人狼審問

（シャーロットとトビーにうなづきながら）
エレノアさんは、石盤を使うことに賛成なのかな……。
村長さんの奥さんだから、と言えば当たり前なのだけど。

エレノアさんが人狼だと思うのは、赤い雀についてずっと言っているカーミラ？　それとも、あのキャロルって人？

お嬢様、そこにいらしたのですか。

そういえば・・・、先日、ヒューバートさん邸から、薬物が、何者のかに手によって盗まれたことがあったらしいですね。
きっと、それと呪術に関連があるように思われます。
ただ・・・、医学の知識はさほど持ち合せていないのですが、即効性なはずですよね。

・・・消化を遅らせるように何か操作すれば、デボラさんの死については説明できるのではないか、と、これが現時点での私の考えです。

ローズマリーさん、ありがとうございます。ところで…

【村長の娘 シャーロットは、酒場の看板娘 ローズマリーからグラスを受け取ると、少し声のトーンを落として尋ねた。】

あの、グレンさんってどんな方なんですか? 他の村の方はみんな顔見知りですけど、あの方だけはあまり… だから不安なんです。それで、ローズマリーさんなら御存知かなと思って。

キャロル……。

あいつ、今夜もシャーロットの名前を刻むようならタダじゃ済まさないよ。……あぁ。殺してやるとも。

（あの茄子みたいな隻眼……。一体どこへいくつもり？　この先にはアーノルドの屋敷しかないのに）

「何処へ行こうというの、隻眼さん？」

【キャロルはユージーンに声をかけた】

な、なんだ？
ぼ、僕に用か？

ええ、今日あたくしが投票する先はカミーラさんではないわ。
キャロルさんよ。…音が似ていたせいね。

…キャロルさんも理由もなしに投票されたら、決していい気分はしないでしょう。
だからせめて集会場に来ている皆さんだけにでも、理由を告げておこうと思ったの。

判っておいででしょうけれど、皆さんもよく考えて刻んで頂戴。
ラッセルさんとアーノルド、他の皆さんも遅いのね。心配だわ。
…明日の命も判らぬあたくしたちですけれど、せめて朝日を見られることを祈るわ。

おやすみなさい。

…アーノルドはいないのか。
いくつか聞きたいことがあったんだが。
（まぁ、いい…ゆっくり待つとするか。）

【ヒューバートは奥の席に座ると、持ってきた本をテーブルの上に無造作に置いた。簡単なブックカバーがかけられている。】

ふう……

村の過去を調べてきた。
……どうにもわからない事が多すぎる。

大体、何故、皆の記憶が同時期に揃って抜け落ちているんだ？
集団催眠か？　そんなことが可能だというのか？

どうして皆、促されるままに石版に他人の名前を刻んでしまったのかについて。
これは簡単に説明ができそうですね。
集団心理、というものですね。
誰かが始めれば、自分もやって見よう、と。
むしろ参加しなくてはならないように思えてくる。見えない圧迫。

誰か一人がコーヒーを飲み出せば、それほど飲みたくなかったはずでも、次第に飲みたくなってくる。
それと一緒なのでしょうね。

[ロッテの言葉に反応して、ロッテの横に腰掛小声で話す]

自分の考えを持ってる人…。下手な嘘をつく人じゃないわ。
だから私は、信頼を置いてる。

何より、この仕事は信頼関係がないとだめでしょう？
過去に付いて聞きたいのなら…そうね、直接尋ねた方が…。
私の口から語れることは、限られてるからね。

[ロッテに微笑むとグラスの酒をゆっくり飲み込み、ナサニエルに視線を向け声を戻した]

ナッシュは、呪いはないと思っているの？

この先にはあたしの屋敷しかないわよ。元アーノルドの屋敷。不法侵入は許さないわよ。
それからブツブツとあたしを殺すとか言ってるけど……。アンタはシャーロットが人狼だったらどうするの？　それも愛だから殺されても構わないってワケ？　それともアンタが人狼？
あーっはははは！
あたしは今夜もあの地味な子の名前を石版に刻むわよ。

