自警団長 アーヴァイン
ふむ……まだ集まっていないようだな。 今のうちに、もう一度見回りに行ってくるとしよう。
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新米記者 ソフィー 【ロートホルン山頂】 わぁー。凄い景色ね…。 空気も澄んでて気持ちがいいわ。 [ソフィーはゴーグルを外し、ロートホルン山頂から眼下に広がるブリエンツ湖を眺めながら歓喜の声を揚げた。] 編集長ったら、結構いいところあるじゃない。 まぁ…あれだけ大きなネタ拾ってきたんだし、ご褒美くらいあってもいいよね。 [一週間前。 編集長の元に送られてきた招待状。そこには、アーヴァインという名の資本家からブリエンツにある別荘への招待文が書かれていた。 招待された編集長は体調を壊してしまい、泣く泣くソフィーに招待状を譲ったのだった。表向き、仕事で良い成果を挙げたソフィーにバカンスを与えた事になっているが。] アーヴァインさんの別荘も素敵だったし、良いバカンスになりそうだわ。 さぁーて、陽も暮れてきた事だし急いで下りちゃおう。 だいぶ寒くなってきたし、体温めたいな。 [ソフィーはゴーグルをつけると、金色の髪を靡かせながら颯爽と雪山を*滑り始めた。*] | |
(5)2005/10/01 18:05:15 |
書生 ハーヴェイ 【馬車を待つ湖畔にて】 [ 時は正午を少し回った頃だろうか。 澄んだ水を湛えた湖畔を眺めながら、物思いに耽っている者がいた。 名をハーヴェイ・マクロードという。 年齢は三十路を幾つか越えた頃と見える。実年齢と変わらぬ姿見。スーツの上から厚手のコートを羽織ったという出で立ちだ。 彼の職業を正確に知る者はいない。 初対面の者が、「ご職業は」などとと問うてみても、「まあ、色々と」などというような答えが返ってくるばかりなのだ。もっとも、それは決して誤魔化しているという訳でもない。面白そうな事に何でも首を突っ込み、そして、それらで何だかんだと日々の糧を得ているのだ。好事家、というやつだろう。なので、人が胡乱に思う「色々と」という答えは、彼にしてみれば全く真面目な話ではあったのだ。 彼自身、その答え方が胡乱に思われるであろう事は重々解っていた。だが、解っていながら一向に改める気配もない。一見の印象とは裏腹に冗談の好きな男である彼は、そんな状況を楽しんでいたからだ。 そんな彼が、湖畔を見詰め物思いに耽っていた。 ……一年前の事件に思いをやって。 苦笑めいた表情を浮べ、溜息をつく。 ――遠くからは、馬車の足音が聞こえ始めていた。 彼は何となく、ポケットに忍ばせた招待状に手をやった。 手紙を読んだ所では、どうやらアーヴァインは調査を再開するつもりらしい。 これから集まる者を待って、あの馬車でアーヴァインの別荘へと向かう事になるのだろう。 ――さて、どうなる事かな。 そんな呟きを洩らし、ハーヴェイは馬車の音の方へと*目を向けた。*] | |
(6)2005/10/02 00:49:50 |
双子 リック 【馬車の中】 [街はすっかり冬の装いになった時候であろうある昼下がり、雪山の別荘へ進む馬車があった。馬車の中には数人の乗客がいるのだろうか、後列の窓際でひとり肘をついて流れる景色を眺める少年の姿があった。 リック・ウィティア。ややもすれば少し小柄な少年というべき人物だ。 リックは雪化粧の景色を流しながら物思いに耽っていた。彼のもとへ飛び込んだ一通の、いや二通―――の手紙。彼は詳細についてはほとんど知識がなかったが、父の知り合いが多数集まるとのことだった。 リックは父親に促され、もうひとりの手紙の受取人とともにこの地へ足を運ぶことにしたのだ。] スキーか…父さんや友達と他愛ない場所で何度か遊んだことはあるけど、こんな場所で思いのままに楽しむのは初めてだな。どんな所なんだろう。 | |
(7)2005/10/02 03:29:15 |
双子 リック [リックはウェンディの姿をしばらく見ていたが、そのまま視線をそらしてため息をついた。 リックはウェンディがこのスキー旅行へ参加するのは反対だったからだ。 しかしリックには反対する理由を告げられずにいた。 理由を知られてはならなかったからだ。] まったく…ディのやつ、わざわざついて来ちゃって…本当は危険な場所かもしれないのに。 でもディには言うわけにもいけないしなあ。 | |
