自警団長 アーヴァイン
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。 この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。 当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。 とにかく十分に注意してくれ。 |
美術商 ヒューバート 「だめだぁこのボートも沈んでしまう!俺たちはみんな死ぬんだ!!」 [乗客の1人が悲鳴を上げた。 無理もない。だがいくら叫んでも無駄だ。 そう思った次の瞬間彼は思いも寄らない行動に出た。 懐から拳銃を取り出した彼は近くにいた者に銃弾を撃ち込んだ。] 「なにをしているんだ!」 [船長も彼の行動に面食らって水を掻き出す手を止めた。 そいつは悲観の表情をうかべながら次々に発砲を繰り返した。] 「キャー!!!」 「ひぃぃぃぃ!!」 [乗り合わせていた御婦人達は悲鳴を上げ彼から遠ざかろうとするが狭いボートではどうすることも出来ない。 弾を撃ち尽くした彼に船長がつかみかかり、彼は海へ投げ込まれた。 バカな奴だ。 事が収拾し終わった後には、血の海になった沈みかけのボートと突然の出来事に唖然とする者達だけが残った。] | |
(9)2005/07/04 01:13:19 |
双子 ウェンディ [尋常ではなくなっている船内と突き上げるような揺れに身体ばかりでなく心まで不安定になっている。愛する人達の名前を呪文のように唱えながら前に進もうとするが、思うように歩を進めることができない。激しい不安に苛まれ、瞳からは大粒の涙が毀れだし、名前を呼ぶ声は悲鳴のようになっていった [揺れの間隔が短くなり、既に立ち上がることも叶わない。ウェンディは這うようにして尚も前に進もうとする。どこからか「水がでたぞ」という叫び声が聞こえてきた] 水…………? こ、この船、沈んでしまう…の…? いやあああああああああぁぁ…!! 誰かっ お爺様っ お婆様っ!!! ソフィーお姉様っ!!! リック…!!! いやああああぁぁ… | |
(46)2005/07/04 03:40:03 |
見習いメイド ネリー ──── [エレノラ・マグダレナことネリーは事件の後、ぼ〜っと船の廊下を先生の部屋に向かって歩いていた。] あれじゃ、まるで先生の書いてる小説みたいです…現実にあんな事が起こるなんて…。 [ネリーは、突然目眩を感じその場にへたり込んだ] 疲れてるのかな…。 あれ…違います…ね。船が傾いてる? 大変です、先生とハーヴェイ様に…。 [先生の部屋にくると、寝ていた筈の先生の姿はなく…] え〜っと、既に避難してるのかな? [ネリーは旅行前に先生が買ってくれたスーツケース─物売り曰く、海で遭難した際にはそれ自体が浮きになり、中に非常品を入れておけば万全とか─に、何を思ったか机の上に在った先生の書きかけの原稿を放り込むと、それだけを持って甲板へと、先生とハーヴェイ様の名を呼びならが上っていった] ふぇ〜ん、重いです〜。 ──── | |
(49)2005/07/04 03:47:50 |
流れ者 ギルバート 【海上】 [荒れ狂う海の中、ギルバートは波間に消える人々に一瞬目をやりつつも、助ける余裕など微塵も無いため自分の救命具と袋をしっかりと掴み船からできるだけ離れようとした。救命具も何も無く海に飛び込んだ者も多いし、自分の意志と関係なくボートからの離脱を余儀なくされた者も多かったから。そこらの人間にギルバートが腕っぷしで負けるとは思えないが、荒れる海でもある事だし、余計な体力を使いたくは無かった。] フッ…俺はこんなところで何をしてるんだろうな。 何かこの船には運命的なものを感じてたが…こんなのが待ってたとはな。 [船から一定距離を離れある程度の喧騒から離れると、ギルバートは自分を顧みて自嘲気味に笑った。] | |
(50)2005/07/04 03:52:01 |
