逃亡者 カミーラ [火事の騒ぎのさなかからラッセルの近くで人狼の襲撃を警戒していたが無事に朝日を拝めたのでその後、宿屋に戻ってベッドにもぐった。 窓から降り注いでくるような太陽の光が邪魔でなかなか寝付けなかったが、この光があるからこそ安心して眠れもするのだ、とか考えているうちに疲れた身体は知らず夢の世界に引きこまれていた。 太陽が空の頂上を通り過ぎたころにカミーラは目を覚ました。] (レベッカの死に様…おそらく、あれは人狼ではあるまい。) [まだ二匹の人狼の恐怖から解放されない今日がまた始まる。鏡台の前に座る。精神的に疲労を感じはするもののこの身体は目の下に隈ができるようなこともなく、いつもと同じ様子だ。ラッセルに疲れた顔なんか見せたくない、と思っている彼女は珍しく自分にかけられた呪いに感謝をした。] 〜〜♪ [昔兄と歌っていた、名も忘れてしまった曲を鼻歌で歌いながら丁寧に髪を梳いてゆく。はねているところが無いのを確認すると階下へと降りていった。] | |
(3)2006/09/22 12:37:03 |
逃亡者 カミーラ [奥の台所から卵とベーコンを失敬すると勝手に台所を使って軽い食事を作って食べた。半分ほど食べ進んだところで自警団員が泣き笑いのような顔をして集会所に転がり込んできた。] 「は、は…ハーヴェイさんが…… ハーヴェイさんが襲われて…ました…」 [ため息をひとつ。そう、と暗くつぶやく。 「現場は酷い有様で…悪意に満ちた血の十字が、地面に描かれていました。」という自警団の男を見ながら。] それはみんなにも知らせておいてね。 そしてこうも伝えておいてちょうだい。 これで、結社の人間はいなくなった、運命をゆだねる相手は己しかいなくなった、と。己の手を汚すか、喰われるのを待つか早めに選びなさい、と。 (私は最後まで戦う。ラッセルを守って、人狼を退治して。この身体にかかった呪いも解いて、幸せに暮らすんだ。) [自警団の男はカミーラのその言葉に眉をしかめる。 「ああ、こいつも剣を下げている旅人、人間を殺せる人間なんだな」と言わんばかりの目だ。物思いにふけっている彼女はそれに気付かない。] | |
(4)2006/09/22 13:18:08 |
逃亡者 カミーラ (”十字傷”はこの村の人間ではありえないはず…とすると、ナサニエルが”十字傷”? ”十字傷”の仕業と見られる事件はかなりの広範囲に及んでいたはず…残りの村人たちがいつからこの村にいたのかを聞けば、それでほぼ確定できそうね…) 「お前が、お前が”十字傷”じゃないのか!?そうなんだろう、よそ者め!!」 [旅人の中に十字傷がいる、それはこの男も考えることは同じようで。下げていた剣を抜き放つといきなりにカミーラを襲った。大声にそちらを向けば振り下ろされた剣に深々と肩口を斬られた。女は痛みに表情をゆがめ、あとずさる。 しかし…彼女が抑えるその傷口からは血が流れてこない。 そのことに自警団の男も気付いて驚愕の表情を浮かべる。そして恐怖と興奮の入り混じった様子で村中に響けとばかりに叫んだ。] 「正体を現したな、化け物め!おおい、人狼だ、”十字傷”を見つけたぞ!!」 | |
(5)2006/09/22 13:18:44 |
逃亡者 カミーラ っな、違う、私は”十字傷”じゃない!! [反射的に叫びはするものの、この状況でなにを言っても無駄であろうことはわかっていて。どうしよう、どうしよう、と見回した部屋の中。 そこで、目が合ってしまった。ラッセルと。 血を流さないこの身体を、悪魔を見るような目で見られた。] いやぁああああ!!!!!!! いや、いやいやいや!!そんな、そんな目で見ないでぇ!!!!! [胸の中でなにかが割れる音がした。 それは 幸福 とか 希望 とか 他にもいろんな名前で呼ばれる何かだったかもしれないけれども。それが割れて、崩れて、粉々になってゆく音がした。もう、二度とは元に戻らないだろう、そんな音だった。] …ラッセル [視界が滲んだ、涙が溢れたから。 心が痛んだ、大切なものが砕けてしまったから。 *その場から逃げ出した、どうしていいかわからなかったから。*] | |
(6)2006/09/22 13:19:30 |
ごくつぶし ミッキー [――――少し、時間を戻そう] [夕刻。 ミッキーはいつものように牧場を出て、村の中に差し掛かった。 今日はハーヴェイのところへいこう、と、長く伸びた影を見つめ歩きながら独りごちる。 レベッカは狼だったのか? いや、たぶん違う。 あの後、自警団員の一人から詳しく話を聞き、改めてそう思った。 あの女は気が触れてたんだ、とその自警団員は言った。 ……人間が人間を殺すこの状況で気が触れるのは、誰だ? ―――人間だろう。 ハーヴェイは勿論そんなことは承知で。 ただ、狂人の可能性の為にレベッカを。 人間と思いながら相手を殺すなど、恐らくはハーヴェイ自身も望んではいなかっただろう。 ……苦しんでいるだろう。他の皆と同じように。 なんとかしてやりたい] | |
(57)2006/09/23 16:12:14 |
