人狼審問

綺麗事？
違いますよ、今この瞬間…僕も安易に流れてしまった、それだけです。

碌に考えもせず、衝動的に怪しいと思った人を殺す。
人を殺すと思うと苦しいから…。
衝動的になることで言い訳を作る。

綺麗事と言われようと冷血だと言われようと
悩むことが必要だった。
でも、僕も甘ちゃんです。
貴方に殺されるのは嫌だとエゴ剥き出しですね。

[至近距離でラッセルが銃を撃とうとしている。
ステラの目の前で脳髄に響く鋭い音がして、銃弾が左の脇腹をかすめた事を、熱さで感じた。生物としての本能的な危機感。]

【…………っ！！
死ぬのは嫌だ……。】

[ステラは痛みを堪え、ほとんど倒れ込むようにして、ラッセルの首筋にナイフを振るった。]

［…は何かを喋ろうとしたが首から溢れる血で何も喋れない。そのまま最後の弾丸を放つことなく崩れ落ちる］

【ご…めん。ああ、綺麗だ、エッタ】

【……ラッセルさん。
この人は人狼なのに、何故分けの分からない事を言うの？

考えが甘すぎて……、
これじゃあまるで人間みたい。

……人間？】

[ステラは身内に沸き上がった違和感を打ち消すように、再びラッセルの首にナイフを突き立てた。]

[全てがスローモーションに見えた。

閃光、銃声、血飛沫

そしてゆっくりと倒れるラッセル。]

！！！！！

[再度ナイフを突き立てるステラに背筋が寒くなった。]

……ス、ステラさん？

これで……終わりなのかな……

[ステラがどんな意味で首を振ったのか判らずに呟いた。]

……ハーヴェイさん。
ラッセルさんは人間でした。

[ステラの中に何かが忍び寄って来る。それが、ネリーとデボラが人間であると告げた声の持ち主である事が、ステラにはすぐにわかった。黒く長い髪の女がゆっくりとステラに重なり……。]

……え？

[…は、意味がわからない。]

そして、人狼は私と……,

[シャーロットを指差した。]

………。

【……赤い…赤…………】

〔シャーロットは、ショールで自らの身を隠した。それを外すと、金髪と赤い瞳の、シャーロットよりも背の小さい少女が姿を現した。〕

『あいあいあいっ！！
　お呼びですかロザリーっ！！

　………っと。
　ハーヴェイさん、だよね。うん。

　初めまして。
　アタシ、人狼のチェルシー。
　よろしくねっ♪』

〔チェルシーは、ハーヴェイにニコリと微笑んだ〕

【……血………出てる……駄目…止めなきゃ……。…どうしたら…この血は…元に戻る…の…か…な…】

[大量に浴びたはずのラッセルの返り血は、ステラの青白くみえる皮膚の内側に吸収されるように、みるみる消えて行く。

……人狼であった女と完全に溶け合ったステラは、長い黒髪をゆっくりとなぞり、「チェルシー」と名乗って現れた金髪の少女（シャーロットであったはずの人物）を、ごく当たり前のように眺めた。]

〔チェルシーは、ショールをマントのようにして、ハーヴェイの方を向いている〕

………止まらない…よ…?

どうしたら…いいのかな…?

［ぼんやりと、ステラを見上げる。］

『あっはっはっはっは☆
　おどろいたかーーーーーっ！！！

　………って、驚くよねフツー。

　いやはや、失礼失礼。』

〔チェルシーは頭をポリポリと掻いた〕

ヘンリエッタさん。
……彼はもう、死んでいるわ。
ほら、心臓が止まった……。

………だって、…あったかいよ……?

[目の前で変身？したシャーロット？が微笑むのを、ピクリとも動けずに口をパクパクさせている。]

