人狼審問

- The Neighbour Wolves -

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(1201)牢獄のレクイエム : プロローグ
 村は数十年来の大事件に騒然としていた。
 夜な夜な人を襲うという人狼が、人間の振りをしてこの村にも潜んでいるという噂が流れ始めたからだ。

 そして今日、村にいた全ての人々が集会場に集められた……。
自警団長 アーヴァイン
 ふむ……まだ集まっていないようだな。 今のうちに、もう一度見回りに行ってくるとしよう。
農夫 グレンが参加しました。
農夫 グレン
【娯楽室】

よし…、おまえの番だぜ。振れよ。
…馬っ鹿野郎、音立てるんじゃネエヨ。みつかっちまうだろう?
よし…振れ振れ。おいおいそこでゾロ目かよ!ちったあ加減しろって。

あーあ、やってらんね。ヨアヒムの独り勝ち。ほらシケモク3本。持ってけ。

次だ次。オマエから振りな。

[
娯楽室に灯された薄暗い蝋燭の明かりが揺れる。声を潜めて蠢いている数名の中央で、罅の入った椀とサイコロが囚人達の視線を集めている。
ひとりの囚人が隣の囚人を殴りつけ、もうひとりが静かに椀にサイコロを落とす。微かな澄んだ響き。
]
(0)2006/02/14 23:54:38
お尋ね者 クインジーが参加しました。
お尋ね者 クインジー
【7:00/男子独房3号室】
―――ピチョーン、ピチョーン。

雨垂れが、独房内で水溜りを作る。

粗末な簡易ベッドで体を横たえていた男は、その雫が天井から落ちる様を見ていた。
いや、見ていたのは…その雫ではなく記憶の向こう側だったか。
(1)2006/02/15 00:33:10
お尋ね者 クインジー
【1915年/ポーランド東戦線】
男の所属していた部隊は、敵陣深く入り込み孤立していた。
補給はとうの昔に途絶え僚隊とも連絡は取れず、食料は尽き弾薬も切れようとしていた。

退くにも退けず、進むにも進めず…そんな状況下だった。
副部隊長だった男は、極度の疲労と不安で士気の低い隊員を励ましつつ現状打開する方法を思案していた。
(2)2006/02/15 00:34:12
お尋ね者 クインジー
そんな矢先、彼の上官である部隊長は…残りわずかな物資と男の部隊の潜伏先の情報を持って投降しようとしたのだ。男はその部隊長が深夜投降する場所に遭遇…口論の上、殺してしまった。そして…退却を決意、副部隊長として部隊をまとめ、敵陣を突破し部下の半数以上を敵陣の包囲から脱出させる事に成功した。

これは誇るべき戦功であったが…殺した上官は…さる貴族の徒弟であった。そして…生き残って脱出した部下にその門下に繋がるものがおり、男を…誣告したのだった。

脱出した多数の部下たちは、揃って男を庇った。
しかし…貴族の手が回り、公平な軍事裁判が行われる事無く男の存在は闇に葬り去られこの島に投獄された。

それでも…男は思うのだった。
「あの時、俺は間違った事はしていない。そして、部下を生きたまま故郷に連れて帰ることができて良かった。」…と。
(3)2006/02/15 00:35:36
お尋ね者 クインジー
―――ピチョーン、ピチョーン。

男は相変わらず天井から滴る雫を見ていた。
「一年半…か。長い…な。」
男がここに来てから1年半が経過していた。

男は体をベットから起こすと頭を掻いた。
今日もまた…男にとっては無気力な一日が始まろうとしていた。
(4)2006/02/15 00:36:15
踊り子 キャロルが参加しました。
踊り子 キャロル
[天井近くの窓から朝のほの暗い光が差し込む、古びた色彩のない個室。この季節でなくても朝は冷え込む。
堅牢な床から伝わる冷たい感触をものともせず、キャロルの細足はそこに佇んでいた。
昨今のロシア正教への軍事的圧力なぞ、どこふく風なのであろう。壁に設置されたちいさな十字架はロシアのものである。無論、キャロル本人はその十字架にはなじみがない。

いつも笑みを絶やさずに囚人たちを見守る、その部屋の主の笑顔をキャロルはあまり好いていなかった。
故に彼の居ない、朝早くを選び、礼拝室へと訪れる。]
(5)2006/02/15 01:28:18
踊り子 キャロル
[風ひとつ吹かない部屋。彼女のハニーブロンドのやや癖のかかったロングヘアは、揺れもしない。
彼女の根底に流れる何かが、静謐を欲していた。
ここに来て3ヶ月。静かな環境は皆無と言ってよかった。馴染みのない宗教でも、聖域はいつだって清らかだ。

20分ほど居たであろうか。ギィとドアの開く音に、キャロルは振り返った。]
(6)2006/02/15 01:35:26
踊り子 キャロル
「キャロルさん、おはようございます。相変わらず、早いですね。」

[そこにはこの刑務所付きの聖職者が居た。姿勢良く立ち、彼女が苦手とするいつもの笑顔を浮かべ、長椅子に座る彼女をにこやかに見下ろしている。]

「…おはようございます。ルーサーさんもお早いですね。」

[伏目がちに低い声で挨拶をする。彼女は刑務所の中でも、特定の人物としか目を合わせて喋らないことで有名であった。
十分承知しているルーサーはそれでも笑みを浮かべている。]
(7)2006/02/15 01:36:18
踊り子 キャロル
「寒いですから、お風邪を召さないようにご自愛ください。といっても暖房はありませんがね…。」

[キャロルは何も言わずに疲れた目で前空を見つめている。アーモンド型のブルーアイが彼女の意思表示の唯一の窓であるかのように雄弁だった。彼女の目は大きい。その大きな目の端はきりっと上がっており、隠された意思の強さがじわりとにじみあがってくるようである。
看守達はいつも真面目だが、時折裏で彼女を口さがなく欲望の対象として揶揄する者もあった。実際、彼女は美人だった。街を歩けば振り返らぬ人の居ないほどの美貌の持ち主だろう。それも刑務所暮らしですっかり廃れてしまっている。
キャロルの目を見つめて思慮にふけっていたルーサーははっと我に返り、その場をもてあましたのか、罰が悪そうな顔おした。
そして兼ねてから聞こうと思っていたことを口に出した。]
(8)2006/02/15 01:37:20
踊り子 キャロル
「貴女は、何故、毎朝礼拝室にいらっしゃるのですか?」

[罪人たちの罪状は頭に入っている。彼女は殺人罪。最も重いクラスより2番目の罪人だ。殺したのは夫。正当防衛が主張され、最も重いクラスよりもひとつ軽いランクとされているが、それでもこの風潮の中では、無期懲役も免れない恐れがある。
ルーサーは、夫を殺した罪償いのために来ているという答えを期待した。模範囚、無期懲役が減刑に…それは看守達はしらねど、聖職者のルーサーには喜ばしいものであったから。]
(9)2006/02/15 01:37:43
踊り子 キャロルは、ルーサーの目を無表情に見つめた。
2006/02/15 01:37:52
踊り子 キャロル
[この聖職者は何を聞きたいのであろう?キャロルにはロシア語は理解できたが、ロシア人の考えることは時折理解し難いことがあった。私から反省の言葉を聞きたいのかしら。それが美徳というものなのかしら。
気まぐれで強情であることを彼女自身が一番よく理解していた。父の国、父の血への果てしない憧れが生んだ結末は父の国への強制的な滞在許可であった。それも、半永久的に。そしてこの牢獄にて父の国の人々の情けなさにギャップを感じ、意気消沈しているのが今のあたしだ。]
(10)2006/02/15 01:42:08
踊り子 キャロル
「…血を感じたいからです。」

[キャロルの答えは驚くべきものであった。目を見開くルーサーを背に、キャロルは立ち上がり、つかつかと礼拝室を後にした。]
(11)2006/02/15 01:42:27
踊り子 キャロルは、礼拝室のドアを後ろ手で閉め、あたりを見回した。
2006/02/15 01:49:23
踊り子 キャロル
[礼拝室は男女兼用になっており、男子用娯楽室のほうから嬌声が聞こえてくる。博徒グレンの声を識別できた。]

