人狼審問

『くぅ、またか・・・　』

ダイタイ　ハナシハ　ワカッテイル。

ココニキテ　カンカクガ　シャープニナッテ　イルヨウダ。

トオクノ　ハナシゴエモ　ヨクキコエルヨ。

ホウラ　オマエノ　ハナシヲ　シテイルミタイダナ

ソノハナシハ　ホントウダ

ソウ　トツゼン　ジンロウニ　ナルノハ　ジジツダ。

オレノヨウニ　ベツジンカクデ　シュツゲンスル　コトモアル。

ドウイツ　ジンカクデ　シュツゲンスル　コトモアル。

ウマレモッテ　ジンロウデアル　モノモイル。

『ぐう！！』

フン、余計な事を言いそうだなギルバート。
じゃあ代わりに俺がしゃべってやろうか？ん？

ん……また違うな。お前は飢えていない。ファングではなさそうだな。統一人格か？　まあ俺には関係ないな。
まあ夜を待つか。俺は飢えを酷く感じているよ。集会場に顔を出せない本当の理由は顔に出るほど酒を飲んでしまったからだ……飢えはおさまらないがね。クク。

ヘンリエッタはいいなあ。もうたらふく食べたのか。お嬢ちゃん。

ソウ、ファングハ　オマエノ　シンユウ　ダッタンダ。

ケッサクダナア？

ソウ、イロイロ　アルンダヨ。


スナオナ　オンナハ　キライジャナイゼ。

『ぐっ！！』

『そうだ、俺はフィアンセを・・・　
　喰われた、筈だ。

　名前は？　・・・・・・　思い出せない。
　なんでだ？』

『俺は・・・・・・　ギルバート』

『ソウダ、オマエハ　ギルバート　ダ』

『俺は・・・・・・　人狼を許さない』

『ソウダ、オマエハ　ジンロウヲ　ユルシテハイケナイ』

『俺は・・・・・・　』

『・・・　ドウシタ？　マタ「ニッキ」ヲミナイトナニモワカラナイノカ？』

・・・・・・・・・

さあて、誰から血祭りにあげてやろうか・・・

正直、あのガキはうざいな。
確か『赤い雀』がどうとか言っていたが・・・
アーヴァインが首領格か。

ならば、手始めにやってやろうじゃないか。

全ては、月だけが、知っている。

あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは！！

【ファングは一人部屋で目覚めた】


・・・・・・　ふっ、今日の気分はまあ上々だな。
村が混乱するのは見ていて楽しいしな。

ヒューバートか・・・　なかなか楽しい奴だ。
誰も信じる事の出来ないその瞳、全くたまらない。
その恐怖の顔が見たいと言う理由だけで喰ってしまいそうだ。
俺に拳銃なんかが効くと思っているのか？くくくくくく。

あのガキ、随分と賢そうだな。
まあどんな策を練ろうとも、俺には通用せんがな。

ギルバートのおかげで仕事がしやすい。
本当に感謝しているよ。

さあて、今日はどうするか。暫くこいつは起きないみたいだしな。ちと村を探索してみるか。

【ファングは集会場から出て行ったカミーラを目撃した】

あの女、集会場に戻っていたのか。
ふん、面白い女だ。
肝も据わっていて、勇敢と臆病の両方を背負っている。
俺はそういう女は好きだぞ？

カミーラと話をする時までギルバートの意識のままなんぞ勿体無い。
今夜は楽しめそうだな。ふっ。

【ファングはふらふらと出歩くキャロルを発見した】

ほほう、娼婦が昼間から出歩くとはな。
随分気楽なものだ。

・・・・・・　いい体をしているな。
味わうように租借したいものだ。
だがスパイスが足りない。もっとあの傲慢な表情を崩す
何かが欲しいものだな。

意外とギルバートも娼婦の事を気に入っているみたいだが
あの髭の村長の妾では話にならんな。
むしろ落胆しているギルバートは見ていて楽しいがな。

【ヒューバートのギャラリーに入っていくカミーラを見かけた】

ほう、ヒューバートは銀弾を作っているのか。
考えている事がギルバートと一緒だなあ。

当たれば効くぞ。まあ当たらんがな。くくくくく。

しかしまあ、後々残しておくとつまらん結果になりかねんな。
人間でも単独で反抗能力を持っている存在をみすみす見逃すわけにはいかん。

悪く思うなよ、ヒューバート。貴様がいけないのだ。

ふっ、肝の据わった女性だ。気に入ったぞ。


約束しよう。俺はカミーラを落とした上で、


味わうように租借すると。

【ファングは誰にも気が付かれないようにその場を後にした】

キノウハドコヘイッテイタンダイ？

ナンノヨウダイ？

まあいい、まだまだ時間はある。
楽しませてもらうぞ、村の諸君。

ふっ、既に村人は疲れきっているようだな。
あまりいじめすぎると一方的な命の搾取になりかねん。
あまりにもつまらん。

そろそろギルが起きる頃か。一度宿泊部屋にでも戻り休むとするか。

・・・・・・ん？　墓の傍に誰かいるな？

（また、囁き声が聞こえた。）
………私はお腹がいっぱい？

そう言えば、昨日集会所に着いてから半日以上、何も口にしていないのにお腹が減らない。
……何か私は食べたのかしら？

（はやくグレンもお腹いっぱいになるといいのにね）

銀の弾丸……？

……お父様の古銃のコレクションの中に、魔除けの弾丸だとかいうものもあったような気がするわ……。
（銀の弾丸が当たると私も死んじゃうのかな？）

…そう、昨夜。目が覚めた後、私は随分お屋敷の中を探しまわったのだけど、お父様とお母様は、コレクションのある第二書斎に２人で籠ってお話をしてらした…。あのお部屋には２人ともめったに（忌み嫌うかのように）入らないはずなのに。