2005/10/02 03:46:11 |
双子 リック [スチュアート・ハリントン。 ウェンディはまず知り得ることは不可能な名前。 リックの――すなわちウェンディにとっても――二人の腹違いの兄である。] | |
2005/10/02 03:46:44 |
双子 リック [リックとウェンディは正真正銘の双子の兄妹であった。しかし両親の教育方針から躾や教育環境はまったく異にするものであった。 リックは第1次世界大戦で商業的成功を収めた父の愛情を独り占めしたのである。 おのずからリックは父よりあらゆる知識を授けられ続けてきた。 ウェンディはもちろん、母親も知らない事実、父には結婚前に双子よりも先に別の女性から一人の男の子をもうけていたのだ。 母はこのことをまず知らないだろう。ウェンディが知らないのが何よりの証拠なのだから。] | |
2005/10/02 03:52:14 |
双子 リック [父に連れられ、度々リックは兄スチュアートと会っていた。学者としてたゆまない情熱を注ぐ兄。 リックは兄を心から尊敬していた。 その兄が――ある日を境に失踪してしまったのだ。 父は心を痛めていたが、それ以上にリックは畏怖にわなないた。そう、これは事故なんかじゃないと。 リックは自らの意志で、兄の足取りを探しにここへ来たのだった。] | |
2005/10/02 03:59:55 |
新米記者 ソフィー ―回想― 『ソフィーさん…ですね。遠い中よくいらしてくださいました。 私はアーヴァイン。アーヴァイン・クシュヴェントナーです。 エディさんの体調はいかがですか? 今回出席できなかったのは残念ですが、そのおかげで貴女のようなお美しい女性とお会いできたのはエディさんに感謝すべきですね。』 初めまして、アーヴァインさん。 エディ編集長の代わりに出席させていただきますソフィー・アングラードです。 編集長の体調は回復に向かっていますわ。 私も編集長に感謝すべきですね、このような素敵な別荘でバカンスできることを。 短い間ですが、よろしくお願いしますね。 [ソフィーはアーヴァインに手を差し出し、彼と握手を交わした。] | |
(10)2005/10/02 12:01:00 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【馬車の中】 [黒いコートに身を包み、豊かな髪をなぞりながら窓の外を眺めている若い女性がいる。] [彼女が身を寄せている牧師ルーサーの元に、アーヴァインからの招待状が届いたのは、やはり一週間前の出来事だった。ルーサーが教会の屋根の修理をしようとして、足を滑らせ骨折してしまったのが、その前日の出来事。雪山での会合という事もあり、調査以前からの資料作り等で事情にくわしかったローズマリーが、ルーサーの代理で向かうことになったのだった。] 雪が反射してとても綺麗。 でも、さすがにじっと外を見ていると眩しいわね…。 …私がここに来る事になるとは思わなかったのだけど、不思議なもの…ね。 [雪景色から目をそらしたローズマリーは、*二三度瞬きをした*。] | |
(14)2005/10/02 12:03:41 |
新米記者 ソフィー スチュアート… [ソフィーは風に消される程の小さな声で呟いた。そして鞄から手帳を取り出すと、1枚の写真に目を落した。その写真の中の女は倖せに満ち溢れた表情でカメラに視線を向けていた。隣には、その女の肩を包み込むように抱き寄せる男の姿があった。] | |
2005/10/02 12:03:43 |
新米記者 ソフィー [写真を持つ手に力が篭る。そしてその手は小さく震え、その上には光る雫が零れた。ソフィーは写真の中の男に優しく口づけをすると、手帳の中にしまった。そして、今度は招待状に目を落す。] 『一年前の事件は痛ましいものだった。 彼の死は残念でならない。 だが、彼の死を無駄にしないためにも、残された我々でハプスブルグの隠し財産を探し出そう。 今回は、新たに親睦を深める為、私の別荘に皆を招待したい。』 彼を殺した人達がここに集まるわ。 …許さない……。 スチュアートを死に追いやった人を…私は決して許さない。 [その招待状は、全身の血が沸き立つような、だが、凍りつくような感覚をソフィーにもたらしていた。] | |
