見習い看護婦 ニーナ −樹那病院− [病室へと入る。既に担当の医師と看護師が状態を見ているところだった。会釈をして母の傍に寄る。顔色は今までと変わらず。] 母さん…。 [一通りの処置が終わり、医師が束紗を見る。] あの、先生、母の具合は……。 [電話では意識の覚醒があった、といわれた。とはいえ目を開けたわけではない。 医師の言葉を静かに聞いていた。 今までなかった反応が出るようになったこと、時々腕の筋肉に緊張のあとが見られること、このまま行けば目覚めるかもしれないことを聞かされる。 ただ、意識が戻ったところで退院が出来るわけではないと医師は言った。 意識不明は二次的症状に過ぎないのだと。] | |
(5)2006/04/04 22:31:42 |
見習い看護婦 ニーナ …でも。意識が戻れば、会話が出来るようになります。いつ目覚めるかわからない今より、もっと希望が持てるようになります。 あの、…母は、快方に向かってるんでしょうか? [医師は言葉を濁す。原因がわからない以上、どうすることも出来ない。出る症状の一つ一つは正しい処置をすることにより直接生命に関ってくるものではない。 いつ治るのかも希望的期日も医師の口からは聞かれなかった。 医師と看護師が引き上げたあと、束紗は母の手を握る。] 母さん。 早く目を覚まさないと、ランサーを母さんに会わせてあげる事が出来ないじゃない。 一人娘のこと忘れちゃったの? ……でも。ごめんね。もう、行かなきゃ。多分、次が最後の戦いだから。また、ここに来られるように、ランサーとがんばるから。 だから、戻ってきたときには目を覚ましてほしいな。 | |
(6)2006/04/04 22:37:22 |
見習い看護婦 ニーナ [アサシンを斬る。そう言われて何があったのかと思ったが、昨日の様子から大体の見当をつけた。] ……それはそうですけど。でも。 普通の人が、サーヴァント相手に勝てるとは思いません。 なんて言っても、実際にやりあったわけじゃないからわからないですけど。 私の叶えたいこと、ですか? [束紗は少しだけ考えて話し出す。] ……病気の、母がいるんです。意識不明で、もう何ヶ月か入院してます。原因不明、いつ目覚めるのか、いつ治るのかもわからなくて。 だから、母の病気を治したかった。 だけど、きっと母は誰かを傷つけて自分が助けられたんだってわかったら、私を許してはくれないかもしれない。 …私も。誰かを傷つけてまで叶えたくはない。 | |
(13)2006/04/04 23:25:48 |