農夫 グレン [ 貫いた手から流れ落ちる鮮血が腕をつたい、ローズの全身を赤く染めていく。 朱い裸身は美しく、そして…汚したくなる。巨大なかぎ爪を曲線に沿ってへそまで降ろし、ひと息に突き抜く心を決めた。 別れの徴に唇を奪い、顔を覗き込むと、気力を失い、涙を流すばかりだったはずのローズの瞳がいつのまにか、生気を帯びていた。 刹那の間。 熱い痛みが突き抜ける。刃が深々と胸に突き立ち、血が、俺の命が*零れ落ちていく*。] 字が書けりゃな…。ローズ。あんたを俺の物にできたのに。 まあいいさ。はらわたを犯してやる。 お祈りは済んだかよ? …? …っ。ぐぁ。 ローズ。隠しダマ持ってやが…った。 たいした…女…だ… | |
(231)2006/02/25 05:04:55 |
牧師 ルーサー 【回想/夜/厨房】 [ ルーサーは、そこに居る者たちの遣り取りを注意深く聞いていた。誰が人狼であるか。簡単に答えを出すつもりはルーサーにはなかった。 人狼……そう、生き残った者達の中に、間違いなく人狼は居る。もう、誰も死なせたくはない。だが、人狼は誰かをその手に掛けずにはおれないだろう。 そう、人狼であったとしても人を殺させたいとも思わなかった。しかし、その者を止めるためには、その命を奪う以外の方法は……無いのだと思えた。 ――グレンがナイフを抜く。 ルーサーは立ち上がり、ネリーをその背に庇う。そして、揉みあったグレンとクインジーにぶつかり、ネリーを庇いながら倒れこんだ。 右肩に激しい痛みが走る。ぶつかり倒れた拍子に右肩の傷を激しく打ち付けていた。] | |
(233)2006/02/25 07:09:05 |
牧師 ルーサー [ グレンとクインジーは、揉み合い、縺れながら廊下に飛び出した。皆がその後を追う。 右肩を押さえ蹲るルーサーにネリーが助け起こす。ネリーは、はっと息を呑んだ。ルーサーに触れたネリーの手が手は赤いもので染まっていた。 傷が開いたのであろう。服越しに血が滲み出していた。 気遣うネリーの声を聞きながら、ルーサーは痛みに顔を歪ませ、額に汗を浮かべながら立ち上がる。] ここで……待っていてください。 [ そう言って、背を向け歩き去ろうとするルーサーに、ネリーは縋るように腕を掴んで止めようとする。 ルーサーは振り返ると、ネリーの瞳を真っ直ぐに見詰め……何も言わずに、ただ首を横に振った。 ネリーは俯き……ゆっくりと手を解く。」 「分かりました、牧師様……。 でも……私も行きます。」 [ 顔を上げそう言ったネリーの瞳に、ルーサーは揺るがぬ決意を見た。] ……分かりました。 ですが、危険を感じたら離れでください。 [ その言葉にネリーは頷く。そして、二人は厨房を後にした。] | |
(234)2006/02/25 07:09:30 |
踊り子 キャロル 【回想/トビーが死んだ日の晩、娯楽室〜外】 [灯台に行くという皆。キャロルは今、そんなことはどうでもいい気持ちにとらわれていた。思い切り利己的になり、思い切り自分のためだけに一人悩む。 グレンを癒したときは自分のことは二の次だった。けれど、今は人狼のことなど二の次でよかった。食べるならば食べればいい。私の死に様はそれくらい、華やかな――華やかな紅で彩られた死に様ならば却って人生にハクがついていいかもしれない。 そんなことを考えていると、自分が人間なのか解らなくもなってきてしまう。狂いそうな感覚に襲われる。] ダメだ。このままじゃ。 なんか――ちょっと、疲れた、あはは。 外の空気を吸ってくるね。港のほうにでも行こうかしら。 [その場に居た人々に言い残し、キャロルはショールを巻いて外へと出て行った。] | |
(242)2006/02/25 08:57:01 |