書生 ハーヴェイ [――気が付けば、木片にもたれてハーヴェイは波間を漂っていた。 波は、激しさの名残を幾分か残したように時折彼を揺らした。だが、昨晩の嵐と比べればそよ風に吹かれる程度のものであろう。 曇天の空には重く雲が立ち込めている。だが、雲の流れは速い。上空では今だ風は強いのだろう。風と共に雲が抜ければ、嵐の後の晴れ間となるのかもしれないな、と思えた。 空を見上げていたハーヴェイはふと視線を落とし――そして気が付いた。木片――いや、それは何処かの船室のドアだったのだろう。その上に、何者かが横たわっている事に気付いた。 曇りと言えどその空に光に、濡れた短い髪は青緑の光を弾いていた。 濡れて張り付いたような衣服の胸はゆっくりと上下しており、その娘が無事――少なくとも命は――である事を知らせていた。 船で見た顔。確か、アーヴァインが例の話を披露していた娘だった。 (名は、何と言ったか……)] | |
(68)2005/07/04 08:13:32 |
書生 ハーヴェイ [しかし、記憶を探っても名は出て来ない。もっとも、それも当然で、この娘と大した話をした記憶も無かった。彼は、目上の者への礼儀として自ら名乗る事はあっても、そうでなければ己から名を尋ねたり、相手の名を尋ねたりする事も無かったのだ。それは、大部分の人間とは接する事に煩わしさを感じる故であったが、それを表に出さず振舞えるために、人から見れば物静かな男くらいに思われているだけのようであった。もっとも、彼をよく知る人物であれば、彼に対するその評が的を得ていないものだと言う事を知っていた。 ――彼をよく知る人物。 はたと気が付いて、ハーヴェイは回りを見回す。しかし、見渡せる範囲には、所々に船の残骸と思しきものが見えるだけであった。彼の師たる、小説家をなのる奔放な男も、いつも、どこか危なっかしげなメイドの姿も見当たりはしない。 呆然と海を眺めながら……*彼は意識が薄まるのを感じた*] | |
(69)2005/07/04 08:14:10 |
学生 ラッセル さて・・・ [まだ残る眠気を吐き出すかのように声を出すと彼は思索にふけった。昨日の少女−メイの言っていた通り、このままでは何の展望も開けない。食料と、何より水の問題がある。嵐がやんだことは安全ではあるが、この強い陽射しは容赦なく体から水分を奪っていくだろう。救助が来るとしてもまだ何日もかかるだろうし・・・ そこまで考えると、先へ思考を進めるのをやめた。つまり今自分に出来ることは体力を温存するだけなのだ。余計な動きをせず、余計な言葉を発さず。 ボートの縁、ほんの少しではあるが日陰の出来ている場所に身体を横たえ、持っていた板切れを顔にかぶせ、彼は状況の変化を待つことにした。] (後は持久戦。運と体力の勝負だ。そして・・・私は諦めない。例え何があったとしても。) [ふと、眠る前に助けあげた(最も後にまた海に突き落としたのも自分自身なのだが)少女の姿を思い出す。が、それも一瞬のこと。ラッセルはボートの上で*流れに身を任せた*] | |
(73)2005/07/04 13:13:08 |
書生 ハーヴェイ [だが、その安堵は長くは続かなかった。彼が知る者の身の安否に思い至ったからであった。 師である小説家、おっちょこちょいで愛嬌のあるメイド。船長であるアーヴァイン。そして、洋上で最後に見た名を知らぬ娘。 辺りを見回す。 ――遠い洋上に見える影。ハーヴェイはそれに目を凝らす。 それはボートのように見えた。そう、「danse de lune」に積まれていた救命ボートであろう。定かではないが幾人かの人影が見えるとも思えた。 そして、彼のいる場所から少し離れたところに。 まぶしい陽光を青緑に弾く髪――あの娘が横たわっていた。 近付いて頬を叩くと、娘は僅かに顔をしかめる。触れたその額は熱を持っているように思えた。呼吸は心なしか浅く速い。海に濡れ体温を奪われ失調をきたしたのであろうと思えた。 ハーヴェイは娘を抱き上げると、岩陰にまで運び陽光を避けさせた。そして、救命ボートと見えたものに向って、*大声で叫び手を振った。*] | |
(79)2005/07/04 14:10:31 |
学生 ラッセル 【森(B)と砂浜(E)の狭間】 [ラッセルは満足の行く結果と疲労に表情を和らげて座り込んでいた。森の中では食料になりそうなものこそ見つからなかったものの、最大の問題である飲料に耐えうる水源の発見に成功した。 そして、もう一つ、今、彼の目の前にある「火」である。救命ボートを横倒しにして風除けとし、万が一片方が消えても良いように2つに分けてある。 話に聞くほど簡単な作業ではなく、ナイフで削った木を使い、火を起こすのに多くの時間を費やした。手のひらは皮が破れ、腕はいまだに痺れている。それでも目の前で燃え盛るものは、その代償として十分なものと言えた。] | |
(92)2005/07/04 21:37:21 |