踊り子 キャロル [その横に倒れていた影のほうにルーサーが近づく。ルーサーは強張った目をして、その影の胸に銀のナイフを突き立てた。] !!!!!!!!! [明らかに倒れているのは人間だ。聖職者であるルーサーがナイフを突き立てることなど想像していなかったため、キャロルは激しく動揺した。そこにギルバートがナイフをもって礼拝所に駆け込んでくる。キャロルはギルバートを避けるように、身を翻して倒れている影に近づいた。] …グレン…!!!! [グレンはナイフの刺し傷を何本も受け、酷い有様だった。か細い息をしていたが、ルーサーのナイフを受けそれもだんだん消え入るようになる。 キャロルは急いでグレンを抱き起こしたが、もう彼は何も喋れる状態ではなかった。グレンは彼女の腕の中で、冷たくなっていった] | |
(5)2006/02/25 10:49:25 |
踊り子 キャロル [クインジーがローズに毛布をかけ、医務室へと運んでいった。キャロルはしばらくグレンを抱いたまま呆然としていた。そのキャロルを見る礼拝堂に居る連中の目は、とても冷たい。] 何故、グレンがこんな目に… 何があったの?何でグレンが殺されなくちゃいけないのよ…?? [一筋の涙がブルーアイから流れ出る。錯乱はせねど、グレンの惨い死に様に涙せずには居られなかった。何故、こんなことが起こる? キャロルに一連の出来事を話したのはギルバートだった。時折ルーサーが的確に説明を補助する。 ニーナが死んだという事実。ヒューバートの事故死。クインジーが見たと言うもの。状況は、グレンは最後ローズともみ合いになっていたことを示している。 ギルバートの口調は彼自身では抑えているようであったが、人狼への激しい憎しみがありありと感じられた。彼はニーナに何か特別な想いでも抱いていたのだろうか。] | |
(6)2006/02/25 10:56:35 |
踊り子 キャロル [クインジーが、グレンが狼に変化するのを見たという。 キャロルはそれは否定しなかった。惨劇の起こった次の日に港の小屋で見たもの――敷き詰められた獣毛。人狼騒ぎをあまり信じない彼女だったが、彼女自身が見た光景が、皮肉にも雄弁に人狼の存在を物語っていた。 そして彼女は知っていた。グレンは、あの日外に出ていた。知ってて黙っていた。グレンが狼――というのは、ありえないことではないと、彼女自身の冷静な部分が受け入れていた。時期がくるまで、彼女の中に留めておくつもりだった。 だけれども。 口付けや一晩のぬくもりだけで男を信じるなんて、賢くないやり方だ。 あの時のグレンとの時間は温かかった。彼は私に涙を見せてくれた。 けれど――私は彼に感傷的なものは何もない。 何もない、はず。だけれども。彼が狼だなんて、今のキャロルには信じられなかった。] | |
(7)2006/02/25 11:03:47 |
踊り子 キャロル 「グレンさんは狼だったんだ。きっと、これで――平穏な日々が取り戻せる筈です。手負いの方たちが多すぎるから、まだ平和な日々とはいえないけれど…。」 「そうだ。でもニーナは戻ってこない――戻ってこないんだ――」 [ルーサーがキャロルを諭すように語り掛ける。ギルバートが崩れ落ち、ネリーがそっとギルバートの肩に手を置く。 キャロルは敢えて自分の気持ちは言わないでおいた。確かにローズは酷くやられている。あの子が狼ということはないと思う。だけれども、事の発端は――その情報を流した本人が、狼でないとは何故言い切れる? キャロルの胸にクインジーへの小さな疑惑が巻き起こる。 彼は信用できると思った。思ったけれど、彼に確認しなければ――] | |
(8)2006/02/25 11:14:06 |