…エレノアは、また随分と饒舌になったもんだな。

（ある意味…前よりも気が触れたようにも見える…な。）

きちんと医学知識のある人がいたら、また違うのにね、ナサニエルさん。
医学生と言えばラッセルだけど、ラッセルは、あれ以上の事は知らないのかな……。（赤い雀としてのラッセルはともかく）
……ラッセル、煙草の本数が異様に増えて、口元が引きつってたけど……大丈夫ななのかしら？


今夜も、皆、なんだかんだ言って石盤に名前を刻んでしまう気がして怖いの…。
殺し合いを余儀なくされている現状。でも、なにもない人の名前を書くのは避けなきゃ……。それが呪いであれ、計画殺人であれ、人が死ぬ可能性が高いのだから。

人狼って、何か……昼間でもわかる特徴のようなものは本当にないの？

トビーは、トビーは何かを思い出しそうなのかしら……？

…
もう駄目…こんな重圧、あたくしには耐えられないわ…

……
この悪夢はいつ…終わる…の

ヒュー、その本は？
そういえばメモは見たけれど…人狼は複数いるというの？

シャーロットが人狼だなんてことが、あるはずがない。あぁ。あるはずがないとも。僕は、いつもシャーロットを見ているんだ。人狼だなんて、ことが、あるはずが、ない！

キャロル……。シャーロットの名前を刻むなら、僕はおまえの名前を刻む。

ん？ああ…俺も専門家じゃないからハッキリした事は言えんが、あきらかに違う形の噛み跡が複数あったからな。

この本…？なんだ、興味があるのか？

ローズ、喉がかわいてそうだね……。
ジュースを飲むといいかも。

・・・え、ローズくん？
呪い、ですか。・・・あるでしょうね。

まあほとんどは身勝手な思い込みでしょう。

仮に私がローズくんに不幸になるという呪いをなんらかの方法でかけたとしますよね。
次の日、ローズくんがジュースの入った盆をひっくり返すところを目撃したとします。
あるいはドアを開けた拍子にぶつかってしまったとか。
それを自分がかけた呪いの効果だと勘違いして悦に入る。

実際は、そういう偶然のことを無理やり結び付けているだけですよ。・・・きっと。

ヒュー…私、どうしてもまだ人狼や呪いを…信じられないのよ。
だから、どんな些細な事でも知りたいわ。

うふふ。勝手になさいな。
この石版を使うと決めた時から、あたしみたいな余所者には不利な状態なんだから。
どうせあたしは生き残れないでしょうよ。

全くこの地の血縁でもないあたしの名前を刻むと良いわ、ユージーン。人狼かもしれないシャーロットとやらを守る為にね。

ありがとう、ヘンリエッタ。
あなたも…このお湯割じゃきついかな。
ロッテの入れてくれた紅茶が、そこにあるから飲んで温まると良いわ。

ヒューバート。あたしも、その本のことが知りたいわよ？
あんたのことなら、何でもね？
うふふっ。

で、その本……一体何なんだい？

うう、またこの悪夢が始まるのか。
くそっ、体調が悪い。こんな時に限って。
頭が割れるようだ。

ナッシュは、呪いは心理的な事で、事実としては無いと…。

[ナッシュの複雑そうな表情を見つめて言葉を切った]

ふん……。
キャロル、どうせお前は死ぬよ。あぁ。お前の言うとおりにね。
死んだら、僕が埋めてやるさ。……その前に、どうされても知らないがね。ひひひひひ。

ふむ…そんなご大層な物ではないんだがな。
まぁ、見たければどうぞ。１５年程前のアルバムだよ。

…おっと、こっちはお嬢様へのお土産だった。
ヘンリエッタお嬢様、つまらない物ですが如何ですかな？

【ヒューバートは、一枚の写真を抜き取るとヘンリエッタの方へ差し出した。】

……ふう。もうみんな集まってるみたいだな。

【キャロルは書斎に入ると、金庫の鍵を確認した。
　窓から月を見上げる。

　今日もまた人が死ぬの……？

　震えながら瞳を閉じた。ユージーンに言った言葉を思い出す。――そう、あたしは余所者。あの狂った村人の手で殺される可能性が高い。
　怖い、怖い、怖い――。
　だけど、決して人に怯えているのを見透かされるものか。