「…こんな朝早くまでよく遊んでいられるわよね。」

[独りであることを確かめるかのように棄てゼリフをいい、キャロルは女子独房5号室に帰っていった。
クリムゾンレッドのショールを纏い、さらに毛布を纏う。寒くて凍えてしまう。
後1時間ほどで起床時間だ。それまでキャロルは*仮眠の世界へと堕ちていった*]
(12)2006/02/15 01:50:11
見習い看護婦 ニーナが参加しました。
見習い看護婦 ニーナ
[ニーナは小さな身体をさらに小さく折り曲げ、色素のない壁に背中を預け顔を伏せていた。
その姿勢から表情をうかがい知ることはできない。
彼女は元来小柄であったが、彼女の醸し出す雰囲気が表情を伝えているようにも見受けられた。

小さく腕が動く。指を2、3本使って短いベルフラワーの色をした髪を10本と、20本と弄ぶ。どうやら眠ってはいないようだ。

静寂が、五感を研ぎ澄ます。

ニーナは生き方の下手な人間だった。その自らの処世術のなさが、今日を招いていると言えた。
これまで何度も独房に入れられた事由にも枚挙に暇がない。
看守の彼女に対する服務態度の評価は両極端。『模範的』から『目が気に入らねえ』まで百者百様の答え。それはこの牢獄へ入れられてからのものではなかった。]
(13)2006/02/15 02:43:46
見習い看護婦 ニーナ
[ニーナはフィンランド中部の貧しい村に生まれた。ラピスラズリのような色をした美しい瞳を持っていた。農作物の実らない不毛な土地であったが暖かい両親、たくさんの弟や妹、友人に囲まれて明るく育てられた。
しかし15歳の時、この地を統治するロシア人の領主の目に止まり、半ば無理矢理領主の邸宅へ連れ込まれたのだ。

顔を殴られるのも当たり前の日々。昼夜問わず酷使され、また領主の極めて利己的な欲望に振り回され続けた。

『お前が忠節を尽くし続けるなら、家族の安全は保障してやるさ』

ニーナにはとてもそれが信じられなかった。逆に『家族は人質だ』という事実を思い知らされ、黙ってただ苦い思いを噛み殺し続ける日々であった。
(14)2006/02/15 02:45:43
見習い看護婦 ニーナ
やがて民衆は領主を倒さんがためと暴動を起こす。十数年前ロシアは日本に戦争で敗れ、この地での統率力を失いつつあった。カレヴァラと呼ばれる伝承が、フィン人たちの心の拠り所だったのだ。
ニーナも隠れてカレヴァラに夢中で読みふけった。


やがてこの地で小競り合いが何度も起き、村は、この地方は大きく衰退する、多数の家や家畜小屋が焼き払われ、村人は散り散りとなった。
あまりの領主の無知さにロシア本国も業を煮やし、疲弊したこの地に軍を送り込み、領主は処刑されその周辺の者は徹底的な厳罰を受けた。
彼女自身も、領主の周囲の兵士達を手厚く看護したゆえ――がこの牢獄へ送られた主な理由であった。
(15)2006/02/15 02:47:04
見習い看護婦 ニーナ
今・・・何時なのでしょう・・・

[彼女は生きる道を失いつつあった。彼女の望みは、故郷の家族や友人を一目望みたい、ただそれだけのことであった。しかしニーナの故郷は荒れ果て、村にどれだけの人が残されているのか・・・
下手をすればニーナ自身の方が命を長らえているのかもしれないのだ。

故郷を、家族を踏みにじられた人生。一度も光を得たことのないような錯覚。
ニーナはそのまま身体を横にし、浅い眠りにつく姿勢になった。]
(16)2006/02/15 02:53:21
医師 ヴィンセントが参加しました。
医師 ヴィンセント
【夜明け頃/男子独房:1号房】

[海辺特有の、湿気を含み寒々とした空気が薄暗い房を満たしていた。
時折、高い位置にある格子の嵌った採光用の小さな窓の向こうから、
吹きつける強い風と、岩に砕ける波の音が僅かに聞こえる。

房の寝台には、粗末な毛布を掻き抱き、
身を縮めたまま眠る一人の男の姿があった。
唇からは時折、言葉にならないうめき声のようなものが洩れている。

男は夢のなかを彷徨っていた。
いつ醒めるともしれない、過去の悪夢の中を──]

(17)2006/02/15 04:13:13
医師 ヴィンセント
【1年半ほど前/とある大学病院の手術室】

[目の前に見えるのは手術台に寝かされた患者の身体から流れ出る真っ赤な血。
清浄なはずの器具と術衣が、みるみる真っ赤に染まっていく。

(出血量が多い…早く止血をしなければ患者の命が)

執刀医である医師はまるで信じられないものでも見るように、
その場にただ立ち尽くしている。
立会いの医師であった彼は、教授の肩を揺さぶった。

(至急止血と輸血を!指示を出さなくては患者の命が──)

周りの看護婦や若い医師のざわめきがいつの間にか己を取り囲む。
その誰もが『あの教授には逆らえないのだ』というような
無表情な面を着けているように感じられた。
それでも彼は必死に溢れてくる血を止めようと望みのない努力を続け…
そして──]
(18)2006/02/15 04:14:57
医師 ヴィンセント
[その日から、穏やかであった彼の身辺は一転した。
かの教授からの告発によって、法廷へと連れ出され、被告と呼ばれる日々。
そして訪れたのは、抗うことさえも無駄だと思えるくらいに
一方的な裁判の末の医師免許剥奪、そして有罪判定…

彼は『手術中のミスによる患者の死亡…業務上過失致死罪』という
犯したはずのない罪状を負って、この島へと送られたのだ]
(19)2006/02/15 04:16:44
医師 ヴィンセント
【回想終了】

[──…息苦しさと涙にまみれて目を覚ますと、目の前の灰色の壁が、
夢と希望に裏切られた現実を彼に突きつける。
…自分は囚人なのだ──という無残な現実を]

……もう、1年半前のことなのか…
私にとっては、まるで昨日か一昨日のように感じる。
脳裏に焼きつくとは…巧い表現があったものだ。

[彼は冷え切った空気を胸に吸い込み、身体を起こして床に足をついた。
もう、夜明けも近いのだろう、鉄格子の影が次第に濃くなりつつある。
薄い靴底を通して伝わる石の冷たさを感じながら、
無意識のうちに分厚い布の下のロザリオを確かめる]
(20)2006/02/15 04:18:44
医師 ヴィンセント
また…夜明けが来る。
私の時間はあの時から止まっているよ。
だが、私は諦めはしない。
この罪が無実のものだと証明されるまで、命を落としてはなるものか。
…私が生きていること、それこそが無実の証なのだから。

[彼は息を深く吸い、寝台から立ち上がる。
服役態度は至って良好であり、
模範囚として獄内での制限は、僅かではあるが緩いものとなっていた。
そしてゆっくりと房の扉を開くと、礼拝室へ向かった]
(21)2006/02/15 04:19:43
医師 ヴィンセント
[途中、娯楽室の方から幾人かの嬌声が聞こえるも、それには構わず扉を開けて中に入る。

彼は殆ど全てのものを失いはしたが、この獄中で僅かに得たものもあった。

その数少ないものの一つが、この監獄に派遣された
ルーサーという名の司祭であった。
彼は信仰に篤く敬虔な人物で、静かな安らぎと威厳に満ち満ちていた。
投獄されてから幾度となく悩みを打ち明け、
時には規則を忘れ深夜に至るまで語り合ったこともある。
語り合うのはとりわけ、互いの向き合ってきた死生観に関するものが多かった]
(22)2006/02/15 04:21:11
医師 ヴィンセント
【礼拝室】

[礼拝室のドアの向うに見慣れた背が見える。
彼はドアを開け、僅かに灯りの灯った室内に入った。
塵一つない室内に置かれた簡素な椅子と机、
東の壁に置かれた小さなイコンが、神聖な静けさを醸し出している]

おはようございます、ルーサーさん。

[彼の挨拶に少し間をおいてその背は振り返った。
普段は柔和な表情を湛えている顔が、今朝は僅かに困惑しているように見える]
(23)2006/02/15 04:22:07
医師 ヴィンセントは、牧師 ルーサーの困惑した表情に少しだけ驚いた。
2006/02/15 04:24:47
医師 ヴィンセント
[変わらない穏やかな声に安堵しつつ、ヴィンセントは傍らの椅子に腰をかけた。

『…僅かに困惑のようなものを感じたが…何かあったのか…?
彼ほどの人物を困惑させるような、何かが?』

しかしその表情はすぐに普段のものへと変わり、
ルーサーはいつものようにゆっくりと微笑んだ。
寒さに脚を擦り合わせながら、日課のような短い会話を幾度か繰り返した後、
ヴィンセントは己の房へと戻っていった。

娯楽室からはまだ、嬌声が聞こえている。
その中に混じるグレンの声を認めながら、
すっかり温度を失いかけた毛布を身体に巻きつけて寝台に*横になった*]
(24)2006/02/15 04:26:49
美術商 ヒューバートが参加しました。
美術商 ヒューバート
【独房の中】
[ベッドに横たわりながら、手に入る筈のない新聞を眺めていた。そしてふと目を、とある記事に向ける。そしてやや面倒そうに半身だけ起きあがると、看守に向かって声を上げた。]

ちょっと面白い話があります…前回と同じ私の取り分は1/5…いえ、そうですね、この儲けなら1/10で構いません。また私の指示通りに株を買って貰えませんか?