あ……だ……誰……だ？

【……子ども、ナのか？

なにが起こっていルんだ……？

これが……人狼？】

〔チェルシーは、ハーヴェイの目の前で手をヒラヒラさせている。〕

『ん？ん？ハーちゃん？？？
　だーかーら言ってるじゃーん！
　アタシ、じんろうの、チェルシー。』

〔チェルシーは、腕を組んで考えこんでいる〕

『んあ………そっか。
　そんなに変身シーンが衝撃的だったかぁ……

　まー、それはともかく、よろしく〜♪
　ハーちゃんのことは、ずーっと見てたよ？
　ロッテちゃんと、一緒にねっ。』

……これから段々、冷たくなるわ。
他の人が死んだ時と同じように。
もうしゃべらないし、あなたを守る事もない。

あなたは、ラッセルさんを殺した私が憎く無いの？

［指輪にはメッセージが刻まれていた］

「F.R toC.H(ラッセルからヘンリエッタへ)　
I　can't live without you（君がいないと生きてゆけない）」

シャーロットは……どこに？

ヘンリエッタも人狼なのか？

【やっぱり、何も出来ない男だった……。
自分が先に死んだら、彼女を守る事も出来ないでしょうに。】

『あー、ちゃうちゃう。ハーちゃん。
　ロッテちゃんはしょーしんしょーめー人間っす。
　んで、ロッテちゃんは、ここにいるよん♪』

〔金髪の少女……チェルシーは、胸のあたりを親指で指した。〕

『アタシとロッテちゃんは、3週間前に出会ってー。
　んで、アタシとひとつの身体に同居してたーってワケ。
　………オッケー？？』

〔チェルシーは、赤い大きな瞳で、じーっとハーヴェイの目を覗き込んだ。〕

………憎い…?…何故…?

だってエッタは生きているもの。だからおにいちゃんも、死んでないのよ…?

あ、ああ……

君は人狼って事なんだね？

[ステラはゆっくりとヘンリエッタに向かって首を振った。]

……ラッセルさんと一緒に居たいのね。
いや、一緒に居るんだ。

［ラッセルの血で汚れた顔で、ステラを見る。］

………うん。おにいちゃんとエッタは…いつも一緒だよ。

…約束したもの…。

『Yes,Sir!!!!!!!
　ついでに壁の落書きや花冠も、アタシの仕業だっ！』

〔チェルシーはハーヴェイに向かって敬礼した〕

『………んーと、どこから説明しましょか。
　そーだなー………

　結論から言おう！！
　アタシはハーちゃんが食えんッ！！
　ロッテちゃんが自殺するーとか言うんだもんッ！
　ロザリーが人狼だって言うっていったんだもん！
　んなことできるかーーーっちゅーのッ！！
　……なんでアンタみたいな弱っちい男がいいんだか。
　アタシにはさっぱりわからんちん。

　……ハーちゃん。
　詳しいこと……ロッテちゃんから、聞きたい？』

〔チェルシーは、ハーヴェイにニコリと微笑んだ。〕

[しゃがみこんで、ラッセルの体を抱き締めるヘンリエッタの正面に回ると、ヘンリエッタの瞳を見つめながら、]

じゃあ、一緒に居ると良いわ。
……永遠に。

[最後は呟くように低い声でそう告げると、ステラは鋭く尖った人狼の爪を開き、まだ幼さの残るヘンリエッタの胸に腕をねじ込んだ。そのまま慣れた手つきで心臓を掴み取り、抜き出すとヘンリエッタの目の前で粉々に砕いた。]

そしてそこにいるステラ？も人狼……。

[…は、じりじりとラッセルを抱くヘンリエッタの方に下がった。]

『ぎゃーーー！スプラッター！！』

〔チェルシーは、ステラの方を見て、驚いてみせた〕

『ハーちゃん。
　エッタちゃんに近づかん方がいいよ。
　今ならもれなく、血まみれだ。』

！！！！！！！！！

『だーかーらー
　近づくなって言ったのにー。
　………ったく。
　人のゆーことはキチンと聞こうッ！！』

〔チェルシーは、尻尾をパタパタさせている〕

………。

［自分の心臓が目の前で鼓動を刻んでいるのが見えたが、もう、そんな事はどうでも良かった。］

……。

［そのままラッセルの方に折り重なるように倒れこむ。］

【…そういえば、恥ずかしくて言えなかったの……エッタはおにいちゃんのことが……。ううん。】

……起きてから……話す……ね……

〔チェルシーは、ロザリーをちらりと見た〕

『あー、そうそう。ロザリー。
　絶対ハーちゃんのこと、食べちゃダメだかんね？
　食べたら、アタシがどーなるか、わからん。
　……って、ンなこと、知ってるか。』

〔チェルシーは、ヘンリエッタとラッセルのことは、結構どうでもいいらしい…〕

[手のひらの中で砕けたヘンリエッタの心臓を、赤い舌で舐めとりながら、チェルシーに戸惑ったままの、気の毒なハーヴェイに視線を移した。ケダモノじみた仕草をしながら人間の様な話し方で、]