　キャロルはキッと天井を見上げると集会場へ行こうと決意した】

…まだお若い頃のご両親の写真ですよ。
倉庫の奥にしまい込んでいたのを思い出しましてね。

【アーノルドは、ウイスキーのビンを片手に集会場を訪れた】

ふははははは。こんばんわ。

[ちらりと目でラッセルに挨拶するとすぐに視線をヒューに戻した]

…15年前の…写真…？

…随分と酔っているようだな、アーノルド。

……お父様とお母様の写真。
良くわからないけど、ヒューバートさんありがとう。

でも、どういう意味が？

アーノルド……。どこだ？

まさか、入れ違いになったか……？

（石版の謎も、人狼についても、説明をつけられるはずなんだ・・・。
どんな出来事にだって、自分の利益に結びつくためならば真実を作り上げる、それは私の得意分野ではないのか・・・。）

さて、そろそろ、ふふ、ここにまた誰かの名を刻みたくなるのでしょうか、ね・・・。誰か一人が始めれば、吸い寄せられるように・・・。ははっ。

…オルゴールの中にお入れなさい。
きっとお２人が、あなたを守ってくれますよ。

【ヒューバートはヘンリエッタに微笑んだ。】

くそっ、結局一日かけても俺の中で何も進展がない・・・
今日も誰かを呪い殺す事になるのか・・・

どうにか人狼を見極める方法はないのか？

こんばんは。狂った村のみなさん。

やあキャロ、今日もきれいだね。
だが、いつもより眉があがっているようだぜ。
せっかくの美人が台無しじゃないか。

15年前の、アルバム……？

15年前……

……みんな、呪いを信じてるのか。
自分が票を最も集めそうだと知ったデボラが、恐怖によって、もともと老齢でポンコツだった心臓がイカレた。そんな解釈が妥当だと思う。
思う、けど……。

[震える手でそっとアルバムを受け取った]

ありがとう、ヒュー。

[そっとアルバムを捲りかけ…指が震えた所でキャロルに気付き顔を上げた]

…おはよう、キャロル。

15年前ですか。まだお嬢様は生まれる前なのでしょう。
ヘンリエッタくんが今のようにかわいらしく、聡明に育っているかがよくわかりますね。

お父さんとお母さんも、とても仲がよさそうに写っています。
きっとこれが、お二人の本当の気持ちなのでしょうね。

ハァイ、ギル、ローズ。
あなたたち二人を見るとほっとするわね。ふふ。

[興味深そうに見ているカミーラに、アルバムを手渡した]

…先に見ていいわ…。

ふはははは、ヒューバート。そりゃあ酔っているさ。怖いんだよ。またこの手で人を殺すのが、怖いんだよ。

書斎で調べものをしても手がかりは無い。屋敷を出て、何度も村の外へ出ようとしたが、それも出来ない。酒でも飲んで酔っ払わないとやってられん。

今日は誰を殺す？
……今日は誰の名前を刻めばいいのだ。

【アーノルドは集会場を見渡した】

誰が人狼なのだ……。

へっ、少し表情が明るくなったな。
やっぱり君は綺麗だ。俺が保証するよ。

悩みなら乗るぜ？
お互い流れ者どうしだしな。

・・・ラッセルくん。さすがです。

冷静に考えて、
「デボラさんは、老衰により、死にいたった。」
病名をつけるならば心臓発作。そういうことですね。

そう考えるのが、普通だ。
私は、こうなるように力添えなんて、・・・してない、の・・・です・・・・

誰が人狼だ……？
この中にいるはずなんだ。殺して、魔導書を取り戻さなければ……。キャロル。あの女が人狼だったら……。

ヘンリエッタさんのご両親ですね。
とっても幸せそうです。
･･･あれ？
ヒューバートさん。この写真はどこで手に入れたんですか？

（倉庫にて）
さて、これをどう皆に告げたものか…
今日受けとったグラスはどう出るか…

ギル……。

【涙ぐんだ瞳を隠すように俯きながら】

お願いよ、あまり優しくしないで。

[キャロルに、お湯割を薦めると青ざめた顔で微笑んだ]