[その看守は以前も私の指示に従って、ちょっと小遣いを稼いだ事があり、今回もその話に耳を傾けた。]

ドイツの会社なんですが…。

[しばし株取引の話が続く…。話はまとまった様で看守が以前儲けた時の記憶を反芻してニヤリとした。]

この通りに株を買い、それを時期を合わせて売れば、来月には看守なんてケチな仕事を辞めて、一生のんびりと暮らせますね。
私としては、代わりに金を動かしてくれる貴方が居なくなるのは非常に残念なのですが…、え…私との伝がなくなるから、仕事は適当に続ける?
流石にここまで美味しい話は、そうそう無いとは思いますが…。まぁ、私としてはとても助かります。

あぁ、そうでした。この手紙を…こっそりと出して貰えないでしょうか?

[どこで手に入れたのか、蝋封されたやや豪華な封筒を看守に手渡す。]

こんな事頼めるのは、貴方しか居ませんから…共に人生の勝利者になりましょう。
(25)2006/02/15 13:44:03
美術商 ヒューバート
[ヒューバートの独房の前から、小太りの看守がやや軽い足取りで立ち去る。囚人たちからの評判は最悪だった。

機嫌が悪いと、無闇に鞭を振るうし、ちょっとした嫌がらせを囚人にして、自分が優位に立った気分に浸る小男だった。

もっともヒューバート自身は、看守の卑屈な性格を逆手にとり、持ち前の言葉と何度か小遣い(と言うには額が多いが)を稼がせてやった事で、その被害を免れていた。]
(26)2006/02/15 13:53:07
美術商 ヒューバートは、看守が立ち去ると、独房の影で顎を引き、小さく笑いを溢した。
2006/02/15 13:53:52
酒場の看板娘 ローズマリーが参加しました。
酒場の看板娘 ローズマリー
【1年前/ポーランド】

[小さな部屋の中で、男と女の荒い息が重なり合う。女のその息は、どこか機械的で…寂しげなものだった。
部屋に静寂が戻った後、女はすぐさま体を起こし、服を着込むと男にこう呟いた。]

「お金……。」

[男は快楽に満ちた表情のまま、黒の革製の財布に目を遣り、女に事の前に約束しただけの額を払ったのであった。女は無表情のまま金を受け取ると、身に着いた''汚れ''を取り除くべく、急いで自宅へと走り去った。]
(27)2006/02/15 18:28:56
酒場の看板娘 ローズマリー
[女は、母親と2人家族。ワルシャワ郊外の小さな家で生まれ育った。小さい頃、父親は流行病で亡くなり、翌年には、母親もまた病に倒れたのであった。父親が生きていた頃は、貧しいながらも幸せに暮らしており、家の中は常に笑いが絶えなかった。しかし父親が死んだ後、生活は更に厳しくなり、母親が倒れた後は入院費はもとより、生活すらままらない状態であった。

ある夏の日、ヴィラヌフ宮殿近くを歩いていると、一人の男が声をかけてきたのだった。それは、自分の性を売って欲しいという内容だった。女は差し出された額に目が眩み、無言のまま頷き、その男と体を重ねたのだった。
母親の入院費、そして自分の生活費…多額の金が必要となった女は、この''行為''を忘れる事ができなかった。いつからか、自分から声をかけるようになり、何度も違う男と体を重ね、そして金を払わない者からは、強引に金品を強奪するようになっていた。]
(28)2006/02/15 18:32:06
酒場の看板娘 ローズマリー
[簡単に多額の金を手にできるこの''行為''は、いつでもできるわけではなかった。体がそれを受け入れられない日が訪れると、女は通りすがりの者から金品を奪い、金を手に入れていたのだった。

季節は変わり、冷たい風がボロ布から覗く肌を斬りつける頃、女はいつものように道行く男に声をかけていた。誘いの成功率は100%であったが、この時誘った男は、首を縦に振るどころか、女の手を掴み上げ、警察へと連行したのだった。

不運にも…この男は以前、女から金を強奪されていたのだった。
その後、女はバルト海に浮かぶ島に建てられた、刑務所へと投獄されたのであった。]
(29)2006/02/15 18:35:28
酒場の看板娘 ローズマリー
【現時刻/女子房5号室】

[鉄格子の向こうから、灯火の光が独房内に差し込んでいる。ローズはその光を、ゆっくりと瞳に映し出した。
簡素なベッドから体を起こすと、壁に背を預け、冷たく…湿った体を両手で包み込むように抱いた。]

寒い…
今日は何時もにも増して寒い…

お母さん、どうしてるかな。
病院から追い出されてないかな。

もう少し…もう少しでここから出られる。
そうしたら、またお金稼ぐからね。

もう少しだけ…もう少しだけ待ってて…。
(30)2006/02/15 18:45:59
酒場の看板娘 ローズマリーは、静かな、暗い房の中で、小さく呟き続けた。
2006/02/15 18:46:55
牧童 トビーが参加しました。
牧童 トビー
【男子独房】
一人の少年がベッドに腰掛けている…。
少年の名はトビー、一年と少し前に起こした事件の結果でトビーはこの牢獄へと入る事になった…。

「そろそろ一年か…、こうして僕がここにいるあいだも奴等は楽しく暮らしているのかな…?」

少年はそう呟くとここに来る切っ掛けとなった事件の事を考えはじめた…。

少年は
(31)2006/02/15 20:57:35
牧童 トビーは、いきなりミスです、最後の「少年は」は無い物と思ってください
2006/02/15 20:58:52
牧童 トビー
一年前、トビーは一人の男を殺した。

男とトビーはとある財宝の発掘隊の仲間だった。
決して望むべくして殺したわけではない…、だが事件は起きてしまった…。

切っ掛けは些細な意見の食い違いだった、とある資料を男は公表するべきと主張し、トビーは公表せず発掘隊だけの情報としておくべきだと主張した。
(32)2006/02/15 21:15:19
牧童 トビー
そんな時、トビーと同じ意見を持つ発掘隊の何人かがトビーへと悪魔のような提案を持ち掛ける…。

あいつを行方不明に見せ掛けて殺してしまえばいい…、そうすれば情報は俺達だけのものだ…。

その気があるなら自分達も手助けは惜しまないと…。
(33)2006/02/15 21:18:21
牧童 トビー
トビーは悩み苦しんだ、人を殺してまで発掘を続けたいのか…。

そして、彼の出した答えはYesだった…。

彼は回りの提案を受け入れ男を殺害した…。
(34)2006/02/15 21:21:26
流れ者 ギルバートが参加しました。
流れ者 ギルバート
【独房】

う、……さみ。


[ ぴちゃぴちゃと煩い雨垂れの音で目が覚めた。
俺は顔へと、薄っぺらな毛布をかき寄せる。
今じゃ俺と一緒に夜をすごしてくれるのは、こいつ位しかいない。
こんなものでもないよりはまし、多少寒さを和らげる役にはたってくれている筈だ。

毛布の中で体を縮め、目を閉じる。
早起きなんて勤勉な真似はまっぴらだが、"ここ"じゃそうもいかない。
優しい優しい看守様達が、
朝礼やなんだと称して毎朝俺たちを叩き起こしてくださる。
(35)2006/02/15 21:22:13
流れ者 ギルバート
――だが、まだそれには時間がある。
――寸前まで寝ていたいってのは正常な欲求だろ?


