酒場の看板娘 ローズマリー 【刑務所の外】 『まだお前を完全に信用したわけじゃ…ないぞっ!』 [ローズは、ハーヴェイの腕の中で暫し時を忘れていた。 ハーヴェイの言葉に、ふと我に返る。] (一体、今…何が…?) [ローズは激しく混乱した。思わず、落としたナイフを拾い、ハーヴェイに向ける。喰い殺される、とでも思ったのだろうか。] そうよ、私は人狼なんかじゃない。 [ローズを見つめるハーヴェイの瞳は、何時しかの冷たい瞳ではなく、どこか温もりが感じられるものだった。] (なんで…なんでこんな瞳を…… ハーヴェイ、貴方は…人狼じゃないの…?) [ナイフを握る手が、再び震え出す。 ローズの震える手が、ハーヴェイを貫く事はなかった。] | |
(3)2006/02/24 00:43:44 |
見習いメイド ネリー 【回想/灯台】 [監獄の敷地を抜け僅かな記憶を頼りに歩を進めると空の片隅に突き出た灰色の建物が見える。 灯台は濁った空を背にそこにあり主がなき今も島を見守り続けていた。 私は奇妙な感慨に囚われ暫しそこで佇んでいたが、上方の窓に人影を認め中に入っていった。 冷たい空気を吸いながら曲りくねった階段を踏みしめ上っていくと、 そこにはギルバートとヒューバートの姿があった] ギルバートさん、ヒューバートさん、こちらにいらしたのですね。 何か…お手伝いすることはありますか? 『ああ、ネリーも来たのか。グレンのやつとは会わなかったか?』 [私は先程のことを思い返しながら頭をふった。 どうやらふたりは使えそうな備品などを探しているらしい。 私も探索の輪に加わり、とりとめもない話をしながら手を動かした] | |
(58)2006/02/24 14:26:29 |
牧師 ルーサー 【回想/早朝/納屋〜看守側礼拝所】 「……サーさん……ルーサーさん!」 [ ――名を呼ぶ声。 遠く聞こえているようだったその声は、やがてはっきりと、おして、ルーサーの意識を呼び戻した。 うっすらと目を開ける。心配そうにルーサーの顔を覗き込むその顔。そう、それはネリーだった。] 「あ! ルーサーさん! 良かった……大丈夫ですか? もしかして、怪我の具合が――ヴィンセントさんに診ていただきましょう。」 [ しかし、ルーサーはその言葉に首を振る。しかし、己のみを案じてくれるネリーに対し、放っておいてくれとも言えなかった。] いえ……大丈夫です。 そうですね……礼拝所に――厨房の隣の方の礼拝所です。あちらに行きましょう。 [ そう言って立ち上がろうとし……膝が折れる。 ネリーは慌ててルーサーを支え、大丈夫じゃないじゃないですか、と珍しく語気強めにそう言った。] | |
(60)2006/02/24 14:45:58 |
見習いメイド ネリー 【回想/早朝】 [ここ数日亡くなった者達の墓の横に並び、ニーナとヒューバートに亡骸が安置されていた。 土の中に安置するまでのことだとしてもふたりの遺体を晒して置くのは忍びなく 倉庫からシーツを探してくるとふたりの亡骸を包んだ] カミーラさんがトビーを襲ったって…グレンさんはそういっていたけど… ニーナは「人狼」に殺されたに違いない…よね そうすると、まだ人狼はここに───私達に紛れているんだわ 誰が─── 一体、何のために? そしてグレンさんはどうしてそんなことを言ったの…? わからない… でもこのままだともっと犠牲が…殺されてしまう… なんとかしないと… [考えごとをするうちに灯台でみつけた本を思い出し、厨房に戻ると頁を捲り読み耽った。 その本は驚いたことに「人狼」の伝承について書かれた本であり、興味深いことが綴られていた] | |
(64)2006/02/24 15:03:38 |
見習いメイド ネリー 【礼拝所】 [探していた人の姿は礼拝堂にあった。 ルーサーの姿を見つけると具合が悪そうだ。 私は心配そうに顔を覗き込みながら彼の肩を優しく揺さぶった] 牧師様… ルーサー牧師? あ! ルーサーさん! 良かった……大丈夫ですか? もしかして、怪我の具合が――ヴィンセントさんに診ていただきましょう。 [しかし、ルーサーは苦しそうに首を振るばかりであった] 『いえ……大丈夫です。 そうですね……礼拝所に――厨房の隣の方の礼拝所です。あちらに行きましょう』 [そういって立ち上がろうとしたルーサーの膝から力が失われ倒れこんでくる。 触れた肌はかなりの高熱を放っているようだった] | |
(67)2006/02/24 15:11:08 |