ありがとう、ローズ。
……、綺麗な顔が台無しよ。もっとも、こんな事になったら仕方ないと思うけれど。

【ローズからグラスを受け取ると悲しそうに微笑んだ】

・・・・・・一人で抱え込むな。
お互い、生き残るんだろ？

少しでもいい、俺を頼ってくれ、キャロル。

はは、キャロルくん。私はあなたの目には映ってないのでしょうか。

ならばお礼にいいことを教えてあげましょう。
あなたが自慢げに身に着けているその宝石は、もともと「聖獣の牙」と呼ばれているものでした。

真実を映し出す、という言い伝えがあるのも、それを手に入れたものが聖獣の生贄となるという・・・、手に入れたものに次々と不幸が訪れるという事実ゆえ生まれたのです。

まあ、気になさることはありませんよ。
そのまま、肌身離さず大事になさればいいでしょう。

・・・どうせ、単なる偶然に過ぎないのでしょうし、ね。

【村長の娘 シャーロットは、お湯割りをちびちび飲んでいる。】

ふぅ… お酒… なんだか不思議な気分… お酒ってどうやって作るのかな… 一度グレンさんに訊いてみようかな…

写真。
私の知ってる２人からは想像もつかない笑顔だわ。
最後にみた…あの２人を除いて。

お父様とお母様は、いわば身分違いの政略結婚……。まったく価値観があわなくて、お互いに軽蔑しあっているみたいだったの。ほんと言うと、罵り合うことも多かった。ってみんな知ってるわね……。お父様はお仕事上、色んな女の人と会うみたいだし。

……オルゴールの底に、入れておくわね。


そういえば、このオルゴールの音楽。私と一緒でなつかしいって言ってくれた。トビー。トビーは聞き覚えがあるって言ってたよね……。聞いたら……、何かを思い出したりしない…かな。
ん、写真の事なにか知ってるの？

ありがとう、ギル……。

【少しだけ目を合わせて微笑んだ】

そうね、あたしが太陽が昇っても生きている事が出来たら少しだけ甘えてみようかな……。

【おどけた調子でそういうと、ローズから貰ったグラスに口をつけた】

ふふ…俺が撮った写真だよ、トビー。
なかなか上手く撮れているだろう？

大枚はたいてやっと「テッサー」を手に入れて、嬉しくてしょうがなくてな。やたらとあちこちを撮ってまわったっけ…

[ヒューバートに微笑み、注いでくれた酒にゆっくり口付けた]

形はともかく明日真実を告げることにして、床につこう。
集会所の様子も気になるが。

アーノルド。
誰の名前を刻む？
シャーロットはお前の言葉に従うはずだ……。

聞き出さなければ……。

……思い出話か。
みんな現実逃避に余念がないみたいだね。
また誰か死ぬかもしれないってのにさ。

・・・分かった。
何でも言う事を聞くよ、キャロル。

キャロルさん、ギルバートさん。こんばんは。
僕も･･･狂ってしまっているんでしょうか。
今、この村に居る事が怖いけれど、逃げ場のない･･･そんな感じです･･･。

うふふ。
見えているわよ、ナサニエル。
あたしはこの宝石の他の言い伝えを知ってるわ。聞きたかったら今度教えてあげるわ。

この写真。ヘンリエッタの両親……これは……ホームパーティー？　見覚えのある人たちが何人か。

……写真の奥のほうにママが居る。見えにくいけど、これはママだ。ママの事は後姿でも分かる。
ママ。綺麗だった。優しかった。大好きだった。ママ。ママ。

そして、ママの隣に居るのは……小さくて見えにくいけど……あの男……あの男だ……

そ、村長さん。
今日は誰の名前を刻むんでしょうか……。
よければ、今日もお手伝いしますよ。……くひひ。

明日もまた、俺とこうやって酒を飲んでくれ、キャロ。

確かに、すごく上手に撮れてますね。
ひょっとして、プロのカメラマンになれたんじゃないですか？

[ちらりとカミーラに視線を向けると、すぐにグラスに視線を戻した]

