自警団長 アーヴァイン
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。 この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。 当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。 とにかく十分に注意してくれ。 |
お尋ね者 クインジー −カナン・メインストリート− あぁ……事ある毎に取っ組み合いの大喧嘩だったがよ、仲は良かったぜ? ある日突然、兄貴が行方を晦ますまではな…… あれは俺が小学校に上がってすぐだったか。兄貴が帰ってこねぇんだ。 散々探し回って、警察にも捜索願を出して……だがよ、結局見つからなかった。 それから5年後。ニュースで飛行機爆発事故に巻き込まれたとかで、 兄貴が死んだことを知った。もちろん、死体は見つからなかったが、 搭乗者名簿に、兄貴の名前があったそうだ。 不思議な葬式だったぜ。死体のない棺桶。火葬場に持って行ってもよ、 骨が残ってねぇんだ…… ……っと、何だか暗い話になっちまったな。 せっかくのイブだったのに、すまねぇ。 さ、お目当ての店は、そこの角を曲がってすぐだ。 流石に腹が減って死にそうだぜ…… [...は、自分のふった話が、予想以上に暗くなってしまったことを悔やみ 無駄に明るく*振舞った*] | |
(3)2006/09/17 13:29:09 |
お尋ね者 クインジー なぁロッテ。お前、今の会社に裏の顔がある事は知ってるか? 対外的には大手IT企業って事になっちゃいるが…… 裏では全然違う事をやっている。 家事ロボットの……開発だ。俺はそのプロジェクトチームの一員。 ロッテは気付いたか?あのネリーって子が、人間じゃねぇことを。 リアルとヴァーチャルの違いはあるが、原理と最終的な目標は同じ。 自律神経の確立だ。ラドクリフは俺が所属する裏部署の前任者だった。 普通の人間じゃ、耳を塞ぎたくなるような実験が繰り返された。 そう、生身の人間をパーツとして組み込む。そんな実験だ。 そして10年前、その技術は生身のパーツを必要とする事無く、ある程度確立された。 俺が入社する、5年前の話だ。わかるか? 俺は直接係わっちゃいないが、そんな事が極秘裏に行われていた。 そんなところに属する人間なんだ。俺は…… | |
(41)2006/09/17 19:47:46 |
お尋ね者 クインジー [...は、握られたシャーロットの手に、自分の手をそっと重ねた] そっか……気付いてたか…… ロッテ、そう言ってくれるんだな。 これは、いつか話さなきゃいけないことだって、思ってた。 話さなきゃ、今以上、前に進めないと。 なぁ、ロッテ。こんな事を話したすぐ後に何なんだが…… [...は、椅子にかけたコートの内ポケットから小さな箱を取り出し、開けた] 結婚、してくれねぇか?俺と。 全てを話して、それで俺から離れていくなら、それで構わないと思ってた。 だが、違った。お前は俺を受け入れてくれた。 試すような事して、悪いとは思ってる。でもよ。 この気持ちは、嘘偽りない。愛してる。ロッテ。結婚しよう。 | |
(46)2006/09/17 20:11:08 |
お尋ね者 クインジー [...は、やっぱりか。と言うようにため息をついた] なぁ、ロッテ。俺の所属するところは、社長直轄だ。 当然、社長と何度もツラあわせてる。会社案内の中だけの人物じゃねぇんだ。 もちろん、ロッテ。お前が社長の娘だって事もな、ずっと前に気付いていたさ。 だがな、お前が俺に言ってくれたように…… 俺はシャーロットと言う一人の人間を愛しているんだ。 それ以上も以下もねぇ。社長令嬢だからって、それがどうした。 [...は、シャーロットの顔をこちらに向けさせ、しっかりと瞳を見つめて言い切った] 愛してる。シャーロット。世界中の誰よりも。だから……結婚しよう。 | |
(49)2006/09/17 20:32:11 |
見習いメイド ネリー −小さな公園− [西側の居住地区を更に奥に進んだところ、何十体ものAIが集まったスラムの片隅に、小さな公園があった。公園と言っても名ばかりで、一組のベンチと僅かな遊具しかない。 ネリーは公園の近くをとぼとぼと歩いていた。この辺りには以前、足を運んだことがあった。主人に連れられて通りかかったのだ。 そのとき、このスラムにいるAIは、製作者に置き去りにされたものばかりだと、主人はネリーに教えてくれた。] 「まるでAIの墓場みたいだね…… 行く先も目的もないまま、彼らはここでずっと過ごすんだろうよ。 ここでずっと、永遠に。」 [ひどく静かな声で、主人はそう言った。何があっても怒らず、いつも優しい主人のそんな声を聞いたのは初めてで、ネリーが不安げに見上げると、彼は優しく微笑して、ネリーの頭を撫でた。] 「僕は君をここにいるAIのようにしたくはないよ、ネリー。 ……さ、行こうか。もう暗くなるし、急いで戻らなきゃね。」 [それはほんの、つい先日のことだった。あのときから主人の様子はおかしかったが、まさかいなくなるなどとは思っていなかった。] | |