踊り子 キャロル 狼だとしても――グレンを、埋葬してあげない? 「むしろ、今日中に埋めないと蘇生したりするんじゃないのか?狼のことは知らないがな。」 [ルーサーは手負いだ。ネリーは女性。ギルバートの言葉はキャロルの胸に深く突き刺さった。 結局、キャロルはギルバートとハーヴェイと共にグレンの遺体を埋葬することにした。キャロルも女性だけれど、彼がこのままの姿をさらしておくのは不憫だと思ったから。] 【外/墓】 [紅い月は煌々とあたりを照らしていた。小山の数が増えている。どこから摘んできたのだろう、悲しい目をしたギルバートが花を手向けた。] 「ニーナ…」 [キャロルは初めてニーナの墓の前に立った。その山はほかのものに比べ、一回り小さい。 ちっぽけな彼女がどんな思いをして死んでいったのかが伺われ、キャロルの目に熱いものがじわりと浮かんだ。] | |
(9)2006/02/25 11:29:41 |
流れ者 ギルバート 【夜/囚人礼拝所】 [ キャロルと別れた後、俺は囚人礼拝所へと立ち寄った。 "狼"が息を引き取った場所。 清らかだった聖域に、微かに残る血の跡と香り。 嗅ぎ慣れたその臭いも、ここではいささか不自然に感じられた。 神様とやらは、 自らの前が血で汚された事を、怒っていらっしゃるんだろうか。 それとも、怪物の血を流させてやった、と喜んでいるんだろうか? ぼんやりとそんな考えが頭に浮かんだ。 苦笑して頭を振って、俺は手を組み、頼りない記憶を辿り、 何時か聞いた祈りの言葉をぽつぽつと呟く。 俺はどうでもいい。だけれどニーナは、あんたのもとへ。 どれだけそうしていただろうか。 俺の意識は、浅いまどろみのなかへとおちていった。] | |
(12)2006/02/25 13:10:25 |
踊り子 キャロル ローズはどう?? 「落ち着いては居るが…それでも予断を許さない状況だな。」 そう… 「キャロル…お前は無事だったのか。誰か、見かけていない奴は居ないか?」 何故、そんなことを…? [クインジーはローズが言ったという言葉をキャロルに話し、厨房のほうへ確認しにいった。] また貴方の言葉に惑わされるの…? グレンは死んだはずでしょう…?? [焦ったようなクインジーを、キャロルは冷めた目で見送った後、一人呟いた。牢獄の皆がこの男の言うことを信用している。いまやキャロル自身、クインジーの見たことを疑ってはいない。しかし、どうしても全面的に信用を置けなかった。] | |
(24)2006/02/25 20:00:13 |
踊り子 キャロル 【早朝/囚人礼拝堂】 ギル…居たのね。寒かったでしょう。 [礼拝堂の片隅で疲れたように眠りこけていたギルバートに声をかける。ギルバートは目を覚まし、寒そうにびくっと震えた。] 「この礼拝堂で――グレンが死んだんだよな。 俺は確かに見たぜ。あいつの腕は、獣のそれだった。 あいつに…ニーナは、ニーナは―――」 [キャロルは黙ってギルバートを見ていた。なぜか、慰める気持ちにならなかった。それが何故なのか解ろうとしないのが賢明だと思っていた。] 「ローズは??」 寝てるみたいよ…クインジーが言ってた。 もう朝よ。ネリーが食事を作ってくれているかも。 篭ってないで、出てみない? [キャロルはギルバートを誘い、厨房へと向かった] | |
(25)2006/02/25 20:07:10 |
踊り子 キャロル 【朝/厨房】 [ギルバートとキャロルが顔を出すと、期待通りネリーが食事を作っていた。血なまぐさい事件が起きていて、本来ならば食欲をなくす性質のキャロルだが、ネリーが作ってくれる食事は本当にあたたかいもので、キャロルはおかげで体調を崩していない。 ギルの話を聴きながら、テーブルについてネリーの仕上げを待っていると、クインジーが顔を出した。] 「元気か?」 [ニーナのことを話し冷たい目をするギルバートに、クインジーがローズの話を伝えた。ルーサーとヴィンセントは礼拝堂に居て無事らしい。] ハーヴェイは…昨晩、港へ散歩しに行くって言ってたわよ? ぽろっと帰って来るんじゃないの? 「房には戻ってなかったみたいだな。」 そう…じゃ、ちょっと探しに行ってくるわ。ギルバート、ご一緒願える? [ギルに同意を求めると快諾が得られた。そのとき、ネリーが人数分の朝食を持ってきた。4人はつかの間の朝食を味わった。ルーサーやヴィンセントの分の食事を置いて、ネリーも同行することになった。] | |
(26)2006/02/25 20:23:09 |