牧師 ルーサー 【朝/看守側礼拝所】 [ 暖かな食事。 ネリーの腕に支えられながら、ルーサーはゆっくりと粥を口に運んだ。そして、やはり暖められたミルクで喉を潤す。ミルクでなく、水も持って来てくれたネリーの気遣いに感謝しながら、水の入ったコップにも口を付けた。 人心地がつく。もしかしたら、己はあのまま冷たくなっていたのかも知れない。だが、神はまだ生きろと言っているようであった。 いや、それよりも、迷惑を掛けたくないと思っていたが、しかし、こうして人の心の温もりに触れる事は何よりも嬉しい事であった。 ネリーを見遣る。 彼女は気遣わしげに、そして、幾分か物言いたげな様子でルーサーを見ていた。ルーサーの様子に、自分の聞きたい事を問うて良いものかどうか逡巡しているようでもあった。] ネリーさん。ありがとうございます。心より、感謝致します。 ……ネリーさん。昨日あなたが問われた事への答えをお望みでいらっしゃいますか? | |
(72)2006/02/24 15:24:42 |
牧師 ルーサー ――ネリーさん。 このような言葉があります。 人を信じたいのなら、まず疑ってみなさい。 疑ってみても、疑ってみても、それでも疑いきれなくなったなら、その時にこそ信じなさい。 これは、かつて希望を見失い、悲嘆と慙愧の念に塗れ生きていた私を導いてくれたシスターの言葉です。 信じるとは、容易く心を任せる事ではないでしょう。信じる為には、心からの努力が必要でしょう。信じるとは、自分の心を、そして命を相手に任せるという事なのではないかと私は思います。 ――ネリーさん。 私を信じるというその言葉……あなたの言葉に、私は深い感謝を覚えます。 ですが、少しでも疑わしいと思うなら、まだ、信じると言うべきではないだろうと思います。 ……私自身、私が人狼になるのではないか、いや、もうなってしまっているのではないかと疑問を持ち続けています。 どんなに疑っても、私が人狼だと思えなくなったなら……その時にこそ、私のことを信じてください。 | |
(84)2006/02/24 16:09:06 |
牧師 ルーサー ……暗闇の中で、赤く灯った二つの瞳……あれは……私には人狼だったのだろうと思えます。ただ、姿まで見ることは出来ませんでした。 あの時……私はその者に対し、反射的に十字架を翳しました。そう……銀で出来たこの十字架です。 もしかしたら、これが人狼から私を守ってくれたのかとも思えます。 [ そう言って、ルーサーは胸元に手をやり、首から下げられた十字架を取り出して見せた。 そうだったのですかと頷いたネリーは、はっと思い出したように、そうです牧師様、これをと一冊の本を差し出した。 そこにはルーサーの知らなかった伝承が記されていた。 人狼、人の姿でいる時であればそれほど人と変わりはしない。傷付きもすれば、死にもする。 本にはそう書かれていた。] これは……そうですか、灯台に。 なるほど……ここに書かれている事が真実であれば……数人で力を会わせれば、必ずしも銀でなくとも、人狼に太刀打ちする事も出来るのですね。 後は……人狼を見分ける事ができるかどうか、でしょうか。 [ それから暫くの間、二人は礼拝堂で話を続けた。] | |
(87)2006/02/24 16:31:22 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【朝/医務室】 [自然と足が医務室へと向かう。医務室に行けば、ニーナに逢えるとでも思ったのだろうか。しかし、その期待はすぐに否定されるのであった。 医務室の窓からは、陽の光が差し込んでいた。グレンが生けた華は、その光を受けて綺麗に存在を示していた。 ローズは医務室内を見回す。そこで、ニーナの姿を発見する事はできなかった。] (ニーナは死んだ……) [その現実に、ローズは暫し立ち尽くした。 その時、背後のベッドから男の声が聞こえてきた。] 『おはよう、ローズ。』 [ヴィンセントだった。ローズは挨拶を交わした後、「今日はニーナと一緒じゃないのか」と言うヴィンセントに、昨夜の出来事について話した。] | |
(90)2006/02/24 17:06:38 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【昼/刑務所の外】 [低い太陽の光が、島の大地を照らしていた。刑務所の外に出たローズは、目の前の眩しさに手を翳した。 遠くの方に、盛り上がる土を囲うように二つの人影が見える。ローズはゆっくりと、そこへ歩を進めた。] 【刑務所の外・ニーナの墓前】 [トビーとカミーラの墓の隣に、立てられた新しい墓。恐らく、ギルバートが立てたのだろう。墓の前で呆然としているギルバートの手は土で汚れ、その中には銀色のナイフが握り締めれていた。] ギルが、ニーナを休ませてくれたんだね。 ニーナ…… 敵は、討つよ。 天から、見守っててね。 [ローズはニーナの墓に向かって、小さくそう呟いた。] | |
