冒険家 ナサニエル [いつどうやって家に帰りついたのかすら判然としない。 差し込む日差しに目を細める。 身を沈めたソファの周辺には数本の酒瓶が転がり、テーブルには琥珀色の液体が底に残る赤紫色の指紋の浮いたグラス。 膝に両肘をかけ項垂れたまま両手に顔を埋め息を吐く] ■■■■ [片手で顔を覆ったままグラスに手を伸ばし、喉を焼くような感覚以外は味も碌に判らないままに煽り、ふらりと立ち上がれば浴室へ向かい血に塗れた服をのろのろと脱ぎ捨てる。 熱いシャワーを頭から浴びれば、僅かに気の緩んだのか止め処なく瞳から零れ落ちる雫も水飛沫に混ざり流れ落ちて、赤紫色の水と共に排水溝へと飲み込まれて*いった*] | |
(31)2006/05/30 12:41:19 |
医師 ヴィンセント [ふらふらと診察室に戻ると、ニーナが検死に付いて来たいと、辛そうな表情だが何かをしっかりと決意したような表情] 中には…入らないで下さいね。外で待っているのなら…構いませんよ。 [そう伝えると、暫くじーっと見つめられるも、真剣な表情を返すと、やがて頷く 遺体安置所につくと入り口で待っているように言い、静かに扉を開けた…そこには ――2人"いた。" 静かに手を合わせ、白い布をはらりと……] ………っ……!! [ヒューバートの死体を見て、思わず嘔吐感に襲われる。 セシリアは首と胴体が切り離されている。 思わず手で口を押さえなが、一歩後へ退く………] | |
(89)2006/05/30 21:42:10 |
見習い看護婦 ニーナ [入り口で待っている間。 扉の前で膝を抱える。 俯くように地面を睨む。 着いてきたのは、セシリアに最後にもう一度会いたかったから。 だけどもちゃんと見て、冷静で居られる自信はない。 だからここで待つ事に頷いた。 この扉の向こうにセシリアが居る。 …そして、ヒューバートも。 他にも、今まで殺された人、死んでいった人が、 一度はここに居たんだと思う。 ――私は。見てない。 人狼に襲われた人の身体を、見た事がない。 セシリアの記憶でしか、それを知らない。 処刑も、昨日を除くと一度しか、見てない。 …その一度は、どこか。とても。遠くに感じた。 それはきっと、逃げていたから。事実を否定していたから。 今は。―――今は? ふと、セシリアの言葉が甦る。 ――― 事実から ―――。] | |
(90)2006/05/30 21:52:22 |
見習い看護婦 ニーナ かーえーるーのーうーたーがー… [ぽつりと、呟くように歌う。どんな感情だったかは、解らない。 ただ、涙が溢れそうになって、また俯いた。 私は。――――弱い。 強くなりたいと思うのに。とてもとても、思うのに。 感情がついていかない。怖い。 何度も同じ事を繰り返す。失敗ばかりを繰り返す。 襲われた彼らを見たからと言って何かが 変わるわけでもないと思うけれど。 ふと視線を扉へと向ける。 あの中には、ヴィンセントも居る。 そんな中に、1人で居る。 いつか、その中に仲間入りしてしまうんじゃないかと。 不安。 不安。 …とても、不安。 思わず立ち上がる。ただじっと、その扉が開くのを、待つ。] | |
(91)2006/05/30 21:53:04 |
お嬢様 ヘンリエッタ [ナサニエルに頷こうとして―― まとまりかけていた気持ちは、そこに割り入る男によって、壊された。 その欠片が、目の前の男に憎しみとして注がれる] …ッ!! [咄嗟に手が出て、ヴィンセントの身体を突き飛ばしていた。 彼が居なくなった事によって開けた視界に、一人の少女が見える。 この医者に取って、おそらくは――大事な人間] …に、そんなに…憎むのなら…! お前も背負えばいい、悲しみを背負えばいい…ッ!! [彼にとって、おそらく一番残酷な。 彼自身が死ぬよりも深い絶望であろうその行動を思いついた瞬間には、身体が飛び出ていた。 目の前に居る少女に向かって、迷う事無く左腕が突き出される] | |
(118)2006/05/31 00:35:46 |