酒場の看板娘 ローズマリー [夕闇の帳が下りる頃、1人皆の視線を避けるように出かけだす。 その手には大きなバスケットを持っており、ローズマリーが常日頃外でお茶をする時に欠かせない姿であった。 ふらふらと力なく歩き、目的地に着くと、いつものようにテーブルクロスを広げる。 震える手で、お茶を淹れながら、対面にもカップを置き、お茶を淹れる。 木苺が描かれたカップを片手にお茶を一口口に含む] ………ネリー… [ネリーと一緒にお茶を飲もうとバーゲンで買ったカップが使われることは遂になかった。 対面に置かれたカップを見つめ、寂しそうに笑む。いつもなら、美味しいと見るものを幸せにしてくれる笑顔で微笑んで飲んでくれる友がもういない] | |
(3)2006/07/26 20:27:25 |
酒場の看板娘 ローズマリー [皿の上に広げられた真っ黒に焼かれたクッキー。 今日は、クッキーを焼く気分ではなかった。だけど、それでもクッキーを焼いた。あえて真っ黒に焼いた。 クッキーを一枚手に取ると口にする] ……苦い……ね。 [口の中いっぱいに広がる焦げた味。] 苦い……苦いよぉ…… [ぽろぽろと零れ落ちる涙。ネリーの死を聞かされた昨日は辛うじて踏みとどまった。泣いたり、気を失ったり、叫んだり…そんな弱い自分のせいで話し合いが滞ってはいけないし、心配をかけてはいけないと踏みとどまった。 ケネスとヴィンセントと別れ、1人になって、いざ泣こうと思ったが、泣けなかった。 心が凍結したように、泣こうと思っても泣けなかった。 だから、何かきっかけが欲しかった。 泣けるようなきっかけが…ローズマリーは再度焦げたクッキーに手を伸ばし、口に含んだ] ……苦い…… [再度同じ言葉を呟くと、声もなく泣きじゃくった。手に持つカップの中のお茶にぽたぽたと零れ落ちる涙が波紋を広げた] | |
(4)2006/07/26 20:33:57 |
酒場の看板娘 ローズマリー [涙でしょっぱくなったお茶を飲み終えると、そろそろと片づけを始めた。 対面に置かれたカップのお茶が減ることがなかったことが、ネリーの死をまざまざと見せつけるかのようで、悲しかった] ……あっ…… [涙でぼやけた視界のせいで、対面に置かれたカップを持つ手元が狂った。 かしゃんと音を立てて、カップが地面に叩きつけられ、割れた。 お茶が見る間に地面に染みを作る] ………ネ……リィ……… [割れたカップを見つめると、さらに泣けてきた。砕け散ったカップは二度と元には戻らない。零れ落ちたお茶はなおさら、元には戻らない。 それが、見てはいないけれども無残に殺されたというネリーの姿と被って…… 肉体から零れ落ちたネリーの魂が二度と戻ってこないことを暗示しているかのようで…… どうしようもなく涙が溢れてきた。 一対だけテーブルの上におかれたカップが寂しげに夕闇の中に浮かんでいた。 どうしていいか分からず、テーブルの上のカップも地面に叩き付けたい衝動に駆られた] | |
(5)2006/07/26 20:44:21 |
学生 ラッセル [酷い傷だった。両腕と上半身を中心に大小28箇所の裂傷。 包帯で応急処置を施すと、そのまま眠ってしまったらしく、目を覚ませば、既に日が沈もうとしていた。 傷を隠せるように、ゆったりとした服装に身を包み、昨夜の出来事をソフィーに報告しようと、家を出る。] ……〜〜〜〜っ。 これは、きついなぁ……。 [ふらふらと、夕暮れの道を歩く。昨日の薬が切れたらしい。 声帯変化と共にもう一つの役割を担っていたそれは、正体を隠すだけではなく、痛覚も和らげていた。 だからこそ、簡単に眠る事が出来たのだが――] あ、痛た……。いや、痛くないっ。 [まともな手当てを受けるまでは、我慢しないといけないようだ。] | |
(6)2006/07/26 20:48:12 |