ごくつぶし ミッキー [そう考えながら、教会の横を通り過ぎたとき。 自警団の一員にばったり出くわした。 …どこかで見た顔だ。 そう思いながら通り過ぎかけたところで、相手が声をかけてきた] 「お前。良いニュースを聞かせてやろうか」 [良いニュース? 疑問符を浮かべながら振り返ると、そいつは勝ち誇った笑みをこちらに向けていた] 「カミーラとかいうあの女、あいつは十字傷の人狼だった。 ほぼ間違いないだろう!!」 [カミーラ。名前と黒い髪の女性が脳内で一致し、言い放たれた言葉がそこに重なり] ……まさか、まだヴィンセント先生を殺したのが彼女だと思ってるのか? 言っただろう、あれは殺害直後の遺体じゃ、 | |
(58)2006/09/23 16:12:30 |
冒険家 ナサニエル ──ベッドの端でうつぶせになり眠るニーナ。 上半身を起こしてそれを眺めるナサニエル。 …よくわからん娘だ。 ──少し肌寒くなってきたせいか、むにゃむにゃと何か寝言を口ごもりながら体を震わせている。 …やれやれ。 ──ニーナを起こさぬように静かにベッドから降りる。火傷は完全に治癒させたわけではないが、痛みはもうほとんど残っていない。 身体を軽く動かし、それを確かめるとニーナをそっと抱き上げベッドにゆっくりと降ろす。 「…先生?」 ──ニーナの口から言葉が洩れる。 起こしてしまったか?と思ったが、それはどうやら寝言のようで。 …今しばらく眠っておけ。 ──そういうとニーナの身体に毛布をかけ、少し辺りをキョロキョロと見回した後、頭をそっと撫でた。 | |
(64)2006/09/23 23:42:59 |
冒険家 ナサニエル ──予想した反応が返ってこない事に毒気を抜かれて、顎から手をはなし、ニーナに背を向けると深々と腰かけると。 …夢を見ていたんだな。 …ここは俺の部屋、そしてそこは俺の寝床だ。 (身体につけられた包帯を指でなぞりながら)看病をしていてくれたらしいがな。 俺が目を覚ましてみれば、ベッドの隅でヨダレを垂らして眠っていたぞ。あのままうたた寝をされていては風邪をひかれそうだったのでな。 …仕方なくベッドで寝かせてやったのだ。感謝するんだな。看護するものが風邪など引いていては笑い話にもならん。 ──ここで少し言葉を選ぶように戸惑った後で。 …そんな事では、旅立った医者がいつまでたっても安心できんぞ。 | |
(71)2006/09/24 00:54:44 |
冒険家 ナサニエル ──背後でニーナが泣き始めた気配を感じて慌ててふりかえる。目に写ったのは涙をあふれさせながら泣きじゃくるニーナの姿。 ま、まて!泣くな! 泣いたところで奴が帰ってくるわけでは… (その言葉を聞いて、ニーナの表情が一段と悲しげなものになる) い…いや、そういうつもりで言ったわけでは…ええぃ!どこまでも面倒な…ッ! ──慌てふためき返す言葉がどれもこれも空回りして。言葉につまり頭をガシガシと掻きむしった後。 片手で泣きじゃくるニーナを抱き寄せて、枕の下に片手を伸ばす。その手にはいつかの飴の包み。 …むぅ。後で楽しむつもりだったのだがな。仕方あるまい。 ほら、これでも舐めて落ち着くんだな。 …お子様にはお似合いだ。 ──片手で器用に飴の包みを取ると、ニーナの口へと入れてやる。 | |
(72)2006/09/24 01:08:52 |
酒場の看板娘 ローズマリー [ふぅ、と一人、何ともなしに溜息を吐く。 正直云って、今の私の酒場での仕事なんて殆どない。退屈だけれど、生活リズムとしてこの時間は全く眠くならない。 ふと、誰も居ない酒場を見回す。目に、古ぼけたピアノが映った。 よく暇なときは、これを弾いてフレディさんに聞かせてあげてたっけ。 真っ直ぐそちらに向かい、久しぶりにピアノの前に座る。腕をこきりと軽く回すと、蓋を開き、息を吸い込む。 良い匂いがする。すっかりここの空気に馴染んだ、錆と埃の匂い。 ―――……さて、と。 曲目は、トロイメライ。大好きだった曲。作曲者はシューマン。譜面は暗譜済みだ。何度も繰り返し弾いていたから、すっかり頭に叩き込まれている。 ゆったりとした、美しい……けれども何処か物悲しい響きの旋律を、奏で上げる。 静かな前奏から始まる。細い指で丁寧に鍵盤を叩き、音を酒場の中に響き渡らせて行く。] | |
(92)2006/09/24 03:17:01 |
酒場の看板娘 ローズマリー [暫くの時間、そうやってピアノの音色を響かせていた。 懐かしい感触。静かな、穏やかな……丁度、風すら全く吹いていない、夏の終わりの海辺のさざ波のような。 曲の途中で、酒場の扉が開いた。 静かに、遠慮がちに開かれた扉の音。それに、そろりそろりとなるべく音を立てないようにしながらも、その体重のせいで音を全く隠し切れていない足音。それらの様子からして、ミッキーさんだろうと適当に当たりを付ける。 錆を終えたところで演奏を止めると、彼のほうへ半身だけ逸らして向けた。] こんばんは、ミッキーさん。 そんなに遠慮がちに入って来なくったって大丈夫よ、別に。ここは酒場なんだし、ね。 ……今日は如何したの? | |
(94)2006/09/24 03:18:56 |