お尋ね者 クインジー ――客間―― [クインジーは目を覚ました。全身にじっとりと汗をかいている。] 俺とした事が…話を聞いてるうちに眠っていたのか… [豪雨の中でさまよった疲れが出ているのだろうか。無防備に寝てしまった自分が信じられない思いだった。] 赤い目に白い肌か…ここに本当にいるのかね。 [今までにも彼らを探した経験はある、だが大抵は噂のみだったり、ろくに手がかりもなく見つからなったりという事を繰り返してきた。] 今はまだ半信半疑ってとこだな…もし見つけたら… 【…もし見つけたらどうすると言うのだろう…敵討ちか?…あの旅人と同一人物かどうかもわからないというのに…】 [クインジーは自分の気持がよくわからない。だが、見つけないことには、彼自身先に進めない思いも同時に抱えていた。] | |
(4)2005/08/26 08:29:16 |
吟遊詩人 コーネリアス ――2階・たくさんある寝室の一室―― [コーネリアスは窓の景色から、自分が二階にいる事に気付いた。雨はすっかり上がっているが、相変わらず雲が太陽の光をさえぎっている] どうやらここは、二階の一室のようですね。 一晩寝たら、落ち着きました。 吸血鬼なんていうおとぎ話に、本気で震えていたなんて……昨日はどうかしていたのでしょう。 それにしても、これだけたくさんの人間がこの城に集まっているとは……。 気脈の関係か何かでしょうか。 [コーネリアスは、枕の傍らに小さな木製の人形が置いてあるのに気が付いた] これは……なんでしょう。 不思議な魅力を感じます。 それに、とても精巧にできている……。 [コーネリアスはなんとなく、リュートのケースの中に人形をしまった] | |
(7)2005/08/26 08:58:08 |
お尋ね者 クインジー ――主塔、屋上―― [居館をひと通り回った後、クインジーは主塔の屋上に来ていた。空は厚い雲に覆われ当分日は射しそうにない。だが、今はちょうど雨もやんでいるようだ。] 錯乱してた男は、屋敷に戻ってるんじゃないかと思ったんだが…いないようだな。 そして、やはり住人らしき人影も見当たらない… [あと、彼が回ってないのは地下と礼拝堂、それに中庭だけだった。] これは…すごいな… [主塔の屋上から景色を見渡して、思わずクインジーは息を呑む。 この城の建っている場所は、周りを深い谷に囲まれていて、完全に孤立していた。] 外に出れるのは、表の吊り橋だけってわけかい。 [周りの谷は、とても降りれそうのない断崖絶壁の上、雨で増水した川が谷底を流れていた。] | |
(21)2005/08/26 17:20:43 |
お嬢様 ヘンリエッタ ――2階/客室―― …お母様。私は此れから一体如何したら良いのですか? [ヘンリエッタは柄の部分に家紋が刻まれている飛び出し式ナイフを胸の前にぎゅっと持った。] 吸血鬼…。信じてなんていないと、あの方に言ったものの、本当は少し… [悲しそうに呟いて見ると、恐怖が体を伝った。はっとして口をつぐみ、ナイフを仕舞う。] 私らしくないわ。いつまでもこんな小汚い城に居る訳にはいかないんだから、しっかりしなくてはいけないわ。使えないあの家臣共と逸れたからといって、私がどうなってしまうわけじゃないもの。 自力で家まで戻ってみせる。 [強い決意を固めると、ヘンリエッタは客室を後にした。] | |
(79)2005/08/26 22:34:59 |
お嬢様 ヘンリエッタ ――客間―― [ユージーンの言葉に何か言い返そうとしたが、黙ってしまう。 目で様子を伺っていると、ニーナの不審さも気になったが、それよりもメイの言動に呆れ果てた様子で、じっと見つめた。] また吸血鬼の話…? 実に、下らないわ。 貴方達もいい加減気がついたら? 動転し、パニックに陥っている人間をいくら宥めても無駄でしょ? [昨日で学習しなかったの? と皮肉を言いかけて、ユージーンに言われた言葉を思い出す。ぐっと飲み込んだヘンリエッタは、困ったように下を向いた。] とにかく、此処に居たってどうしようもないんだから、橋の場所へ行ってみましょうよ。 | |
(182)2005/08/27 00:08:14 |