牧童 トビー [少しだけ表情を曇らせる。 顔は見られたくないのか少しだけ俯きながらぽつり、ぽつりと] たくさん、いなくなっちゃった。 でも…じんろー、みつけた。 けれど、それよりもたくさんの人が…いなくなっちゃてる。みんな、いい人だった。優しい人だったのに。 ……辛いね。辛いよね。 なんで、こんな事になっちゃったんだろう。 ソフィーにーたんは、この村に来たばかりだったから、あんまり知らないかもしれないけど……ハーヴェイにーたんも…ヒューバートおじたんも…普段は…とっても、とっても優しかったんだよ? けど、じんろーさんだった。 ……だから…死んじゃった…。 わかってるよ。こんな事いうなんて……わかってるけど……なんだか、悲しくて。 あ、ついたっ!ありがとー。ソフィーにーたん。 | |
(21)2006/07/27 18:16:45 |
酒場の看板娘 ローズマリー [夜の闇が村を支配する頃、ローズマリーはそっと起き出した。 震える手を握り締める。いつものように気分が悪くて臥せっていたのではない。 昨夜は集会場に夜遅くにこっそりと紛れ込んだ。話し合いは佳境に入っていたらしく、ローズマリーが入ってきたことにも気付いた者は少なく、ラッセルとヒューバートに視線が注がれていた。 話はよく理解できなかったが、昨夜見たヒューバートの姿が忘れられない。いつも穏やかな笑みを浮かべていた紳士の隠された一面に、なす術もなくぼんやりと見ていた。 ぼんやりと……] ケネスさん… [小さく呟く。悔いるように自身の手のひらを見つめる。ケネスが人ならざる者であるヒューバートに食って掛かった時、止めることもできなかった。 そのまま、殺されてしまうのでは……と思わずローズマリーは瞳を閉じた。 そう……瞳を閉じたのである。 何もできなかったのではない。何もしなかったのである。ケネスが危険な目にあっても…何一つしなかったのである。声1つあげられなかった。 そんな自身をずっと1人責め続けた] | |
(25)2006/07/27 21:26:33 |
酒場の看板娘 ローズマリー [ハーヴェイが人狼らしいと知っても、ヒューバートが人狼らしいと目にしても… それでも、憎めなかった。嫌いになど到底なれなかった。 死んだんだろうなと思うと心が痛んだ。人狼なんだから、どこかで生き延びていてくれたら…とさえ思った。 誰が死んでも心は痛い。人狼が死んだから喜べるかと言えば、そんな単純には人間の心はできていない。 ……人狼が全員死んだとして……その先に待つ未来は果たして明るいものなのだろうか? 誰かの犠牲の上に成り立つ未来なんていかほどの価値があるのだろうか? 空を見上げて泣きそうになった。 何ゆえ、共存できないのだろうか?それは人間としてのローズマリーの我侭であった。何も好んで人の肉を食らわなくても…と思う。 だが、食らいたくもないのに、食らわなければ生きていけないのが人狼という種族なのかもしれないと思う。 それに……人狼だけが、好物を我慢する生き方を望む自身はやっぱり自分勝手で欲深い生き物だなと寂しげに笑んだ] | |
(32)2006/07/27 21:53:19 |
酒場の看板娘 ローズマリー [空をぼんやりと見上げる。 誰が死にそうになっても、誰が危険な目にあっても、この手は助けることすらできない。 この声は発することすらできない。 この体は動くことすらできない。 何のために集会場に行くのだろうか?ただ物見遊山な観客でしかない自分に嫌気がさす。 今日こそは…そう心に秘めても、きっと、またいつもと同じことになるのだろうなと思う。 それでも、義務感から集会場の扉を開けようとした。 今日はいつになく重く、簡単には開かなかった。 自身の腕を見つめて、驚いて目を見開く。いつのまにこんなに痩せたのだろうか? そういえば……もう何日まともに食事を食べていないのだろう? ローズマリーは集会場の扉を無理に開くのを諦め、誰かが来るのをその場でぼんやり夜空を見上げながら待った] | |
(41)2006/07/27 22:30:40 |