(92)2006/02/24 18:11:40 |
酒場の看板娘 ローズマリー 人狼を見たのは…クインジーよ。 彼は、昨日グレンやギル、ニーナ達と居た。ヒューバートが橋から落ちた後、ニーナの悲鳴が聞こえ、その時…… ―――人狼の姿に変化したグレンが、ニーナに襲い掛かっていた、と言ってたわ。 クインジーからこの話を聞いた時、直ぐにでもグレンを殺してやろうと思った。でも、止められたの。一人じゃ無理だって…信用できる人に話して、手を貸し合うべきだって……。 私は、ルーサーさんを信じてる。 だから…話そうと思った。話して…力を貸して貰おうと思ったの。 この事は…まだ誰にも話さないで欲しい。 人狼に知られたら…きっと襲ってくると思うから―――。 | |
(105)2006/02/24 21:18:22 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【現時刻(夜)/厨房】 [看守側礼拝堂を立ち去ったローズは、厨房へと向かった。これから''果たすべき事''のために、ローズは空腹を満たした。 ―――カタッ、と。 物音が聞こえる……。] 誰……? [そこに居たのは、ネリーだった。 ネリーとは、惨劇が起きてから、殆ど会話を交わしていなかった。 ネリーは、遅い夕食の準備をしているようだった。ネリーの食事は、看守達が生きていた頃の食事とは違い、味も量も…満足できるもので、生存している囚人達は、ネリーの食事を心待ちにしているようだった。] お腹が空いたから、パンを食べていたの。 ネリーが居るなら…作って貰えば良かったわ。 | |
(122)2006/02/24 23:28:21 |
書生 ハーヴェイ (そもそもなぜ俺はこんな刑務所にいるのか…。 そうあれはいつかの冬の日だ…。雪の降る帝都で、俺は空腹だった。 売れない文学家、それが俺だった。 餓えと貧しさから、俺はボリシェビキの思想に傾倒していった。 いつしか、革命思想を題材に作品を作るようになり、出版社に投稿するものの、検閲され、差し止められ…。 食う宛もなく街を彷徨った。 ある日入った一軒の店。老夫婦の営むこの店で俺は懐かしい味を味わった。そしてお金のないことに気づき…。老夫婦はものすごい剣幕で俺をなじった。老夫婦はなまじ元気だったため、やがて揉め事になり…。 俺は殺していない、俺は、殺していないんだ!) | |
(123)2006/02/24 23:31:18 |
農夫 グレン 【夜/屋外】 >>121 いや…。 目の当たりといっても、対岸までのあの距離だ。ろくに見えなかったよ。 あのとき、ヒューバートを助けられれば… せめて話くらい聞けたのにな。 ルーサーはずっとここにいたんだろう? ヴィンセントやローズ、ハーヴェイの様子はおかしくなかったか? …いや、はっきり聞く。いなくなっていた様子はなかったか? | |
(124)2006/02/24 23:33:08 |
牧師 ルーサー 【夜/屋外】>>124 [ ルーサーは、グレンの問いに首を横に振った。] ……なるほど。そうでしたか。 私は、昨日の朝から今日の朝までのほぼ丸一日、皆さんと一緒には居なかったのです。ですから、聞いた話でしか皆さんの行動は分かりません。 | |
(125)2006/02/24 23:38:53 |
牧師 ルーサー 【夜/屋外】>>126 そうですね……人狼を見つけねばなりません。 私は……皆に生きて欲しい。 この中に人狼が居る以上……全員とは行かないでしょう。 それでも……私は一人でも多くの方に生きて欲しい。 ――グレンさん。 あなたは……人狼かも知れないと思われる方はいらっしゃいますか? | |
(128)2006/02/24 23:51:50 |
農夫 グレン 【夜/屋外】 >>128 [ ルーサーの、深刻な問いかけ。 しかし…今の俺には首を振るしかできない。] わからん…。この状況からして、カミーラは恐らく、違ったんだろうな。 …カミーラはトビーを介抱してたんじゃないか。そんなふうにも思えてきたんだ。 俺は、夜に紛れての闇討ちが人狼の手口だと思ってる。だからこそ、何をしているか判らない奴等は疑わしい。 逆に、クインジーとギルバートは違うだろうな。あいつらはこちら岸に来ていた。 …ハハ。あんたが誰か、見ていれば絞り込みも容易かったのにな。 ルーサー。飯を食おうぜ。腹が減っちゃ、戦はできねえ。 | |