なんとなしに一人ごち、もう一度毛布に顔を埋めても、
朝の冷えた空気にさらされた頭は、だんだんと冴えていくばかりだ。
動き始めた人の気配、風のかすかなざわめき、滴る水の音が、耳の奥でがんがんと響く。]
(36)2006/02/15 21:23:05
牧童 トビー
だが、現実はトビーが描いてたほう紅とは違う方向へと進んでいった…。

回りの仲間が裏切り…、トビー一人に罪を着せ自分達は逃げてしまったのだ。


そうして彼はこの牢獄に来る事になった…。

その胸に男を殺してしまった後悔と裏切った仲間への恨みを抱いて…。
(37)2006/02/15 21:23:46
流れ者 ギルバート
……わかりました、起きますよ、起きますってば。
まったく、二度寝くらい許しちゃくれないもんかね?


[ ぶつぶつと呟きながら、ギルバートはゆっくりと体をおこす。
寝乱れた髪をかき混ぜ、
彼は名残惜しげに毛布を脇へと押しのけた。 ]

ったく、――なんでこんなに冷えるんだよ。
(38)2006/02/15 21:23:49
流れ者 ギルバート
[ 壁に体を凭せ掛け、腕を絡めてぐっと背を伸ばす。
何度か伸びをしたあと、彼は思い立ったように、壁へと向き直る。

軽く握った拳を振った後、彼は独房を隔てる壁をこつこつと叩き始めた。]

ほら、――起きろ、起きろってば!
大きな兵隊さんに叱られるぞー……?
(39)2006/02/15 21:24:15
流れ者 ギルバート
【朝礼/礼拝室】

[ 朝礼は退屈だ。
神父様の有難いお言葉をいただきながら、俺は欠伸をかみ殺した。
この朝のお祈りってものは、
俺にとっちゃなんとも好ましくないものだった。
せめて昼にしてくれれば考えるんだが、早寝早起きなんて随分と柄じゃない。

とはいっても、大口開けて欠伸してやる気にもなれないのは、
俺がそこそこ牧師様を気に入っている証なんだろうか?
……それに、看守様の目のことも、勿論ある。

隣でうとうとと船をこいでいたアルビンの脇を軽く小突いてやると、奴はびくりと目を覚ました。

奴は暫しきょろきょろと目を彷徨わせ、――此方を軽く睨んでいた、看守様のひとりと視線が噛んだのか。
ぎこちなく笑いながら、神父様のほうへと顔を戻すのが横目で見て取れた。
(40)2006/02/15 23:26:55
流れ者 ギルバート
勿論、俺達みたいな不心得者ばかりじゃない。
熱心に何やら祈っているものもちゃんといる。

神とやらにに祈り縋るその心境は、俺にはよく分からない。
それでも、祈る姿の真摯さは嫌いじゃない。

俺を誘惑する睡魔に心を揺さぶられながらも、
彼らに倣って軽く手を組み、俺は目を閉じた。 ]
(41)2006/02/15 23:28:48
書生 ハーヴェイが参加しました。
書生 ハーヴェイ
【独房/自室】

……血だ、血の雨だ…。帝都に貴族どもの血の雨を降らせるのだ。今こそ鋤と鎌を手に立ち上がれ!』
そう男は訴えかけた。……」

ふぅ…。革命のためには流血もやむを得ないだろう。
そして革命の旗は搾取者どもの血で赤に染まるのだ。

[理想の国家を描きたい、そう思いながら男はペンを置いた。]
(42)2006/02/15 23:39:15
酒場の看板娘 ローズマリーは、(5号室→8号室に訂正。)
2006/02/16 00:12:22
酒場の看板娘 ローズマリー
【女子房8号室→娯楽室】

[背の高い看守が、鉄格子の扉の鍵を開ける。カチャカチャという音に、ローズはふと顔をあげた。
看守は無言で房の中に入ってくると、ローズの両手首に鉄の鎖を巻きつけ、無言のまま8号室の前から立ち去った。

―――これは、娯楽時間である事を意味している。
娯楽といっても、娯楽室で他の囚人達との会話を楽しむか、簡単なゲームをする程度のものであった。
ローズは重くなった両手をぶらんとさせながら、薄暗い廊下を娯楽室に向かって歩き出した。]
(43)2006/02/16 00:13:16
酒場の看板娘 ローズマリー
[娯楽室は男女分かれおり、女子の娯楽室には誰の姿もなかった。静かな娯楽室の壁の向こうから、男の威勢のいい声が聞こえてくる。
ローズは誰も居ない娯楽室の片隅に座ると、その声に暫し耳を傾けていた。]

その時、小さく…低い唸り声がローズの耳に入ってきた。明らかに先程聞こえてきた声とは違い、苦しみにもがくような…何かを恨み憎しむような…そんな声だった。
ローズはふと、看守達の会話を思い出す―――。]
(44)2006/02/16 00:13:44
酒場の看板娘 ローズマリー
【1ヶ月前/女子房廊下】

「お前はどう思う…?ほら、時々聞こえてくるだろ…?唸り声が。誰も居ない筈の房なのに、何で声が聞こえてくるんだろう。」

『お前、知らないのか…?この島は昔、犯罪者の島流しに使われていて、その中には冤罪で流される人も居たらしいぜ。無実の罪を着せられて死んでいった者の魂が成仏できず、現世に留まっているのかもしれない…。』

「おいおい、お前…そんなの信じてるのか…?
確かに、冤罪で流される奴も居たらしいが、そんな幽霊話、信じるなよ。」
(45)2006/02/16 00:14:11
酒場の看板娘 ローズマリー
…………。

これが、噂の唸り声…?

[ローズは胸の奥が騒ぐのを、敢えて気づいてないように、本棚から一冊の本を持ってくると、無心でそれを*読み始めた。*]
(46)2006/02/16 00:14:38
見習い看護婦 ニーナ
【娯楽室】
[ニーナはどうということもなく、覚束なくも見える足取りで娯楽室へ足を向けた。元より群衆の中に紛れることをよしとしない性格であったが、気分が彼女の足を向けさせた。恍惚とした足取りにも見える。

娯楽室の隅で、ローズが一心不乱に書物に目を落としているのを見つけた。
彼女とは挨拶を交わす程度の仲であったが、それでも普段のローズではないことは容易に想像できた。]

何の本なのでしょう・・・

[ニーナは誰にも聞こえないほどの小さな声で呟き、ローズの読んでいる書物を覗き込みたい衝動にかられた。]
(47)2006/02/16 00:42:29
踊り子 キャロル
【19:00頃/廊下にて】

…。

[重い鎖を引き摺りながら移動する。キャロルはこの娯楽時間というものに意味を感じていなかった。交流を深めて何をしようと言うのだ?お互いみすぼらしい格好をしているのに?
こんな辺鄙な島の刑務所に居ても、やはり女性の性はあるもので、口では当たり障りのない会話をしても心の中では相手の欠点を見つけて自分にはない、と喜んでいるのが手に取るように解る。]
(48)2006/02/16 00:47:23
見習い看護婦 ニーナ
[ニーナはローズにふと声をかけたくなったが呼びかける名目を思いつかず、そのまま少し離れた場所に小さく腰をおろした。男性の威勢のいい喧騒が響いてくる。

ローズは相変わらず視線を一点に集めている。

刹那、壁からとも地下からともつかぬ、低い唸りが聞こえたような気がした。ニーナははっと顔を上げた。目に映るのは日常。牢獄へその身を堕とした者達の声。
ただ、ローズの眉が少し動いたようにも見えた。見た訳ではない。空気の動きが伝わってきたように思えた。]
(49)2006/02/16 00:50:36
見習い看護婦 ニーナ
どうして・・・こんな胸騒ぎがするのでしょう・・・私が心配するものは何もかもないというのに。

[冷たい鎖で結ばれた両手で両ももを抱えながら、ローズにも誰にも悟られないように周囲を目だけで見渡した。]
(50)2006/02/16 00:55:06
踊り子 キャロル
【3ヶ月前、キャロルが投獄されて2週間後/娯楽室にて】

[投獄されて2週間の監禁を経て、キャロルが抵抗する様子がないと判断されたのだろう。彼女に娯楽時間が与えることとなった。
囚人服を着、髪を高く結い上げて、キャロルはいつものように紅を引いた。
彼女は刑務所入りするにあたり、何も抵抗しなかった。しかしただ一つ、口紅だけは肌身離そうとしなかったのである。さすがの看守も業を煮やし、彼女に体罰を与えたが、彼女はがんとして聞き入れなかった。結局見かねた女性看守が同じような色味を買ってくる約束をとりつけた上で、彼女の持ち込んだ口紅を没収できたのである。
その紅を引くのが彼女の日課であり、女性性の主張であった。]
(51)2006/02/16 01:05:07
踊り子 キャロル
「貴女、新入りね?」


