人狼審問

・・・・・・何があったんですか？

大丈夫ですよ、僕は貴方の味方です。
詳しく話を聞かせてください。

…遺体は五体満足ですらなく、棺さえない。
この状況で墓地まで運ぶのは不可能ですよ。
さて、残った体だけでも埋めて差し上げよう…
［納屋と墓穴らしきものとの間を往復している］

･･･ごめん。ギルバートさん。
あなたは、人間なのに、人狼疑惑とは別の理由でここに連れてこられたんだ･･･。
メイの早とちりだった見たい。いろんなことがあって･･･上手く考えられなかったよ。ごめんね。
[メイはギルバートに謝ると便箋を返した。]

ん？メイ。どうしたんだい？

い……いや……思い出したくありませんわ……。
[ステラはいやいやをするように首を振った。
目からあふれ出す涙と、僅かに震える唇で、必死に喋ろうとした。]
……アーヴァインさんが、殺害されましたの……。
人狼、によって……。

[ステラは震えながら、さっきテレビで見たアーヴァインのこと、「人間と人狼との生き残りを賭けたゲーム」のことを言葉少なに伝えた。]

いや、ちょっとやなこと考えちまったんだ。

この人狼プロジェクトってのはさ、さっきあんたが言ってた「疑心暗鬼に陥って殺しあう人間」を作り出すための演出なんじゃねぇかな、ってさ。

人狼なんて単なる動機付けで、本当はそんなのいなくてさ。誰かが高みから殺し合いの光景を楽しそうに見物してんだ。

……何か、政府に都合の悪い事をなさって、ここに送り込まれてしまったのかと思っただけですのに、そう言ったお答えなのですね。それならば、政府の意図を知る何かしらの情報になるかと。
元軍人ならばなぜ、今は……聖職者に？

[シャーロットは、三人の出て行った集会所の扉の方を見ながら呟いた。]

ヴィンセント先生は何かしら、衝突の心当たりはありませんか？　私は……、私が前回プログラムの参加者であるという事を知っているお医者さまの紹介で、先生を訪ねてきたのです……。
勿論、紹介自体がただの罠だったのかもしれませんが。

[考え込んでいたマンジローの耳に、場にそぐわない軽快な音楽が聞こえてきた。反射的にテレビの方を振り向くと、若い女性がにこやかに原稿を読み上げる姿が映った]

そろそろ冷え込んできます。何があるかは知りませんが、集会場に戻りましょう。

どんな事があっても、貴方の傍にいます。
何も心配する必要ありませんよ。

［墓穴に土をかけていった］

周囲には誰もいないようですね…
さて、ここまで来てもらった本題に入りますか。
単刀直入に言いましょう。生き残るために協力しませんか？
こういう話を出来そうな人がお二人以外見当たらなかったもので、ね。

クインジー、残念ながら人狼は実在しますよ。
アーヴァインの死因を人の手で捏造するのは手間ばかりかかって得る所がありません。
仮想の存在をでっち上げて争わせるなら姿を隠すだけで十分ですから、ね。

人を疑って･･･殺さないといけないなんて。
しかも、ギルバートさんをメイは疑ってた。
もう、無意識で疑心暗鬼なのかも。メイは自分が嫌になりそう。
･･･ラッセル、ごめんね。ちょっとだけ胸を貸して。

[流れ者 ギルバートは、不意に顔を上げた。]

ところで、その手紙の一部は俺が破いて持っている。そこには、この中にいる一人の名前が書いてあった。

その名を皆に言うかどうか、迷っているんだ。

もし言うと、その者は俺と同じく真っ先に人狼に襲撃されるだろう。純粋な人間なんて、人狼にとってはゲームの邪魔でしかないもんな。

でも、俺はその者の名を明かし、協力を依頼したいと思っている。何せ、確実に人狼ではないと分かっている唯一の人間だからな。

みんなはその名を明かした方がいいと思う？

！？
マンジローさん。音量を上げてもらってもよろしいですか？

ふん、なるほどね…

牧師さんは、人狼を信じてるんだろう? それなのに、人間だかどうだか分からないあたしやクインジーと協力しようってのかい? それとも、なにか… あたしらが人間だって理由でも見付けたのかい?

メイ･･･。
大丈夫だ。きっと。
なんとかしてみせるさ。

『みなさん今晩は。もう、今日の処刑者は決まりましたか？
　人狼のあなた…頑張って殺されないようにしてくださいね。殺される前に殺す…それを忘れずに。
　人間のあなた…生き残りたいですか？それならば、あなた以外の人を殺してしまいましょう。人狼らしい人はいませんか？気に食わない人でもかまいませんよ？殺してしまいたいほどに愛しい人はどう？
　大丈夫、あなたが生き残りさえすれば、輝かしい未来がそこに待っています。
　さあ、あなたが生き残る為の今夜の犠牲者は誰かしら？』

[ミッキーは、ギルバートの話を聞いた後に、静かに、耳を押さえて震えている。]

フ、フザけるな･･･。あ、アンタの親がこのプロジェクトの事を知っていて、アンタを殺す為にこの島に送り出した･･･ッ？
フザけるな、フザけるな、フザけるな･･･ッ。

[ミッキーの頭の中に、クズが、役立たずが、と父親に言われた記憶が蘇る。･･･そして、幼い頃に家によく遊びに来ていた子供が「俺もお前の親父と同じで俺の事を嫌っててなぁ。」と笑っていた気さくな従兄の姿がボヤけるように写り、過去に会ったその従兄がギルバートであると気がつくと共に自分が何故この場所に居るのか、全てを悟った。]

