人狼審問

- The Neighbour Wolves -

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(870)十六夜に集いし十五の影 : プロローグ
 村は数十年来の大事件に騒然としていた。
 夜な夜な人を襲うという人狼が、人間の振りをしてこの村にも潜んでいるという噂が流れ始めたからだ。

 そして今日、村にいた全ての人々が集会場に集められた……。
自警団長 アーヴァイン
 ふむ……まだ集まっていないようだな。 今のうちに、もう一度見回りに行ってくるとしよう。
お嬢様 ヘンリエッタが参加しました。
お嬢様 ヘンリエッタ
【一条戻り橋】

――何処からか、子供の唄声が聞こえる。

あぶくたった にえたった
にえたかどうだか たべてみよう
むしゃ むしゃ むしゃ むしゃ
まだにえない

あぶくたった にえたった
にえたかどうだか たべてみよう
むしゃ むしゃ むしゃ むしゃ
もうにえた


何処…?何処に居るの…?
貴女の名は何て言うの…?

私と一緒に遊びましょ。
(0)2005/09/19 04:30:00
お嬢様 ヘンリエッタ
[紅姫は都に住む貴族の一人娘。格式ばった屋敷の中で、日々厳しい教えが繰り返され、己の居る場所がないように感じ、またその心は曇っていた。何時しか、己の殻に閉じ篭るようになり、友と呼べる者は一人も居なかった。唯一心が晴れる時――それは、唄を唄ったり、手毬をついている時であった。]

―回想―

[一刻前、屋敷の一室から婆やの話し声が聞こえた。それは、一条戻り橋で子の唄声が聞こえるという話だった。]

橋に唄の上手なお方が…?
お会いしてみたい。

一緒に唄を唄いたい…一緒に鞠をついてみたい。

[紅姫は最後まで話を聞かず、其の子と友になりたい一心でお気に入りの茜色の手鞠を持ち、屋敷を飛び出したのだった。]

―回想終了―
(1)2005/09/19 04:33:58
お嬢様 ヘンリエッタ
ねぇ、隠れてないで出ておいで。

鞠を持って来たの。
お唄でもいいよ。

私と一緒に遊びましょ。

[橋の傍には大きな柳の木が在った。時折月明かりを消すかのように厚い雲が動くと、それと同時に生温かい風が吹き、柳の木の枝を*揺らしていた。*]
(2)2005/09/19 04:43:39
流れ者 ギルバートが参加しました。
流れ者 ギルバート
[一条戻り橋。
 其の橋を前に、一人の男が佇んでいた。
 年の頃は二十の半ば頃であろうか。幾分か癖のある、茶色がかった髪が目に留まる。 
 其の眉間には、疲れとも苦悩とも取れる皺が刻まれており、それが彼の容貌を、実の所の年齢よりも上に見せさせていた。
 ――嘗て。
 彼には家族があった。
 父と、母と、そして妹と。
 だが……今は天涯孤独の身であった。
 そう、父も、母も、幼かった妹も……鬼の手に掛かり既にこの世の人ではなくなっていた。

 
 復讐の焔だけを糧に、其の鬼を討つべく為だけに放浪を続ける彼は、此処に辿り着いた。
 この、一条戻り橋へと。
 このより通ずる処に、彼の愛する者達を手に掛けた鬼が居るのではなかろうか。

 ひとつ、大きく息を吐くと。
 威日呼は、ゆっくりと一条戻り端へと*歩を踏み出した。] 
(3)2005/09/19 09:56:30
お尋ね者 クインジーが参加しました。
お尋ね者 クインジー
雨・・・か。参ったな、こりゃ。
(4)2005/09/19 15:10:09
お尋ね者 クインジー
[九浄知徳・・・とは名乗っているが源家を追われ放浪している。元の名を名乗れる事はもう無いのかもしれない。
婚約者とも会うことも出来ず荒れた生活をしている九浄はある日、1つの噂を聞いた。
一条戻り橋に・・・鬼が出ると。
鬼退治により源家に返り咲けるかもしれない。渡辺綱も元は放逐されかかっていたならず者。一縷の望みを賭けてひっそりと京に戻り鬼を討つべく一条戻り橋へとやってきた。この時代にしては珍しい剣、「波水」を手に持って。]
(5)2005/09/19 15:33:40
逃亡者 カミーラが参加しました。
逃亡者 カミーラ
[橋の袂に大きな犬を連れた女が佇んでいる]

ほぉ…ここが一条戻り橋、とやらかの……
なるほど、祖母君の仰る通りなんぞ不穏な気配がするのぅ。
星斗、おんしは何か感じるかぇ?

『……匂いがするな……かすかだが……人ならざるものの……』

……ふむ。
これはなんぞありそうじゃな。
橋の向こうを見に行った方がいいかもしれんのぅ。
(6)2005/09/19 15:44:21
お尋ね者 クインジー
ふむ・・・。これが鬼が居るって言う戻り橋か。
別にこれといったおかしなところはねえな。
少し・・・待ってみるか。
[クインジーは腰を下ろし糒を取り出すと*食べ始めた*]
(7)2005/09/19 16:05:00
学生 ラッセルが参加しました。
学生 ラッセル
…………………。
(8)2005/09/19 17:36:58
学生 ラッセル
[赤い髪をした少年とも青年とも付かない者、――その名は羅刹といった――は、橋の中腹までやってくると足を止め、下に流れる水を見つめた。]
(9)2005/09/19 17:40:25
学生 ラッセル
もうそろそろ日が暮れる、か……。

。o O(どうやら空、風、火、水、土の順番であちら側に呑み込まれている様だな……。
水はまだ大丈夫だが、火がもう、少し濁っている………。
空はほぼ、完全にあちら側のものだ……。)
(10)2005/09/19 17:45:24
学生 ラッセル
[羅刹は夕日で赤く染まってゆく川の中にゆれる、ひときわ赤い自分の髪を見つめている。]

。o O(もうすぐここは、異界と交わるであろう……。おそらく鬼も復活する……。
これで真実が解るやもしれぬ。私が、一体何者であるかという事を………。)
(11)2005/09/19 17:52:54
学生 ラッセルは、黙って思いをめぐらせた。
2005/09/19 17:54:25
学生 ラッセルは、一つため息をつくと、橋の欄干に身を*あずけた。*
2005/09/19 18:06:02
逃亡者 カミーラ
『橋の向こう、あまりいい感じはせぬ。それでも渡るか?』

……あの妖怪婆、一寸前から橋の異変に気づいとったようじゃの。
先立って一人草をこっちに送ったらしいが……戻らぬそうじゃ。
なんぞあるに違いなかろう。
死体の一つも出てこれば儲け物じゃ。
少なくとも呪物の一つも持って帰らねばあの妖怪婆に縊り殺されるであろうよ。
……おんしも一度跳ねられた首、また斬られるのは嫌じゃろ?

『……それはご免被りたい……』
(12)2005/09/19 19:23:38
逃亡者 カミーラ
わらわも命は惜しい。
と、いうわけで行くぞ星斗。
嫌な用事はさっさと済ませて帰るに限る。

『了解した……その前に神楽よ』

なんじゃ。

『その妖怪婆発言は祖母君にしかと報告させてもらう故、覚悟しておけ』

……おんしは一体誰の味方なのじゃ……

[神楽は星斗の耳を軽く引っ張って橋を渡り始めた]
(13)2005/09/19 19:30:32
異国人 マンジローが参加しました。
異国人 マンジロー
…この橋か。鬼がどうとかという噂になっているのは。
人心を惑わし、都を混乱させるつもりなんだろうが、俺の目の黒いうちは好きにはさせんよ。
(14)2005/09/19 21:26:48
お嬢様 ヘンリエッタ
[紅姫は毬をつきながら、橋の上で唄を唄っている。]

あんたがたどこさ ひごさ どこさ くまもとさ
くまもとどこさ せんばさ

せんばやまには たぬきがおってさ
それをりょうしが てっっぽうでうってさ

にてさ やいてさ くってさ
それをこのはで ちょっとかぶせ


今日は…あの子は居ないの…?
一人じゃ…つまらないです。
(15)2005/09/19 21:29:26
異国人 マンジロー
『悪鬼(わるおに)の 正体見たり 枯尾花』
大方、橘氏による混乱工作といったところじゃろう。

…さて、行くか。
(16)2005/09/19 21:34:48
異国人 マンジローは、橋の上の子どもに目が留まった。
2005/09/19 21:35:25
異国人 マンジロー
お嬢ちゃん、最近は都でも物騒な事件が多い。
こんな時間に出歩くのは危ないから、早く家に帰るんだぞ。
(17)2005/09/19 21:38:03
お嬢様 ヘンリエッタ
あ…っ。

[紅姫がついた毬は其の手に戻る事なく、橋の上を転がり始めた。其れを目で追うと、其の先には一人の殿方が立っていた。]

失礼しましたわ。
其れ、私のですの。

返していただけますか…?
(18)2005/09/19 21:39:13
異国人 マンジロー
ふむ…毬か。
俺にもいつか子ができたら、一緒に遊んであげたいものだ…。