2005/10/02 12:16:06 |
村長の娘 シャーロット 「カリフォルニアにもそろそろ雪が積もるころでしょうか? 車窓からの雪景色はまっ白で、眩さに目が眩みそうです。 今、ブリエンツ山に向かう汽車の中でこれを書いています。ハリントン先生が亡くなった山です。 じつは、アーヴァインさんからお手紙をいただいて、そこには招待状が2通入っていました。手紙には、中止していた調査を再開したい、まずはメンバーの親睦会を開きたい、と綴られていました。雪山探索をするのではないから、心配しないで。 母さん、何度も話し合ったことだけれど、やっぱり、今度はわたしも、名簿だけ名を連ねるのではなくて、直に参加したい。」 [だから…と一気に綴ったところで万年筆が止まる。なんだか文面が気に入らなくて、手紙をくしゃっと丸めてポケットに仕舞った。] うーん。書き辛いなぁ…帰ってから手紙にしよっかなぁ… わぁ、綺麗な湖… ちょっと冷たい蒼が恐いなあ。あ、駅が見えた。豆粒みたい♪ さてと準備、準備♪ 【馬車と待ち合わせの湖畔】 はあ、はぁ…駅から遠いよ… あの馬車に乗ろうとしてる人、マクロードさんかな。 もう何人か、馬車に乗り込んでるじゃん!?わわ、遅刻!? おーい!ハロー! [招待状を握った手を、大きく振って馬車に呼びかけた。] | |
(15)2005/10/02 12:23:35 |
新米記者 ソフィー ここに来る人の中に、スチュアートと私との関係を知っている人はいない筈…。ここでなら…誰にも気づかれずに、スチュアートを殺した人達に復讐ができるわ。 [ソフィーは招待状をしまうと、再び出窓から見える景色を眺めた。] ギルバート、ごめんね。 私が本当に愛してるのはスチュアートなの。 それは昔も今も…これからも変わらないわ。 貴方は、彼を失い、出口のない闇の中にいた私を救ってくれたわ。私は貴方の優しさに甘えていたの…。寂しさを紛らわす為だけに貴方と一緒にいたの…。 私の事は忘れて…。 [アルプスの山峰を眺めながら、デュッセルドルフに居るだろうギルバートに別れを告げた。] | |
2005/10/02 12:35:16 |
学生 ラッセル −林を抜けた開けた路の傍にて− [全く何という失敗だろう。実についてない。 己のミスを悔いるでもなく、ラッセルは運命の神に愚痴をこぼし続けていた。 朝の最後のひと滑りだったはずが、いつもよりもさらに高い位置から滑り降りたラッセルの身体は、コースではなく林の中へと飛び込んでいった。 幸いにして大怪我はなかったものの、身体の数箇所に及ぶ打撲、そして何より足を挫いてしまったことが痛かった。 方角もわからない林の中を、木々にもたれ時に転がりながらも、なんとか掻き分けてここまで出てきた。 開けた視界に緊張の糸が途切れ、疲労感と身体の節々の痛みが彼を襲い、それらに身を任るようにして、足を投げ出しその場に腰をおろした。 それからしばらく間、飽きることなく自らの運の無さを嘆き続ける彼の目に一台の馬車が飛び込んできた。 とたんに元気を取り戻したラッセルは、やおら立ち上がると馬車に向かって手を振りながら大きな声で呼びかけていた。 現金な彼の頭の中からは、不運の二文字は一瞬にして消え去っていた。] | |
(18)2005/10/02 13:37:10 |
文学少女 セシリア 【回想/一日前、馬車】 『それにしてもよくきてくれた、セシリア。』 「……ええ、おじさまのお誘いですもの…」 『今回はささやかながら懇親パーティーを開くつもりだよ。セシリアもぜひ参加しなさい。』 「……え、ええ。」 【回想/一日前、屋敷】 『ようこそおいでくださいました、旦那様』 『出迎えありがとう、ゴードン。こちらで会うのは初めてだったかな。』 『さようですな。』 『よろしくたのむよ。それからこちらは姪のセシリアだ。』 「……セシリアです…はじめまして。」 『ほうほうお嬢さん、私はゴードンです。よろしくおねがいしますぞ。』 『そうそう、ゴードン。今日から来る者もいるのだ。準備しておいてくれ。』 『何名でしょうか。』 『おそらくは1名だな。……編集長のところの………さんという……』 [セシリアは知らない人と接する不安から、それ以上の会話をまともに聞くことができなかった。] | |
(20)2005/10/02 14:05:20 |