踊り子 キャロル ネリー…危ないよ。貴女にまで怪我されたら、皆困っちゃうし、あたしも嫌だわ。 [眉を潜めるキャロルにネリーは明るい笑顔で返す。この娘は気丈だわ。キャロルは安心した。クインジーが食事を手に、ローズの様子を見に行ったのと別れ、3人は港にむけて出発した] そういえば寝てないのよね…でも気持ちいいわ。 [朝の光を浴びて体調が戻ってきたように感じた。キャロルはあまり話したことのなかったネリーとギルバートと共に、港への道を歩いていく。 ギルバートは口の巧いところもあるようだが、人情に篤い、聡明な男。ネリーは弱く見えるけれど、他人思いの気丈な娘だった。牢獄に居るのは珍しいタイプの2人かもしれない。ギルなんてうっかり捕まったというところだろう。] | |
(27)2006/02/25 20:35:57 |
踊り子 キャロル [辛うじて人体の様相を保っているハーヴェイの有様は酷かった。苦しんだのだろう、表情は悶絶し、すごい力で引き裂かれた跡がある。ギルバートがハーヴェイの顔に、そっと上着をかける。ネリーは椅子に座って、青ざめた顔でその様子を見ていた。 キャロルはハーヴェイの死に顔に、ジャンを想った。] 似てた…貴方、やっぱり似てたのよ… 「どうした?」 [問いかけるクインジーに、キャロルはジャンのことを話した。自分が牢獄にいれられる原因となった、射殺した元夫のこと。] ハーヴェイは、ちょっとジャンに似てたんだ。革命家志望だったし、文章家だったし。 ジャンは、こんなに酷い死に方しなかったけれど… | |
(31)2006/02/25 21:25:54 |
牧師 ルーサー 【朝/囚人礼拝所】 [ 礼拝所の長椅子に腰掛けながら、ルーサーはヴィンセントの治療を受けていた。 医務室にはベッドは一つしかなかった。そして、そこには既に治療を終えたローズが眠っている筈であった。ヴィンセントは、我慢にも程があります、と少し怒ったような口調で言いながら手際良くルーサーの傷に処置をしていった。 治療の最中……ルーサーは昨晩を思い出していた。手にしたナイフが肉に突き立ち滑り込むおぞましい感触…… ――人狼を殺さねば他の皆が死ぬ事になる。そう、それが事実であった。神の僕たる彼には、神の被造物たる生きとし生けるものを傷付ける事は許されぬ事であった。ましてや、その命を奪う事など…… だが、人狼を殺さねばならぬこの状況において、ルーサーは自分の手を汚さずにいようとは思えなかった。殺さねばならぬのであれば、せめて、その罪は他の誰に背負わせる事もしたくなかった。] | |
(35)2006/02/25 22:07:37 |
牧師 ルーサー [ ローズは、ルーサーがグレンに止めを刺した事に聞いたろうか。これで、グレンを殺したのはルーサーだという事になる。ローズがグレンの胸にナイフを突き立てた事に変わりはない。これは詭弁かも知れない。だが、それでもルーサーはローズが人を殺したという事にしたくなかった。 ――遠い日の面影がルーサーの瞼に浮かんだ。 妻と、そして、幼い娘。そう、生きていれば今頃は…… ――やがて治療を終え、ヴィンセントとルーサーはここ数日の出来事について話し合った。そして、何時も彼らがそうしていたように、生と死、命の話になって行った。ここ数日の出来事を振り返り、思いながら、ゆっくりと落ち着いた話し合いは続いた。] ……命とは……なんなのでしょうね。 「ええ。本当に……なんなのでしょうね……」 [ ……二人は床に広がる染みを見詰める二人の間を、沈黙だけが流れて行った。] | |
(36)2006/02/25 22:08:15 |
踊り子 キャロル [キャロルは帰り道中ハミングをしていた。暗く、悲しい旋律の。 堅牢な牢獄の正面玄関を見上げる。朝晴れていた空は、今は薄曇に覆われ、低い位置に辛うじて太陽光が見えるのみだ。] この、牢獄で――虐殺がおきて。 何人居たのか知らないけど、残っているのは7人のみ、か。 [キャロルの呟きに、ネリー、クインジー、ギルバートが振り返る。] 牢獄がそのままであって欲しい、一生ここに居たいなんて、全く思わなかったけれど。 今は、そのままであったらどれだけ平和だったのだろう――そう思えてしまうわ。 なんだかおかしいよね。この牢獄が家みたいな感覚になってる。 [下唇を噛み締め、笑った表情で声を絞り出す。目は笑えない。] | |