[ダミ声に目をやる。娯楽室の隅のソファには中年の女性囚人が居座っていた。
一発でちっぽけな「権力」を握った人物と観てとれる。収監される前は裕福だったのかもしれない。…こんなところまで客商売時代の名残があるのね、と独りキャロルは感心していた。]

「コロシらしいじゃない。何をやったのよ?」
(52)2006/02/16 01:06:20
踊り子 キャロル
「…旦那を射殺しました。」

「あら、素敵ねぇ、フフフ。浮気でもバレたのかしら??」


[こういう人物には最初には逆らわないほうがいい。本能で察知して真実を打ち明けた途端の中年女の返しに、キャロルの理性が飛んだ。裕福なんて評価は間違いだ。彼女は中年女の顔にツバをふきかけた。]
(53)2006/02/16 01:06:46
踊り子 キャロル
「!!!何すんのよッ!!!!」

[中年女はいきり立ち、キャロルを平手で打った。その力は思った以上にキャロルの身に堪えた。嫌、相次ぐ取調べと厳しい折檻で弱っていただけかもしれないが、キャロルは娯楽室の床に跳ね飛ばされる。]

「…紅なんか引いちゃって色気づいたってあんたは人殺しよ。何の理由があろうと、人を殺したことには代わりはないものね。理由が浮気がバレたからであろうと防衛であろうと、結果は同じさ。ハンっ。

コロシは今の情勢じゃ出て行けないよ。あたしみたく、客引きのほうがよっぽどマシだ。もう半年もすればオサラバ。」
(54)2006/02/16 01:09:58
踊り子 キャロル
「模範囚になろうと無駄だよ。残念だったわね。あんたは 永 久 に ここで眠るのさ。rest in peace。」


[周りの女囚たちがクククと笑い声を立てる。ジェーン、やるわね。そんな声がこそこそと聴こえてきて、ちょうどそのタイミングで騒ぎに気づいた看守がジェーンを諫め、その話はそこで終わった。改めてキャロルは女の浅はかさを思い知ることとなったのだ。噛み締めた唇は僅かに血の味がした。]
(55)2006/02/16 01:11:02
踊り子 キャロル
【回想終了/独房より娯楽室に続く廊下】

「それだけじゃないわよ…。極限状態では人間性が如実に出るんだから。」

[自分に言い聞かせるように独り言を言い、彼女は廊下に佇む。あれ以来、肌身離さず持ち歩いては居るが、紅は引いていない。それ以上に娯楽室に行って女囚と交流を図ることは殆どしたことがない。いつもこの廊下の高い窓から見える月を眺め、しばしロシアの夜に思いをはせるのであった。静寂は彼女を人間らしく押し留めておくのに必要不可欠だ。]
(56)2006/02/16 01:14:03
踊り子 キャロル
[そのとき、囚人の居ないはずの4号室から幽かに呻き声が聞こえた気がして、キャロルは振り向いた。自分の隣部屋は先週どこかに移動された(たぶん、死刑になったのかもしれないとキャロルは考えている)シャーロットが居たはずだ。また帰って来てるのだろうか?と考え、部屋を見たが、部屋の中はからっぽだった。]


「あたしも…もう極限状態なのかしら。」
[キャロルは不安そうにつぶやき、しかし独房に戻る気にもなれず、娯楽室のほうへと*足を運んだ*]
(57)2006/02/16 01:16:02
見習い看護婦 ニーナ
[この人間社会から隔絶された牢獄へその身を転がされて3年余り。ニーナは様々な囚人の移ろいを目の当たりにしてきた。気丈な者、猛々しい者、欲望に忠実な者、権力者へ取り入る狡猾さを見せる者・・・]

私は・・・この島を出ることはあるのでしょうか・・・
(58)2006/02/16 01:20:09
見習い看護婦 ニーナ
[ニーナは国家の反逆者、あるいはその手助けをした者という烙印を押されているのだ。政治的利用、抑揚のために死刑を実行されていても不思議ではない身なのだ。
では何故生きながらえているのか。それにはふたつの理由があった。

一方の理由は至極単純。看守達の個人的な都合に利用されているからに他ならない。]
(59)2006/02/16 01:25:49
見習い看護婦 ニーナ
[実直勤勉な看守にとっては彼女は模範的な服役囚。服役態度の悪い囚人の見本となるべく利用している。無論、むざむざと処刑に踏み切りたくない思惑も絡んでいるだろう。
あるいは利己的な看守の都合。本人に腹立たしいことがあれば溜飲を下げるために理由をとってつけ、ニーナに拳を振るうのだ。

もう一方の理由は複雑である。それは看守及び島外にいる上層部が、ニーナ自身をフリーメーソンではないのか?と目を光らせているのだ。]
(60)2006/02/16 01:32:00
見習い看護婦 ニーナ
[ニーナは領主の下で生活していたゆえ、この領主が育て上げたスパイ、あるいは領主の館に潜り込んだ二重スパイではないのか?という疑念が看守長達にあり今もなおそれは消えていない。

ただ、それが彼女の環境を若干改善させてはいた。看守達にとってニーナは都合のいい存在。ゆえにたとえこの猿山の大将ジェーンであっても、囚人がニーナを表立って粛清することはできなかった。若干の不平不満はあるのだが。]
(61)2006/02/16 01:39:53
見習い看護婦 ニーナ
この重い鎖は、いつかは外れるのでしょうか・・・

[ニーナが釈放される。それはフィンランド領、あるいは帝国ロシアのどちらかの落日がない限り無限ではないのだろうか。

ニーナは生きてこの牢獄を、島を出る日が来るのか出口の見えない日を思い溜息をつき、両手に巻きついている鎖を*虚ろに眺めた*]
(62)2006/02/16 01:46:20
医師 ヴィンセントは、食事を済ませ、1日の作業で疲れた身体を房で休めていた。
2006/02/16 02:52:51
医師 ヴィンセント
【19時頃/男子1号房→娯楽室】

[扉の格子の向うに看守の顔が見え、鍵の束の擦れる音がする。
娯楽時間…
この時間はこの監獄に収容された者たちにとって唯一の憩いの時間だ。
ヴィンセントは両手を鎖で拘束され、娯楽室への通路を歩いていった]
(63)2006/02/16 02:53:46
医師 ヴィンセント
[娯楽室の中には、他に収容されている囚人の姿が既に幾人か見て取れた。
気弱そうな青年、商人だったという男、そしてその他の囚人たち。

ヴィンセントは、己の唯一の持ち物である医学書を携え、
椅子に腰をかけてゆっくりとページを繰り始めた。

彼がこの監獄に収容される以前から、人生を共にしてきた1冊の医学書…
看守たちに懲罰として幾ら体罰を加えられようとも、
ヴィンセントはそれを手放そうとはしなかった。

『どうせお前は人殺しさ、お医者サマとしての資格はとうにねえんだろ?
 役に立ちゃあしねえ、持たせておいてやれ』

看守たちの酔狂か、それとも天の采配か、
体罰を見かねたルーサーのとりなしもあって、
その医学書だけはどうにか取り上げられずに済んだのだ]
(64)2006/02/16 02:55:17
医師 ヴィンセント
oO(私は必ず生きて戻る…
  そのためにもこれだけは手放すわけにはいかない)

[もう幾度となく読んだその紙面に綴られている
ドイツ語の綴りを目で追っているヴィンセントの耳に、
ふと、ざわめきのような声が聞こえてくる。

『…おい、ヨアヒム、今…何か聞こえなかったか?』
『アルビン、おどかさないでくれよ…
 いいかい、僕はあんな噂なんて、信じちゃいないんだ』

ニヤニヤと性質の悪い笑みを浮かべながら、
アルビンと呼ばれた男は更に続けた。

『この監獄はよ、もともと流刑の島だって話だ。
 そりゃ勿論お前も知ってるだろうが…』
(65)2006/02/16 03:01:39
医師 ヴィンセント
『無実の罪でここに閉じ込められた挙句に、
 おっ死んじまったやつらの尽きねえ恨みってヤツがさ…
 …特によ、今日みたいなこんな薄ら寒いような日はいけねえ』

アルビンはそこで一度言葉を切った]
(66)2006/02/16 03:01:52
医師 ヴィンセントは、息を抑え、辺りの声に注意深く耳を済ませた。
2006/02/16 03:02:07
医師 ヴィンセント
[一呼吸ほどの間の後、抑えられた声が唇から洩れる

