流れ者 ギルバート [二つの人格が生まれたあの日…――― 両親と、組織の家族が何よりも大切だった日々。 突然の愛する父の死。そして、母はギルに頼んだのだ。 愛する人の手で、愛する人の下へ逝かせて欲しいと。 嫌がる事も意味なく、やがて引き金に手が伸びた。 母は、最期……笑っていた。 そして生まれた…"アンダルシア" 人を躊躇なく殺すために。冷静に仕事を行う為。 けれど…どこかで求めてしまう。 あの瞬間に失った――家族。愛。 その寂しさを埋めるように、何度も何度も違う女性を抱いた。 けれど、心の穴は埋まらない。 ただ、家族が欲しいだけなのに… ただ、愛を知りたいだけなのに…] [いつからか二つの人格がお互いを補い合うように共存を始める。もしも、再び一つの人格に戻れる事があるのなら それは、二つの異なる人格両方を愛してくれる人の存在が…] [昨日…二つの人格が…一つに解け合っていくのを感じた…] | |
(32)2006/04/13 19:03:29 |
冒険家 ナサニエル [...は、アンダルシアを、ギルバートを、まっすぐに見つめる。 言葉を聞く。 …。 彼は、表情を崩さなかった。 この一週間で。 いったい何人のファミリーが消えて行っただろう。 いや、自分が、消し、そして、失ったファミリーが何人いただろう。 ミモザ。 自らの手で、彼の命を奪った。 その、体に、一瞬ですべてを奪う様、鉛の弾を撃った。 ホワイトパール。 彼女は、確かに、ファミリーを裏切ったかもしれない。 そして、その行為に対し、キール・ロワイヤルへ、彼女の命を奪う様、言い渡した。 そして、ホワイトパール、キール・ロワイヤル。 二人の命を、奪った。 その歪が、フォルティノの最期を、作った。] | |
(66)2006/04/14 02:17:13 |
冒険家 ナサニエル [...は、崩れ落ちる友人を、家族を…ギルバートを眺めながら、光景が浮かぶような思いだった。 レッドバード。 幼少のファミリー。 フォルティノの娘…集金だといって、財布を渡すところは、まだ子供だった。 彼女は、父を信じ、そして、父のために。ファミリーのために。 エルーセラ。 忠義を誓い、そして、その心故に、身を侵され。 彼女もまた、信じる家族と、ブルームーンと対峙し、そして、倒れた。 身を侵されながらも。 自分に、ファミリーに、最期まで、心を置いてくれた。 ブルームーン…優しい娘だった。 状況が違えば、彼女のような優しく、幼い少女が、血を産むこんなところになど、いてはいけないのに。 …優しい少女。 なぜ命を奪われなければならなかったのか。] | |
(79)2006/04/14 02:40:11 |
冒険家 ナサニエル [視界を、白が覆い尽くす。彼は瞳を閉じる。 目を開けたら元に戻るだろうか ルシアンは、また物騒なことをして、自分はそれを小さくとがめる。 彼は小さく不服を告げて。 セイレーンが、その姿に似合わぬ雰囲気で、仕事の結果を告げ、それに対して、首を上下に振る。 …しかし、二人はもういない。 お互いの命を奪い合った。 …奪い合った? 彼は、まぶたを開けた。 血まみれのルシアン。そして、セイレーン。 セイレーンの手に握られた拳銃、ルシアンの手に握られた拳銃。 お互いの命が、それぞれによって失われ。 そして、消えていった。 …セイレーンへと、ルシアンが粛清? …違うさ。 セイレーンをそうさせてしまったのは、おそらく自分なのだろうと。小さく彼は苦笑を漏らした。 ルシアンが、少女の、家族の命を奪わなければならない悲しい状況を作ったのも、きっと、自分の至らないところだったのだろう。] | |
(82)2006/04/14 02:50:36 |