お嬢ちゃん。月が出ているとは言え、最近は鬼の噂も聞こえておる。こんな時間に1人で、何をやっておるのじゃ?
(19)2005/09/19 21:42:46
異国人 マンジローは、にっこりと笑うと娘に手毬を手渡した。
2005/09/19 21:43:28
お嬢様 ヘンリエッタ
[紅姫は殿方から毬を受け取ると、礼儀正しくお辞儀した。]

有難うございます。

…鬼の噂、ですか…。
私はそのようなものは聞いた事がございません。

私はこの橋に唄の上手な子が居ると聞き、参った次第です。
しかし、まだ其の子には会えていませんが。
(20)2005/09/19 21:45:23
異国人 マンジロー
唄か…。唄はいいものじゃな。
技巧は無いが、俺が一つ歌ってみせよう。小さい頃に、お袋によく歌ってもらったんじゃよ。

…その子に、会えるといいな。
(21)2005/09/19 21:49:48
異国人 マンジローは、西国の訛りが混じった唄を歌いだした。
2005/09/19 21:51:15
お嬢様 ヘンリエッタ
お上手ですわ。
初めて聞く唄です…。

あ、申し遅れました。
私は「紅姫」と申します。

よろしければ、貴方様の名を教えて頂けますか…?
(22)2005/09/19 21:53:02
異国人 マンジロー
俺は忠朗と申す者。
こうやって都の警備をするのが仕事だ。
今日はもう遅い。紅姫殿も家に戻りなさい。

さて、俺はそろそろ行くぞ。
鬼がどうとか、そんなつまらない噂の正体を突き止めねば。
(23)2005/09/19 21:58:13
異国人 マンジローは、紅姫の頭をぽんと撫でると、橋の向こうへと姿を消していった。
2005/09/19 21:59:17
お嬢様 ヘンリエッタ
忠朗様、ですか。
都の警備とは、ご苦労様ですわ。

私は…あの屋敷には戻りたくないのです。
あそこに…私の居場所はない。

あっ、今のは聞き流してくださいませ。
私はこの橋の先にある村に行こうかと思っています。
ひょっとしたら…あそこにあの子が居るかもしれませんから。
(24)2005/09/19 22:01:44
逃亡者 カミーラ
[神楽は橋を渡りきったところで足を止めた。歌声が聞こえる]

……誰ぞおるのかの。

『ここは都だ。人がいても不思議ではなかろう』

それもそうじゃの。
まぁわらわの邪魔をせぬなら誰がいようと構いはせぬ。
(25)2005/09/19 22:04:23
お嬢様 ヘンリエッタ
[紅姫は偶然にも忠朗が向かう先と自分が向かう先が同じである事に、忠朗が言う「鬼」の存在を気にはしたが、今はその事よりもあの子に会いたい一心で橋を渡り、其の先にある村へと入っていった。]
(26)2005/09/19 22:04:44
異国人 マンジローは、背中を向けたまま手を振り、姿を消した。
2005/09/19 22:04:59
逃亡者 カミーラは、星斗を伴って橋の先の村へと歩を進めた。
2005/09/19 22:06:51
お嬢様 ヘンリエッタ
[村へ辿り着いた紅姫は何時しか忠朗の姿がない事に気がついた。そして大きな犬を連れた一人の女人に気がついた。]

あら、強そうな犬ですこと。
よろしければ、撫でてみても構いませんか…?
(27)2005/09/19 22:15:38
逃亡者 カミーラ
散としておるのぅ……
人の姿も見えぬ。
それになんじゃ……薄ら寒いところじゃの……

『噂だと鬼の童子がいるそうだが……』

鬼か……わらわは鬼退治は専門ではないのじゃが……
(28)2005/09/19 22:18:04
学生 ラッセルは、誰かの話し声がしていた気がして、ふ、と目を覚ました。
2005/09/19 22:18:46
逃亡者 カミーラ
[神楽は自分の後ろから女子がやってきたことに気づいた]

ん……誰じゃおんしは……
撫でても構わぬが、星斗はあまり触られることを好まぬ。
少しだけにしておいてくれるかの?
(29)2005/09/19 22:19:29
学生 ラッセル
。o O(眠っていた?…私とした事が……。
しかしいいあんばいだ。いい夜だな……。
昨夜が中秋の名月。今夜は十六夜(いざよい。)か……。)
(30)2005/09/19 22:19:50
逃亡者 カミーラは、撫でやすいように星斗をその場に伏せさせた。
2005/09/19 22:20:16
学生 ラッセル
[羅刹は荷物から火種を取り出そうとして、やめた。]

。o O(今宵はよかろう…。それに私の目にはいらぬ。
……それにしても、子供の声が聞こえた様な……。)
(31)2005/09/19 22:21:40
学生 ラッセル
……行くか。

[羅刹は橋の『向こう』へと足を進めた。]
(32)2005/09/19 22:22:04
お嬢様 ヘンリエッタ
私は紅姫と申します。
貴女様の名は何と申しますの…?

[紅姫は女人にお辞儀すると、大きな犬に恐る恐る手を触れてみた。]

大人しい犬ですわね。
私、犬に触ったのは初めてですわ。

真っ白な毛並みがお美しい。
(33)2005/09/19 22:23:09
流れ者 ギルバート
[――橋を渡り歩み進む。
 辺りはひっそりと静まりかえり、途中目に入った幾つかの質素な家屋にも人の気配は感じられぬ。打ち捨てられたと言う程には古びておらず……むしろ、何者かが暮らしていたとて何の不思議もない程度に思えた。だが、しかし、それらの建物からは人の気配はおろか、生活の営みの跡すら見受ける事は出来なかった。
 威日呼は暫しの間、辺りを散策する。
 しかし、人っ子一人見掛ける事は出来なかった。
(今度も……違ったのか?)
 威日呼の脳裏にそのような思いがよぎる。
 しかし、そう思いつつも、このような家々の様子に尋常ならざるものを感じていた。

 やがて、威日呼はそれまで見掛けた家屋とは全く違った、威風ある佇まいを見せる堂へと辿り着く。どれ程の樹齢とも知れぬ程の見事な二本の大樹が門であるかのようにどっしりと根を張っていた。
 門を開け、堂へと立ち入る。
 しかし、この堂にもやはり、人の気配は感じられぬ。
 威日呼は堂の中を見回すと表に出て、階段に座り込み暫し物思いに耽った。]
(34)2005/09/19 22:24:33
逃亡者 カミーラ
わらわは神楽と申す者。
この犬は星斗じゃ。

[神楽は星斗の頭をひと撫でした]
(35)2005/09/19 22:27:45
学生 ラッセル
。o O(ほう、『向こう』にも村があったか。
それにしてもやはり人はおらぬ様、だが……?)

[羅刹は人影に目をとめて、驚いた。]
(36)2005/09/19 22:32:08
お嬢様 ヘンリエッタ
神楽様と星斗様ですか。

ところで、神楽様。
唄の上手な子、御存知ですか…?

昨晩、橋の上で唄声を聞いたのですが、今宵は聞こえません。
この村に居るかと思い、参ってみましたが…

[紅姫は明かり一つなく、静まり返る村を見渡して…]

どうやら、居ないようですわ。
私はもう少し、奥の方を探してみようかと思います。
(37)2005/09/19 22:32:19
逃亡者 カミーラ
唄の上手い子……例の鬼子のことか……?
わらわは見かけておらぬが……

その、紅姫と申したか。
子供が一人で出歩くには夜は少々危険じゃ。
明日にしたほうがいいと思うぞぇ?
(38)2005/09/19 22:35:16
学生 ラッセル
。o O(ここに来る者はいずれであれ鬼が目的であろうが……。
子供……?!見たところ、高貴な生まれの様だが……何故?)

[羅刹は女と少女のいる方に足を進めようとして、やめた。]

。o O(いや、関わる事はない……。私には関係がない。)
(39)2005/09/19 22:37:51
学生 ラッセルは、一人でふらりと散策する事にした。
2005/09/19 22:41:42
お嬢様 ヘンリエッタ
鬼子…?
そういえば、忠朗様も鬼の正体を突き止めないと、とこの村に向かわれていましたが…。

[紅姫は昨晩聞いた唄を思い出していた。]

あの唄…煮えたとか、食べるとか、そんな内容でしたわ。
まさか…私が探しているのは鬼子なのですか…?

[紅姫は体を震わせながら、神楽と星斗を交互に見つめた。]

しかし、神楽様の仰る通りかもしれません。
この暗闇の中で人を探すのは少々難しい。
明日、陽が出たら探してみようかと思います。

それでは、神楽様、星斗様、失礼しますわ。
(40)2005/09/19 22:43:22
逃亡者 カミーラ
[神楽は闇の向こうを凝視している星斗に気がついた]

……どうかしたかぇ?