『──……出るんだよ、ここはよ。』
『やめてくれよ!!!』

その語尾と重なるようにして青年が呻き声を上げた。
周りの囚人たちはいつもの光景を眺めるかのように、
薄ら笑いを浮かべている]
(67)2006/02/16 03:03:32
医師 ヴィンセント
[ヴィンセントはページを繰る手を止めた。

たとえその噂がが嘘でも真実でも─
─自分のように冤罪での収監であるということは十分に考えられるが──
心の奥底で、冤罪を晴らしなんとしてもここを生きて出るのだという自分と、
何をしても無駄だという無気力な自分が互いに小さく蠢いているのを感じた。

そして必ず最後に思うのだ。

『私は必ずこの島から生きて出る』

──と。

ヴィンセントは音のない言葉で短い祈りを捧げて心を静めると、
再び書面に視線を*落とした*]
(68)2006/02/16 03:06:02
農夫 グレン
【回想/明け方/娯楽室・個室】
アーヴァインの見回りはすぐ解る。ブーツが奏でる、硬質で規則的なリズム。

かつ、かつ、かつ、

博徒連中は素早く灯りを吹き消すと、流れた勝負のチップを握って個室に逃げる。
足音にあわせてランタンが揺れてゆらゆらとあたりを照らす。おざなりに部屋を見回ると、アーヴァインは詰所に戻った。

狸寝入りを照らし出され、眩んだ目に映る便所は真暗闇。鉄格子から溢れる月明かりが、暗闇との間にひとすじの線を穿つ。
闇から狙う連中は不意をつく。裏路地で習い覚えた警戒心が、暗闇から目を逸らさせない。誰が居るわけもない闇を無為に見つめ、時だけが過ぎていく。
(69)2006/02/16 03:47:37
農夫 グレン
【回想/明け方/娯楽室・個室】
ガキの時分。魚をくすねた逃げ道で肩がつかえ、店主にとっ掴まったのが始まりだった。
魚屋は大人で頭ひとつでかく、早口の難しい言葉で俺を罵ったり、もう逃げられんとか言っていたが、俺を掴む手は痩せて弱々しかった。

石を掴んで殴った。

倒れ、こめかみを押さえる魚屋にもう一撃。あたりには誰も居ない。すばしこい年下連中がおずおずと戻ってきては止まった光景をしげしげと眺める。ぐったりと地を舐めて呻く魚屋。店にはやはり誰も居ない。ガキどもは無防備な店から食い物を奪えるだけ両手に抱え、路地に散った。

日が暮れると、真っ暗闇から見る家々の窓は煌々と灯っていて、零れる明かりを頼りに歩く大人は、闇になど目もくれなかった。
皮のコートを目深に着込んだ大人が足早に路地を進み、闇に足を踏み入れる。棒きれがうなりをあげて、大人を地にたおす。
あの夜から、俺も舎弟も、腹を空かせたことも凍えたこともなかった。
(70)2006/02/16 04:06:05
農夫 グレン
【回想/夜明け/娯楽室・個室】
便所の輪郭がかすかに見分けられるようになって、朝がきたと解った。

「馬鹿馬鹿しい。湿気った煙草など狙われるものかよ。」
にやりと呟くと、味のしないスープを受け取りに厨房へ向かった。
(71)2006/02/16 04:06:31
流れ者 ギルバート
[ 風の音がうるさい。

人の唸りにも聞えるその低い音は、
噂好きの者や臆病者には特別なものであるらしい。

娯楽室でアルビンが、
気弱なヨアヒムをからかって遊んでいたことを思い出す。
アルビンが言うにこの音は、無念のうちに逝った、無実のものの恨みの声――であるそうだ。


――ありふれた御伽噺だ、ばかばかしい。

分かっている、そんな事などある筈がない。

――だけれどこの、言い知れぬ胸騒ぎと不安はなんだ? ]
(72)2006/02/16 05:05:27
農夫 グレン
【19時頃/娯楽室】
退屈な一日を終え、娯楽室に向かうと怪談話が盛り上がっていた。
ヨアヒムがあげた呻き声に、にやにや笑いが零れる…。

話をするやつ。本に没頭するやつ。そういや、椀とサイコロは誰が持ってるんだ?
クインジーやらギルバートやら、いつもの博徒連中を待つ暇に、やはり所在なげな緑髪の少年をからかう。

「よお。…唸り声、聞こえるだろ?あれよ、くたばった連中の恨み言なんだぜ…。あんたみたいな子供に取り憑いて、もう一度娑婆に出てえって唸ってるのさ。」
(73)2006/02/16 05:29:14
農夫 グレン
【19時頃/娯楽室】
[ 少年をからかいついでに、あかりの揺らいだランタンに油を加える。両手を括る鎖がちゃらり、と揺れた。
ちょうど響いた「呻き声」に、明るさを取り戻したランタンに照らしだされた、ギルバートの顔が不安に彩られている。
本を読み耽る眼鏡の男が、読んでいた本から顔をあげて祈りの文句を唱えていた。
びびってやがる。]


よお。ギルバート。なんて顔してんだよ…。昨夜の大負けが堪えてんのか?
ヨアヒムのやつ今夜はびびってるぜ。でかく張ればガタガタ…「呻き声」さまさまだぜ。
(74)2006/02/16 05:56:24
農夫 グレンは、娯楽室でだらだら*過ごした*
2006/02/16 05:57:53
流れ者 ギルバート
【19時頃/娯楽室】

[ 娯楽室の端にグレンの姿があった。
油を加えられ強さをました光が、グレンの頬を明るく照らしている。

俺が手をふると、構っていたらしい少年を軽く一瞥し、
奴は俺の耳元に口を寄せてきた。

俺の顔を見、グレンがにやにやと軽口をたたく。 ]


ヨアヒムは臆病だしな、――俺の事はほっとけ。

どうせ俺は運命の女神様には愛されてないんだよ。
女騙した詐欺野郎だからなぁ?
(75)2006/02/16 06:32:07
流れ者 ギルバート
[ グレンに言葉を返しながら、横目でヨアヒムを伺う。

不安に彩られた顔。
ただのからかいの的の筈のそれが、やけに親しく感じられた。

俺の様子に気づいているのかいないのか。
そうだ、と思いついたようにグレンが言葉を続けた。]


……椀とサイコロ? 俺じゃねえ。
もしあいつらでもないなら、――クインジーにでも訊いてみたらどうだ?
(76)2006/02/16 06:33:22
書生 ハーヴェイ
【回想/独房】

「『同志!』
アーヴァインが私に呼びかけた。
『アーヴァイン同志、どうしたのだ。』
『以前からの計画通りに、ここの囚人の大半を我々の仲間に引き込むことに成功しました。』
『そうか、ではあとは立ち上がるだけだな。』
『ええ、この刑務所から革命の火が燃え広がるのですね、同志。』
『アーヴァイン同志、よくやった。従わないやつは皆殺しだ。理想の国を作るためには仕方がない。』」

[一気に書き上げると、そこでペンを置いた。]

「……おい、食事の時間だぞっ!」

[看守の怒鳴り声が聞こえた。食事のあとの幾許かの自由時間も創作に費やそうと思った。]
(77)2006/02/16 20:15:28
酒場の看板娘 ローズマリー
【午後の作業後/女子房8号室】

ふう、疲れた…
指が悴んで、感覚がない…

[刑務所での作業は1日2回。女子はパッチワークを主にしていた。真冬で暖房もなく、その中での手作業は厳しいものだった。
ローズは自分の手にふぅと息をかけると、夕食までの間、娯楽室から持ってきた本「罪と罰」を読む事にした。]
(78)2006/02/16 20:36:17
牧童 トビー
【娯楽室】
娯楽に興味がないがたまには違う場所に出るのも悪くないと思い娯楽室へと足を運ぶ。

やはり来るんじゃなかったなと後悔していると帽子を被った男がからかい半分で声を掛けてくる。


「よお。…唸り声、聞こえるだろ?あれよ、くたばった連中の恨み言なんだぜ…。あんたみたいな子供に取り憑いて、もう一度娑婆に出てえって唸ってるのさ。」

くだらないな、子供だと思って馬鹿にしているとかしか思えない…、それが感想だった…。
トビーは男に返事すらせずそのまま周りを見渡し続けた…。
(79)2006/02/16 21:55:43
酒場の看板娘 ローズマリー
[この刑務所には、様々な罪を抱えた者が収容されている。勿論、この本に書かれている「殺人」を犯して収容されている者もいた。