(129)2006/02/24 23:59:56 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【医務室】 [医務室には誰も居なかった。ヴィンセントは何処に行ったのだろう……そう思ったローズであったが、誰も居ない事に、何故か心が落ち着いた。 小さなガラス製の瓶には、あの華が咲いている。 ローズは、グレンが華を持ってきた日の事を思い出していた。] 「墓掘りをしていたら、花が生えてたんだ。せめてもの罪滅ぼし…には、ならねーな。」 「…これで少しは気が紛れると…いいんだが。 ローズ、これのこと、ニーナには内証にしておいてくれないか?」 [ローズの瞳から、次々に光が零れ落ちる。 ローズは、瓶の中の華を掴むと、握りつぶそうとした。 ―――その時。] 『綺麗……』 [ニーナの言葉が、それを制した。] | |
(130)2006/02/25 00:04:46 |
牧師 ルーサー 【夜/屋外】 >>129 なるほど。 グレンさんの考えは分かったと思えます。 そうですね……皆さんの行動を把握する事が重要かも知れません。 [ そう言って、ルーサーは頷く。そして、飯を食おうぜと言ったグレンに何とは無しに苦笑を浮かべ……グレンと共に厨房へ向かった。] 思うのですが……出来るだけ、皆で集まっていた方が良いのかも知れませんね。それで、ある程度行動は把握できます。 [ 果たして、クインジーがの言ったというように、グレンは真に人狼であるのだろうか……グレンと歩きながら、しかし、ルーサーはいまだ答えを出す事は出来なかった。] | |
(133)2006/02/25 00:15:39 |
医師 ヴィンセント 【回想/昨日→現時刻】 [昨日、ヴィンセントはカミーラとトビーの埋葬を手伝い、その後灯台にゆくという者たちを見送った。 ネリーにパンを幾漠か貰い、医務室でこれまでの物事を整理して紙に記録を始めた] トビーにあった傷口は殺戮時の裂傷とほぼ同じ。 そこから『襲われた』と推測できる。 しかしカミーラの頸部にあった傷は刃物でつけられたもの… 致命傷となった外傷は、まずそこが決定的に違うところだな。 [ヴィンセントはペンを滑らせ簡潔に纏めていく。 カミーラとトビーの遺体が発見された場所にグレンが居合わせたこと、 そしてカミーラがトビーを襲ったかもしれない、とも書き加えた] | |
(144)2006/02/25 00:51:07 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【現時刻(夜)/医務室】 [ローズは医務室のベッドに横たわり、一人考え事をしていた。母の事…そして、今刑務所内で起きている事……。 暫し考えた後、ローズはうつ伏せとなって枕に顔を埋めた。] ………? [枕の下に入れた手に、何かが触れる。 それは、ハーモニカだった。] これ、ニーナの…… [恐らく、アルコールを飲んだ後、ここで休んでいた時に大事に入れておいたのだろう。 ローズは一度だけ、ニーナにハーモニカを吹いて貰った事があった。ニーナが奏でるハーモニーは、母と引き離され、沈んでいたローズにとって、少しではあったが、気分が晴れるものだった。 ―――ゆっくりと、ハーモニカに息を吹き込む。 ローズが奏でるハーモニーはとても悲しく、窓から差し込む朱い光に溶け込んでいった。] | |
(151)2006/02/25 01:03:33 |
農夫 グレン 【夜/厨房】 >>160 [ クインジーの問いかけにおざなりに返答し、空いた皿をかえすと、疼きだした右手を押さえて医務室に向かった。] …人狼じゃなきゃ、なんだってんだ。トビーはともかく、ニーナはお前も見たろう? ネリー、ごっそさん。…旨かったよ。 | |
(162)2006/02/25 01:28:03 |
医師 ヴィンセント 【現時刻/医務室】 [続けて、更にヒューバートが転落死したことを聴く。 ヴィンセントはショックのあまり、おぼつかぬ足取りで医務室に戻った。 そっと扉を開けると、ローズマリーが、ニーナが眠っていたベッドに座って己をみつめ、彼女のハーモニカをみつけたと静かに呟いた。 ローズマリーはまるでニーナにそうしているかのように、ハーモニカを幾度も優しく撫でる。 そして暫くすると、物悲しい、しかし優しい調べが辺りに流れ始めた。 彼はそれを聴きながら、彼女を驚かさぬように、椅子に腰を降ろした] oO(殺戮の夜から既に4人が命を落としている… 理由は様々だが、その中に襲われたものがいるというのが何よりも痛ましい… ニーナ君…君の仇は必ず私が…) [ヴィンセントはこの施設に残った人々について、 考えを巡らせ*始めた*] | |
(186)2006/02/25 02:12:15 |