつもの部屋だ。] あー。そっか。 昨日は結局寝ちゃったんだ。 ランサーが眠ってる間に外にでも出てみようかな。一人で監理者の所に行ってみるっていうのでもいいし。 病院にも行ってみたいし。 【…ランサーはわかってない。 そりゃ話したくなければ話さなくてもいいって言ったけど! 不安になるのはそう言う事じゃなくて。 私がちゃんとマスターとして信頼されてるかって言うのが不安なの。大した魔術が使えるわけでもないし。魔力だって少ないし。 ランサー、私ちゃんとマスターとしてやってけてるのかな……】 | |
(148)2006/04/01 09:51:06 |
雑貨屋 レベッカ −西ブロック 公園− [アーチャーとの戦いの日から暫くの長期休暇届を出していた。戦闘での消耗は酷く日常生活を普通に平行して行うことは、到底無理だと思われたからだった。 体力が回復し、平日の昼間に仕事もなくぼんやりと過ごしてみると如何にそれまでの日常が、繰り返しに忙殺されていたかが良くわかる。 公園では、桜の下で花見をしている家族連れの姿が目に付く。] 【そう言えば……まだちっちゃい頃、私だけ両親が居ないことでぐずってお爺ちゃんを良く困らせたっけ。】 [楽しそうな家族連れが花見をしている横を、良く祖父に手を引かれて通った。麗香は春が嫌いだった。桜が嫌いだった。楽しそうな家族連れなんか皆死んでしまえと思った。] ……みんなしんじゃえ、か。 [そう言って泣き喚いた麗香の頭を寂しそうにずっと撫で続けていた祖父の顔が思い浮かぶ。] | |
(149)2006/04/01 10:56:35 |
雑貨屋 レベッカ ……加奈ちゃん。そうよね。 [脳裏から離れない加奈の悲鳴……一瞬表情を曇らせたが、続く言葉にゆっくりと首を振った。] 私は祖父母に可愛がられて育ったわ。 今から思えば本当に大切にされた。お爺ちゃんは未だに私の事が心配でしょうがないみたいだし。 [くす、と笑みが零れた。ふと、思い出したように大祐に向き直る。] ねえ、そう言えば大祐さんはもう、他のサーヴァントとの戦闘はした? ……誰かを倒した? 私は弓を持つサーヴァントと対峙したんだけど、途中で気を失っちゃって結末を知らないの。 ……私のサーヴァントは余り物を語らないから。 [敵対するマスターだと頭では判っていた。どうしてこんな話を自分から切り出したのか、自分でも不思議な心地がしていた。] | |
(155)2006/04/01 11:52:24 |
雑貨屋 レベッカ [血縁……その言葉を口にした大祐の声音に何かを感じ取った。 それほどまでに妹の蘇生を願う意味……そこに思いを至らしめずには居られなかった。] セイバーはもう居ないのね。 ……ってことは、大祐さんのサーヴァントは、ライダーかアサシンって言うこと? って、死んだ?彼女が? [自分に魔術を放った女性……恐怖を始めて感じた。死ぬかと思った。あの女性が死んでしまった。脳裏に対峙した時の光景が思い浮かんだ。 改めて聖杯戦争の、死の、戦いの、恐ろしさに手が震える。] ……貴方、色々教えてくれるのね? 私は敵対するマスターなのに。……貴方のサーヴァントに叱られちゃうわよ? [言葉とは裏腹に、何故か嬉しかった。 聞いた情報の価値よりも、自分と似た立場の人間が居ることが、何よりも、自分が孤独では無かったのだと。] | |
(157)2006/04/01 12:09:29 |
雑貨屋 レベッカ ええ、私は自分で呼んだわ。正確に言えば私は"青龍"を呼ぼうとしたの。しかも好奇心からの戯れでね。 [信じられないでしょ、と肩をすくめて見せ唖然とした顔の大祐に対し、姿勢を正した。] ええ、最初はただ運命に流されるままに居たわ。だから戦いなんてしたいとも思わなかった。どうしてこうなったのかのかと思ってたわ。 だけど。 私はこの戦争が二度と起こらないよう……聖杯に望みたいの。私から両親を奪ったこの、憎い聖杯戦争なんか二度と起こらないように。一人の欲望のために多くが犠牲になるようなこんな現象なんか、今すぐ叩き潰してやりたいの。 そんな事果たして望めるのかどうか判らない。でも私は巻き込まれた。なのに黙って指を咥えて居るなんて出来ないわ! | |
(162)2006/04/01 12:43:41 |
吟遊詩人 コーネリアス [麗香の言葉に、苦笑を浮かべた。] 死んだ後の記憶はないからな、それが実際に恐ろしいものかは吾も知らぬ。 吾が何度、サーヴァントとして死んだのか、さもなければ死ぬことになっているのか、それは解らぬことだ。 それがどんな死なのかも。 憶えている死は……、そうだな。 余りにも馬鹿馬鹿しかった。 強力な敵国に滅ぼされかねぬ時に、自殺を強いられるなど。 それまで戦を繰り返し、どれだけ犠牲を出してきたかは解っていたが。 国を守るために戦っているのだと思っていた。 だが、民を死なせぬことが正しいなら、素直に負けていれば良かったのだ。 死ぬのは吾ら一族だけで済んだだろうさ。 もし、それ以外に護らねばならぬ意地があったなら。 暗愚と解っている皇帝など殺して、位を簒奪してでも勝てる戦いが出来る環境を作らねばならなかった。 吾は、そのどちらも選べなかったのだ。 | |
(172)2006/04/01 17:15:05 |