ローズの罪種は売春と窃盗。この刑務所では軽罪クラスであり、残る刑期は1年をきっていた。服役態度は優秀で、多くの囚人達が特別室(拷問部屋)に入れられる中、ローズは一度もそこに入れられた事はなかった。]
(80)2006/02/16 22:01:06
酒場の看板娘 ローズマリー
【夕食時間/女子房8号室】

「おい。食事だ…。」

[鉄格子の扉から、看守が食事を入れてくる。そのメニューはいつもと同じパンとスープだった。ローズは小さくため息をつくと、無言でそれを食べ始めた。]
(81)2006/02/16 22:01:45
農夫 グレン
【19時頃/娯楽室】>>76
[ 博打の道具を探して問いかけるも、ギルバートは首を振るばかりだった。
ヨアヒムに勝ち逃げされたままってのが癪に障る。
こんなことなら…]

ちっ。俺がにぎっとけばよかったぜ。
…クインジーか?そういえばあいつ、どこに居るんだ?
(82)2006/02/16 22:28:22
見習い看護婦 ニーナ
【宵入りの時刻頃/女子房2号室】

寒いのには慣れてますけど・・・これだけ冷えると・・・

[ニーナは粗末な毛布の中にくるまっていた。昨日に引き続き薄ら寒い悪寒が走るような気がしたからだ。ニーナは小さく祈りを捧げた。学校へはあまり通えなかった彼女ではあるが、プロテスタント系統の信徒としての敬虔さを持ち合わせていた。]
(83)2006/02/16 23:00:03
見習いメイド ネリーが参加しました。
見習いメイド ネリー
【昼頃/独房】
[すでに陽は天頂にある頃だろうか。尤も冬の重い雲に覆われて姿をみせるとは限らないが。
昼でも薄暗い室には剥き出しの壁が冷気と仄かな湿気を放っている。
快適という言葉とは程遠い空間だった]
[粗末な毛布を引き寄せようとして走った痛みに私は眉をしかめた]

……………っ
この分だと痣になってるわね…

[服に隠された部分につけられたであろう新しい傷痕を想い、両腕を交差し自分自身を抱きしめた]

いつまで続くんだろう…
いいかげん私が何も知らないってわかりそうなものだけど…

まさか、ね………
………………………そんなことあるわけ、…ない……よ…ね……

[彼女に掛けられた罪状はスパイ容疑――即ち国家に対する裏切り行為だった。それは即ち死を意味するものに近い。
実際、尋問という名の看守による横暴は拘束から数ヶ月経った今も2日と間をあけず続いていた。
呼び出しを受けた翌日は決まって傷に呻きながら昼頃目を覚ますことになっていた]
(84)2006/02/17 00:03:22
見習いメイド ネリー
【回想】
父親の大きく暖かい手と母親の穏やかな優しい笑顔。
両親の思い出は驚く程に少ない。
流行病で幼くして両親を失った私はほかに術もなく、厳格な祖母の屋敷で暮らすことになった。
祖母は資産家であったが、溺愛していた息子を奪った女とその娘を許すことはなく、必要以上に厳しく躾けた―――というよりも屋敷では使用人以下の扱いをし、疎み蔑んだ。
人格を否定されて育った私は成人すると待ちかねたように屋敷を逃げ出した。
しかし、身元を保証する者もいない私に職はなく、ベンジャミンの屋敷に職を求めていったときも諦めに近い気持ちを抱いていた。
初老の執事に生い立ちを語ったのは気まぐれだったか同情を買うためだったかよく覚えていない。
彼は深く同情をし、私は屋敷で職を得た。
私は何度も何度も深く神に感謝をした。

――――その結果、私は、今、ここにいる。
(85)2006/02/17 00:04:16
見習いメイド ネリー
屋敷の主はベンジャミンという中年のユダヤ人だった。
1年の半分近く屋敷に不在な彼を貿易商と疑ったことはなかった。
ベンジャミンが屋敷にいるときは理不尽な求めに応じなくてはならなかったが、私は黙して従いそれに耐えた。
あの頃の生活を失うことを極端に私は恐れていた。
そして主に従うことで得られるささやかな贅沢に憧れ、いつしかその生活に溺れていった。
(86)2006/02/17 00:05:18
見習いメイド ネリー
――数ヶ月前の深夜。
いつものように主の部屋から戻った私は寝台に横たわりまどろんでいた。
闇の中、何かが壊れる音と怒号、銃声が屋敷に響いた。
怯えながら部屋を出たところで、男達に身体の自由を奪われ何処かに連れて行かれた。
そこで主に掛けられた容疑を聞いたときは、現実離れのあまり思わず笑ってしまった。
それが気に障ったのか、尋問は昼夜を問わず行われた。
特に主との関係が判明した後は執拗なまでに。
朦朧とした意識のなか、苦痛から逃れたかった私はすべてを認めた。
私に掛けられた容疑は主と同じくスパイ容疑および逃亡幇助。
主の部屋には大量の血痕が残り、本人は姿を消していたのだという。
どこに行ったのか、彼は何者だったのか。
それを知る術すら私にはなかった。
(87)2006/02/17 00:05:22
見習いメイド ネリー
【午後/独房】

[空腹と喉の渇きを感じ私が思索から戻ると程なくして看守が午拝と食事の時間であることを告げた]
[昨夜私に与えたダメージを計るかのように自分を見つめる男の視線を感じながら房を出て食堂に向かった]

味気ない… 自分で作れたらいいのにな…。

[名ばかりのスープと硬い小さなパンを食べ終えると立ち上がり*午後の礼拝に参列した*]
(88)2006/02/17 00:06:09
流れ者 ギルバート
【19時頃/娯楽室】>>82

クインジー? 知らね。
……またどっかでぼんやりしてんじゃないのか。

[ 俺はあたりを見回す。さしていつもと変わらない光景。
静かに本を読む男の手元を、こっそり覗きこんでみたりもしてみたが、俺には理解出来ない字列がずらりと並んでいるだけだった。

こいつには本当にこれが理解できてるんだろうか?


暇を持て余した俺がぼんやり視線を上げると、緑髪の少年がきつく口をむすんだまま、辺りに視線を漂わせるのがみえた。
無愛想な子供だ……グレンの話はどうやら面白いものではなかったらしい。

奴のことだからどうせ、玩具にして遊ぼうとしただけ、
なんだろうが。 ]
(89)2006/02/17 00:15:11
流れ者 ギルバート
【夕食時/独房】

[ 水みたいなスープ。
ぱさぱさに乾いたパン。
そんなものでも、ないよりはよっぽどましだ。

――昨日の大負けにもなんとか死守したこの食事だが、
重労働にぎしぎしと軋む体を考えると、
それに意味があるのか少々疑わしいかもしれない――

冷えたスープにパンを浸し、口の中へ放り込む。

別に期待はしちゃ居ないが。
――せめて、暖かく味の付いたスープに柔らかいパン。

ついでにバターくらい鉄格子の扉から突っ込んでくれる、
センスのある看守が居てくれれば俺は非常に嬉しい。

……皆だって、そうだろう。 ]
(90)2006/02/17 00:16:11
流れ者 ギルバート
[ 俺がスープ皿をパンで綺麗に拭っていると、例の"風"の音が、
大きく当たりに響き渡った。

俺は小さく身を竦める。隣の房で、小さな悲鳴が聞えた気がする。

――ヨアヒム、怯えてやがるのかな?

壁をごつごつと皿で叩いてやったが、返事は返ってこなかった。
スープ皿の小さな欠片を毛布の中に隠しながら、俺は残りのパンの欠片を齧った。]
(91)2006/02/17 00:16:53
酒場の看板娘 ローズマリー
【夜更け/礼拝堂】

[食事を終えたローズは、看守に頼み、礼拝堂へと向かった。本来なら、そう簡単に頼みを承諾して貰えるわけではないが、ローズの服役態度が看守の首を縦に振らせる事となった。

礼拝堂に入ると、微かな灯火の中で、ルーサーが長椅子に座り、聖書に目を落としていた。]

こんばんは、ルーサーさん。

「こんばんは、ローズ。
お祈りですか…?」

えぇ…。

[ローズは小さく頷くと、自分の背丈の半分はある十字架のオブジェに向かい、静かに祈りを始めた。]
(92)2006/02/17 00:37:49
酒場の看板娘 ローズマリーは、祈りが終わると、ルーサーにお辞儀をして、礼拝堂を後にした。
2006/02/17 00:41:39
逃亡者 カミーラが参加しました。
逃亡者 カミーラ
【回想/夜明け前/女子独房6号室】

んぁ?