ハーヴェイさん。
……シャーロットさんはあなたを、私達、人狼の手から守りたかったようです。

『そそそ。』
〔チェルシーは、ロザリーの言葉に頷いた〕

『ロッテちゃんはね。
　もしアタシたち人狼がハーちゃん食ったら、
　誰が人狼だか皆にぜーーーんぶバラして、
　自分も一緒に処刑されるって言ってたんだ。

　いあー、まったく、一途で健気だよねぇ。うんうん。』

〔チェルシーはひとりでコクコクと頷いている〕

……そうか。
僕が最初に死んでいれば、ノーマンに殺されていれば、みんな死ななくて済んだのか……。

すまない、みんな……すまない……。

〔チェルシーは、ショールでハーヴェイの頭をペシペシ叩いた〕

『ちっがーーーーーーーーーーう！！！
　ハーちゃんのアホーーーーーーーッ！！！

　何を聞いてたんだ、おぬしはッ！！！

　………んんん？？？
　あ、何も説明してなかったか。

　こいつぁ失礼ッ！！』

…………。

『あー、ハーちゃん。
　………ロッテちゃんから話、聞きたい？』

〔チェルシーは、真剣な表情になった〕

『………ロッテちゃん、アタシと同化してるけど、
　ずっと、ハーちゃんのこと、想い続けてた。
　聞いてみたいなら、呼ぶよ？』

[ステラ？から銃を受け取った。]

な……？！

……闇が空を覆い、私達の夜が来た。
星の無い夜空に、紅い月が見える……。

[傷だらけの白い腕で空を指し示す、黒髪の女はステラに面差しが似ているが、別人だった。不吉な月光を浴び、ラッセルに撃たれたはずの左脇腹が治り始めている……。]

〔チェルシーは、ハーヴェイが頷いたのを見ると、ニコリと笑った〕

『はいはいっ！それじゃーお立会いッ！！
　レディース・エンド・ジェントルメーン！！
　………って、あ、男女ひとりずつしか居ないんだっけｗ

　それでは今からアタシ、チェルシーが、
　一瞬でロッテちゃんに変身しまーーーっす！！

　見て驚くなよッ！！！イエア☆』

〔そう言うとチェルシーは、ショールをマントのように翻した〕

ナサニエルさんも人狼の姿に戻れば、ギルバートに殺されずにすんだのに……。彼は人狼としてではなく、ナサニエルとして死にたかったのだと思う。

そして、ステラは、今や私と完全に融合してこの世には居なくなった。

〔翻されたショールを持つ腕が、細く筋肉質なものから、白く華奢なものへと変貌してゆく。やがて青いショールがハラリと落ちると…〕


ハーヴェイさん………

ごめんなさい………


〔ハーヴェイの目の前には、シャーロットが佇んでいた〕

いや、いいんだ……。僕が愚かなだけだ。
すまない……。

[ナサニエルとステラを懐かしむように、]

……さようなら。
触れ合えなかった人間の恋人達……。

……貴方を、こんな目に遭わせてしまって……

そして、貴方を………壊してしまった………

ごめんなさい………

………3週間前。

貴方が夜に大きな荷物を持って、
どこかへ出かけるのを窓から見て……
思わず屋敷を出て、追いかけてしまった……

あの夜は、紅い月が出ていて……
深い深い森の中で、わたくしは、
茂みに隠れていたチェルシーに襲われました……

[かつてステラであった女は、何度か瞬きをした後、自分が泣いている事に気が付いた。]

【……私もステラとして死ぬべきだったかもしれない。
でも、私は生き延びる事を選んだ……。

何故だろう……。
ハーヴェイさんが死ぬ所を見たく無い。
人狼として、シャーロットの恋愛を面倒に感じていたのに。
ステラとして、彼の事を私は嫌いだと言ったはずなのに。】

【銃を手渡しても、ハーヴェイはもうすぐ死ぬだろう。
人狼だと疑った恋人に化けた人狼の手によって……。】

それから暫く、わたくしは人狼に食べられたという事実に気づいておりませんでした。

…もちろん、普通の人間として生活しておりましたし、人狼として「人間を食べる」という行動も起こしませんでしたわ。

でも……わたくしの中に潜むチェルシーが、仲間と出会うことによって……わたくしは人狼として、覚醒したのです……。

愛の源なる天主、
主は限りなく愛すべき御者にましますが故に、
われ、心を尽し力を尽して、深く主を愛し奉る。
また主を愛するがために、
人をもわが身の如く愛せんことを努め奉る.....Amen.