(51)2006/02/26 18:47:54 |
牧師 ルーサー 【夕方/厨房】 [ ――火の温もり、鍋から立ち上る煙。 厨房には夕食の支度をするネリーと、そして、ルーサーの姿があった。] 「牧師様……ローズさんのあの傷……あれはグレンさんに?」 [ ネリーの言葉にルーサーは重々しく頷く。それを聞き、調理に向いていたネリーの手が止まった。そう、人狼に傷付けられた者は人狼と化すという言い伝え。ネリーは、それをルーサーから聞いていたのだった。] ……この言い伝えが真実かどうか。それは定かではありません。今は……ただの言い伝えである事を祈るのみです。 もし真実であれば……先に人狼と人狼と化すのは私でしょうね。或いは……ハーヴェイさんを殺したのは、意識の無いうちに私がした事かも知れない、などという不安すらあります。 [ ……暫し、沈黙が流れる。しかし、その沈黙をネリーの声が破った。] 「――大丈夫ですよ。きっと。」 [ そう言って、ネリーは笑みを見せた。 ネリー自身、不安に思っているに違いない。だが、それでもルーサーを気遣いそう言ったネリー。 ルーサーは、ええ、そうですねと言って、不安の押し隠し微笑を浮かべた。] | |
(53)2006/02/26 20:11:45 |
酒場の看板娘 ローズマリー 『ハーヴェイを最後に観たのは…あたしね、多分。 昨晩、グレンを、一緒に埋めたわ。その後、港に行くって言って別れた――』 「…つまり、人狼はまだ絶えてない、ということになるな。」 『昨日の夜〜朝にかけて、皆、どこに居たのかしら。 さすがに、2人以上人狼が居るとは、考えたくないのよ――』 [キャロルとクインジーは、言葉を続ける。 ローズは暫しそれを聞いていたが、思い出したかのように、口を開いた。] グレンには、仲間が一人居た…… 死ぬ直前、仲間に向けてこう言ったのよ。 ―――『すまない… 後は、頼んだぜ、………』とね。 誰に向けて言ったのか、それは分からない。 朦朧とした中で聞いたから…… | |
(61)2006/02/26 21:21:42 |
牧師 ルーサー 【夜/礼拝所】 [ ルーサーは長椅子に腰掛け、一人物思いに耽っていた。 ハーヴェイの死……人狼はいまだ生き残っている。 残った誰が人狼なのか。いや、果たして残った人狼は一人だけなのか。そして……或いは、知らぬ内に己が人狼と化しているのではないか…… その言い伝えを、皆に告げようとし、しかし次げることの出来ぬまま今に至っていた。そして……グレンに傷付けられたローズの十字の傷が目に浮かぶ。 言い伝えが真であれば……ローズも人狼と化すのかも知れなかった。 皆に告げるべきであろうとも思う。だが、しかし、ただの言い伝えでしかないなら、言い出すことは混乱を招くだけであるかも知れないと思えた。いや、それは言い訳かもしれない。 己が疑われる事は良い。だが、ローズまで疑いの目に晒す事になる事をルーサーは恐れていた。 悩みの中、ただ時間だけが過ぎて行った。] | |
(83)2006/02/27 00:33:55 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【夕方/厨房前】 [厨房前まで来たローズは、中からルーサーとネリーの声を耳にした。] 『牧師様……ローズさんのあの傷……あれはグレンさんに?』 (あの傷……?) 『ただの言い伝えである事を祈るのみです。』 『もし真実であれば……先に人狼と化すのは私でしょうね。或いは……ハーヴェイさんを殺したのは、意識の無いうちに私がした事かも知れない、などという不安すらあります。』 (人狼と化す……? 意識がないうちに殺したのかもしれない……?) [様々な疑問がわいたが、ルーサーの言葉を聞いてくうちに、ローズは自分に付けられた傷の意味を知るのであった。] | |