双子 ウェンディ 【馬車の中】 [ガタンッという振動で、ひとりの少女が眠りの世界から引き戻された。冬とはいえ午後の柔らかい陽の光が馬車の中を満たしている。馬車の内部は簡素ではあるが、革張りのソファーや趣味のよいジャガード織りの陽避け、豪奢な真鍮製の室内灯など一目で市井の乗り合い馬車とは違う造りとなっている。 少女と並び午睡に落ちた少年は、よく見ると少女と面差しが似ていることがわかる。 少女の名はウェンディ・ウィティア。白い肌と暖かみのある金色の髪、鳶色の瞳を持っている。その瞳が不安げに馬車の中を彷徨っていた] お兄様は眠っているようだわ。 まだ着かないのかしら? お父様とお母様の代理で招待されたけど… どなたがいらっしゃっているんだろう。 私のしっている方がお兄様のほかにもいれば心強いんだけど… | |
(23)2005/10/02 16:26:44 |
流れ者 ギルバート 今回の件、後で話したい。 今夜にでも時間をくれ。 | |
2005/10/02 17:16:23 |
新米記者 ソフィー 困るのよ。 ちゃんと辿り着いてくれないとね…。 | |
2005/10/02 18:07:15 |
流れ者 ギルバート ソフィーは、ギルバートの彼女だった。 半年ほど前に、ひょんなところから知り合ったのだ。 場所は仕事で出掛けていたフランスは夕陽煌くセーヌ川の橋の上だった。 ソフィーは川をじっと見ていたのだ。 とても寂しそうな横顔だった。 ただ通り過ぎても良かったのだが、ギルバートは気になり見とれていたのだった。 ソフィーを綺麗だと思いながらガラスのような脆さも同居しているな…などと思いながらしばらく眺めていた。 夕陽が地平線に沈む頃になっても微動だにしないソフィーをギルバートは善意から誘った。 放っておけなかったのだ。理由は深く聞かなかった。 とりあえず酒を飲ませた。そして飲んだ。 朝、気付くと二人は同じベッドの上にいた。 そしてギルバートが強引に押したところもあったが付き合う事となった。 | |
(37)2005/10/02 18:56:56 |
新米記者 ソフィー ギルバート…。 逢いたくなかったわ。 今の私の心は、貴方を一時とはいえ、愛していたものとは違う。私の心は…スチュアートを殺した人への復讐しかない。 [ソフィーはギルバートの顔を見つめながら、一人心の中で呟いていた。] ……!! ギルバートがここに居るって事は… ギルバートはあの事件の関係者…? ま、まさかね…。 でも…… [ソフィーはそんな事を考えながら、ギルバートの応えを待っていた。] | |
2005/10/02 19:29:19 |
村長の娘 シャーロット [【出発前の馬車】 ハーヴェイ・マクロードさんに手伝って貰って、やっとの思いで荷台にトランクを押し込める。 何度か、資料のラベリングや整頓を頼まれたことがある。 かしこまって名字で呼ぶときに、わたしの発音だと、どうしてもマクラウドって感じになって締まらない。ブリティッシュ・イングリッシュの、抑えの効いたかっこよさが羨ましかった。 馬車に乗り込むと、遠目に見て取ったとおり、既に先客がいた。黒いコートから覗いてる、トネリコの葉の色をした豊かな髪。 調査資料の整頓で一緒にがんばった、ローズマリーにまちがいなかった。 再会が嬉しくて、ぎゅっと抱き締めあって喜んだ。 ] ハーイ、ローズマリー! ひさしぶり…!元気にしてた? | |
(42)2005/10/02 19:42:55 |
新米記者 ソフィー 何も知らない…わけね。 [ソフィーはギルバートから何も聞き出せなかった事に、不満よりも大きく安堵した。] | |
2005/10/02 19:46:25 |
新米記者 ソフィー [自室に戻ったソフィーはベッドに腰を下ろし、大きなため息をついた。] 別れを決意したのに… 神様って意地悪ね。 こんなところで、私とギルバートを引き合わせるなんて… でも、私の決意は変わらないわ。 [ソフィーは鞄の中から手帳を取り出すと、そこに挟まった1枚のメモを開いた。] | |
2005/10/02 20:17:22 |
