自警団長 アーヴァイン
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。 この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。 当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。 とにかく十分に注意してくれ。 |
お尋ね者 クインジー まず、始めに説明しておくことがある。 人狼ってのは、人に化け、人を騙し、人を襲う。 だから、お前たちは、自分が死にたいのでなければ、昔からの旧友であろうと、愛した人であろうと、自分と人間と証明された奴以外は誰も信用しないことだ。 ……まぁ、人間と証明することは難しい。 何しろ奴らは、使えるものは憐憫であろうと、同情であろうと、情けであろうと、なんでも使ってくる。 つまり、それ以外の部分で、人間だと証明しなくてはいけないわけだ。 生憎と、俺はそんな器用な真似は出来ねえ。 怪しいと思った奴は、問答無用で殺していくからな。そのつもりでいてくれ。 そして、出来るだけ、人間らしい態度を取ってほしいものだな。 | |
(20)2006/09/14 22:15:04 |
お尋ね者 クインジー 人間と証明する方法は俺の知っている中で、二つある。 それは、「占い師」に診てもらう方法と、「霊能者」に診てもらう方法だ。 占い師と、霊能者ってのは、人間と人狼を見分ける能力の持ち主だ。 占い師は、生きている人間をなんらかの手段で見分け、霊能者は死んでしまった人間をなんらかの手段で見分けることが出来る。 ―――もっとも、都合よくこの村にそんな能力を持っている奴がいるならば、の話だがな。 一応、聞いておくぜ。 この中で、自分が占い師だというものは名乗り上げてくれ。 ただし、自分が生き延びたいからって、何の能力も持っていない奴が名乗りあげるのは勘弁してくれよ。 占い師ってのは、人狼にとっては目の上のタンコブみたいなもので、逆に目をつけられて死にやすくなるからな。 | |
(21)2006/09/14 22:15:40 |
雑貨屋 レベッカ […は、受け取った紙に、しぶしぶ名前を書きながら、不満の声を上げた。] ねぇっ、一寸、そこの剣士さん、クインジーさんでしたっけ? いきなりその、横暴なんじゃありませんか、占いとか、なんとか… …ええ、人狼の事は、私も噂ながら存じ上げております、 20年前の忌まわしい事件の事も、聞き及んでいますし。 この中に人狼がいる、そんな事、私は信じたくありませんけど。 …ああ、貴方とは話すのは初めてでしたわね。 私の名前は、レベッカ・アンウェル。この村で、主人と雑貨屋を営んでいますのよ。 人狼なんかじゃありませんわ。そして、ここにいる、柳村の住人全員も、決して! | |
(52)2006/09/14 23:38:24 |
お尋ね者 クインジー [さらに集まった紙に目を通しながら、クインジーが集まる批判に言葉を返す] ああ。 これで何もなかったら、その後にいくらでも批判を受けよう。 村を出て行けと言われれば、出て行こう。 だが、まだ何も分かっていないのに、人狼なんていやしないなんて思うのは……楽観的すぎると思うがね。 [適当に言葉をつむいでいるうちに、集まった紙から今日の占い先は決定した。 不安そうに見つめるネリーの頭をそっとなでながら、クインジーが皆を見据えて言った] ―――決定だ。 今日の占い先は、ミッキー。 自称占い師の二人とも、ミッキーを占ってもらうぜ。 ……別にどっちから先でも構わないんだが、医者のオヤジからやってもらおうか。 | |
(56)2006/09/14 23:54:08 |
お尋ね者 クインジー [両者の占い師から出た反応は、どちらも「白」ということらしい。 つまりは、二人ともが偽者ということでもないかぎりは、ミッキーは人間であると言うことだ] (ふむ。 人狼にとって、ミッキーは別にどうでもいい奴だったってことか。 それとも、人狼がいないなんてこともありうるのか? ……フン。いや、んなことはねえか。その場合ならば、二人とも本物だってことでしか説明はできねえからな。 まあ、いい試金石にはなったか) [頭の中ですばやく考えを固めると、もう一度、二人の占い師を眺めた] ……一応聞いておくが、連続で占うことは可能か? 体力的な問題にしろ、精神的な問題にしろ、なんでもいい。 できねえなら、素直に言ってくれ。 | |
