冒険家 ナサニエル ──ノックの音が部屋に響く。 叩き起こされるような不快な音。 これならいっそノック無しでドアをあけられた方がまだマシとも言える音。 不機嫌な顔でドアを開けるとそこにあったのは見知らぬ顔。どうやら有象無象の自警団の一人らしい。 …ああ、あのカミーラとか言う女が「消滅」したらしいな。…何?奴が「十字傷」…? [一瞬だけ眉を顰める] …いや、なんでもない。まだ何かあるのか? …ラッセル、ミッキー、ローズマリーが死亡… で、ローズマリーが人狼だったと? …俺が寝ている間に随分と色々あったようだな。 […数秒何かを考えるかのように目を閉じた後で] しかし、それならば俺への疑惑は晴れた事になるな。もう村から出ても構わんのか? ──その問いに自警団の男はやや口ごもる。『まだ手続きが…』などよく判らぬ事を並べ立て『ともかく!まだ暫くは村に残ってもらう!』と一方的に言いつけるとドアを乱暴に閉めて立ち去った。 | |
(4)2006/09/26 23:19:46 |
冒険家 ナサニエル …お前は時々、妙に鋭い事を言う割に…まあ、いいか。 それよりも、いつから懺悔室は「男女の仲を邪推する」下卑た場所になったんだ?まあ、俺は構わんがな。 ──暫く黙り込む2人。沈黙を破るようにポツリと言葉が落ちる。 …牧師。「生きる意味」とはなんだ? この村で… 喰われたもの…自ら死を選んだもの…。 そして、他者の命を奪い生きつづけ・・殺されていったもの。 …俺は、答えを知っているつもりだった。少なくとも前までは知っていた。だが…今は。それが「正しい答え」なのかどうなのか…わからなくなっちまった…。 ──神妙に言葉に聞き入るルーサーに気づき、誤魔化すように表情を崩して。 …懺悔室にはお似合いの話題だろう? ──そういってやはり苦笑い。 | |
(57)2006/09/27 23:04:28 |
牧師 ルーサー 『十字傷』の人狼について…ですよ。 [唐突に話題を変える。しかし気にせず、] この村には、三人の人狼が訪れていました。 ローズさん、ネリーさん、そして…カミーラさん。 この三名のうち…ネリーさんは、『十字傷』ではありえません。 彼女はクインジーさんと共に旅をしていました。彼の目を盗んで、そう何度も『十字傷』として活動出来るとは思えません。…何より、彼女が処刑された後も、ハーヴェイさんが『十字傷』により襲撃を受けました。 ローズマリーさんも『十字傷』ではありえません。彼女この村の生まれ。素性がわりにはっきりしています。流浪の人狼とは考えづらい。 …何より、ハーヴェイさんが襲撃を受けたその晩、彼女はニーナさんと一緒にいます。 | |
(66)2006/09/28 00:14:44 |
冒険家 ナサニエル ──飴の一つを口に含み、ガリガリと包みごと噛み砕く。 口の中に広がる、ミルクの甘い味。 そして思い出される、ニーナの姿。 目の前に居るのは、それとはかけ離れた、傷つき弱りきったニーナ。 ──再び身体に力が込められる。 メリメリと音をたてのしかかる瓦礫からはいずりだす。 今ならば、まだ今ならば、自分とニーナだけは外に出られる。 そして、それを実行しようとして。 人狼に咥えられ燃えさかる教会から出てきた人間。 それを、あの愚鈍な自警団達は人間だと信じるだろうか? このままでは牧師は死に…ニーナを助けられる者は居ない。 人狼である自分が、いくらニーナが人間だと主張しても、それを誰が信じるというのか。 …そうか。俺では。俺ではダメなのだな。 | |
(95)2006/09/28 02:28:41 |
冒険家 ナサニエル ──続けて、ニーナの身体を。今度は先ほどとは違い、優しく抱き上げる。 …さあ、クッションは作っておいてやったぞ。これで怪我も少なく済むだろう。 ──倒れたままのルーサーを見てニヤリと笑う。 ──そして、ニーナの唇にそっと唇を重ねて。 ─次の瞬間、ニーナの身体が宙に舞う。 『ボスッ』という鈍い音と共にルーサーの身体の上に寸分の狂いなく着地する。 ──それを見届けて微笑む。刹那、大音響と共に唯一の出口が崩れ去る。全ての力を使い切ったように床に座り込むナサニエル。床に転がった飴(それは熱で幾分とけかけてはいたが)の一つを拾い上げて口へと含む。 …飴はもらっていくぞ。…いいだろう? ──天井が崩れ去り、一瞬、空が顔をのぞかせる。 それを見上げ、微笑むナサニエル。 …美味い飴だな。 ──降り注ぐ瓦礫と燃えさかる炎。それらが彼の身体を覆いつくす。 | |
(97)2006/09/28 02:51:27 |