[ロザリオに目を移し、これから先も自分は祈り続けるのだろうかと思う。ステラは集会所の窓を開け放つと、暗い夜空の紅い月の下へ*独り先に歩いて行った*。]

………それからは、今、こうして居る通りです。

わたくしは、死を選ぶべきだった。

けれど、貴方を穏やかな世界に帰したかった。
そのためには、人狼としての力が、
………どうしても、必要だったのです。
わたくしは、他の人狼を牽制する、抑止力になれる。
万が一、人狼が貴方を殺そうとしたら、
わたくしは彼らを巻き込んで死ぬつもりでした。


穏やかな世界で生きる貴方の笑顔を……
もう一度取り戻すためなら……
どんな犠牲を払ってでも、わたくしは……

………そう思っておりました。

……ありがとう、シャーロットさん。
ずっと僕を守っていてくれたんだね。

でも、わたくしは………

愚かしくも、貴方と共に生きたいと、思ってしまった。
血塗れた道を歩くわたくしと、それを恐れる貴方。
人狼となり、人間に危害を加えることもあるというのに。

……それでも、一分一秒でも、長く……
貴方と生きて、いたかった………

たとえ、貴方に、殺されようとも………


………それでも、良かったのです………

………守る、と言うのは、おこがましいですわ。

わたくしは、貴方が人を殺したことに………
……わたくしと同じ罪に堕ちたことに………
心のどこかで、安堵しておりました。

貴方が人を殺すことで、貴方が穢れた。
人狼のわたくしと、人間の貴方が……
同じ地平線上に、生きている。

愚かしくも、それに安堵し、
……それを心の支えとして生きておりました。

………ハーヴェイさん。

わたくしは、決して、貴方を殺しません。

ですが、貴方がわたくしを不要とおっしゃるのなら…
その時はどうぞ、わたくしを殺してください……


わたくしの、たましい。
それを壊してまで、わたくしは生きていたくない…

けれど、その思いは……
貴方に強要すべきものでは、ありません……

……一緒に生きていけるのかい？

無理だ。僕はそんなに強くなんかない。
このまま村に戻っても、きっとこの一週間を思い出すだろう。


きっと君を憎む。

だけど……今なら……君に微笑んでいられる。

[シャーロットに穏やかに微笑んだ。]

………憎むなら、どうぞ、憎んで………

わたくしのことを憎んで、殺したいと思って…
その通りに……しても……いい……から……！

だから………！

愛しているよシャーロットさん。
みんなが死んだ今でも、僕は君の全てを求めてる。
怖くて、震えて、君の温もりを求めてる。

だから……君も僕の全てを求めていいんだ。

ハー……ヴェイ………さ………ん………！

わたくしは………
わたくしは………っ………！

………貴方と一緒に………

いきて………いたい………！

うん……大丈夫。大丈夫だから。
だからそんなに泣かないで。

………っ………ううっ………

えうっ………

だって………

…………わたくし…………

〔何かを言おうとしても、言葉がうまく繋がらない。まるで身体の中にある涙を全て流すかのように、シャーロットは泣き続けている〕

何も言わなくていい。
だからチェルシーに代わってもらえないかな。

えっ……

あ……はい………

〔シャーロットは目を閉じ、ショールで自分の身を隠した。それが外れると、金髪と赤い目をした少女がハーヴェイの目の前に現れた。〕

『はーい。ハーちゃんっ。
　………アタシのこと、呼んだ？？？』

『……てゆーか。
　またアタシに用があるとはしょーじき思わんかった。
　そのままロッテちゃんとずーっと話すのかと。』

[…は、チェルシーを冷たい目で見下ろした。]

お前の中にいるシャーロットは、お前が生きている限り死なないんだろ？

〔チェルシーは、ハーヴェイの冷たい目を見てたじろいた〕

『なっ………なんだよぅ、急に強気になってッ！！
　そうっちゃー、そうだけど。

　………正確には、違う。
　
　アタシとロッテちゃんは、いずれ溶けて、ひとつになる。
　記憶も、姿形も、ぜんぶ。
　ロザリーが「ステラさん」を、全て吸収したように。』