『……人が一人おる。こっちを伺っておったようだが……』

……覗き見かや?
趣味の悪いのもおったもんじゃのぅ……
まぁ放っておけ。命を取ろうというものでもあるまい。
(41)2005/09/19 22:44:13
お嬢様 ヘンリエッタ
(これから…どうしたらいいんだろう。あの屋敷に戻らないといけない…?嫌…っ。あそこに居ると、喉が詰まりそうになる。何処か、眠れる場所を確保しなければ…。)

[紅姫は神楽と星斗にお辞儀すると、月明かりだけを頼りに、村の奥へと歩を進めた。]
(42)2005/09/19 22:50:04
流れ者 ギルバート
【堂】

[――鬼。
 彼の愛する者達を奪って行ったもの。
 戦に駆り出された威日呼が家へと帰り着いた時彼がその目にした光景は、血の海と化した床に倒れ伏す、父母と妹の姿であった。
 ――其処に佇むひとつの影。
 影は何かを手にし、其の口元へと運んだ。影が手にしたそれは、心の臓であった。倒れ伏した父母と妹の赤く染まった胸より抉り出されたものであった。
 ――目が。
 暗がりの中で、赤々と灯るとような其の目が、ゆっくりと威日呼の方へと向いた。
 あの時の忘れえぬ感情。



 威日呼は階段を登ると堂の壁に背を預け座り込み、暗い空を見上げていた。]
(43)2005/09/19 22:51:00
逃亡者 カミーラ
鬼子が唄を歌うておる、と噂では聞いたがの……
まぁ人の言うことじゃ。
根も葉もないことかもしれぬがな……
気を付けて行くんじゃぞ。

[神楽は紅姫を見送るとあたりをふらふらと探索し始めた]
(44)2005/09/19 22:52:47
学生 ラッセル
【池】

[かつては何処かの庭だったものだろうか。
覆い茂る草むらの中、手入れされていない木々に囲まれて石造りの人工的な池がある。
まとわり付く空気、草を踏みしめるたびに青い匂い。
羅刹はそこで足を止めると、その中に落ちる月を見た。]

。o O(苦しい……。何故この様な切ない思いになるのだろう…。
私が望んだ事なのに。
後悔しているのか?恐ろしいのか?『向こう』を『こちら』にしてしまった事を……。)
(45)2005/09/19 23:01:01
学生 ラッセルは、一つ首を振った。
2005/09/19 23:04:25
お嬢様 ヘンリエッタ
[紅姫は静まり返る村の中を、耳を澄ませながら歩いていた。しかし、子の唄声は聞こえてこず、気がついたら村の入り口から南に位置する場所に鳥居のようなものをみつけた。

ゆっくりと、其れを潜る。其の先には白と黒の敷石が敷かれており、其の周りには桃の木が植わっていた。]

あら…?あれは堂でしょうか。
あそこなら、夜を過ごす事ができるかもしれません。

[紅姫は手毬を抱えながら、ゆっくりと堂の中に入っていった。]
(46)2005/09/19 23:05:09
流れ者 ギルバート
[ふと感じた人の気配に威日呼はそちらに目を遣った。
 小さな姿。
 まだ、年端も行かぬ少女であった。
 少女は暗がりの中、壁に背を預ける威日呼の姿に気付かずに階段を登る。

 ――人っ子一人見かける事の無かった此処で初めて見つけた者が、まさか、このような少女であろうとは……。

 微かな戸惑いを覚えながら威日呼は立ち上がり、そっと、堂に入った少女の様子を伺った。]
(47)2005/09/19 23:18:24
お嬢様 ヘンリエッタ
【堂】

[紅姫は階段を登り、広い空間に辿り着いた。暗い空間の中の様子はよく分からなかったが、屋敷を飛び出してから一度も休んでおらず、『外』の世界を知らない小さな其の体は限界に達していた。中の様子を調べようとはせず部屋の一番奥まで向かうと、その場所で疲れたかのように腰を下ろし、毬を抱えたままゆっくりと*瞳を閉じた。*]

(明日こそ、あの子に会ってみたいな。でも、鬼子だったらどうしよう。少し恐い気もする…。)
(48)2005/09/19 23:23:59
学生 ラッセル
[羅刹は飽く事なく、ただ無心で月を見つめていたが、ふいに近くにあった石を投げ込み、月を乱した。
そして独りを心の奥底だけで嘆く。]

。o O(……今更だ。)
(49)2005/09/19 23:41:53
学生 ラッセルは、何も考えず、今夜はもう*眠ってしまおう。*
2005/09/19 23:45:10
流れ者 ギルバート
[少女が腰を降ろしそのまま動かぬ様子を見て取ると、威日呼は静かに堂の中へと入って行った。
 ――背の大太刀に手を掛け、ゆっくりと少女に近付く。
 姿見は少女であっても、このような処へただ一人現れた者であれば、もしや、人ならざるものかも知れぬとの思いが脳裏によぎる。
 少女の傍へと近付く。少女は身じろぎひとつせぬ。

 ……静かな堂の中に。

 すやすやと、安らかな少女の寝息だけが聞こえていた。
 威日呼は、ふと、身の緊張を解く。
(――思い過ごし、か。だが……何故この様な処に?)
 少女の顔を覗き込み……威日呼ははっと息を飲む。
 暫し、少女を見詰め……ひとつ息を吐くと頭を振り、威日呼立ち上がった。そして堂の外へと出ると、壁に背を預け目を閉じ、眠りの中へと落ちようとした。
 ……其の面に幾つかの感情の絡み合った様な表情が*浮んでいた*]
(50)2005/09/19 23:52:12
逃亡者 カミーラ
……呪物どころか他に人影も見当たらんな。

『この暗がりではいたしかたあるまい。陽が出てから出直した方がよいぞ』

……そうするかのぅ。
一夜過ごす場所を探すとするかの……

[神楽は星斗を伴って暗闇の中に*消えていった*]
(51)2005/09/20 01:09:33
冒険家 ナサニエルが参加しました。
冒険家 ナサニエル
【都/某貴族の邸宅にて】

――鬼、ですか。

[那須仁影はそう言って眉間に皺を寄せた。諸国を巡っていた彼が、縁者である貴族の屋敷に立ち寄るために都にやってきたのは今日の夕刻。荷解きもそこそこに、今は屋敷の主と酒を交わしつつ世間話をしている。]

『左様。せやけどな、鬼は鬼でも童らしゅうてな。仁影はんはご存知おへんやろけど、ここのところ京はその噂でもちきりや。
一条堀川に、戻り橋いう橋がおますのやけど、そこに童姿の鬼が出て夜な夜な唄を唄いよるいう話でな。
これが人を喰うでなし、ただ唄いよるだけいうのや。不可思議な話やろ』

[屋敷の主は仁影の顔をちらりと見て、話を続けた。]

『しかし危のうないいうても不気味なことに変わりはあらへん。なんぼ童でも鬼は鬼や。鬼物の怪がうろうろしとるようでは都の名折れや。
当今はんに障りがあってはいかんいうて、禁中でも坊主に加持祈祷さして、近々検非違使に調べさせよういう話になっとる。まったく面倒極まりないことやで』
(52)2005/09/20 02:49:31
冒険家 ナサニエル
…戻り橋の鬼の噂は、渡辺綱殿のお話なら幼き頃に父より聞いたことがございますが…昨今またも鬼の噂が立っているとは、驚きました。
検非違使が動くとあらば尚のこと、その前にこの目で確かめてみとうなりました。

[仁影はおもむろに杯を置いて立ち上がった]

伯父上、私はこれから一条堀川へ参ろうと思います。
申し訳ないが馬と灯りをお借りしますよ。
私の馬は旅の疲れもあろうがゆえ、休ませてやりとうございます。
(53)2005/09/20 02:53:00
冒険家 ナサニエル
『仁影はん…ほんにあんたはんの物好きには呆れますわ。
馬も灯りもお好きにしはったらよろしい。
ただな、なんぼあんたはんが弓の名手やいうても相手は鬼や。
戻ってきた仁影はんが鬼に変わっとらんいう証はあらへん。
行くなら明日の朝にしなはれ』

[屋敷の主は、立ち上がった仁影を見て、位の高い貴族らしく億劫そうにそう言うと手にした扇をひらひらと振った]

……そうですね、では明日に。
今宵のような美しい月夜に鬼だ物の怪だと騒ぐのは、少々風情に欠けますな。
…これだから、武人は風雅が解らぬと叱られるのです。

[仁影はそう言って笑うと、座に戻って主の杯に*酒を注いだ*]
(54)2005/09/20 02:55:08
酒場の看板娘 ローズマリーが参加しました。
酒場の看板娘 ローズマリー
【一条戻り橋】
[十六夜――満月から1つ欠けた月。朝から降り続いていた雨は既にあがり、雲ひとつない夜空で月が輝きを放っていた]

一条戻り橋。 ここだね。
鬼の童子が謳う不吉な唄… その調べにのって鬼が復活しようとしている。
ここにいれば鬼に出会える。きっと。
その中に………あいつもいるに違いない。

(請け負った仕事ではあるけれど…)
(あたしの本当の目的は、ひとつ………)
(55)2005/09/20 03:18:41
酒場の看板娘 ローズマリー
[月明かりの元、懐から懐剣を取り出すと柄に嵌め込まれた自分の髪と同じ色の石を確かめるように指で擬えながら約束をするように優しい声で語りかけた]

今度こそ、あいつを見つけられる。
そんな気がするんだ…。
必ず倒してみせる。あなたのために。
(56)2005/09/20 03:19:33
酒場の看板娘 ローズマリー
[ふと顔を上げ、天上の月を仰ぎみた]
薄く削られた月、か…。
あの日もそうだった。あいつにあなたが喰べられた夜…。

