牧師 ルーサー 流れていく弔い灯は風を凪ぎ 空へ消えた 貴方がたてた 赤色の鯉ノボリが空を泳ぐたび 涙霞 途切れぬ糸 外灯に群がる霧雨は無始礦劫 水面に乗せて ひとひら ふたひら わたし あなた わたし あなた・・・途切れた色 あの人が好きだったボンボリに赤い灯をともしつづけ お化粧をする 笑いかたも忘れた・・・さよなら 待てども待てども帰るはずのない貴方を待つ私は ひとり・・・ひとり・・・ 二度とは会えぬと思っていた貴方のぬくもりは 私の中で生きていました 触れることのない泡沫 貴方はああ・・知らないでしょうけれど そう・・幸せの終わりに小さな花が咲いていたとして・・・ 私にとってそれが「この子」でした・・・ | |
(9)2005/01/29 14:08:26 |
牧師 ルーサー ・・・ 「この子の稚き ててが握る紅差し指は禍福よ」 貴方の遺愛のぼんぼり粛然と 灯点して暗夜に濡つ 私と子と交錯する雨夜に心願 「散華と散り敷く涙も枯れた」 あれから幾時 貴方が残したちぃさぃ幸せ 髪締め乍ら 夜な夜なこの子の為にと 子守の唄を 口遊み 徘徊る四肢 白黒キネマノ廃工場カラ流レル煙ガコノ子ヲ包ム 右手 左手 足 首 心音 咽ぶこの子を抱き締めた 助けて 助けて 助けて 助けて 狐ノ堵列ハ這イズリ回ッテ裂帛為イ為イコノ子ヲ掴ンダ 逃げて 逃げて 逃げて 逃げて 「嗚咽・・この子だけは・・なくさぬように」 この 耳 鼻 目 口 髪の毛一本 誰にもやらぬ 隠してしまおう この子が七つになるまで 貴方のコイノボリが空に昇って行くまでお願い・・ 「この子に幸せの風が吹きますように。」 あぁ、この子が大きくなれば貴方のかわりになるのでしょう 瞳が哀しいほど貴方に似ていた 空を泳ぐコイノボリだけは知っていた | |
(10)2005/01/29 14:09:45 |