『最初に断っておくけど。

　……記憶や姿形が吸収されたとき、
　どっちになってるかはわかんない。

　それは、どっちの意識が強いかに、よるんだ。』

〔チェルシーは、ハーヴェイをじっと見つめた〕

そうか……。

チェルシーが消えてシャーロットが戻る事もあるわけなんだな？

『そしてね………

　よくきいて、ハーちゃん………


　さいきん、アタシの、意識………



　きえそう、なんだ………』


〔チェルシーは、ハーヴェイの方を見て、困ったように笑った。〕

『ぴんぽー……ん。

　……アタシの意識、

　ロッテちゃんの、身体の、奥………

　とっても、あったかくて、やさしい、ところに……

　どんどん、溶けてく………


　なんで、だろうね？
　……悲しいのに、とても、きもちいいんだ……』

〔チェルシーは、ハーヴェイの手を掴んだ。〕

『ハーちゃん………

　ロッテちゃんと、ロザリーに、伝えて……

　今まで、ありがとう……って………

　楽しかった……って………

　そして、大好きだよ………って………』

〔チェルシーは、ハーヴェイに向かって、笑顔を作った。〕

……わかった。伝えておこう。

さようならチェルシー。
僕はシャーロットと共に生きて行くことにする。

『うん……ハーちゃん……

　ありがと………

　また、あおうね………』

〔チェルシーは消えそうな声でそう言うと、気を失った。その姿は、ゆっくりとシャーロットのそれになってゆく……〕

……シャーロット……さん？

………？
チェルシー……は？

あの子、今まで…わたくしに断り無く
意識を交替することなど、無かったのに……！

………え………？

チェルシー！？

チェルシーっ！？

悪ふざけはダメよ！？ちゃんと出ていらっしゃい！！

……チェル……シー………？


うそ……………？

ハーヴェイさん……
どういうことです？これは………


………今まで、ずっと、一緒だったのに。

消えてしまった………

[…は、首を横に振った。]

わからない。でも……

おかえり、シャーロットさん。

[シャーロットに穏やかに微笑んだ。]

ええ………

ただいま………

これから……どうしようか。
チェルシーが消えたとなったら、ロザリーは迷わず僕らを殺しにくるのだろうか。

しばらく、秘密にしておきましょ。

…………というより。

[シャーロットに微笑み返した。]

今度は僕が君を守るよ。

……………ありがとう。

ハーヴェイさん………


〔シャーロットは、ハーヴェイに微笑んだ。〕

どうしたんだい？シャーロットさん。

……外が、明るい……
夜明け……でも、少し、眠い……

あの……仮眠だけでもいいので……寝ましょうか？

あっ！あのっ！！
そういう意味じゃなくてっ！！

〔シャーロットはオタオタしている。〕

[…は、真っ赤になって頷いた。]

う、うん……。そうだね。二階へ行こう。

君の部屋でいいかい？

[ヘンリエッタやラッセルの死体もそのままに、シャーロットの手を取ると*広間を出た*]

……………っ！
〔シャーロットは赤面した〕

あ、あの……わたくしの部屋でよろしければ……どうぞっ。

〔そしてシャーロットは、ラッセルとヘンリエッタの遺体を見て、ふと呟いた。〕

明日………埋葬して、あげましょうね………

〔そう言うと、ハーヴェイの手を握り締め、*自室へと戻った*〕

―2階・シャーロットの自室―

〔シャーロットは、うららかな陽射しが降り注ぐのを感じ、目を覚ました。〕

おなか……すいたな………

〔そう言うとベッドにハーヴェイを残して自室を出て、1階へと向かった。〕

―1階・広間―

〔扉を開けると、噎せ返るような血の臭いが鼻に入った。目の前には、無惨な死体となったラッセルとヘンリエッタ。〕

わたくしは、人狼……
人間の肉を食べなくては、生きていけないという…人狼……

〔シャーロットは床に座ると、横たわっているラッセルの肉を少しだけ掴み、口にした。〕

……………。
おいしいとは、思えない……。

何故チェルシーは、あんなに嬉しそうに人間の肉を食べていたのかしら……

何故人狼は、これを食べなくては、死んでしまうのかしら……？

〔シャーロットは、溜息をついてラッセルの肉をそっと床の上に置いた。〕

〔シャーロットは台所に向かうと、血を洗い流すように水で手を洗い、何度もうがいをした。〕

【………わたくしは、人狼？
　いずれ人間の肉を、喜んで食べるのかしら……？

　……………分からない。
　いつかその日が、来るのかもしれない。

　そして、その時こそ………
　わたくしとハーヴェイさんの運命の歯車は、
　再び悲しい音を立てて回るのでしょう……】

〔シャーロットは血を洗い流し、自分に血の臭いが残っていないか確認すると、小さく呟いた。〕

………当分、要らないわ。

〔シャーロットはそのまま、2階の自室へと戻った。ベッドで眠るハーヴェイを見て、寂しそうに呟いた。〕

ハーヴェイさん………
愛しい、貴方………

わたくしが生きている限り、悲しい出来事は、再び起こるでしょう……

それでも、わたくしは貴方と、生きていたい……
罪を重ねるわたくしと、罪を背負った貴方……
運命の輪は、回り始めたばかり……
……死に、逃げることなく……生きて、罪を、重ねたい。