(61)2006/09/17 22:34:10 |
見習いメイド ネリー [スラムに来たことに、深い意味などなかった。ただ、少しばかり、一人ぼっちになった自分がここに住み着くAIに似ていると思ったのかもしれない。 作るだけ作って、登録などの必要な作業もせず、ゴミでも捨てるようにAIを置き去りにした製作者たち―――そんな人間に作られたAIがかわいそうだと、主人から話を聞いたときに思ったネリーだが、今は自分も一人ぼっちだ。いつも隣にいる主人はいない。] …………ぁ。 [マーガレットのような、白くて可憐な花が何輪か咲いているのを見て、ネリーはそれをぷちぷちと摘んだ。そして、ブランコに腰掛けると一輪だけ手に取り、残りはスカートの上に乗せた。] ご主人様は見つかる、見つからない、見つかる、見つからない… [そう言いながら、一枚ずつ花びらを毟る。そうしていくうちに残った花びらは三枚―――見つからない、見つかる、見つからない。] ………。 [ネリーは、三枚だけ花びらの残ったその花をぽいっと捨てた。それから、また一輪手に取ると、同じように花びらを毟り始めた。] | |
(62)2006/09/17 22:34:59 |
見習いメイド ネリー [いきなりラッセルが謝るとは思ってもいなかったネリーは、思わず面食らった顔になり、きょとんとラッセルを見つめた。自分は昨日、「やだ!」だの「来ないで!」だのと言った挙げ句に、彼の前から逃げたのだ。どう考えても、責められるのは自分の方なのに。] ………ぁ。 えっと…… その、ねりぃも……ごめんなさい。逃げたりなんかして…… ……謝ろうって、謝らなくちゃいけないって、思ってたのに。 [その後に続く言葉は、うまく出てこなかった。謝らなくちゃいけないって思ってたのに―――何だろう?一体自分は、何を弁解したいのだろう。うまく言葉が出てこないのがもどかしくて、ネリーはぽろぽろと泣き出した。] | |
(83)2006/09/18 00:49:25 |
修道女 ステラ −トイ・ストア→メインストリート− [ 人ごみの中を、大きな紙袋を手提げに...は歩いていた。魅力あふるる品々の、怒涛の誘惑に負けて、長時間悩む羽目になった...は、己の決断力の弱さを情けなく感じた。 それだけ企業が努力した結果なのだ。妙な慰めを言い聞かせ、...は納得した。 大きな荷物など持たなくとも、データ転送で届けることは可能だが、それでは買い物をした気分が半減してしまう。わざとらしいかしらと人目を気にしながらも、...は座れる場所を探し始めた。] さすがにお腹がぺこぺこです……。 [ 耐えきれず、荷物を地面に置く。袋の口から、うるさいぐらい彩度の激しいリボンが並んでいた。] 重量を再設定してもらうべきでしょうか? ああ、でも、それは何かに負けた気がして……、悔しいかもしれません。とても。 [ きょろきょろと辺りを見渡せば、レストランエリアをすぐに見つけることができた。...は、『もう一頑張りですね』と、ふらつきながら進み始めた。] | |
(91)2006/09/18 01:42:54 |
修道女 ステラ −レストラン・店内− [ 店主は...を一瞥すると、すぐに厨房へ視線を戻した。即座にウェイトレスが満面の笑みで...に声をかけた。] 「いらっしゃいませ! お一人様ですか?」 [ 一番近いから、という安直な理由で店を選んだ身としては、思わず萎縮してしまう程の愛想だった。...は申し訳なさそうに、「はい」と答えると、ウェイトレスは通りに面した窓際の席へ案内してくれた。「当店でもっとも眺めのいい席ですよ」と微笑まれては、感謝の言葉をかけるより他ない。 飲食店だというのに、店主は長髪だった。だが、外装と割り切れば、通常見かけない光景でも次第に慣れてしまうものだ。多聞に漏れず、店主はA.I.ではないようだ。 遠目からなので確信はないが、外れてはいないだろうと思う。 こと、飲食店に関しては、まだまだ人間が幅をきかせているらしい。味覚のことを考えれば、それも自然なことかもしれなかった。] イリュミネーションに雪……。確かに素敵ですね。 [ 大きな窓が描く景色に、疲れを忘れて...は笑った。] | |
(98)2006/09/18 02:31:50 |
見習いメイド ネリー ……ねりぃだったら、ご主人様が口を聞いてくれなくなったり、笑ってくれなくなったりしたら、死にたくなるかもしれない。もう、いなくなりたいって思っちゃうかもしれないな。 そう、だよね…… ねりぃもね、諦めたくなんかないよ。 絶対に、ご主人様を見つけたいの。 だから……そろそろ行かなくっちゃ。ご主人様を探さなくっちゃ。 ねりぃの話、聞いてくれてありがとう! あなたの答え、すっごく参考になった。 今度会うことがあったら、あなたの話も聞かせてね。ばいばい! [ラッセルに手を振ると、スカートを翻してネリーは走っていった。 ふわりと一陣の風が吹いたかと思うと、次の瞬間、ネリーの姿はもう*見えなくなっていた*] | |