私を庇ってあなたを失い… どのくらい経ったんだろう。
ずいぶん長かったようにもあっという間だったようにも思えるよ。
力を求め、危険を求め、あたしは強くなっている。
頬に傷を負わせるのがやっとだった、あの頃のあたしじゃない。
(57)2005/09/20 03:22:09
酒場の看板娘 ローズマリー
兎にも角にもまずは噂を確かめないと。
鬼の童子と子守唄。そして一条戻り橋。
今は時が移るのを待ったほうがよさそうだね。

[気持ちを抑えながら橋のそばにある柳の木に寄りかかり、*瞳を閉じた*]
(58)2005/09/20 03:23:40
のんだくれ ケネスが参加しました。
のんだくれ ケネス
「消人」

もとは、町外れの野に暮らしていた。
小さな家に、妻が一人、子供は二人。
決して豊かではなかったけれども、幸せに過ごしていた。
しかし、ある日のこと。帰ってくると、胸騒ぎがした。

普段なら、愛する妻が用意している夕食の、立ち上るかまどの煙が立ち上っておらず、普段なら、喜んで飛び出してくるはずの子供が、飛び出してこなかったからだ。
(59)2005/09/20 03:57:21
のんだくれ ケネス
戸を開けると、そこには家族だった「もの」が残っていた。

目の前の光景が信じられず、半狂乱になりながら、
それを抱えて泣いた。泣き続けた。


周りに聞いて回ったが、誰も答えなかった。
ちんぴらを殴りつけ半ば半殺しにすると、ようやく一言だけ言った。
「貴族の牛車が来ていた。」
(60)2005/09/20 03:58:47
のんだくれ ケネス
自分が知る限りの貴族の門を叩いた。
回りの目も気にすることなく、泣きながら、訴えた。

だが、その願いも貴族まで聞き入れられることもなかった。
足蹴にされ、殴りつけられ、息も絶え絶えにされた。
僅かの問いも許されず、何度も半殺しにされ、投げ捨てられた。
(61)2005/09/20 03:59:44
のんだくれ ケネス
死にかけの中、思った。

誰が俺の家族を奪ったのか。
あんなにも酷い形で。

貴族の戯れか?
それともただ来ていただけなのか?

しかし、何も知らなかったとは言わせるものか。
貴族どもに、答える気も無いだろうが。

ささやかな幸せだった。
それを奪った貴族を、俺は許すものか―
(62)2005/09/20 04:00:17
のんだくれ ケネス
しかし、その思いは決して届かなかった。
「消人」はその思いを晴らすかの如く、酒を飲むようになった。
べろべろに酔っぱらうことが多くなった。
その時だけ、何もかも忘れることが出来た。
(63)2005/09/20 04:03:01
のんだくれ ケネス
「消人」
もとの名はもう捨ててしまった。
自分の、人としての存在を消す(消された)という自分(貴族)への皮肉も込めた名前。
飲んだくれ。どうしようもないごろつきとして毎日を過ごしている。

が、心の底では、自分の家族を奪った貴族への憎しみは消えてはいない。恐らく。

酒を飲む毎日。ふと、「鬼」の噂を聞きつける。
どうせ、いつものくだらない噂話の類だと気にもしなかったが、貴族が騒いでいる雰囲気を嗅ぎつける。
もう「あの出来事」は気にしないようにしていたが、どうしてもその気持ちを振り払えず、噂の橋まで来てしまう。
(64)2005/09/20 04:07:45
のんだくれ ケネスは、酔っ払いながら、月を見上げた。
2005/09/20 04:17:41
のんだくれ ケネスは、遠くに、使いが駆ける音を聞きながら、瓢箪を口に運ぶ。
2005/09/20 04:18:57
のんだくれ ケネス
けっへへ。
今日は、何だか、おエラい様がたが騒いでいらっしゃるぜ。

[相変わらずの酒の匂いをさせながら呟いた]
(65)2005/09/20 04:19:36
のんだくれ ケネス
ふー・・・ん。
[体中酔っているのに、目だけは妙にはっきりさせている]
(66)2005/09/20 04:25:31
のんだくれ ケネスは、夜の街に響く声を、耳を澄ませて聞いている。
2005/09/20 04:25:42
のんだくれ ケネス
鬼・・・ねぇ。

[消人の脳裏にほんの一瞬、数年前が浮かび上がって、消えた]
(67)2005/09/20 04:28:34
のんだくれ ケネス
鬼なんているものか。

腐れ貴族はいてもな・・・。
(68)2005/09/20 04:41:54
のんだくれ ケネスは、それでも、橋のたもとに来ている自分に溜め息をついた。
2005/09/20 04:42:21
のんだくれ ケネスは、空を見上げて、月を眺めた。
2005/09/20 04:43:34
牧童 トビーが参加しました。
牧童 トビー
「うん、これでよし…と。
 直ぐに治るから、大丈夫だよ。あとちょっとだけ我慢してね。」

そう言うと、彼は治療を終えた鳩をそっと傍らに置き、また歩み始めた。


空の闇が半ば薄れ、辺りは早朝の、独特のあの澄んだ空気が支配する時間。

そこに、彼はいた。
(69)2005/09/20 07:07:58
牧童 トビー
年のころは十前後、といったところか。
幼そうな顔出ちをしているものの、その顔立ちから考えた年齢からすると、
ややしっかりとした体つきでもある。

それは、もう数年という年月、
旅に身を投じてきた事によって自然と身に付いたもの。

その環境が、今の彼を作り出したのだった。
(70)2005/09/20 07:14:40
お嬢様 ヘンリエッタ
【堂】

[――目を覚ます。
暗かった堂の一室に差し込む陽の光。
紅姫は目を細めながら、立ち上がり堂の中を見回した。

堂の中は綺麗な畳が敷かれており、奥には比較的大きい石と棒状の石が組み合わされたものがあり、其処に祓具と思われるものが置かれていた。

ふと目を堂の外に向ける。
茶の髪をした男人が壁に寄りかかりながら眠りについていた。]

この堂は、この方の…?
勝手に上がりこんでしまって申し訳ありませんでした。

[紅姫は眠っている男人に向かって小さく呟くと、堂の外に出た。]
(71)2005/09/20 07:18:08
牧童 トビー
時は遡り、今から数年前の事。
彼はただ一人の家族を、失った。

数年前、謎の病に倒れ、そのまま帰らぬ人となった、
彼にとってたった一人の家族、彼の育ての親の老師であった。

当時の彼なりの賢明な看病も…実を結ぶ事はなかったのだった…。


年のころ五、六にして天涯孤独となってしまった彼。
あるのは、老師から授かった薬草等の知識のみ。

彼は何日も泣き続けた。
泣く事で、その老師の死という事実を受けいれるのを拒否しつづけてきた。

…しかし、その現実は当然変わるわけもなかった…。
(72)2005/09/20 07:22:08
お嬢様 ヘンリエッタ
【堂/外】

[堂の外は庭のような景色が広がっており、陽の光は白と黒の敷石を照らし輝かせていた。くるりと一周して辺りを見回す。桃の木はまだ若木が多く、背丈は自分よりも少し高いといったところであった。視線の先には一本の大樹が生えており、紅姫は心を躍らせながら其れに向かった。]

一度、登ってみたかったですの。

[紅姫は韓紅色の着物の裾をたくし上げ、毬を袂にしまうと、ゆっくりと木に登り始めた。

木に登る様は危なっかしく、何度も脚を踏み外す。綺麗な白い肌は徐々に土で汚れていった。紅姫はそんな事も気にせずに、ただひたすら木の高い処を目指した。]

わー。綺麗…。
陽がいつもより近い。

こんな景色、初めて見る…。

[紅姫は木の枝に腰を下ろし、視野に入ってくる景色を眺めていた。
堂の中心には小さな池があった。池には蓮華が咲いており、陽は其の水面を照らしてた。]
(73)2005/09/20 07:24:42
お嬢様 ヘンリエッタ
ひいらいた ひいらいた  なんのはな ひいらいた
れんげのはなが ひいらいた ひいらいたと おもったら
いつのまに つうぼんだ

つうぼんだ つうぼんだ  なんのはなが つうぼんだ
れんげのはなが つうぼんだ つうぼんだと おもったら 
いつのまに ひいらいた


(今日はあの子に会えるかな。)

[紅姫はそんな事を考えながら、木の上で唄っている。そして疲れたのか、その唄声は徐々に小さくなり、いつの間にか木に身を預けて*眠り始めた。*]
(74)2005/09/20 07:29:07
牧童 トビー
余りにも大きすぎる、絶対に変わることのありえない現実を、年のころ僅か五、六にて受け入れざるをえなくなった彼。

泣き続けながらも、彼が最後に出した結論は…
「いつか…あのじいちゃんを襲った病を治す薬草を見つける…。
 それまではもう…泣かない。
 正直…泣くのにもう疲れたよ…。何も生まれなかった…。」

「じいちゃん。僕…行くよ。
 …本当は行きたくない気持ちもあるんだよ…。
 でもね。このままここに居ても…。
 僕は…きっとじいちゃんの面影に甘え続けると思う…。
 