………生きている貴方とわたくしがいる。
それこそが、わたくしの、幸せ………

〔シャーロットはベッドに潜り込み、眠っているハーヴェイに寄り添った。〕

………愛しい生命があるという、幸せ………

―夜明け前・集会所外―

[徐々にすみれ色に明けようとする空を眺めながら、チェルシーの意識が完全に消えてしまったことに気付いた。]

これで、私をロザリーと呼ぶ仲間が誰も居なくなった。今の私はステラでもロザリーでもなく、かつてのマリアに戻る事もない……。

[金髪の無垢で残酷な少女の横顔を思い浮かべ、懐かしむように、]

シャーロットはハーヴェイと二人で生きて行く事を望むだろう。例え未来に悲劇が待っているとしても。

……崖下が騒がしい。
良いタイミングで救助が来たものだわね。私は、救助隊が集会所にたどり着いたら、独りで山を降りて別の村へ向かおう。村長の娘とその恋人は置いておいて。

朝の空が澄んでいて綺麗だ。
闇に住まい人肉を喰らう忌まわしき化け物でも、この空を美しいと感じる……。

[もはやステラでもロザリーでもなくなった女は、いつものように祈りを捧げる為に、古びたロザリオに手をのばした。]

[ロザリオの暗赤色のビーズが日に透けて鮮血のように輝き、女は見慣れたその色を、*静かな微笑みを浮かべて見つめた*。]

――　二階　シャーロットの部屋　――

[目が覚めると、窓から差し込む朝の光が、胸の中で寄り添うように眠るシャーロットの顔を照らしていた。心臓の鼓動を感じたが、自分のものなのかシャーロットのものなのか、区別がつかなかった。]

【……生きているのか、僕は。】

[シャーロットの顔は穏やかで、シャーロットの身体は温かかった。寝顔を見つめながら、昨日の言葉を反芻した。]

【シャーロットは人狼に喰われ、人狼としてこうして生きている。いつ喰われてもおかしくはないのか。でも……これはきっと罰なのだろう。あの時引き金を引けなかった僕の罪。そして、喰われるその日まで背負っていかなければならない業。】

[手を伸ばし、シャーロットの頭を撫でた。チェルシーと名乗った少女の金髪とは違う、幼き日から見慣れた青みがかった綺麗な髪だった。]

【もう、人間のシャーロットは戻って来ることはないのだろうか。
人狼にも係らず、僕を守ったシャーロットの心。
チェルシーという人狼の心が消えて、残ったのは……なんだろう。】

[起さないようにそっとシャーロットの頭にキスをした。]

【もう……星を見るのは辞めよう……。
僕が夜空を見上げている時に、僕の足元を照らしてくれていたシャーロット……。

そうだ、生物を学ぼう。人狼が何かわかれば、人間のシャーロットも取り戻せるかもしれないし。人狼が人間を襲わなくなれば、もう誰もこんな罪を背負わずに済むのだから。】

[気がつくと、頬を涙が伝っていた。]

【だからその時まで……

僕が君を守ろう。

どんなことがあっても。
どんなことをしてでも。】

〔シャーロットは再び目を覚ました。隣で眠っているハーヴェイの涙の跡をそっと指でなぞっている。〕

………ハーヴェイ………さん？

何か、悲しいことでも……あったの？

[目を開くと、心配そうに見つめるシャーロットに首を横に振って答えた。]

悲しい事は……もう……無いよ。

そう……なの？
それなら、よかった………

〔その時、遠くから人々の声がするのを耳にした。集会所に取り残された人々を救助するためにやってきたブレナン村の人々が、建物に向かって近づいている。〕

………何かしら？あの声………

〔シャーロットは急いで服を着て、建物の外へと向かった。〕

―――そして………―――

救助隊に助けられたハーヴェイとシャーロットは、集会所で起こったことを全て告白した。人狼により、人々が食い殺されたという事実。そして人狼を退治するという名目で、幾人もの村人を私刑により犠牲にしたこと。

