踊り子 キャロル [ 日の光の差し込む部屋で目が覚めた。 ――それが日の光ではなく、雪の反射する光であることに気付き、いまだ降り止んでいないという現実を知った。 そして、人ではない者が今ココに存在するのであるという事実も。 鮮明な現実は、淡い夢より残酷であると思った。 目に見える景色が、揺らいで見えた。 全てそうあれば、夢と現実の境界線何て無いのではないかと思った。 抜け道の無いメビウスの輪の中のようだ。 そう思ったら大きな溜息が零れた。額に手をやり強く瞳を瞑った。 暗闇の向こうに、何が見えるのか。出口はそこにあるのだろうか――。 そこまで考えて、答え何て無いんだと知った。 酷く疲れたような気がした。 そうしてそのままもう一度夢の中に*還っていった* ] | |
(73)2005/12/27 09:22:26 |
踊り子 キャロル それから、ネリーも眠りに――。 ネリー、あんたはいつもシャーロットのこと気にしてたね。 眠りの世界でも、世話をしてやってるんだろうか――。 たまには、自分の事だけを考えたって良かったっていうのに。 不器用な子だよね……。 次に目覚めた時には、ちゃんと、自分のために生きれればいいのだけど――。 [ 誰に言うと話に呟いたキャロルの瞳には大粒の涙が浮かんでいた。 音も立てずに頬を流れるそれを、拭う事はしなかった。 ただただ、過酷な現実がそこにあるように、流れる涙を止める術をキャロルは知らなかった。 知っていたとしても、きっと止めなかっただろうけれど―― ] | |
(103)2005/12/27 23:35:34 |
踊り子 キャロル ん、一晩で二人の犠牲者が――。 これは、ちょっとフツーじゃないよね。 [ 静かに席に腰をかけると、グラスのブランデーを味わうように飲み込んだ ] ――昔、お婆に聞いたことがあるんだけれど。 人狼と、人を見分ける事が出来る人。 それがどういった方法で見分けるのかは、あたしも知らない。 でもその人は――妖魔。 そう呼ばれるモノを探った時に、その者の魂を封じ込める事が出来ると聞いたことがあるんだ。 あたしはすっかり御伽噺のお話だと思ってたんだけれど。 [ 大げさに息をつくと、軽く言葉を繋いだ ] 語り部は、真実しか話さない――。 それが、こんな形で実証されるとはね。 | |
(117)2005/12/27 23:55:36 |