新米記者 ソフィー 『あいつらめ。 よくも俺を…… ここは一体どこなんだ。 殴られて意識を失った後、どれくらいの時間が経ったんだ。 あいつらに財産を渡してはいけない。 あの財産に関する情報は、世間に公表するべきなんだ。 それを、なぜあいつらは分からないんだ。 あぁ、俺はここで死ぬのだろうか。 見渡す限りの雪の中で、俺は…… ソフィー、愛してる。 もう一度、この腕でお前を抱きたかった…。 スチュアート・ハリントン』 | |
2005/10/02 20:57:36 |
書生 ハーヴェイ 【出発前の馬車】 『おーい!ハロー!』 [ 時間通りにやってきた馬車に乗り込もうとしていたハーヴェイは、静かな湖畔に響いた良く通る声のした方へと目を向けた。 手を振り、息せき切って走るその姿に目を凝らす。見覚えのある顔立ち。] やあ! シャーロットじゃないか! [ それは、前回の調査に参加を希望しながら母の反対を受け断念した女学生、シャーロット・フォックスだった。 一見、清楚な印象を与える娘だが、実際には中々に活発な、物怖じしない娘であった。 母親の反対で調査に参加する事は断念したが、それでも何らかの形で関わりたいと母親、を説得し資料の整理や連絡などをこなしていたくらいだ。] 大丈夫、急がなくても良いよ! [ハーヴェイは笑いながら、シャーロットに声を掛けた。] | |
(45)2005/10/02 21:08:01 |
新米記者 ソフィー [ソフィーは無言でそのメモを強く握り締めた。そして、作られた皺を伸ばすと再び手帳に戻した。 その後ソフィーは、鞄から着替えを取り出すとバスルームに向かった。] | |
2005/10/02 21:16:21 |
書生 ハーヴェイ 【出発前の馬車】 [ 再会を喜び合い、話に興じる。 ローズマリーとシャーロットは何かと気が合うようで、前回の調査の手伝いをしながら色々と話し合う仲になっていたようだった。 話は中々に尽きなかった。調査の中断から一年。あの頃の事、それからの事。 そして、これからの事。 時折、御者も話しに加わり「旦那様も、今度こそはと意気込んでおられましたよ。」などと、アーヴァインの様子を聞かせてくれた。] この馬車に後一人乗る筈だったな。そろそろ時間だが、どうしたんだろうね。 まさか、迷子にでもなったかな? [ そんな軽口を叩きながら、ハーヴェイは馬車の外へと目をやった。] | |
(46)2005/10/02 21:21:09 |
村長の娘 シャーロット ハーヴェイさんの笑みがもの悲しくて、そして、気がついた。 この冷厳とした銀世界は、ひとりの学者の命を…飲み込んだんだ。 | |
2005/10/03 00:20:07 |
双子 ウェンディ 【山荘前】 [ウェンディは馬車を降り、リックと連れ立って雪の感触を珍しそうに確かめながら入り口へと向かった。丁度外に出てきたゴードンの姿に気がつくと、微笑みかけ送られてきた手紙を渡した] 『はじめまして。僕はリック・ウィティア。アーヴァイン卿から招待されてお邪魔しました。』 『こっちは、妹のウェンディ。』 …はじめまして、ウェンディ・ウィティアと申します。 父母の代わりにお邪魔させていただくことになりました。 どうぞよろしくお願いします。 [ゴードンから鍵を受け取ると【212】とかかれている。リックとは隣の部屋のようだ。礼をいうと2Fへと上がっていった] | |
(65)2005/10/03 00:45:09 |
書生 ハーヴェイ 『おい、意識はあるか?』 [ 馬車に乗せハーヴェイがコートを掛けてやると、安心感と疲労からか目を瞑った青年だったが、ナサニエルの問い掛けに目を開け確かに頷く。ナサニエルが次いで名を問うと、青年はラッセル・ヴァッサーシュタイン、というその名を名乗った。] 意識はしっかりしてるようだね。 怪我も、酷いという程じゃない。と、言っても歩くのに不自由するくらいではあるね……ふむ。 このまま、アーヴァインさんの別荘に連れて行こうか。 ラッセル君と言ったね。急ぎの用事はあるかい? 君の都合が悪くなければその方が良いと思うんだ。 [ ハーヴェイの言葉に、青年は同意を示した。 こうして、思わぬ乗客も乗せ、馬車は別荘へとの道を再び走り出した。] | |
(70)2005/10/03 01:01:53 |
