学生 メイ ――地下室―― 見てくる、ね……。何かあるかもしれないし。 [メイは白骨死体の方へ覚悟を決めて歩いていった。白骨死体の辺りまでいって、そのまま奥へ進む。] きゃっ! [足をひっかけたメイは転ばなかったが、勢いあまってそのまま二歩、三歩と前進した。引っかかったものはロープのようなものだった。ロープはスイッチ代わりになったのか、何かがまっすぐにメイの前方に落ちた。その何かが地面につくのと、メイがその中に足を踏み入れてしまうのは同時だった。] ひいいああ!! [右足をドアに引っ掛けた。メイが中に突っ込んだ際、自分でドアを閉めてしまった。] い、いやあああ、な、何!? [その何かは、檻にも似た鳥篭のようなものだった。鉄柱が構成するその籠は、ただの鳥篭じゃなかったが。鉄柱一本一本には鋭く、そして小指よりも短い程度の刺が大量につけられていた。当然のごとく、刺のむいている方向は内側。籠の高さはメイの背より少し高く、直径はそこまで大きくなく、大人二人が手を繋いで輪を作ると余る位だった。] な、な、何、な、なにっ!? | |
(271)2005/08/27 01:35:26 |
お嬢様 ヘンリエッタ ――客間―― [ハーヴェイの後姿が客間に消えた。] 【暢気に待っている人たちに言ってやる義理なんかないわ。】 [ふとユージーンの言葉を思い出す。] 【…一人で、生きていけるわ。私は強いもの。お母様がなくなった時からずっと、一人で生きて行こうと決めたのだから。誰の力も借りないし、誰の助けも要らない。私は子供じゃないし、保護される対象なんかじゃないわ。この震えだって恐怖からだって逃げ切ってみせる。…むしろ、こんなの怖くないわ。 …でも。たまには人と関わってみるのも悪くないのかもしれないとも思う。】 [ヘンリエッタは血の気が引いた頬に複雑な表情を乗せて客間へノックもせずに入った。] | |
(348)2005/08/27 03:00:49 |