 だからこそ…僕は行くよ。
 じいちゃんの命を奪った、あの病気を治すまで、戻って来ないつもりだから…。
 
 …待っててね。」

そう独り呟き、彼は住み慣れた小屋を後にした…。
そして、彼は薬師として諸国を旅するようになったのである…。
(75)2005/09/20 07:30:34
牧童 トビー
数年の旅の生活は、彼を大きく変えることになる。
新しい発見、そして失敗の連続の日々。

そんな手探りの日々が、ずっと泣くだけだった彼を大きく変えていった。

「動かなきゃ…何も始まらないよ」

ただ泣くだけの日々を過ごしていた頃の彼は、この数年ですっかり影を潜めていた。


そういった一面が、幼さの残る顔立ちと、その顔立ちから考える年齢からするとしっかりとした体つき、その言葉の重さから考えると高そうな年齢、でも実際には言葉遣いそのものはまだ少年…。

こういった、ある種の不釣合いな均衡を、彼は持っているのだった。
(76)2005/09/20 07:36:38
牧童 トビー
そしてまた、薬師としての腕も、数年の旅生活の中でしっかりと鍛えられていった。
今では、充分一人前の薬師として生きている彼だが…
彼自身は、まだそういった一面からの思考は持ち合わせていないようだった。

そして、時は現在に至る。
彼は澄んだ朝の空気の中を独り歩みながら、しばし想いを巡らせていた…。
(77)2005/09/20 07:40:42
流れ者 ギルバート
[――物音に、威日呼は目を覚ました。
 すっかりと日は昇り、朝靄も消えるような頃合になっていた。
 頭を振り僅かに残った眠気を払う。と、その時。
 ――何処からか微かに聞こえてくる歌声。
 見上げれば、木の上に昨日の少女の姿が在った。
 歌声はやがてかすれ、途切れ途切れとなって行き、そして止んだ。見遣れば、少女は木の上で眠りに付いた様であった。
 何とはなしに威日呼は苦笑を覚える。
 
(こうして陽の下で見れば、さして似ている訳でもないか……)
 
 樹上で眠る少女のその顔立ちを見て取りながら、威日呼はそんな事を*思った。*]
(78)2005/09/20 07:44:41
牧童 トビー
(もう、数年前の事になるんだね…。
 じいちゃん、ごめんね。まだ薬草は見つかってないんだ…。

 あれからね、じいちゃんと多分…同じ病気だと思われる人に、何回か出会ったんだ。
 その度に、あの時の事を強く…思い出すんだ…。

 僕は…じいちゃんの命を奪った…あの病気をやっつけたい。
 でも、たとえ見つけたとしても、もう…
 じいちゃんが戻らない事は…わかってる。
 最初は、それすら…受け入れられなかったけどね…。

 ただ、見つけたいんだ。
 そうする事で、きっと…僕の中で、何かが…
 …終わるのかな…。それとも、始まるのかな…。) 
(79)2005/09/20 07:46:58
牧童 トビー
(ただ…本当のことを言ってしまうと…。
 もう…この地には…
 その病を治す薬草はないんじゃいかと…思ってる。
 
 数年の間に、各地を旅して…
 それでもまだ、手がかりすら見つからない…。
 
 でもね。あきらめたくないんだ。
 どこにあるのかなんて、誰にも分からない。

 …分からないからこそ、僕は探すんだから。

 …ふふっ。僕はもしかしたら…。
 それを探すことで、僕の存在を僕自身で確かめてるのかな…。

 …そんな、気がするよ…。)
(80)2005/09/20 07:51:15
牧童 トビー
(…でね。じいちゃん。
 僕…ちょっと気になることを聞いたんだ。

 「一条戻り橋」っていう橋が、ここにはあるんだって…。
 その橋のうわさを…僕は前の町で、ちょっと耳にしたんだ…。

 それを聞いた時。
 なんか…居ても立っても居られなくなって、僕はここに来たんだ…。

 もしかしたら…そこに何かあるのかもしれない…
 なんとなく、だけど。そう思ったんだ。そう感じたんだ。

 あの先には、僕が探しているものがあるような気がするんだ…。
 そう、感じたんだ。

 ねえ、じいちゃん。
 …感じた事に、理由なんていらないよね…そうだよね…。
 お願い、そうと言って欲しいんだ…。)
(81)2005/09/20 07:58:43
牧童 トビー
(僕は…行ってみたい。
 その先に何があるのかなんて、わからない。
 
 でもね。
 このままじゃ、絶対にもう見つからない気がする。
 数年の時の流れは嘘なんてつかない。そう思うんだ。
 
 でね、気が付いたんだ。
 僕の心は…もう、この地にはない。
 あの橋の先の地へと、もう…行ってしまっている。

 なら…。
 あとは体を、心に近づけるだけの事だと…思うんだ。)
 
(82)2005/09/20 08:02:00
牧童 トビー
こうして、彼は橋を渡る決心をする事になる…。
彼の行く末に何があるのか、まだ彼はこの時知る由もなかった…。
(83)2005/09/20 08:02:59
逃亡者 カミーラ
【民家・納屋】
[神楽は無人らしい民家の納屋の中、敷かれた藁の上に横たわった星斗に凭れ掛かるようにして眠っている]

『神楽よ、そろそろ起きよ』

……ぅん……

『もう日が昇って大分立つぞ。起きぬか』

……あと少し……

『早よう起きねば祖母君に怒られるぞ』

…………
(84)2005/09/20 09:08:00
逃亡者 カミーラは、大慌てで飛び起きると着物を取り繕った。
2005/09/20 09:08:10
逃亡者 カミーラ
ももももも申し訳ありませぬ祖母君!
今床を離れます故っ…………

……って……
ここに祖母君がおわすわけないじゃろうが……
星斗、おんしわらわを謀ったな!

『……いつまでも寝ておるのが悪いのだ。さっさと支度せい』

……おんし使役される身のくせに少々主に対して生意気ではないか?

[神楽はぶつぶつと文句を言いながら身支度を整えた]
(85)2005/09/20 09:10:41
逃亡者 カミーラ
『……して、どうするのだ?』

そうじゃのぅ……
そもそもこの村はなんなんじゃ?
都の一角にありながら人っ子一人おらぬ。
昨夜出会うたのもあの女子とこちらを見ておった得体のしれぬ者だけじゃ。
たかだか鬼の童子ごときで祖母君が重い腰を上げるとも思えぬし……

[神楽は思案しながら村の中を散策している]
(86)2005/09/20 09:49:31
流れ者 ギルバート
[うとうととしていた威日呼はが目を覚ました時、既に日は高く、時は昼下がりを過ぎた頃であった。このように長く眠ったのは何時以来であろうか。長旅で溜まった疲れも、幾分癒えたようであった。
 見上げると。
 樹上にはまだ、枝に身を任せる少女の姿があった。ふと、少女と目が合う。
 少女はどこか途方にくれたように威日呼を見詰めた。
「降りられなくなったのか?」
 威日呼の問に、少女はこくりと頷づく。
「ふむ……待っていろ。今降ろしてやる。」
 何となく、苦笑めいた可笑しさを憶えながら、威日呼はそう云って立ち上がり大樹へと歩み、昇り行く。
思えば……この様に木に昇り降りる事の出来なくなった妹を助け降ろした事が有った。まだ、彼が戦に駆り出されるようになる前の事だ。
 樹上にて、少女は如何にも頼りなさげに身を震わせていた。
 鳶色の髪、同じ色の瞳が目に留まる。
 やはり、決して風貌は似ている訳ではない。だがその雰囲気は、何故か記憶の中にある彼の妹を思い起こさせた。]
(87)2005/09/20 15:43:28
流れ者 ギルバート
[「もう大丈夫だ。ほら、俺の背に掴まれ。」

 思い出を胸に浮かべながら、威日呼は笑みを浮かべ少女の頭を撫でてやった。頷いた少女は震える身を威日呼の背に預ける。威日呼は「しっかり掴まっていろよ」と少女に声を掛けると、ゆっくりと大樹を降りて行った。
 
 少女を地面に降ろす。威日呼はそのままへたり込みそうな少女の手を取って支えてやった。

「あ…ありがとうございました。…こちらの御堂の方でいらっしゃいますよね? 昨晩は勝手に上がり込んでしまって申し訳ありませんでした。」

 まだ幾分か震えを残したまま、少女は威日呼にそう云った。

「否、俺も昨晩此処に辿り着いただけの者だ。この堂の主が居るのかどうかも解らん。何しろ、此処に来てから見かけた者はそなただけだからな。」

 ちらりと堂へと目を遣りながら、「そうなのですか」と少女は云った。]
(88)2005/09/20 15:45:07
流れ者 ギルバート
[ ――幾つかの遣り取りの後。
 威日呼は、少女は歌う童子の姿を求めて此処へやって来た事、忠朗という男、白い犬を連れた神楽という女と会った事を聞く。威日呼は、鬼の姿を求めて此処に来たのだとだけ告げた。