(112)2006/09/18 03:57:06 |
学生 ラッセル ─現実世界・???─ [月明かりのみの薄暗い部屋。ピッピッピッという電子音が一定のリズムを刻んで鳴り続けている。部屋の中央には、白いベッド。そしてその周囲には夥しい数の機械。そこから伸びるチューブや配線はベッドの上……そこで眠るひとりの青年の体に接続されている。ガチャリとドアを開け、そこに入ってきたのはセミロングの20歳前後の女性。その女性──まあ、私なんだが──は、ベッドの傍らに立ち、そこで寝ている男性の顔を覗き込む。その顔はAWN内での私の顔にそっくり(まあ当然なんだが)であり、寂寥感が募る。しかし、一瞬ギュッと目を瞑ると、にっこりと笑みを浮かべ] ……こんばんわ。体の調子は……悪くは無いみたいだね。 [チャラリと青年の首からかかる自分と同じロザリオを見つめ] ……そっか。あれからもう2年……経っちゃったんだよね。 あの時、私がドジ踏んで。なのに私の方が残っちゃって。 [青年の手をギュッと握る。耐え切れずぽろぽろと涙を流しながら] ねぇ、笑ってよ。それから、昔みたいに頭を撫でてよ。それからそれから、他愛も無いお話しようよ。………ねぇ、『お兄ちゃん』。 | |
(129)2006/09/18 19:03:17 |
学生 ラッセル ─南区画・セキュリティ研究所─ [自動ドアをくぐり、建物の中へ。オフィスに顔を出すと既に何人かのメンバーが揃っていた] ああ、お待たせしました。……で、詳細は? 「ああ、それなんだが。実は上でも原因は特定できていないらしい。サーバーには何ら問題が起きていないそうだからな。」 えっ、そうなんですか? ハッキング・クラッキングだとしても、何らかの痕跡は残るんじゃ。 「ああ、だから上もお手上げで、こっちにまで飛び火してきたってわけだ。ということで、データも来てる。さっさとミーティングを始めるぞ。」 [そう言い、ぞろぞろと会議室へ。その後を付いていきながら] 『原因不明。AWNには異常なし。……まさか、ね。』 | |
(155)2006/09/18 23:51:16 |
学生 ラッセル Warning……!! Warning……!! 「何が起こっている!?」 「わかりませんっ。ただ、『カナン』にログインしていたユーザーが次々と強制ログアウトさせられています。」 「『カナン』管理プログラム、次々と書き換えられていきます。」 「こ、これは?」 「どうした!!?」 「強制ログアウト終了後も、『カナン』内にユーザー反応アリ!?」 「何だとっ!!? 全員ログアウトされたんじゃないのかっ。」 「いえっ。確かに反応がっ。それも複数っ。」 「管理プログラムの書き換え、止まりません。このままでは完全に乗っ取られてしまいます。」 「物理的強制停止はっ。」 「駄目です。中に残されたデータが消失してしまう恐れが。そうなると残されたユーザーの精神も。」 「管理プログラム、完全に書き換えられました。都市区画『カナン』の管理が完全に我々の手を離れます。」 「くそっ。デバッグチームはっ!?」 「はっ。……デバックチームより報告。『アーヴァイン』がログインに成功。これより事態の収拾に勤める…と。」 「そうか。……それで、残されている反応はどうなっている?」 「はっ。残存反応数……『9』です。」 | |
(160)2006/09/19 00:00:37 |
見習いメイド ネリー −住居兼研究所− [南側の学術研究区画にある、一軒の住居兼研究所。そこにネリーは来ていた。数日前まで、主人と暮らしていたところである。知人のコネにより、もっといい条件の物件を格安で貸してもらうことも可能だったのだが、いつネリーに何があっても大丈夫なように、と主人はここを借りたのだ。ある学者が建てたものであるこの研究所は、今は持ち主がおらず、空き家になっていた。] ご主人様!ご主人様ー!! [ネリーは研究所に入るなりそう叫んだ。しかし、返事はない。] ……やっぱ戻ってきてないかぁ。 [どれだけわずかな可能性だとしても、1パーセントでもあるのなら賭けてみようと思ってネリーはここに戻ってきたのだが、やはり主人はいない。ネリーは溜息をついた。] | |
(171)2006/09/19 00:32:35 |
見習いメイド ネリー [ネリーが今いる部屋は、リビングとして使っていた部屋である。ふと、何気なく部屋の隅にあるサイドボードに目をやると、そこには一枚の写真があった。金髪の少年と、エメラルドのような深い緑色の髪の少女が映っている。 何かに魅入られたかのように写真を見ていると、突然激しい揺れが起こり、ネリーはそこに立っていられなくなった。サイドボードの上に乗っていた写真立ても、がしゃんと音を立てて落ちた。] ………っ!? 何、これ……地震? [強い揺れにネリーはうろたえたが、室内にいてはいけない、早く出なくてはと思い―――落ちた写真立てから反射的に写真を抜き出すと、エプロンのポケットに入れて、研究所から飛び出した。] | |
(173)2006/09/19 00:32:51 |