人狼審問

誰もが、思い思いに気持ちを秘めている。

皆は自分の気持ちに忠実であって欲しい。
でも、気持ちをもっとやりとりできればよかったな。

ナッシュ、俺に君の気持ちをぶつけてくれたことを
本当に感謝してるよ。

[エッタは息を吸い込むとできるだけ淡々とノートに向かった]

ギルバートさんが本物の占い師さんであるとしたら、今回か、その次にか、そろそろ狼さんが見つかるでしょう。そしてその方をみなさんで殺しますでしょう。それで、終わればいいのです。悲劇が終われば、なにも問題はない。
でも、もしギルバートさんが偽物であったならば、悲劇は終わりません。赤い月は出続けます。でも私たちに残された道はありません。あわててギルバートさんが狼さんか狂った方だとして、考え直しても……もう、間に合わなくなってしまいます。

そう、考えるとシャーロットお姉様を、処刑するのが、一番なのかと、思います。

［エッタはへたり込んでぽろぽろと泣いた］
でも出来ない！エッタがわめくの。あの方は違うって！
いくら、エッタのこと生かすためでも、シャーロットお姉様のこと……

……わたくしは、いったいどうすればいいの……？

シャーロット、なぜ自分を殺して欲しいと言うんだ。

ギルが占い師なら、俺は人殺しになるだろう。
それとも、今晩も俺は奴を仕留められないかな。
俺をどんな風に嘲ってくれてもいいよ。

でも、たとえギルが死んでも、あんたが本当にエッタを守るつもりなら、自分の手で残る狼を仕留めようと思わないのか？
あんたから見ればギルは占い師。
だが、占い師の力がなくても、狼を探すことはできるはずだ。
自分自身の目と耳と言葉と、そしてあんた自身が知っている筈の事実―クインジーが狼―と共に。

グレンお兄様、わたくし、どうすればいいんでしょう。
もう月が、のぼってしまう……

ヘンリエッタ！　俺はギルを狼だと思っている。

シャーロットを裏切る行為になるかもしれない、その思いは俺の心を二つに裂いてしまいそうだ。

グレン･･･お前の意見にも考えるべき点はあったが、俺にはやはりギルは討てん。
そして俺はシャルを討つなら昨日討つべきであったと思う。
俺は別にシャルと特に親しくも無かったから討つ事に何のためらいもない。
だがお前達は違うだろう。無理に討たずともいいんじゃないか？
もうシャルが狼だったら仕方ないってところまできてるんじゃないのか？
俺はそんな考えがあってもいいと思っている。

ソフィーもギルを―畢竟シャルをも―信じていた。
それとは別に俺はソフィーを傷付けた人狼を赦す事はできない。
もう１匹表舞台に出ていないところに潜んでいると思っている。

エッタ、お前隠しているだろう･･･
その２面性の性格の後ろに３枚目の仮面を！

でも、クインジーのおじさまを信じるなら、お姉様が狼ですわ…

ギルバートさんの言うこともわかります。シャーロットお姉様の言うことも、正しいと思うのです。けれど、
わたくしは、もう。わからない。

ヘンリエッタの心の裡の煩悶…
俺はよくわかるよ。

俺はずっと気持ちを話してきた。

でも、皆がなにを考えているか…俺にはわからない…

ナサニエルお兄様……信じていただけないかも知れませんが、わたくしは狼さんではございませんわ。
証拠を挙げろと言われましても、わたくしには、エッタの中にはわたくしとエッタしか居ません、としか言えません。
なにか、わたくしに疑わしいことがございましたか？具体的にありましたらお答えするのですけれども。

時間がない。お願い。もうわからないの。

……シャーロットお姉様、わたくし、あなたをころします。

ナッシュ、わかったよ。

悩んだ上で、それでも答えをありがとう。