酒場の看板娘 ローズマリー [カップを叩きつけようとして、力なくテーブルの上に置いた。 今、このカップを叩きつけてみたところで、何一つ変わらないことをローズマリーは知っていた。カップを叩きつけたところで、ネリーの元に行けるわけではないし、行ったところで笑顔で迎えてくれども、きっと悲しそうな顔をするに決まっている] どうしたらいいのかなぁ? [ぼやくように呟いた声。人狼が憎くないかと問われれば、憎くないと言えば嘘になる。だが、生来人や何かを憎んで生きてきたことがなかったので、憎んだところで何ができるわけでもなかった。 人狼に死んで欲しいかと問われれば、答えは否だった。例え、誰を殺したところで、死んで償いを求めたくはなかった。生きて、生きて、生きて欲しい。 特に、集会場の中にいる人たちは、ローズマリーにとって大切で、特別で、誰が人狼だったとしても恨むことや憎むことなど到底できそうになかったから。] もう……やだ……やだよぉ… [集会場では吐けなかった弱音…誰も聞いていないと思い、夕闇の中、近づいてくる足音には気付かずに、呟いた] | |
(8)2006/07/26 20:53:42 |
酒場の看板娘 ローズマリー [誰かに呼ばれる声に、振り返る。 そこには、いつものように、人懐っこい笑みで手を振るラッセルの姿があって、ローズマリーは慌てて涙を拭う] あ、ラッセル…さん…… こ、こんばんわ〜今日も暑いですね…… [そこまで話してみて、ラッセルの様子に違和感を覚える。心なしか表情に元気がなく見え、その分声の明るさだけが浮いていた。 だが、こんな状況だから、いくらなんでも能天気に笑えるわけがないなと思う。 それでも、心配そうに問うた] ……お元気ですか…? [ここ数日集会場では会っていたが、自分のことで精一杯で個人的には話すことがなかったラッセルの様子が思い出せず、気遣わしげに見つめる] | |
(12)2006/07/26 21:06:41 |
酒場の看板娘 ローズマリー [ラッセルの言葉に、ハッと気付いて顔を上げる。 最近、俯いてばかりだったような気がする] ……ん〜今度、酒場にいらして下さいな。一杯だけでしたら、お酒飲みます? [寂しげな瞳にしばし逡巡し、少しだけいたずらっ子のような瞳でラッセルを見つめ、笑む。わりと常識に囚われがちなローズマリーには未成年だとか気にはなるが、それよりもラッセルが少しでも元気を出してくれたらなと思う。 お酒はよくも悪くも嫌なことを忘れさせてくれるから…] ……きっと、辛いのは私だけじゃなくって……私は何もできなくって、だけど、何か力を持っている人は戦うしかないから……そっちの方が辛い気がします。 [結社のソフィー、霊能者のシャーロットの表情を思い浮かべ、小さくため息をついた。何も力になれない自分が嫌になる] | |
(15)2006/07/26 21:20:27 |
酒場の看板娘 ローズマリー [ラッセルの笑顔に幾分力が戻った気がして、釣られてローズマリーも笑む。 今度は少しはうまく笑えた気がする] でも、本当に一杯だけですよ?あと、軽めのお酒じゃないと駄目ですよ? [やはり常識に囚われているローズマリーは、ラッセルにそう呟く。本当は一緒にお茶を飲みたかったけれども、今日はもう品切れだし、お酒の方が喜んでくれるからいいかなと思った] 皆を呼んで乾杯しましょうか?………すべてが終わったらですけど… [そう呟き、目の前が真っ暗になった気がした。すべてが終わることなんてありえるのだろうか?否、すべてが終わる時には、一体誰が生き残っているのだろうか?そこまで考え、首を振る] ……私は戦えてないです。本当に何一つできなくって……集会場に行くことくらいしか…できていないから… [大切な友達1人守れなかった。弟のように思っていたコーネリアスも守れなかった。誰1人守れなくて、それでものうのうと生きている自分が嫌になった] | |