(87)2006/09/15 01:33:19 |
お尋ね者 クインジー さて、ミッキーが人間である可能性が非常に高いということで占いを終了し、最後の説明に移ろう。 人狼を殺す手段だ。 先にも言ったが、人狼ってのは銀に弱い。 だから、俺のこの銀製の剣で切るか、持っているのならば、銀の弾丸で撃つってのもアリだ。 これで、一日一人ずつ―――殺していく。 当然のように、それが人間であったとしても、死ぬ、だろうな。 恨みの言葉でも、憎しみの言葉でも、怒りの言葉でも、今のうちに好きなだけ吐いておけ。 人間も人狼も相成れない生物だ。 それが、村に入り込んだ時点で殺し合いを行わなければいけないんだ。 それならば、犠牲の少ない方法で駆逐したほうがいいだろう? | |
(95)2006/09/15 01:48:23 |
お尋ね者 クインジー ま、とはいえ、実際に人狼がこの村にいるのかはまだ分からねえ。 だから、しばらく家に鍵でもかけて、寝ていてくれ。 そして、この閉鎖された空間の中で犠牲者が出るのならば、それは確実に人狼の仕業になるだろうからな。 人狼が襲撃しないでやりすごすって可能性もあると思うだろうが―――ソレはない。 何故なら、人狼は、ひどく飢えている。 人間を襲撃しないで、生きていくことはできねえからな。 あぁ。ちなみに夜には出歩かねえでくれよ。 夜は、俺と、ペアで組んだ自警団で、人狼の捜索をするからな。 夜に出歩いていると、間違って殺してしまう可能性もあるからやめてくれ。 くれぐれも、自分の命が大切なら、家で震えながら寝ていてくれ。 今日の帰り道も一人で歩かないで、誰か一人だけでも信用できる奴と一緒に帰ってくれな。 これで、今日の俺の説明は以上だ。 後は、せいぜい人狼がこの村にいないことでも祈っていてくれ。 | |
(96)2006/09/15 01:49:49 |
ごくつぶし ミッキー [クインジーの台詞は恐ろしいこと。あってはならないこと。 ――自分が疑われるだけで充分だ] 大丈夫。 ……これ以上誰かが死ぬなんて、ありっこないんだ。 [ぼそり、と誰に言うともなく呟く。 非現実は非現実のまま、もうこれ以上自分たちの近くに来はしないだろう。それは単なる願望だったけれど。 ちら、とカウンターの方を見遣る。心なしかローズマリーの顔色が悪い気がして、声をかけようかと迷い。 ……結局、何もいえなかった。いつもの通りに] [ローズマリーも自分を疑ったんだろうか] [少し、俯き加減になって酒場を出た。クインジーの「二人一組で帰れ」の命令など、聞きもせず。 だって、人狼なんて*いないのだから*] | |
(122)2006/09/15 02:58:33 |
冒険家 ナサニエル ──銀の削れる音。銀の匂い。銀の弾丸が反射させる光。 それらが一瞬だけ、飛び掛る狼を怯ませた。 急所の喉笛より数インチ下の胸元の肉を鋭い牙が服ごと深く削り取る。 余りの恐怖と痛みからか、グレンは声も無くその場に倒れこむ。 確実な止めを刺そうと近寄る狼の目に開け放たれたままのドアと、そこから差し込む日の光が飛び込んできた。 狼は小さく唸ると突然の出来事に呆然とした仲間に低く吠え。 ──数刻後、詰め所の裏口から二匹の狼が、飛び出してきた。小柄な狼は時折後ろを振り返ろうとしたが、大柄な狼に止められる。 ニ匹はそのまま、酒場の裏手の茂みの中へと姿を消した。 | |
(177)2006/09/16 00:49:43 |
酒場の看板娘 ローズマリー [漸く、胸騒ぎが収まった。 ―――強い血の匂い。 ―――頭に響いて来る音。 動悸を抑えようと、先程から吸っていた煙草を揉み消す。 ―――獣の匂いが、今さっき、宿に入って来た。 ―――昨日聞かされた、旅人が人狼に喰い殺された話。 ―――ずっと頭に残っている、赤い朱い紅い、音。否、声。 混乱し切っている思考も、漸く追い付き、現状を飲み込む。 宿の壁に凭れかけていた身体を、ゆっくりと起こす。 そう、簡単なこと。 ―――……人狼が、居る。私以外の、誰かが。 表の扉を開き、バーの中に入る。 しっかりと鍵を閉め、匂いが残っている方向……階段のほうへと、向かって行く。 動作は怠慢で、足取りは震えている。けれども、ゆっくりと、しっかりと、一歩ずつ、歩いて行く。] | |
(180)2006/09/16 02:07:16 |