【村長の娘 シャーロットは、牧童 トビーの横に座りなおした。】

昔の写真… 色々な人が写ってますわね。15年前… 私が4歳の頃… みんな、幸せそう…

はは、キャロルさんは、余裕の笑顔ですか。


（・・・さて、今日は誰の名を刻むことになるのか・・・。

はは、もちろん、キャロルくんの名は、彫りませんよ。
あなたのような美しい方は、アーヴァインくんやルーサーさんのように獣に食い刻まれるほうがきっとお似合いです・・・。）

カミーラ、さっきから一体何の騒ぎだ？
俺にも教えてくれないか？

[カミーラからアルバムを受け取ると強張った手でアルバムを開く]

……はぁ……。

[小さなため息を吐きながらページを捲り…手を止めた]

……だわ…。

[古ぼけた写真の中に、彼の姿を見つけ息を止める]

………。

[大粒の涙が零れ、慌てて顔を隠しアルバムを閉じ俯いた]

【村長の娘 シャーロットは、独り言を言った。】

お父さま、今日は誰の名前を書くのかしら… ううん、今日からは、私が、自分の意思で選ばなきゃ。少しでも怪しい人を…

そ、村長さん。
寝ているんですか……？

はは、どうしたんだ。
そんなに眉をつり・・・・・・

ぐぅぅぅぅぅぅっ！！

（今日、私が刻むことになりそうなのは、あの子供です・・・。

あの若さで、どうしても想い出せない、思い返せない空白の期間があるのは、至極不可解です・・・。

うわの空な様子も、隠し事をしているように感じられてなりません・・・。

人に知られては困ることがある、それゆえの見せ掛けなのではないか、と疑っています・・・。）

さて…アーノルドに話があったんだが…
この様子では、無理そうだな。

…また明日にでも屋敷を訪ねるとするか。

[興味深そうに見てるロッテに、俯いたままアルバムを手渡した]

ふう。ユージーン、私は寝ているわけではない。

何でもないよ。昔の写真が出てきただけだ。

〔ローズマリーの頭に手を乗せ、軽く撫でる〕

マリー……

そ、村長さん。
あなたがしっかりしてくれないと……。

ただ、呪殺の対象を決めかねているだけだ……。

……ギルバート！？

どうしたんだ？　大丈夫か？

ぐうぅぅぅぅぅぅぅっっっっっ！！！！！！！！！

…ローズ、そのアルバムはしばらく貸しておこう。
もう用も済んだし、今日はこれで失礼するよ。

…そうそう、どうせ明日には分かるだろうから言っておくが、俺は今夜はグレンの名前を書くことにするよ。

じゃあな、お休み…

あ、ヘンリエッタさん。
この曲は、母さんが聞かせてくれた曲だったみたいです。少しづつ･･･思い出してきてるんですが･･･。

ギルバート！？

どうしたんだ、しっかりしなよ！！

・・・・・・頼むカミーラ、俺を・・・・・・

部屋まで・・・連れて行って・・・くれないか・・・

ああ、誰が人狼なのだ！　キャロル……キャロルは誰を疑っているのだ？

[顔をあげ、カミーラを見つめ、赤い目で作り笑いを浮かべる]