「あ…申し訳ありません。助けて頂きながら、名乗る事を忘れておりました。私は…紅姫と申します。」
「良いって事だ。名乗る事を忘れたのはお互い様だからな。俺は威日呼だ。」
 思い出したようにそう云って頭を下げた紅姫と名乗った少女に、威日呼は笑みを向け名を告げた。]
(89)2005/09/20 15:46:36
流れ者 ギルバート
[「さて……俺は橋の向こうへ戻ろうかと思ってる。ここでこうしておっても鬼の姿も気配も見当たらぬからな。安倍清明邸に行き手掛かりとなる話でも聞ければ良いのだが。お前は如何する? 年端の行かぬ童が一人歩きするものでない。家は都であろう? ついでだ、送ってやろう。」
「いえ…私は…」
 威日呼の言葉に、紅姫は何故か云い淀んだ。あまり表情の変わらぬその紅姫の面に、その時だけ、嫌悪とも苦悩とも取れる表情が浮ぶ。年端も行かぬ身でありながら、何やら抱えるものが有るのであろう。
「無理にとは云わん。此処にはそなたに害を成すものも居らぬと思えるしな。安倍清明邸を訪ねた後、もう一度此処に戻ってこよう。」
 威日呼はそう云って、紅姫に背を向けると橋へと向かって歩き出す。
「あ…あの…橋まで御一緒させて頂けますでしょうか? 今日は、橋にお唄の上手な子がいるかも知れませんの。」
 背中からの声に威日呼は振り返った。そして、ひとつ頷くと再び歩き出す。
 そうして、威日呼と紅姫は一条戻り橋へと向った。

 この時はまだ、此処が踏み込めば戻れぬ地だという事を*知らぬままに。*]
(90)2005/09/20 15:49:17
双子 リックが参加しました。
双子 リック
―――ぽたり。ぽたり。

そこは、白黒の世界だった…。
なぜか倒れ伏している漣の目の前で上から雫が滴り落ち、その場に水溜りを作る。
しかし雨が降っている様子は無い。

漣は上を見上げた。

そこには人が立っていた。本当に人だろうか?少し雰囲気が違うようだ。

―――鬼。

当然、見た事は無い。だがその言葉がすぐに浮かんだ。
まるで誰かが漣の脳に直接語りかけてきているかのようだった。

鬼は人間の頭を掴んで持っていた。
首から下は無い。
先程見た水溜りは、そこから雫が滴り落ちていたのだ。
血という雫が。

鬼は首を無造作に投げ捨てると、丸太のように太い腕を振り下ろした。
漣めがけて…。

漣は、そこで目が醒めた。汗をびっしょりとかきながら…。
(91)2005/09/20 17:29:03
双子 リック
漣(さざなみ)は、摂関家に繋がる家門の生まれの子だった。父親は、いる。が、ほとんど見たことが無い。
兄弟は多数いる。10も離れた年上から乳飲み子まで…。

が、母親の家の格式が高いせいか漣がこの家を継ぐことになっている。
そんな漣には当然のように既に物心が付く前から婚約者もいた。
あと数年もすれば結婚ということになるだろう。
漣にはどうでも良い事であったが。
(92)2005/09/20 17:30:11
双子 リック
書、書、書。
来る日も来る日も漣は書の勉強をさせられていた。
漣は勉強が好きではなかった。

とはいえ、漣は書物が好きだった。
神話や物語を彼は好んで読んだ。
ヤマトタケルミコトの話が一番好きだった。

彼のように高貴な血筋でありながら、世間を飛び回りたいと夢見ていた。
そして漣の身体にもその血は少量ではあるものの受け継がれ流れているのだった。

出雲の国で白蛇を斬った際に、その身体から発見されたという水晶の小刀を懐に握り締め、漣はいつものように屋敷の裏口から抜け出した。

今日の漣の足が向いた先には一条戻り橋があった…。
(93)2005/09/20 17:30:30
お嬢様 ヘンリエッタ
[暗い堂に、一つの灯が外から近づいてくる。紅姫は壁に身を預けたまま、無心で其れを見つめていた。
やがて。
その灯は堂の中に入ってき、其の者がはっきりと映し出された。

頭に生える2つの角。
血を思わせるような、赤い瞳。
小さな手から延びる長い爪。
そして。
光る鋭い牙と裂けた大きな口。]

勝ってうれしい 花一匁 負けてくやしい 花一匁
隣のおばさんちょっと来ておくれ
鬼が怖くて行かれません
お釜をかぶってちょっと来ておくれ
お釜がないので行かれません
お布団かぶってちょっと来ておくれ
お布団破れて行かれません
あの子が欲しい あの子じゃわからん 相談しましょ そうしましょ
(94)2005/09/20 21:37:52
お嬢様 ヘンリエッタ
[目の前に立つ、自分と同じ背丈の童子が子取り唄を唄っている。

花いちもんめ…?
私も一緒にやりたい。

でも、二人で…どうやればいいのかな。

「簡単だよ。」

小さく、高い声。その童子はそう呟くと、長い爪で紅姫の喉を突き刺した。鋭い痛みが走ると同時に、息のできない苦しみが紅姫を襲った。]

「これで、貴女は私のもの。私の勝ち。」

[童子、否鬼子と言ってもいい、その鬼子の手に篭められる力が次第に増し、紅姫の意識は薄れていった。そして意識が無くなる直前、鬼子は鋭い牙を剥き、其れを紅姫の顔面に立てた。]
(95)2005/09/20 21:38:40
お嬢様 ヘンリエッタ
……!!
夢、ですの…?

[袂から手毬を取り出し、ぎゅっと抱きかかえる。]

そういえば、昨日から大人たちが「鬼、鬼。」と騒いでいらっしゃいますね。
今の夢は一体……

[暫し、池を眺めていると、木に歩み寄る一人の男人に気がつき視線を向けた。恐ろしい夢のせいか、或いは初めて登った木からどのように下りればいいのか分からないのか、紅姫は木から下りれなくなり、呆然と男人をみつめる。その男人は温かい瞳で微笑み、木に登り紅姫を背にのせて木から下りた。

その後、幾つかの遣り取りをし、共に橋に戻る事となった。]
(96)2005/09/20 21:40:08
お嬢様 ヘンリエッタ
威日呼様。

私、先程夢を見ましたの。
恐らく、唄の上手な子でしょう。其の子が私に…

[紅姫は橋に向かう途中、威日呼に夢の内容を話した。]

昨日から、大人たちは鬼を探してるようです。
もし…唄の上手な子が鬼の子ならば、其の子はどうなってしまうのです…?
(97)2005/09/20 21:50:18
お嬢様 ヘンリエッタ
私は鬼の話など、聞いた事がございませんし、其の存在を信じてはいません。
しかし、あの夢を見た今…少々分からなくなってしまいました。

[戻り橋に辿り着いた二人は、橋の手前で暫し立ち止まると、幾つか言葉を交わした。]

―――その時。
橋の向こうから、唄声が聞こえる。

かごめ かごめ  かごのなかの とりは
いつ いつ でやる
よあけの ばんに
つると かめと すっべた
うしろの しょうめん だーれ
(98)2005/09/20 21:54:27
お嬢様 ヘンリエッタ
あっ、此の唄声…

何処に居るの…?
私、貴女とお話がしたいの。

[紅姫は威日呼から離れ、唄声に向かって橋を渡りだした。
しかし。
幾ら歩を進めても唄声は遠いまま。それだけではない。一向に橋の終わりが見えず、しかし紅姫はひたすらに唄声に向かって*駆けていた。*]
(99)2005/09/20 22:00:22
学生 ラッセル
ふう…、散策を続けていたら、いつの間にかこんなにも時が過ぎていた様だな……。

。o O(いや、もしかしたら時間の流れもおかしい?…寝過ごしたり、腹があまり空かなんだり……。
食事だけはきちんと取らねばなるまいな。存在が希薄になり、人ならざるものになる。
人でも鬼でもなく、ただこの狭間でさまよう存在になるのだけは御免だ……。)
(100)2005/09/20 22:57:23
学生 ラッセル
[朝、草露にぬれながら羅刹は目を覚ますと、この『村』をあちこち歩き、様子を見ていた。
全てを見回れてはいないが各所に浅茅生(あさじう。)の宿を点々と、そしてひときわ立派な堂を見付けた。
ひしひしと人の気配を感じて、思う。]

。o O(…意図するところは千あれど、鬼を目的に集まってきている様だな……。)
(101)2005/09/20 22:59:53
学生 ラッセル
[手入れが全くされていない荒れた『村』の中、昔、預けていられていた時の修験の経験を生かし、羅刹は役立ちそうな物を見付けてゆく。
栗子(くり。)、胡頽子(もろない。)、梨子(なし。)、棗(なつめ。)石榴(ざくろ。)…探せばもっと食べられる物があるかもしれない。]

。o O(彼岸花……?!)