(19)2006/07/26 21:33:22 |
学生 ラッセル わかってるよっ。そんなに強くないお酒だね? ……うん。みんなと一緒に、みんなの為に飲みたいな。 [と、気付ばまた俯きがちになっているローズの隣に座ると、軽く頭をぽふぽふと撫でた。] 希望を捨ててないじゃないか。だから辛いんでしょ? 必死に絶望と戦ってるから、苦しいんでしょう? 力があっても、力がなかったとしても。そこはきっと変わらないと思うんだ。 誰もが、この現実と戦っているんだよ。 ローズだって、ね。 [穏やかに微笑んだ。 大切な同居人を二重の意味で失い、大切な妹のような友を失い、それでも。 ローズを穏やかに見ている目は、いつか全てが赦される日を信じていた。] | |
(21)2006/07/26 21:39:36 |
酒場の看板娘 ローズマリー [頭を撫でられ、また俯いていたことに気付き、顔を上げるとラッセルににこっと微笑んでみる] 力が……あったら………ずっと、そう思ってた。 [そう呟き、それが逃げであることを理解する。認めたくはなかった。だが、力がないなら、ないなりの戦い方もあったはずだ。だけど、何一つできなかった。] ……今、私ができることは何もないかもしれないけど…それでも、微笑んでいられたらなって思った。たとえ誰が狼でも、どんな最後を迎えても… 憎むより……許せる強さを持てたらいいね? [寂しげに微笑んでみると、そっと席を立つ] さてと、そろそろ行かなきゃ…ね? [ラッセルににこっと微笑むと、集会場をまっすぐに指差す。行きたくない気持ちは変わりないが、それでも歩いて行こうと思った] | |
(24)2006/07/26 21:57:26 |
学生 ラッセル [集会所に辿りつくちょっと前。 ヴィンスの病院で治療を受けながら、ちょっとしたやり取りが合った。] うん……話の大筋としては、そんな感じだったよ。 [怪我の経緯を話しながら、治療を受ける。] で。多分、今夜は仕掛けて来ると思う。だから、ソフィーもヴィン先生も、十分に気をつけてね。勿論、僕も何とかするつもりだから。 正直気がかりなんだ。……あれは、普通の人狼ではなかったから。 禍々しく力も強くて、何より対人狼の銀剣で深手を負わせても、尚猛る獣性を持っていた。普通の人狼だったら仕留められた筈だったのに、こっちが仕留められかけた。 はっきり言おう。昨夜は運が良かった。 今夜はどうなるか、わからない……。 ――このままだとね。だから……。 [そう言って、切り札を仕込むべく、医師にとある相談を持ちかけていた。] | |
(50)2006/07/26 22:59:34 |
医師 ヴィンセント [現場での鑑識には多くの議論がある。 一般的には人数が少なければ少ないほど良いとされているものの、ほとんどの地区では、結社が多くの自警団を現場に投入する。 しかしヴィンセントは、大概の現場を単独で探索した。 自分の他にも鑑識をする人物がいると、万が一証拠を見逃しても、 残りが、パートナが見つけてくれると――たとえ無意識でも―― 考えて、集中力が削がれ、注意が散漫になりがちだからだ。 しかし、単独で捜索すべき理由はそれだけではなかった。 犯罪の現場には不可解な親密さが存在することをヴィンセントは知っていた。たった一人で現場を歩けば、加害者、被害者との間に心理的な繋がりが生まれやすくなり、発見すべき証拠がなんであるか、それが何処で見つかる可能性が高いかについて、いっそう深い洞察を得ることが出来る] ・・・・・・・・・。 [死体のない現場を見据えながら、ヴィンセントの心は今、そのやっかいな状態に引き込まれようとしていた] | |
(150)2006/07/27 07:40:30 |