そしてシャーロットは、自分が人狼に取り憑かれたということを世間に告げた。

当然彼らがブレナン村には住まうことは不可能である。

ハーヴェイとシャーロットは、ほどなく村を出て新天地で暮らす事になった………

―――時は流れて、10年後―――

ハーヴェイとシャーロットは、とある郊外の街で暮らしていた。

生物学者となった2人は、Lycanthropy（人狼症）の研究に着手している。かの村で起きた事件は「ブレナン村の悲劇」と呼ばれ話題になることも多く、村人を殺してまで生き残った2人は、世間や学会から強い非難を浴びながらも、人狼となった人を人間に戻すための研究を続けている。

ハーヴェイ・ランカスターは、人間でありながら人狼に与する者として「狂人」と非難されることもあるが、人狼症研究の第一人者として研究を続けている。

その妻であり人狼でもある、シャーロット・ランカスターは、夫の研究の被験者であり、また自身も研究者である。人狼と人間の間に生まれた自身の娘・チェルシーを被験者とし、その遺伝的影響について研究をしているという。

シャーロットとチェルシーはその生命を維持するため、大学病院の入院患者だった死者の人肉を時々ひっそり食べているという噂も流れている。

そのため宗教的・倫理的観点から、人狼症研究は極めて背徳的な行為であるとし、ランカスター夫妻の研究を止めさせようという動きもあった。


しかしそれでも彼らは、決してその探求を止めようとはしなかったという………

かの「ブレナン村の悲劇」の犠牲となった者達を、弔うために。

そして、「人狼」による悲劇を、二度と起こさぬために………

―――お話は、ここで終わり。

ある時代のある場所の物語―――




―了―

｜・）　……

｜・）ﾉﾂ

｜ミ

とりあえずここから・・・

ギルバートを巡るソフィーとデボラを待てばいいんだね？

|△・）ﾉｼ　＜おわりましたよー

………とりあえず、促しが欲しいです………　orz

>>119
愛しい、貴方……
そんな三角関係、放送できるんですか？
見たいとか、思うんですか？

怖いもの見たさというかなんというかﾓｺﾞﾓｺﾞ

間違えた。

……愛しい、貴方。
ハリセンで殴ってみたい気もするのですが、
残念ながらアクションが残り6なんです。（本当）

安心したまえシャーロット君。

僕は＠４だ。

ハリセンで殴って、随分スッキリいたしましたわ。

………アクションも促しが欲しい、今日この頃。

殴ったね！？
親にだってぶたれたことないのに！

って、ナサニエルさんに叩かれた時に言いたくて仕方がなかったです。
独り言でも言えないし！

3時越えたら補充されないのかな？

……その辺、わたくしはチェルシーを
ツッコミ役代わりに使っておりましたので
とっても楽でしたわ。

たとえば、皆様がツッコミ入れたくて
たまらなかったはずの、ここ。

っ【>>4:373 >>4:*75】

うんｗｗｗｗｗｗｗ

掲示板でも皆様のツッコミが痛かったですｗ

……いえ、狙ってやったわけではないんですよ？

あれ、どうやるんだっけか＞赤引用

上記のあれ、アスタリスクの位置が間違っていたみたいですｗ

………滅多に狼やらないので、わかりません（汗）
今回も狼になる予定、無かったんですけどね……

>>　の後に　*4:75　か。

白じゃできないみたい＞誤爆防止

誤爆防止……知りませんでしたわ（汗）
でも番号に「*」マークが付いている時点で、
もはや誤爆も何も無いのでは……？（汗）

んだーね。
そのときは諦めるしかない。

[銃を構えるとシャーロットに向けた。]
チェックメイト

〔シャーロットは、チェルシーに変身した〕

『ういっす。ハーちゃん。
　アタシ消えたと思って、油断してなかったかい？』

！！！！！！！！！

[…は、銃を捨てると一目散に逃げ出した。]

…………。

『……ったく、ハーちゃん。
　あいかわらずヘタレじゃのーｗ』

〔チェルシーは、頭をポリポリ掻いている〕

……といいますか。
皆様はまだいらっしゃらないのでしょうか（汗）

あ、ネリーちゃんｖ

〔シャーロットは、ネリーに抱きついた〕

男爵ﾀｽｹﾃ!!