…ありがとう…カミーラ、大丈夫よ。
それより…ギルのほうが…様子が変じゃない…？

そ、村長さん。キャロルはもういません……。

ギルバート……

分かった。

ああ、キャロルはもう居ないのか……。私としたことが、いつまであの女に頼っているのだ！

くそっ。

私は……私の名を刻んだものを呪う事にする……。

大人になると、皆思い出が気になるのね……。
記憶って何なのかしら……。

それにしても、村長さんってこの石盤がすごく気に入ってるみたいね……。どうしようもない自体とは言え…なんだか。

……マリー。悪いが暫く外すよ。ギルバートを部屋に連れて行く。

あんたは大丈夫だ。どれだけ泣いても綺麗だからね。　
いつものジュースでも飲んでな。

！？
ギルバートさん？
大丈夫ですか？
カミーラさん。ギルバートさんを運ぶのを手伝います。

そ、村長さん。
それでは、あのナマイキなガキ……。トビーの名前を刻んでやったらどうです？

僕は見たんです。
牧師の死体から子供の影が逃げてゆくのを……。

[ヒューバートの後姿を見送りながら、体の動きが止まる]

ヒュー…グレンを…疑っているの…？

[誰にも聞えないほど小さな声で呟くと集会場を後にした]

お父さま、私…

ふん。ユージーン、あんな子供が人狼のわけがあるまい……。いや、そう信じたい。私はグレンの名を刻もう。私が居ない間に、私の悪評を広めていたらしい……。奴は敵だ……。

ぐぅぅぅぅぅっっっっっ！！！！！！

そ、そうですか……。
グレン……。

では、僕もその名前を刻みます。

（……やれやれ、急に古いアルバムを持ち出してご機嫌とってみたり、心配のふりに、挙げ句は発作まで起こして女を懐柔か。
どいつもこいつも仲間作りに余念がないみたいだな。嫌な光景だよ。つくづく）

ん？　どうしたのかね、ロッテ？

【ベッドに座り、空を見上げた。

　今日は誰が殺されるのかしら……？
　
　窓を開けると冷たい風が流れ込んできた。

　あたしはいつまで生きて、いつまでこの石版に名前を刻むのだろう……？
　脳裏にシャーロットの面影を浮かべ、慌てて消した。あたし一人が書いたって死ぬ訳じゃないわ。
　自分を勇気付けると名前を刻み込んだ】

[放心したまま、1人湖まであるくと水辺に腰掛けた]

…グレンが…？そんな…それは絶対にないわ…。

[ポケットから石を取り出すと月明かりに照らすように持ち上げた]

…こんな物で、人の命を奪って良いと…？
…なんでこんな事になってしまったの…？

…私は……誰の名前も…刻めない…。

[涙を浮かべ、恨みのこもった瞳で石を睨みながら力強く握り締めた]

【ギルバートを連れて行くのを手伝いつつ】
（さっき・・・僕が出るとき、またとても嫌な視線が･･･。やっぱり、僕を疑っている人間の視線なんだろうか？でも･･･僕は人狼なんかじゃない･･･。でも、それを証明することは本当にできないんだろうか？
何か････方法がありそうな気がするんだけど・・・。）

〔ギルバートをベッドに寝かせながら〕
トビー。ありがとう。

……そうだ。あんたが忘れてしまった事について、何か思い出したことはあったかい？

・・・・・・

ここはどこだ、カミーラ！？

いえ… お母さまはキャロルさんの名前を書くと仰ってましたわ。そのことだけ…お伝えしようかなって。

グレン……。
密造酒で儲けている、ゴミみたいな男だ。
人狼かどうかはどうでもいい。
あんなヤツは、地上から消えるべきだ。あぁ。そうともさ。

〔ベッドに横たわるギルバートの髪を優しく撫でながら〕

ギルバート。ギルバート。……大丈夫か？

宿の、あたしの部屋だよ？

大丈夫か？　何か、して欲しい事は無い？

・・・　

・・・・・・なあ、俺は今まで何をしていた？

昨日の昼間は？

夜の事は・・・・・・　かろうじて覚えているが。

【ヒューバートは集会所からの帰り道、ふと夜空を見上げた…月が怪しく輝いている。】

…まったく薄気味の悪い月だ。
そして夜になると一層濃くなるこの霧も…何もかも狂ってやがる！

[まだ新しいグラスのオレンジジュースを飲み干した。]（人狼なんて、いるはずがないのです。
噛み千切られたような痕・・・いえ、切り刻まれたような痕跡は銃殺によることをカモフラージュするため、もしくは薬殺によることを悟られないようにするため、でしょう・・・。