[その赤にはっとして目をやると、眼前に一面の彼岸花。
その、おぞましいまでの数。
毒を持ちながら、それが食べられる事を羅刹は知っていた。
いや、高貴な生まれでない物は皆知っていただろう。それはいつかくる飢饉の為にわざわざ植えられた物だ。
毒を持つ為に、本当に最後の最後の食べ物。それを食べれば、後は人の肉。
何故その花が死人花、地獄花、捨て子花、曼珠沙華(まんじゅしゃげ。天井の花の意。)と呼ばれて嫌われているか……。]
(102)2005/09/20 23:05:41
学生 ラッセル
。o O(誰がこんなに植えた……?
よう考えれば、石榴の謂れも……。)

[この『村』がかつて人の『村』であった頃、その頃に何があったかうっすらと知れた様な気がしたが…それは想像の域を出なかった。
そしてその後も羅刹は『村』を歩き、――今に至る。]
(103)2005/09/20 23:10:18
学生 ラッセルは、さて、今夜はいずこの空の下で*眠ろうか。*
2005/09/20 23:34:32
冒険家 ナサニエルは、松明を片手に、ふらりと橋の袂に現れた。
2005/09/21 00:43:26
冒険家 ナサニエル
【一条戻り橋】

……ここが、戻り橋か。
伯父上はああ仰られたが、昼間の陽のあるうちに鬼が出るとは思えぬしなあ。
にしても薄気味の悪いところだな…湿気が身体に張り付くようだ…
道理で小者も従者も、供をしたがらなかったわけだな。

さて、鬼よ、どれほどのものか、俺がこの目で見極めてやろう。
今宵の月も高う輝いておるが…果たして鬼は現れるやら。

[仁影は端の傍にある柳の木を見上げて、目を細めてから橋へと歩を進めた]
(104)2005/09/21 00:47:54
双子 ウェンディが参加しました。
双子 ウェンディ
これからどうしたらええんやろ。家に帰るわけにいかれへん。壷を割った人を見つけたら、お屋敷に戻れるんやろか。

[都をどこに行くあてもなく彷徨っていると『一条戻り橋』と書かれた橋の袂で、どこからともなく唄声が聴こえたように思えた]

この唄は……あの時に聴こえた唄?
(105)2005/09/21 00:48:02
流れ者 ギルバート
[橋へと戻る道すがら、威日呼は紅姫から夢の話を聞いていた。]

 ――ふむ。その歌の上手な童とやらは、噂に上っていた鬼の童子とやらかも知れん。其れが何故、お前の夢に現れたかは解らぬが……
 ただ、その童子が真に鬼の子であるなら……其れを討たんとする者も現れるやも知れんな。
 そう、鬼は……真にこの世に在る者だ。

[言葉を交わしながら、二人は橋の袂に辿り着く]

 童の姿もなければ、歌も聞こえんな。
 さて、俺は一度此処を去る。家には戻らぬのであれば、あの堂で待っておると良い。
 とは言えど……口にする物とて何も無いか。そうだな、これでも持って行くが良い。幾らかは腹の足しにはなるだろう。

[ 威日呼はそう云って、紅姫に懐の隠しから取り出した干し柿を渡した。
 ――と、そんな時。
 橋の向こうから、声が聞こえて来る。
 その歌声を聞くや、紅姫は身を弾ませ橋を渡って行った。
 ――否、渡ろうとした。
 だが、一体如何なるからくりであろうか、幾ら歩を進めど、紅姫の身は橋の半ば迄さえ届かぬ処より進む事は無かった。]
(106)2005/09/21 00:58:52
流れ者 ギルバート
 ――これは一体? 此処は……既に異界と化していたか!? 
 ……なるほど、ならば、人っ子一人居らぬ事も頷ける。

[威日呼はゆっくりと紅姫の下へ歩くと、その肩に手を置いた。はっと振り返った紅姫の目に入ったのは、あれ程駆けたにも関わらず然程離れて居らぬ橋の袂だった。]

 どうやら……戻る事は叶わぬらしい。
 あの堂へ戻ってみよう。目立つ場所だ。お前が会ったという者達も訪れるやも知れぬ。その者らが何やら知っておるかも知れぬしな。それに、雨風や夜も凌げよう。

[威日呼は己の顔を見上げる紅姫にそう云うと、紅姫を伴ない堂へと向った。
 ――その背に、何処か悲しげな響きの歌声を*聞きながら。*]
(107)2005/09/21 00:59:17
逃亡者 カミーラ
[神楽はふらふらと村の中を歩いている]

結局今日も何も見つからなんだのぅ……
人もおらなんだし……

『しかし手ぶらで帰れば叱られるのは目に見えておるぞ……』

まぁそうなんだがのぅ……
ひとまずいったん橋まで戻るかのぅ。
村の入り口はあそこしかあらなんだようだし、あそこにおれば誰か村の人間と会うこともあるかもしれんの。

[神楽は橋の方向に向かって歩きだした]
(108)2005/09/21 01:04:57
冒険家 ナサニエルは、橋を渡り切ったところで、人と人でないものの気配に気がついた。
2005/09/21 01:06:48
逃亡者 カミーラは、星斗が頭を低くして前方を睨み付けていることに気づいた。
2005/09/21 01:08:58
冒険家 ナサニエル
…女の声?それに獣か、あれは。

[仁影は気配のした方へ松明をかざしつつ歩み寄った]

…そこの女!そなたら…一体何者だ。
(109)2005/09/21 01:09:26
逃亡者 カミーラ
……星斗?どうした?
……明かり?誰ぞおるのかや……?

[神楽は近づいてくる明かりに目を眇めた]
(110)2005/09/21 01:11:43
逃亡者 カミーラ
……何者だ、とは失礼じゃのぅ。
おんしこそ何者じゃ。
人に名前を聞く時は自分から名乗るもんじゃろう?
(111)2005/09/21 01:12:49
冒険家 ナサニエル
む…俺は那須仁影と申す者。
鬼の噂を聞いてここへ参ったのだが…

ここは…村、なのか?
人の暮らす気配は感じられんが…

そなた、ここに住まう者か?
(112)2005/09/21 01:15:11
逃亡者 カミーラ
わらわは神楽と申す者じゃ。
ここの者ではない。

おんしこそこの村の住人ではないのかや……?

……なんじゃ、外れじゃのぅ……

[神楽はこっそりため息をついた]
(113)2005/09/21 01:16:56
冒険家 ナサニエルは、逃亡者 カミーラの傍らで唸る犬を、訝しげに見ている。
2005/09/21 01:17:20
冒険家 ナサニエル
…なんだ、外れとは失敬な女だな。
俺はここに足を踏み入れるのは初めてだ。

そなたもここの者ではないと申すか、
しかし、斯様なうらぶれた村に女ひとりと獣がおるというのが解らんな。
ここで一体何をしている。
そなたが市中を騒がす鬼とやらか。
(114)2005/09/21 01:21:00
冒険家 ナサニエルは、犬から目を離さずに、腰に下げた太刀の柄に手をかけた。
2005/09/21 01:22:07
逃亡者 カミーラ
外れは外れじゃ。わらわは真実を申したのみ。

それに人のことを不躾に鬼とはおんしこそ礼儀をわきまえぬ無礼者じゃの。
わらわのどこら辺を見たら鬼に見えるのじゃ。
それに犬などどこにでもおろうに。
(115)2005/09/21 01:25:11
逃亡者 カミーラ
おんし……悪いことは言わぬ。
その手を離したほうがいいぞぇ。

星斗は気性の荒い犬ではないが、わらわや己に危害が加わるようなら容赦せぬ。
のど笛噛み千切られとうなかったら、大人しゅうせい。
(116)2005/09/21 01:26:50
双子 ウェンディは、テクテクと橋を渡った。
2005/09/21 01:27:13
双子 ウェンディは、冒険家 ナサニエルとカミーラの反対側を渡っている。
2005/09/21 01:28:48
双子 ウェンディは、橋を渡ると、唄声がどこから聴こえたのか耳を澄ませた。
2005/09/21 01:32:31
冒険家 ナサニエル
[仁影は犬を一瞥すると、ばつが悪そうに柄から手を離した]

む……失礼仕った。
…そなた話し方から察するに、ただの端女ではなさそうだな。
身分を明かしてもらいたいところだが…

そなたこの村の様子、見て回ったか?
見るからに廃墟にしか見えんが何か変わったことでも…?
(117)2005/09/21 01:34:07
逃亡者 カミーラは、星斗の頭を撫でて後ろに下がらせた。
2005/09/21 01:36:59
逃亡者 カミーラ
身分を明かせ、と申されてものぅ……
そなたのように胡散臭い男に馬鹿正直に話す気にはなれぬ。
まぁ縁があればそのうち話すこともあるじゃろ。

[神楽は億劫そうに手を振った]
(118)2005/09/21 01:45:20
逃亡者 カミーラ
この村は……ざっと見て回ったがのぅ。
わらわにも一体何があったのかわからぬ。
そもそもわらわは「ここで何かがあったらしい」ということを調べるように申し付けられてここに来ておるからのぅ……
まぁ今のところ収穫無しじゃ。
あったとしてもおんしに素直に話しはせんがの。

[ほほほ、と神楽は笑った]
(119)2005/09/21 01:46:54
書生 ハーヴェイが参加しました。
書生 ハーヴェイ
父は武人に成れと言うが……刀だ弓だと言う物は生に合わないな。

こんな月の夜は、歌でも詠みながら散歩している方が……荒事は兄の様に才あるものに……そう言う者を……ん、つい足を伸ばしすぎたかな。
(120)2005/09/21 01:48:38
書生 ハーヴェイは、一条戻り橋を……その中程で足を止め川面を眺めた。
2005/09/21 01:49:48
双子 ウェンディ
[風がサッと吹き抜けたかと思うと、どこからともなく唄が聴こえた]