で、COするRPみたいなものは全く予定してなかったの？

あーー
うーーーーー

くっ……ネリー……

まじで立て読みとかして考えたんだぞ！ｗ

しーおーしーおー

………しお？？

わーい、綺麗なリボンだー・・・・ってｗ

パパには会えたかい？ネリー。

うう……。

ありがとう、ネリーちゃん♪

……あ、「しお」じゃなくて「CO」ね。
やっと気づいたわ………（汗）

ぬぅ・・・

む、エッタお疲れ様♪

ところでこんな結末でよかったのか？

ねむねむ…。

ネリー(萌え)と一緒におねんねするのー…。

>はーべ。

すまん。まだまったく見ていない。(素)

ねーんねーーん

皆さん、促しありがとうございますっ！
正直、喋りすぎましたわ（爆）

>ロッテ。

ここで懺悔しておく。

初日のハーヴェイは俺だった。すまんorz

いつになったら人間に戻れるのか・・

あ、デボーラさんお疲れ様♪

おぅいえ！

高熱出して死に掛けてたんだ。すまん。

>はーべ

いやいや、具合悪いのに参加してくれてありがとう。

ニーナさんもお疲れ様♪

見事なGJでした。

CO促してたのに！ｗ

＞エッタ

７２時間更新のおかげです。

とりあえず、こちらも登場。

久しぶりの二窓〜(死

>>157
そうですかー（爆笑）
確かに微妙に違うと思ってました。

そういう私は、エピまでずっと一人二役（汗）
あの世が見えるかと思いました。
初日は船酔いした気分でもうグロッキー（涙）
もう二度と「一人二役RP」なんてやりませんからっｗ

ところで皆さん、体調大丈夫ですか！？

ソフィーさんもお疲れ様でした♪

え、シャロって誰と二役だったの？

＞シャロさん

今のところ大丈夫みたいｗ

>>166
赤ログと通常ログで一人二役やってます。
「人間のシャーロット」と、「人狼のチェルシー」。

まあ、僕よりも、人狼さんとエッタは寝とけ。

>>168
びっくりしたー。

シャロとラッセルとか、シャロとステラとかだったらどうしようかと。

身代わりじゃねえって。

>>169

うむ。俺はまだ起きてるがな。

>>170
そこまで器用ではありませんよー。

というか私、狼は不慣れですので、
ステラさんに助けていただいたようなものですｗ
ひとりだったら、最終日生存は絶対に無理でした。

ステラさんは人狼のプロだからね！

がにちゃんもお疲れ様なの。

むぎゅー♪
(ギルバートのが良かったのかと、しばし悩んだが…)

うむ。ギルはピンクログにいそしむといい。

私はどうせデボラの身代わりよ……。

>>175

むう、ヘンリエッタよ。
一人二役お疲れ様じゃったのお。

ぎゅうううううううう♪

初日のアクション誤爆が痛かったのお

ギルとデボラのピンクログにも期待してるわ！

>>177

Σ(ﾟдﾟlll

ステラさんの素が人狼って（汗）
でも、すごく勉強になりましたわ。
メッセで戦略会議をしていても、私は従うばかりでｗ

>>178

orz
ぐすん。あれが無かったら、バラす気は無かったのね…。
にぅ。

今日はギルとデボラのピンクログでＦＡね。

ほれ、期待されておるぞ？
どうした、ギルバートよ？

ソフィーさん＞

え？
マリアの身代わりじゃなくて？ｗ

初日のギルバートのアクション誤爆って、みんな気づいてたのかな？
デボラさんはアクションの対象だったから特に。

>>185

わかっていたけど、デリカシー無いな、お前。
(ラッセルも同様)

>>178
エヴァンゲリオンであった
「ばあさん」（＠チビ綾波）を連想しました。
……何故かはよくわかりませんがｗ

>>185
マリアはいったい誰なのかしらね。

だって、マリアってソフィーなんだぜ?
(超内輪すぎる会話)

む？
デリカシーなのか？

もっとこう、違う物を期待というかﾓｶﾞﾓｶﾞ

>>104を見て、ステラがマリアなのかｔ（ｒｙ

へ？

えーと。
そういえば言うの忘れてましたっｗ

私、ここの皆様とは、初めましての人が多いですよね？
（今、mixiのお名前とID、キャラを一致させるのに必死ですｗ）

初めまして、皆様。
新参者が暴走しまくってて、どうもすみませんっ！
お目汚し失礼いたしましたっｗｗｗ　orz

んと。
skyline31です。

エッタの中の人が、３１で新規登録してくれたみたいで参加できました（汗

ミクシだと、スカです。

ロッテ、参加してくれてありがとー♪

初めまして、なのよ。

kandoriこと、浅倉です。
先月一人娘が生まれました、3×の男性です。

あ、私leehaと申しますっ。
>>194で、名乗るの忘れてましたｗ

>>190
それは内輪すぎてわからないわよｗ

これで自己紹介とかしづらいじゃないｗ

666です。18歳です。

芸能人だと、ルー大柴似とよく言われます。

心は。