双子 リック 【回想/山荘入り口】 [馬車がゆっくりと山荘の玄関へ滑り込んだ。リックはウェンディにそっと促され目を開けた。どうやら眠っていたらしい。 やや西に傾いた陽の光によって雪景色が白く眩しく、思わず目を閉じて力を入れる。 リックはウェンディとともに、荘厳かつ防寒に優れた門をくぐった。 山荘の中は暖かかった。そしていかにも暖かそうな初老の男性、ゴードンという管理人へお互い自己紹介をし、部屋のキーを受け取った。キーナンバーは【213】と書かれている。 リックはトランクを自分の部屋で整理するため、いったん荷物整理をし、仰向けのままそのまま扇形を描くように一度ベッドへ体を倒した。] | |
(75)2005/10/03 01:10:31 |
双子 リック あれ…あの長いブロンドの女性。どうしたのだろう。何か分からないけど、僕、何かを感じたような気をする。 | |
2005/10/03 01:52:38 |
双子 リック なにか少し思い詰めたような…僕の気のせいだろうか。 | |
2005/10/03 01:53:40 |
新米記者 ソフィー 貴方はリックって言うのね。 私はソフィー・アングラード。ソフィーでいいわよ。 [リックも混じり、4人でウェンディの部屋まで辿り着くと、ギルバートは荷物をリックに渡した。] 私達、これから食堂に行ってくるわ。 貴方達も荷物を置いたら来るといいわよ。 先に行ってるわね。 [213号室に入っていこうとする2人に、ソフィーはそう伝え、ギルバートと共に食堂へと向かった。] | |
(2005/10/03 01:55:07、新米記者 ソフィーにより削除) |
見習いメイド ネリー [『ありゃ降ってきたか…今夜は吹雪くね、かなり積もるんじゃないかなあ…』 そんな声に、不意に私は我に返った。 見れば山の上空には雪雲がおこり、既に空は暗く翳り始めている。 『嫌な雲が出ているな…こりゃかなり吹雪くぞ。特に上はな…あんたも買い物が済んだらとっとと戻るこったな。 荷物はいつも通り一緒に運んでやるから』 買出しに来ていた私……ノーラ・ミリセント…あのお屋敷ではネリーと呼ばれているが…は、 店の主人に言われてはっと顔を上げた。 今日から、別荘にはアーヴァインさまのお客様がいらっしゃる。 その最後の買出しで、私は麓まで降りてきていた。 セラーに眠るとっておきのワイン。そしてチーズと新鮮な肉と魚…そしてパンを焼くための小麦粉… それにいざというときの薪も要るだろう。 ゴードンさんが蓄えてくれているものだけでは、果たして足りるかどうか解らない。 そんな考えに頭を支配されつつ、今の今までぼにゃりとしてしまっていたわけだ。 石畳は既に白いもので覆われ始めている。 観光客も雲行きを察したのか、宿の暖かい暖炉の前へ陣取っているのだろう、 石畳の通りには、人影はまばらだった。 その石畳を、一台の馬車がまさに発つところだった。 。馬車に記されている家紋は、アーヴァインさまの家のもの。 中には男性と女性数名の姿が見えた。 「……うん、じゃあ今日はこんなところでお願いするわね。 私もそろそろ帰らないと…今日は大切なお客様がいらっしゃる日だし… 残りのものはまた後日にでも…お支払いはいつもの通りでお願いします。」 私は雑貨屋の主人にそう言うと、荷物を纏めた運搬用の馬車の上に乗り込んだ。 途中でアーヴァインさまの馬車を追い抜き、別荘が林の中に見えてくる頃になると、雲行きはいっそう怪しくなり始めた。 風も強く、雲の暗さは更に増した。 私がアーヴァインさまの別荘で働き始めてはや1年半が過ぎようとしていた。 そしてちょうど1年前、あの痛ましい事故が起こって、ご主人様は暫く落ち込んでおられた… しかし、持ち前の明るさで、アーヴァイン様は普段どおりの生活に戻るまで、そうかかりはしなかった。 それに、今宵は大切なお客様をお迎えする日… …と、そこまで考えたとき、馬車は止まり、私は荷物を館に運び入れる手伝いに取り掛かった。 風に舞う雪は、まるで白いカーテンのように視界を遮る。 私が別荘の勝手口に荷物を入れてもらい、馬車を見送る頃には、雪は風に舞い上げられ、辺りの暗さのせいでもあるだろうが、視界はかなり辛くなっていた。 そこへ、遠くから馬車を引く馬の鈴の音が微かに響いてきた。 別荘へと続く角に姿を現した馬車は、次第にこちらに近づいてくる。 熱いお茶を淹れるための湯を沸かしながら、私は馬車の鈴の音が吹き付ける風の合間に近づいてくるのを感じた] | |
(102)2005/10/03 02:03:18 |