 舞へ舞へ蝸牛 舞はぬものならば
 
 馬の子や牛の子に蹴ゑさせてん 踏破せてん
 
 まことに美しく舞うたらば 華の園まで遊ばせん


やっぱりここに居るんやね……。
 
 
(121)2005/09/21 01:51:18
書生 ハーヴェイ
夜も更けたというのに……今日は人が多いな。

そこの者、今宵は何か祭りでも在ったか?
(122)2005/09/21 01:56:16
書生 ハーヴェイは、近くに居た神楽、仁影、円日の方へ、誰と決めず声を掛けた。
2005/09/21 01:57:52
書生 ハーヴェイは、夜更けにこんな場所に居る女童を扇子越しに怪訝そうに見た。
2005/09/21 02:01:44
双子 ウェンディ
[虚ろな目でフラフラとしていたが、声をかけられて正気に戻った。]

あ、なんやろか。
(123)2005/09/21 02:04:14
双子 ウェンディ
お祭りの話は聞いてないんよ。

[うつむいて悲しそうにしている]
(124)2005/09/21 02:06:36
書生 ハーヴェイ
こんな夜更けに、一人なのか?
両親とはぐれたのかな?
(125)2005/09/21 02:07:46
書生 ハーヴェイは、双子 ウェンディが耳にしていた唄を風に聞き、ふとそちらに顔を向けた。
2005/09/21 02:08:17
双子 ウェンディ
うちは……一人や。

[目を合わせずに答えた]
(126)2005/09/21 02:12:30
書生 ハーヴェイ
然様か……知った事ではないが、困り事在るときは申せ。

oO(そう言えば、鬼がどうとか言う噂が在ったな……この女童が噂の元凶と言ったところかも知れんな)
(127)2005/09/21 02:17:21
冒険家 ナサニエル
o0(食えん女だな…)

神楽殿は何も存ぜぬと申されるか。
…ならば致し方あるまい。
俺は俺で…

[仁影は神楽をちらりと見たところで、背後の声に気がついた]

…なんだ、人の声?
他にも誰かいるのか?
(128)2005/09/21 02:17:22
書生 ハーヴェイは、目をそらす女童から、視線を外し十六夜の月を見上げた。
2005/09/21 02:17:45
逃亡者 カミーラ
[神楽は星斗が仁影の後ろを気にしていることに気がついた]

……どうした?

『人の声がする。誰ぞおるようだ』

[神楽はつられて仁影の後ろを見た]
(129)2005/09/21 02:19:01
書生 ハーヴェイ
満月はあれはあれで、明るく綺麗だが、やや欠けた今日の月の方が、風情ではあるな。

ん、誰かとは?
(130)2005/09/21 02:21:05
書生 ハーヴェイ
そなたらも月夜の夜歩きかな?
(131)2005/09/21 02:22:41
逃亡者 カミーラ
[神楽は訝しげに男を見た]

おんしは誰じゃ?
身分あるもののようじゃが……
(132)2005/09/21 02:29:18
冒険家 ナサニエル
[仁影は声のした方向へ松明を向けた]

そこにいるのは…男?に…女童か?
身なりを見る限りは、身分卑しからずといったところか。
…そのような身分のお方が、斯様な夜更けにここで何をされておるのか。
(133)2005/09/21 02:29:48
逃亡者 カミーラ
……まぁ何者でも構わぬ。
わらわは疲れた。
今宵一晩過ごすところを見繕わねばならぬ。

わらわは先に失礼するぞぇ。

おんしらも、夜は魔物の時間じゃ。
うろつくのは程々にしておいた方がいいぞぇ。

[神楽は3人に手を振ると星斗を伴って暗闇の中に*姿を消した*]
(134)2005/09/21 02:32:39
書生 ハーヴェイ
そこの若人は良いとして、犬を連れた女か……今宵は奇妙な輩に良く出会うな。

ん、名か……今は芭詠と名乗ってはいるが……身分は大してない。全部、兄に押し付けさせて貰ったからな。
(135)2005/09/21 02:33:31
書生 ハーヴェイは、扇子を打ち鳴らして閉じた。
2005/09/21 02:33:43
書生 ハーヴェイ
月が綺麗であったからな、単なる夜歩きだ。

ん……頼もしそうな獣を連れていても、魔物は恐ろしいと……ふむ、まぁ、気をつけておこう。
そなたも……な。
(136)2005/09/21 02:36:17
書生 ハーヴェイは、冒険家 ナサニエルから、神楽に視線を移し見送った。
2005/09/21 02:36:40
冒険家 ナサニエル
…芭詠殿か…どこの物好きの公達かは存ぜぬが、
月を愛でるには少々物騒ではありませぬか。

か、神楽殿!待たれよ!どちらへ参られるか…!
まだ話は終わっておらぬというのに!

[仁影は、芭詠と神楽の背を見比べて逡巡してから、芭詠に目礼し、神楽の後を*追った*]
(137)2005/09/21 02:37:04
書生 ハーヴェイ
気にしなくても良い、俺が居なくなって困るものは居ないよ。

それより、そなたの姫君に逃げられぬようにな。
(138)2005/09/21 02:40:39
書生 ハーヴェイ
さて……もう暫くあの月でも眺めながら河原にでも……。
(139)2005/09/21 02:42:04
書生 ハーヴェイは、一条戻り橋を渡りきり、川に沿って上流へと*歩いていった*。
2005/09/21 02:42:40
書生 ハーヴェイ
oO(はて……名を聞くのを忘れていたな。女の方はあの若人が神楽と呼んでいたが……まぁ、縁在ればまた会う事になるだろう……がな)
(140)2005/09/21 02:46:00
修道女 ステラが参加しました。
修道女 ステラ
[一条戻り橋の東の袂…そこには年経た柳が植わっていた。
その枝が、折からの風に僅かに揺れ、いつ架けられたのかすらも解らない橋に、
幾筋もの影を落としている。

そして、その場所には、いつ姿を現したのであろうか…
一人の比丘尼が安倍清明邸の方(かた)を
懐かしげな瞳(め)で眺めながら、音もなく立っていた]

清明さま…お懐かしゅうございますな…
身罷られし後も…まだ、そのお力はご健在であらせられる…
私を、枯れぬ花と…そう呼ばれたあなたさま…
あなたさまの面影にお逢いできるかと、今宵はこうしてここまで参りました。

[そう呟いて微笑み、ふと、橋の方を見やる]

…わたくしが、あなたさまにお逢いしたのは、何時のことでございましょう…
椿を植え、丹生(にう)という名を追いながら諸国を回るうち…
お噂を…幾度も、耳にすることができました…
そして、あなたさまがこの世を去られ…
私が近江へと戻りしころ…この橋に、女童の鬼が…と、風の便りに。

生前、あなたさまが…封じし鬼…
それらが呪を解きてこの都に……と。
…そのようなことは、けっして…
けっしてあってはならぬこと。

…それがまことか、この目でたしかめとうございます。

[僅かに欠けた月灯りの下(もと)…
橋の上から、微かに、女童の声で童唄が聞こえる…]

…ああ…今宵も唄が………
そして、この橋の向うは…
あなたさまの封じし幽冥の世界…

私も、参ります…清明さま…

[決意に満ちた、しかし静かな声で告げると、
比丘尼は一条戻り橋へと足を踏み入れた]
(141)2005/09/21 03:04:24
お嬢様 ヘンリエッタ
[―――陽が昇る。
紅姫は冷たく冷えた畳の上で眠りから覚めた。]

もう、朝…ですか。
眠ったせいか、体が少し癒された気がします。

威日呼様はまだ眠ってらっしゃるようですね。
(142)2005/09/21 06:47:17
お嬢様 ヘンリエッタ
[紅姫は、昨晩橋を渡れなかった事を思い出していた。村に…何か黒い怨のようなもので引き戻される、そんな感じを受けていた。]

私、此の村に閉じ込められてしまったのですの…?

あの屋敷に戻れない事など、どうでもいいのです。戻れば、再び厳しい教え…そして、望まないあの方との結婚。
あの屋敷の中に、私の自由などありませんから。

[紅姫は幾分か悲しい表情でぽつりぽつりと言葉を口にした。]
(143)2005/09/21 07:10:12
お嬢様 ヘンリエッタ
[堂を出ると、強い陽の光を直接肌に受け、紅姫は瞳を軽く細めた。]

あの屋敷では、このように陽の光を受ける事など許されません。陽の光がこんなに温かいとは知りませんでしたわ。

しかし、あの子は何処に居られるのでしょう。
私はあの子と友になる事はできませんの…?

夢の中で、あの子は何故私を傷つけようとしたのでしょうか。

[紅姫は庭の真ん中にある池の淵に座り込むと、池を眺めながら*自問自答していた。*]
(144)2005/09/21 07:22:23
農夫 グレンが参加しました。
農夫 グレン
【一条戻り橋】

男が橋の前に佇んでいた…、この男に名前はない、あえて言うならば名前がない事からついた名無という通称が名前であろうか…?

名無は荘園で働いていたが貴族の傲慢によってその職を失い生きていくすべを失った…、名無は貴族が全てを決める世の中に絶望し死を選ぼうとするが、その時一条橋の噂を聞き、とある事を思いつく…。

そして今、名無は一条橋の前に立っている、ある目的を果たす為に…。

「よし、いくか…」

自分に言い聞かせるようにそう呟くと名無は橋の向こうへと足を進めていった…。
(145)2005/09/21 09:07:12
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