人狼審問

−両の果物ナイフがガキンと嫌に甲高く耳障りな音を立てて割れた−

（くっ・・・！！）

−喉元に向かってくる刃を、振り下ろしたナイフで受け止める。
無理な力、そして大きな力が働いたナイフは砕けちった−

−『スカーレット』は床に倒れたまま、両手をあげた−

叔父様…アタシの負けだわ。
もうこれ以上は叔父様に顔向け出来ないの。

(あの冷たく痛んだろう叔父様からの斬撃を、ナイフで受けいれられないなんて、アタシは自分が許せないわ。)

−砕けたナイフを見、笑い出した−

いやー、まさかこんなに腕を上げてるとは思わなかったぞ・・・
それとも、オレの腕がなまったのか・・・

何、気にするな・・・ナイフが同時に砕けた時点で引き分けだ。

（こりゃ・・・本来の得物を使う時の戦闘が楽しみだ・・・
スカーレットがココにいると言うことは、見る機会があるって事だろうしな・・・）

−口元をつり上げながら、砕けた破片を拾った−

−パっと立ち上がると裾を払った−

(これが叔父様の得意な獲物だったら、やられていたかもね)

−ふぅと息をつくと、カラカラケラケラと笑い始めた。まるで普通の人間が楽しいお芝居を見た時のように−

ええ、そういう”ルール”でしたわね。
もし、本来の叔父様の獲物と交える機会があれば――楽しみだわ。

−本当に楽しそうに微笑んだ−

ぁぁ、機会があると良いのだがな・・・楽しみにしているぞ。
今日は久しぶりに良い戦いをした・・・今夜は気分よく眠れそうだ・・・

−そう言うと、壁を背に座り、顔を俯かせた−

―２人の”死闘”が終わってセシリアは会議室を後にする―
互角…か。
これは面白い事になりそうですね…。

−クスリと笑みを溢すと−

(ええ、叔父様。
　その時は近いわ……)

きっと、その機会はありますわ。
おやすみなさいませ…叔父様。

−優雅に一礼して踵を返した−

先ほど犬の一人がこんなディスクを置いていったんだがな。

http://whitecrow07.hp.infoseek.co.jp/

―ドールから一通の手紙を受け取り、セシリアは差出人の名前を見て硬直した…―

バランサー…からですって？
…明日の０：３０まで様子を見て再び指示を出すって書いてあるわね。

―眼鏡を整え直して、個室へと向かっていった―
タイムリミットが明確になったわね。
早く来てね。待っているわ。

首の後ろがむず痒い。
狩りの季節は近い…という事か。

狩られるは猟犬か
このビルの者か

または…貴公らか。
(御前が視た「血よりもなお濃い緋色」とは何を意味するのだ…)

―セシリアは目立つところにバランサーからのメールを貼り付け、個室へと戻った―

明日には結末が分かるって事ね。
興味のある方がふらりとやってきたらいいなぁって夢を見て明日を迎えたいわね。

―ライトを消し、セシリアはベッドに潜り眠りへとついた―

―なるほど･･･一筋縄ではいかない連中ばかりというわけか･･･―

部屋の隅で熟睡していた彼は目を覚ました･･･しかし･･･だれにも気づかれないように再びまぶたを閉じ、注意深く、うっすらとまぶたを持ち上げる･･･

絵の入ってない木枠にもたれかかるように寝ていたため、大げさに動かないかぎりは周りを観察するには丁度良い態勢だった。
事実、私が目を覚ましたことに気づいたものは皆無であろう。
しかし、眠気も吹っ飛ぶようなものを見せてもらったよ、ぞっとするね･･･あんなのを相手にはしたくないものだ･･･
私の『目』をもってしてもすべて観察しきれたかどうか･･･

世界は広い･･･私は蚊帳の外から見守らせてもらうよ･･･

―彼は再び誰にも気づかれることなく眠りについた･･･―

−『ニコラス』が何時の間にか窓際に立ち、地を見下ろしている−

ディスクですか…ふむ。

（犬か…。『アンダルシアの犬』がここに来てくれれば、ティンダロスの犬共など一蹴してしまえるのだろうが。…奴は『ティンダロス』を嫌い、憎んでいる。)

■通り名：牧師
殺し屋でなく、隠すつもりもないので基本はルーサーと名前が普通に出ている。会話では「あの」牧師が、などと流されるよう。

■殺し方：基本自衛のためなので得物にはこだわらない。
刃物、拳銃がスタンダード。

■その他：職業としても大変熱心な牧師であり故に自殺を悪と取るキリスト教を拡大解釈しすぎて今に至る。
基本自分の生を終わらそうと対峙するものを退けていっているだけなのだが、どこか抜けているらしくブレーキがきかない。
というか本人には殺す気はない。（自分が殺されないように利き手吹っ飛ばして未必の故意で放置したりすることはあっても、殺人は禁忌なので）