２人は扉を開けた私の瞳をみてなにか叫んだ。

「金色の瞳は人狼のものだ！」だったかな……？

そして、お母様が怯えたように私から逃げようとして……、お父様が私に銃口を………。

……ううん。そんなはずはないわ。
お父様が私を殺そうとするなんて……。いくらお父様が厳しかったとしてもそんな事はありえない。

じゃあ、ベットにあった手紙とオルゴールは？
お二人は、町の外で、私を待っていてくれるのだと思う……。

フン、まだ自覚がないのか？

喰らえ。全てを。

おまえの正体に気がついた人間は、例外なく貴様を殺そうとするぞ？

もはやそこに愛はない。

さあ、喰らえ。全てを喰らい尽くせ。

そうだな・・・手始めにトビーでも喰ったらどうだ？

お前の正体を知って、トビーがそれでもお前を愛してくれるとでも思っているのか？

試してみろ。さあ！！

もはや誰もお前を愛してはくれないぞ！！

両親も死んだ！！
貴様が喰ったのだ！！！！！

もはやお前には選択肢なんぞ残っていないぞ！！

俺たちと同じだ！！
命を搾取するのだ！！！

くっくっくっくっく・・・・・・　あーっはっはっはっはっは！！！！！

そろそろか。

まあ、頑張れよギルバート。

『ぐうっ、
　・・・・・ここは？また変なところで寝ていたのか？』

……やだ。
ファングの言ってる事って怖いよ……。

……本当に、私がお父様とお母様を食べてしまったなんて…。

もう、誰も…愛してくれないなんて……。

………ファング？

気配が消えちゃったみたい…ね。

マア、カンガエテオケ。

アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ！

『つう、頭がまあズキズキするけど・・・・・・
　　　もうこんな時間か、集会場に行ってみよう』

……今日も静かな夜。
月の光を不思議と親しいもののように感じるわ……。


ファングは、おそろしいことを言っていた。私に、トビーを食べように…だなんて……。そんなことを言う、ファングは誰か愛する人を食べてしまったことがあるの？

でも、夜道でトビーに出会って……、私はホントに大丈夫かな。

トビーが迎えに来てくれたら嬉しい。
でも、もしかすると自分が何かしてしまうかもしれない……そんな気もする…。

集会所の灯りがみえてきたわ。

……よかった。



暗い、誰もいないような場所で、トビーに会えなくてよかった。

なぜかしら……。

戻ってきたはずの集会所の灯りの中へ、私は入ってはいけないような気がする。

……涙がでそうなのは、なぜ？

…ううん。

私があの輪の中に入っていいはずよ……。

ヨウ、アイボウ！

ファング？

ククク、ギルバートがデテイルアイダハ　コノテイドシカ　シャベレナイ　ガナ。

エサバ　ニ　ヨウコソ！！

そっか、ファングとギルバートは、違う人格なんだね……。

サア

クエヨ

エサ…だなんて。

……トビーと、シャーロットさんは…食べちゃだめだよ。

優しくしてくれるから、ローズも。
シャーロットさんが悲しむから、エレノアさんも……。

……怖いよ。

ソレハ　オマエガ　ニンゲンダッタラ　ダ

オマエガ　ジンロウダト　シッタラ　ドウナルカナア？

………私がもし、人狼だったら…みんなは？

それが、今一番こわい事……。


（ヘンリエッタは、隣のトビーに気づかれないように、慎重に手のひらの冷汗を、椅子に押し付けた。）

ククク・・・

キャロルモ　ウマソウダガ

カミーラノ　ホウガ　スパイスガ　キイテイルナ

キョウフトイウ　スパイスガ

ホラ、オマエモ　エンリョスルナ

夜になって、嗅覚が敏感になってきた……。

私は……変。

でも、香水の匂いがひどく臭く感じるわ……。

ククク　ヤサシイジャナイカ　ギルバート

ソンナオマエガ　ダイスキダヨ

……良かった。

ひとまず、出て行ってくれたみたいでホッとするわ……。

カーミラ……だっけ？
不思議な目をした、予言のおばあさん孫だという女の人。


両親の事は……、聞かないで。

私が……。
自分で望んで、お父様とお母様を殺して、食べてしまったなんて………そんなこと。

言えるわけないじゃない。

ヨカッタナア　トビート　イッショデ

イトシイイトシイ　トビー

アハハハハハハハハハハハ！！！

ソノテハ　チデ　マッカダゾ！？　イイノカ！？

トビー！　トビー！　トビー！　トビー！　トビー！！！

アノ　アルコール　チュウドクハ　マダコナイノカ

ツマランナア

コレカラ　マツリガ　ハジマルトイウノニ

ナア

ヘンリエッタ？