(84)2006/02/27 01:55:33 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【夜(現時刻)/医務室】 [厨房前から立ち去ったローズは、直ぐに医務室に戻る気にはなれなかった。自分の運命を知ったからか…それとも、キャロルがまだ居るかもしれないと思ったからか―――。 ローズは一度自分の独房に戻った後、再び医務室へと向かった。 ―――医務室の窓からは、今夜もあの朱い月が見える。] キャロル……? [医務室のベッドノ上で仰向けで眠っているキャロルの姿があった。その瞼は濡れている……。] キャロル、泣いてる…? [ローズは、キャロルの涙に心が揺れ動いた。 人狼が涙を流すのか―――。 ローズはその答えを、必死に*探していた。*] | |
(86)2006/02/27 02:03:20 |
踊り子 キャロル [しかしルーサーを問い詰める気はなかった。この男は見るからに憔悴している。悲しみを目に湛えながら。 問い詰めるのは少々酷だ。それにもし人狼なら――自分からボロを出すんじゃないかしら。] ローズは――貴方をとても信頼しているようだわ。 [キャロルの言葉に、ルーサーの目が歪む。キャロルはそれを感情のこもらない目で見ていた。何故、この人を今まで疑ってこなかったんだろう?何故、ローズはこの人をそんなに信用しているんだろう? あたしにとっては、ただ一つ、彼は罪人じゃない――それが一番大きかっただけじゃないか?] 寒いですし――昨日の今日ですが、危ない可能性もあります。 ご注意くださいませ―― [椅子に座って考え事を続けるルーサーに、慎重に選んで声をかける。 元来苦手だったのもあるが、今夜はルーサーと同じ場所にはあまり居たくなかった。キャロルは礼拝堂を後にし、独房へと*向かった*] | |
(91)2006/02/27 03:33:15 |
見習いメイド ネリー 【回想/昨日午後/礼拝堂】 『――ネリーさん。 このような言葉があります。 ───どんなに疑っても、私が人狼だと思えなくなったなら……その時にこそ、私のことを信じてください。』 [穏やかな表情でそう語るルーサーを私もまた静かな気持ちで見詰めていた] 信じる、というよりも、信じたい、という気持ちのほうがまだ強くはあります── でも、牧師様が人狼ならば人狼に襲われ、人狼に変ずるかもしれないと…… そのようなことをいうとは私には思えないのです。 だから…だから…… 私はあなたのことを信じたい。 そう思うのです。 [暫く考えこんでいたが、自らの思いを確認するかのように口にし、ルーサーに微笑みかけた] | |
(95)2006/02/27 14:53:51 |
見習いメイド ネリー 【回想/夕刻/庭(墓)】 [ひとりで考えを纏めたいというルーサーを礼拝堂に残し、私は庭で一人佇んでいた。 まだ新しく盛りあげられた土がいやでもここで起きたことを思いださせる。 庭の片隅で咲いていた名も無き花を摘み土の上にそっとおいた] トビー… カミーラ… ニーナ… ヒューバートさん… カミーラは本当にトビーを襲っていたの? カミーラが人狼だったならグレンさんは恐らく人狼ではない。 カミーラが人狼でないならば…グレンさんは嘘をついていることになるわ。 でもニーナが……… 人狼はまだいる。 私達の中に潜んで今も誰かを狙っている。 ふたりの声が私に届けば誰が人狼なのかわかるかもしれないのに。 そうすれば─── [次第に濃くなっていく闇を感じながら、肌身離さず持っている銀のナイフを布のうえからしっかりと握りなおした] | |
(97)2006/02/27 14:54:40 |
見習いメイド ネリー 【回想/夜/厨房】 (カタンッ…) [厨房の扉をあけると薄闇の中でローズマリーが何かをしていた。 肩を震わせ振り返った彼女は何かを食べていたようだ] 『誰…? お腹が空いたから、パンを食べていたの。 ネリーが居るなら…作って貰えば良かったわ』 ごめんなさい、食事の支度が遅くなって…… お墓に…行っていたの。 すぐに何か用意するわね。 [昼仕込んであった煮込み料理に火を入れながら努めて明るくそういった。 自分にできることは多くは無いが、皆が自分の食事を楽しみにしている事が自分に存在意義が与えられたようで嬉しかった。 ローズマリーとはここ数日殆ど顔をあわせていなかったが、過ぎた時間を埋めるように取り留めないながらも話を続けた] | |