[ぶるっと一つ身震いをして、カミーラは眠りから醒めた。
元来彼女は夜型の生活パターンに慣れており、本来ならばこのような朝方に目を覚ます道理は無いのだが、それ以上に格子窓から流れてくる冷気が彼女の穏やかな眠りを妨げていた。]

う〜…、暖房くらい付けてくれたっていいじゃんよ、けち。

[誰に言うともなく愚痴ると、毛布を頭までかぶり、少しでも暖まるよう体を丸くした。]
(93)2006/02/17 00:47:03
逃亡者 カミーラ
[カミーラの罪状は窃盗罪、それも主に空き巣狙い専門。ちょっとした鍵ならヘアピン一つで開錠するのは朝飯前であった。幼くして両親を亡くし、飢えと乾きに耐えかねた彼女は、ごく自然に盗みに手を染めるようになっていた。
素早く邸内に忍び込み、内部の物色は僅か数分、それでお目当ての物が見つからなければすっぱり諦めて迅速に離脱する。それが彼女にとって自ら培ってきた盗みのモットーであり、美学であった。]
(94)2006/02/17 00:48:18
逃亡者 カミーラ
[そんなカミーラの唯一の失敗は、彼女の最大の欠点、すなわち部類の酒好きという点に起因した。
ある日、彼女は忍び込んだ邸内に「幻のウォッカ」と呼ばれる高価で貴重なウォッカを発見する。もしそれをそのまま懐に入れて持ち帰っていれば事無きを得たのだろうが、さらに豪華な書斎机の鍵付き引き出しの中を物色した彼女は、非常に興味深いアルバムを見つけてしまった。
ついついその場でウォッカを空けながらアルバムに見入ってしまい、あえなく現行犯逮捕となったのである。]
(95)2006/02/17 00:48:47
逃亡者 カミーラ
[その邸宅は実はロシア政府の要人のものであり、かつカミーラが見入っていたアルバムの写真に写っていた美女は、その要人の奥方では無かった。つまり、知らずしてスキャンダルな事件に接触してしまっていたのである。かくして彼女の罪状は、その要人の根回しにより通常の窃盗罪より遥かに重いものとなっていた。]

ちょっと味見しただけじゃん、けち。う〜、寒いぃ〜。

[ちなみに、カミーラ本人は*未だにその事実に気付いていない*]
(96)2006/02/17 00:49:16
酒場の看板娘 ローズマリー
【厨房前廊下→厨房横】

[礼拝堂を後にしたローズは、厨房の横にある小さな窓の前に向かった。刑務所内で、外の景色が見れる場所は多くない。中庭は、大雪が降ると娯楽時間であっても出る事はできず、太陽は月の光を見たり感じたりする事はできなかった。

―――窓を覗きこむ。
天頂に浮かぶ月は、普段と同じようで…しかし、普段より朱いような…そんな気がした。]

綺麗な月…

でも……。
(97)2006/02/17 00:53:09
酒場の看板娘 ローズマリーは、寒さのせいか、震える体を抱きしめると、房へと戻り始めた。
2006/02/17 00:55:04
酒場の看板娘 ローズマリー
【女子房8号室】

[房へと戻ったローズは、先程見た月が気になっていた。自分が''ココ''に入ってから一年と少し。その間、一度も月を見ていないわけではない。以前見た月は、綺麗な黄金色であった。月の色が、こうも急に変わるわけない…ローズはそう思っていた。]

鍵、開けたままでいいのかな…。

[ローズは、看守が鍵を掛けに来ない事を不思議に思いながら、月の事を考えていた。
―――そして、月の色の変化は、この後引き起こる惨劇の始まりである事を、ローズはまだ知る由もなかった。]
(98)2006/02/17 01:03:51
牧師 ルーサーが参加しました。
牧師 ルーサー
 ――夜半。

 ルーサーは、ローズマリーの背を見送った

後、礼拝室にて長椅子に腰掛け物思いに耽っ

ていた。
 ……彼がこの刑務所に赴任して既に五年の

時が過ぎていた。
 その間、様々な囚人達を見てきた。凶悪な

事件を起こした者、権力者に敵対し罪を着せ

られた者、そして、無実の罪で送り込まれた

者もいた。
 
「ここを出る事が出来るのは死んだ時だけだ

。」
 
 ――看守達の間で言われていた事を思い出

し、思わず溜息を漏らす。
 普段、人前では笑みを絶やさぬルーサーで

はあったが、時に無力感に苛まれる事も、悲

しみに暮れる事もあった。顔を合わせ話しを

した者が、病に伏し、或いは絶望から自らの

手で……この世を去って行った。ここに囚わ

れている者は、生きてここを出る事は出来な

いという。実際、ルーサーが赴任してからの

五年間では誰一人として……生きてここを出

て行った者はいなかった。

(だが……しかし、それでも……)

 それでも、諦めの中に居直る事はルーサー

には出来なかった。罪を犯したのであれば、

それは償わねばならぬだろう。だが、ここに

囚われている者達とて好きで罪を犯した訳で

はあるまい。自ら進んで罪を犯したとしても

、それはローズマリーがそうであったように

、そうせねば生きて行けぬからであり、彼ら

をそうさせた環境があったのだと思えば、た

だ彼らを責めるべきではないと思えた。己の

罪を理解し、そして悔い、心を改めようとす

る者さえも許さぬようなこの刑務所の在り方

……それに、ルーサーは納得できぬまま、こ

の五年間を過ごしていた。
 ――だが、それを変える事とても叶わず、

ルーサーは己の無力を噛み締めながら、せめ

てもの救いになればと囚人達の話を聞いて回

っていた。

 ヴィンセント。そう、彼などは罪すら犯し

ていない。ヴィンセントの言葉に寄れば、彼

は濡れ衣を着せられここに送り込まれたのだ

という。ヴィンセントがここにやって来てか

らの彼との語らいを思い出す。彼ほど真摯に

人の命を思う者はそうは居ないであろうと思

えた。この牢獄の中にあってさえ、何時か出

所し、己が医術を磨き人を救わんという思い

を無くさずにいる。
 模範的な囚人として、看守達もヴィンセン

トには幾許かの自由を許していた。ルーサー

は、彼一人を特別扱いする事は出来ぬ身では

あったが、それでも、彼が出所できる事を祈

らずにおれなかった。
 せめて公正に法が適用されるよう、ヴィン

セントを初め、冤罪であると思われる者につ

いては再調査の必要があるとして教会への報

告書に記し、司法に働きかけてくれるように

嘆願を重ねていた。この刑務所の在り方の問

題点を報告すると共に。

 いまだ、教会よりの返答には芳しいものは

ない。だが、無力感に苛まれながら、それで

もルーサーは決して諦めるつもりはなかった


 ……それは、かつて彼が犯した罪を償うた

めであるかのようであった。

 

 ――その時。
 ふと、何処から遠くから。
 ルーサーの耳に微かに届くものがあった。
 一瞬、空耳かと疑う。だが、それが何であ

るのかは判然としなかったが、確かに何かが

聞こえていた。

「…血を感じたいからです。」

 何故か、キャロルの言葉を思い出す。
 模範的な囚人であるキャロル。ルーサーは

彼女にもまた、罪を減じて生きてこの島を出

る事もあるかも知れないと思っていた。
 
 今朝、そのキャロルがルーサーの問いに答

えたその言葉……普段、彼と視線を合わせる

事のない彼女が真っ直ぐに彼の目を見て言っ

たその言葉。ルーサーの目を見つめた彼女の

青い瞳からは彼女の思いを見て取る事はでき

なかった。
 果たして、それはいかなる意味であったの

だろうか。女性故の気まぐれであろうか? 

血……血縁であろうか? それとも……
 湧き上がった考えを振り払おうとするかの

ようにルーサーは頭を振った。
 
 ――ざわりと。

 突然の胸騒ぎがルーサーを襲った。
 遠くから。
 何処か遠くから、確かにルーサーの耳に届

いてくるものがあった。
 耳を澄ます。

 ……遠吠えが。
 そう、それは獣の遠吠えであった。

「…血を感じたいからです。」

 その言葉が頭の中に木霊する。
 だが、すぐにそれもかき消された。
 
 ――響き渡る遠吠えと……夜を引き裂くよ

うな絶叫で。
(99)2006/02/17 01:06:34
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