流れ者 ギルバート [シャワーで身を綺麗にしてくると、再びお面を手にしてひとりごちた。] まったく、この面は期待以上だな。 あいつも、とんでもない物を寄越したものだ。 この毛ヅヤといい、表情といい、獣の時をそのまま止めたみたいだ。 [そして、鏡で自分の顔を確認する。いつも、そうだな、自分の顔をじっくり眺める機会など、髭を剃る時間くらいのものだった。] [黒豹のお面をつけて、外してを鏡の前で繰り返す。] こうして比較すると、どっちが自分の顔か一瞬判別できなくなるから不思議だよ。 まったく。 いつまでこんな冗談が通用するんだろう? 追い出されなきゃいいけどね。 [明るい色の服を選んで、お面を身に着けた。] | |
(240)2005/12/11 00:26:06 |
流れ者 ギルバート [部屋を出たところで、侍従が苦笑しながら挨拶をしてきた。] ん?ああ、おはよう。 なんだって?僕は1日中寝ていたってことか? [信じられないという顔をしたが、当然その表情はお面に隠されて相手には見えない] こんな夜中に、おはようと言わなければならない君の難しい立場を察するよ。 面目ない。 [モーガンからの文書を流し読みする。] とりあえず、屋敷の中のことは大体わかってるつもりだし、なんとかなるだろう。 後で読むよ。 それより、今日も大遅刻ってわけかい? こんなお面をわざわざ手持ちでやってきたのに舞踏会に参加できないのでは、何の為に招待されたのかわかんないね。 急いで、行くことにするよ。 | |
(248)2005/12/11 00:39:59 |
流れ者 ギルバート ――部屋―― [ひととおりすべきことをしてから、ずっとお面の検分をしていた。] [あいつの寄越した物だ、間違いなく一級の匠の作品だ。それはわかる。] [しかし、それでは、奇天烈な夢の説明がつかない・・・] [見れば見るほど、ただのお面に過ぎない。精巧さという意味では非常識なほど”本物”に酷似しているのだが。] [結局、素人の浅知恵でわかるのはそこまでだ。僕はあいつとは違う。] [驚いた貴婦人の姿・・・あれが普通の反応だろう。セシルや屋敷の人々は僕からすれば無頓着すぎるよ。嫌というわけでは全然ないんだけど。] [サバンナの夢・・・] [もし、これが何か呪術じみた類のものとすれば、今が最後の機会なのかもしれない。] [僕は、このお面をつけていることが、楽しくなってきている・・・] | |
(353)2005/12/11 06:05:34 |
牧師 ルーサー [ルーサーは人気のない森の中を一人歩いていた。 その表情に色はなく、何を思案しているのか窺い知る事は出来ない。 木々の間から差し込んでくる朝日を感じて、ルーサーは目を細めた] 夜が明けたようですね。そろそろ部屋に戻らなければ。 ……夕べはどうかしていたようです。二人の様子を見ていたくない等と……挨拶も無しで広間から出て来てしまいました。 [脳裏にまだ幼さの残る少女が思い浮かぶ。仮面の下の素顔を思い出して、その表情に色が差し込んだ] まだ、始まったばかりです。時間はたっぷりある。 [ルーサーは歩みを止めて目の前に見える屋敷を見ると、仮面を付け直して口の端を少しあげる。 そして屋敷の中へと戻っていった] | |
(357)2005/12/11 07:58:26 |
牧師 ルーサー [モーガンの部屋をたずねると、ネリーについてのことを報告する。怪訝な表情を見せたが、ルーサーは強い口調で押し切ってしまったようだ] 身分など関係ないのです。 身分で言うのならば、今回集まられている女性の中で侯爵に合う身分をお持ちの方は少ないでしょう。 相手の方が身分を問わないというのであればそれで構わないと思うのですけどね。 あなたがそれで困るわけでもないでしょう? とはいえ、私は少し困っているのですけどね。あなたからの伝言が私にはワンテンポ遅れて届くようですから。 まあ、それはいい。 モーガン、女性というのは恐ろしい生き物です。その下にどんな素顔を隠しているのか、私には測りかねます。どんな表情も作ることができますからね。 だからこそ必要なのですよ。 素顔を知っているものが一人でもいることが、私には安心をもたらせてくれます。 あなたが彼女を私の侍女に指名したのですから、あなたさえ納得していただければそれで話が済むことです。 私は元々付き添いのものなど必要ありませんでしたから、侍女としての仕事は彼女の笑顔だけで充分なのですよ。 | |
(358)2005/12/11 08:25:26 |