(99)2006/02/27 14:55:38 |
見習いメイド ネリー ギルバートさんは… 灯台で少し話したのだけれど取り立てて怪しいところはないように私は思えたわ。 クインジーさんは………食事のときに少し言葉を交わすくらいで、よくわからないのよ。 私───あの人は軍人って聞いて───… それで話をすることを無意識のうちに避けてきたのかもしれないわ… [自分に掛けられた容疑と軍人や看守の執拗な取調べが続いていたことを途切れ途切れに話した。 ローズマリーは時折涙を浮かべながら私の話を聞いてくれた。 その姿から深い同情と親愛の気持ちを感じた。 続いてローズマリーも自らのことを語り、時間がゆっくりと過ぎていった。] そう…ローズにはそんな事情があったのね……… 私、家族のことはあまり覚えていないけど… あなたと同じ状況だったら私も同じようなことをしていたかもしれないわ。 [ローズマリーの瞳に浮かんだ涙を嘘だとは思えなかった。 ハンカチで彼女の涙を優しく拭う。そしてどちらからともなく手を握り合った] | |
(102)2006/02/27 14:56:46 |
見習いメイド ネリー 私、牧師様は人狼でないと思うの。 もし牧師様が人狼だったら、自分が人狼に襲われて人狼になってしまうかもしれないなんて言わないと思うのよ。 だってそんなことを言うのは自ら疑いを招くようなものじゃない? [ローズマリーもなんらかの理由でルーサーを人狼とは考えていないようだった。 彼女は彼女なりの考えで「人だと思う人」を探しているようだ] そうね。人だと思える人が増えていけば…おのずと人狼が誰なのかわかるはずよね。 私………もっとたくさんお話してみないと… ねえ、ローズ……… あなたのことは信じてもいい、のよね? あなたは人狼ではないわよね? [力強く頷くローズを信じてみたいと心から思った。 まだ強い気持ちで彼女のように信じることはできないが少しだけ前よりも心が通い合った気がした] | |
(103)2006/02/27 14:57:11 |
見習いメイド ネリー 【回想/礼拝室】 [礼拝室から鋭い声が聞こえてくるのに気がつき私たちはそこに向かった。 中でローズマリーが肌を露にしていることに気がつき駆け寄ると衆人から彼女の姿が隠れるように前に立った。 横には姿をかえたグレン───だった獣が大量の血飛沫をあげながら倒れていた。 そこにルーサーとクインジーが近づくととどめをさした。] ローズ……… ニーナとトビーの敵を討ってくれたのね。 これでやっと終わるのね。 [ローズが震える声で「人狼はまだいるはずよ」と私に告げた] 人狼はまだいるの……まだ、続くというの? [暗い気持ちになりながらグレンと大量の血を見るうちに気分が悪くなり、*気を失った*] | |
(108)2006/02/27 14:59:45 |
見習いメイド ネリー 【回想/朝/厨房】 [気を失った私を誰かが房まで運び毛布を掛けてくれたようだ。 朝の光を感じ、目覚めると厨房に立ち朝餉の用意をする。 クインジーが卓につくとコーヒーを渡しながら声をかけた] クインジーさん… あなたが軍人ということで、私、あなたを疑っていたんです。 獣に変じたグレンさんを狼であると告発した人はあなただと起きた後皆から聞きました。 グレンさんとあなたが仲間であるようには私は思えません。 あなたは人なのだと思います。 グレンさんが人狼だと気付いたあなたの目には他の方はどう映るのでしょうか。 何かお気づきのことがあれば教えてくださいね。 [深々とお辞儀をしお詫びをするとクインジーは軽く手をあげ、気にするな、と言った。 私は彼の観察眼を信じたいと思った] | |
(109)2006/02/27 15:25:30 |