■背景：協会に入った強盗を撃退したのが最初だとか何とか。今では話が広がって名を上げるためや興味本位で襲ってくる輩も相手にしているため、警察にも追われる立場。殺意をむけてくる相手が敵、ということで潰しているのが堅気とは言えない人たちなので、自身の職業柄もあって一部の人たちには、教祖としてあがめられている宗教団体のようなものがある。（ルーサー自身は関与してない）

■性格：温厚。普段は普通の人の言い敬虔な牧師。
殺人も自殺悪の拡大解釈としてのものなので、本気で相手が自分を殺そうとしているとわかるまでは普通の人と同じ対応をします。

■何故呼ばれたのか：
用件を知らされずに呼ばれた。

(ずいぶん眠ってしまったようだ。私としたことが祈りもささげる前に…)

(人が、少し顔ぶれが変わった？　私を呼んだアーヴァインさんはこの中にいるのだろうか。
皆が起きたらまた聞いてみないと…)

−『ニコラス』は牧師へ目をやった−

こんばんわ。
よく眠っていたようですね、”牧師”様。

-ルーサーは少女に目をやって微笑んだ-
こんばんわお嬢さん。

あまり夜更かしは感心しませんよ。
あなたのようなお嬢さんが、こんなビルに何のようなのでしょう、ご両親がご一緒ですか？

お嬢さん…か。

−苦笑して『ニコラス』は友好的に手を差し伸べた。−

僕は『ニコラス＝ヘルハウンド』
親しい者はニックと呼びます。
貴方の事はお噂に聞いていますよ、ルーサー。
とても興味深いお方とね。

-『ニコラス』と目線を合わせるようにかがみこみ、その手を握った-
ああ、ではニック。はじめまして。
…と、あなたは私の名前を知っているようですね。礼拝ででもお会いしたかな。あいにく私は人を覚えるのが得意ではなくて。

-ルーサーは苦笑した-

−鵺は胡坐をかき目を瞑っている−

−かぶりをふって−
(なるほど。本当に噂通りか。)

いえ、噂ですから。貴方とは初めて出会います。
牧師様こそ……どうしてこのような所へ？
お話して貰えますか？

-ルーサーは軽く眉をひそめて苦笑する-

噂？　私に関する噂が流れているのですか。それは光栄なことですね。
ここに来たのは、この企業のアーヴァインさんという方から連絡があったからなのですが、実は私もなぜ呼ばれたのかよくわからなくてですね。
帰ったほうがいいといってくださる方もいるんだが、内容も聞かずに帰るわけにも行かないし、肝心のアーヴァインさんには会えないし。

ニックはなぜここへ？君は何かいろいろ知っているような口ぶりだね？

ええ、神父様は人を殺されるという噂です。犯罪者に裁きを下す神の遣い、神の代行者として敬われているとも。

僕は『招待状』で招かれました。
パーティーでも催されるのでしょうね。

人を、殺す…？
とんでもない！「殺してはならない」は大いなる神の言葉ですよ。たとえ犯罪者といえども、みだりに人の命など終わらせていいという理屈はありません。
まして私は代行者などと。畏れ多い。
-ルーサーは十字を切った-

招待状…？
パーティ、君は似合いそうですね。
もしかしたら結婚式でもあるんでしょうかね。私が呼ばれた理由は。
-ルーサーは微笑した-

まぶたが重そうですね、ニック。
ああ、ずいぶん話し込んでしまった。もう眠る時間もとっくに過ぎている。日が昇るとともに働き日が沈むにあわせて眠りにつく生活、はなかなかできませんね。おやすみなさい？

そうですか、神父様。
ただ、警察にも追われていると聞いた事もありますが、違いますよね？

貴方が呼ばれた理由は僕には分かりませんが…、パーティーに必要な人間でないなら、そして貴方が僕の予想通りの人間でないなら追い出されている筈でしょうね。それだけは確かですよ。

そうですね、今日は眠るとしよう。
ルーサー、後程話す機会を楽しみにしていますよ。

(ふふ…逸材かもしれないな。無意識領域下での行動と表層の剥離。機能としては同様でもあるが……)

−一礼して自室へと下がる事にした。−

…血の匂いをさせて神を説くか。
そういえばお主らの神は贄を強いる過酷な契約の神であったな。

―セシリアはうんと背伸びをすると、ドールを呼んで何かを持たせた―
おはよう…。ちょっとお願いがあるの。
…『スカーレット』と名乗っているあの子の所にこの飴を渡してあげて欲しいわ。

これを舐めれば少しは疲労が取れるはず…。
毒は入れていませんよ、確認していただいて結構ですわ。
―ドールを見送ると、ノートパソコンを立ち上げた―

（昨日は大変興奮させていただきましたからね…
そのお礼ですよ。）

「あー、遅れた遅れた。悪かったね。」

そうは言うものの悪びれた様子もなく、そこに座ることが当たり前のように、椅子に座る。

「へー、１、２、３…ここにいるのが全員じゃないんだろ。この建物全体？、で言うと数が合わなそうだな。」

まぁいいか、と一人納得したように頷き、ポケットからタバコを取り出した。