・・・そうに、決まっています。
非力な子供でも、女性でも、十分可能だ・・・。）

ヒューバート、キャロル……。
あいつらは後回しだ。
……そう。さんざん怯えてから死ぬといい。

僕をバカにしたバツだよ。これは。……くふふふ。

そうだ……グレンは私の名を刻んだ。私が奴の名を刻んでも良かろう。奴は私を殺そうとした。……そう。私が奴を殺すのは正当防衛ではないか。なにも後ろめたい事は無い。

ふははははは。

【アーノルドは、集会場を出て、一人グレンの名を欠片に刻んだ】

そうだ、日記だ！！

日記に今までの行動が全て書いてあるはずだ！！

・・・俺の日記はどこだ！？

なあ、教えてくれカミーラ！！

俺はまた、忘れてしまったのか！？

カミーラさん・・・。はい、少しだけ･･･。
２年前、母さんは今回の事件と同じように人狼の騒ぎに巻き込まれて、死んだようなんです。それも、デボラさんのように、石版で処刑･･･され・・て・・。
・・・くっ。
でも、誰かが、死んだ母さんを人間だ、と言ってくれたことは覚えているんです。
やっぱり、人狼を見分ける手段があるんじゃないでしょうか。
父さんはその前に死んだようなんですが･･･どうして死んだかは･･･まだ思い出せません。

昨日今日の事を、何も覚えていないってのか？

……良くある事なのか？

また、霧が出てきた……。
獣臭のする霧……。

エン・イーの呪いの霧なのか？
それとも、人狼の吐息なのか？

これでいいのだろうか……。

【アーノルドは、集会場に戻り、しずかに目を閉じた】

・・・・・・俺は昨日、町を捜索したがなにも得られなかった。
カミーラ、俺はヒューバートさんの屋敷の前で会ったのか？

今日は・・・・・・牧師の家を調査したがなにも情報は手に入らなかった。

・・・これで全てか？

……トビーは、人狼じゃないと思うよ。
そう、思いたいな……。

……そうか。トビー。変なことを聞いてすまなかったね。

でも、何かあったら、ちゃんと信頼できる人間に言うんだよ？　
無理はしないほうがいい。あんたみたいな子供が苦しむのは、嫌いだ。

さて、一時、宿に退散いたしますよ。

不思議と、一人になりたい気分ですので・・・。

ははっ、朝日が昇って、まだ命があったら、またこちらに寄らせていただきます。

それでは皆さん、怪物にはお気をつけて。

[ナサニエルは集会所を出ると、しばらくためらった後に名を刻んだ・・・。まるで何者に操られているかのように]

…俺も人の事は言えんか。
金にもならない事をするなんて…どうかしてるぜ、まったく。

…また長い夜になりそうだな。

……よし。

僕は、墓穴に入る。
そして、名前を刻む。
呪いの石板にね。

……グレン。
全身の血を乾かせて死ね。

ギルバート……

まあ、大体、あってるんじゃない？　それで。

そうなのか・・・・・・

すまなかった。

そろそろ自分の部屋に戻るよ。悪かった。

〔手のひらの石版を見て〕
投票……あたしには、誰が人狼かなんて、分からない……
トビーのような子供を、これ以上出してはいけないと思う。
でも……

〔何かにあやつられるように、グレンの名を書き込んだ〕

夜が終わる。
暗い太陽が昇る。
呪いの力が覚醒する。
今夜、哀れな屍を晒すのは誰だ？


……グレン。お前だろうよ。ははははは！

（この石版に･･･名前を書かないといけないんですね。
村長さんは、本当に人狼に怯える余り錯乱してしまったように見えるんです。人狼には・・・見えません。
エレノアさんが･･･急に印象が変わって･･･。
でも、今日一番気になったのは･･･昼間すれ違った･･･あの人です。元々怪しい人だったけれど･･･。とても、嫌な雰囲気を撒き散らしていました。何か、隠してるに違いないです。）