アンタが･･･アンタの親が、このプロジェクトの事を知っていたのか！？

それなら、なんで僕が、ここに、きた、か･･･理由は、その理由は、僕は、アンタの親父がこんなイカれたプロジェクトに関与していたせいで、パパが、兄貴が、僕をココに送ったんじゃないか！？

アンタの、アンタのせいだ･･･ッ。僕が、こんな島に来たのは、アンタのせいだ！

[ミッキーはギルバートに向かって叫び終わると、椅子に沈み込むように座って床を睨むように、何度も何度も、誰に言うとでもなく、アンタのせいだ、と繰り返した。]

ああ、単なる妄想って奴だ。俺でも、あの死体見せられたら人狼ってのがいると思うしかなかったよ。

カミーラとは最初から協力しようと思ってたから問題ねぇ。
あんたとは煙草の恩もあるしな。とりあえずは協力するよ。
しかし、なんかのはずみであんたが人狼だと分かれば当然容赦はしねぇ。

私は、無医村への派遣を志願して、一月前にここに来ました。君たちより随分はやく選別されていたということでしょうか……。
私を紹介した医者というのは、誰ですか？私は君に、何の治療をすることになっているんでしょうか？誰からも、何の連絡も受けていませんが……。

[ステラはハーヴェイの手を握り締めた。]
信じて……いますわ。
たとえ、他のものを全て信じることが出来なくなっても。
[集会所へ向かって歩き出した。]

[メイを抱きしめながら]
ギルバートさん。一体、何の話ですか？

[メイから話の流れを聞いた]
･･･ギルバートさん。
あなたが本当にその人の事を大事に思うのなら･･･。
時が来るまで打ち明けない方が良いのではないでしょうか。

この場合、あなた達が人狼でも人間でもかまわないのですよ。
昼間、ＴＶで放送があった内容を思い出して下さい。
我々は誰かを合議で決定した一人を処刑しなければいけません。
一人で行動し、不意を突かれれば抵抗できずに処刑対象になりかねません。
つまりそれを回避する為の提案です。
逆に３人で行動できるなら、こちらから身を守るために攻撃もできる、と言うことですよ。
我々の中に人狼が混じっていた場合はそれがわかった段階でその人を殺せばいいわけです。

また、なにやら大騒ぎか……。
テレビは相変わらず悪趣味なことを言っている、と。

ふぅ……。

『処刑の方法は、あなた次第よ。

　首を締めるのはどうかしら？
　全員で殴りつけるのも素敵ね？
　刃物で刺す？
　崖から突き落とす？

　考えるだけでもワクワクするわ。あなたもそう思わない？

　さぁ、もう心は決まったわね？
　そう、その人を殺すのよ…殺すのよ…殺すのよ…』

[若い女性の映像が、にこやかな笑顔のままフェイドアウトしていく…]

[シャーロットは、テレビアナウンスの異様さと点滅する光に眉をしかめながら、ヴィンセントにすばやく返答をした。]

先生の名前は、モーガンさんと言います。
もう随分お年の方で、ヴィンセントさんの医学生の頃をよくご存知だとか。……ただ、モーガン先生の事を思うと、罠のためだけに貴方を紹介させたようには思えなくて……。

でも、今はそれどころではありませんね。

[すっかりとブラックアウトしたテレビの画面に、くっきりと白い文字が浮かび上がる]

『朝までに処刑が終らない場合、全ての者が処分される事を心に銘記せよ。』

ふざけるなっ！！
一体誰が、それを決められるんだ！！
[怒りに震えて、顔が紅潮している]

ミッキーすまない。実は俺も君の事を覚えていなかったんだ。

さっきの質問だが、もう必要なくなったようだな。

[と言って、ポケットから紙切れを取り出す。
そこには【ミッキー】と書かれていた。]

ミッキー、俺と君は確実に人狼ではない。二人で協力して、奴らから身を守ろう。

納得していただけて幸いです。
さて、お二人は武器は何をお持ちで？
私はこれです。
［コートの中から拳銃を取り出す］

くっ･･･
大事な人を守る為に、誰かを殺せという事なのかっ！！

悪劣な事をっ！

そして、誰かを殺さならければならないか…

残酷な話だが、生き残るためには仕方ないようだ。俺は今日、誰かを殺す。
無抵抗に人狼に食われるのはまっぴらだ。せめて、セシリアだけでも守る。

[セシリアは表情を読もうとするかのように、ギルバートの目を見つめた]

ギルバートさん？
貴方は…そしてミッキーさんも、人狼には変化しないと言うのですか？
つまり人狼プロジェクとに、直接関係はしていなかったと？

[シャーロットは、怒りに顔を紅潮させているラッセルをまぶしそうな目で見つめた。]

……守りたいと思える方を、大事にしてくださいね。
そして、最後まで信じてあげて……。

[その言葉の語尾は震えていて、無理矢理うかべた笑みは悲しげなものだった。]

純粋人間･･･。
ギルバートさん。ミッキーさん。
それは、信じてもいいという事なのですか？

[カミーラは、ルーサーの言葉に体を強張らせた。]

あ、あぁ、武器ね、武器は… このナイフだけだよ。

ミッキーさん？

[マンジローは苦々しげに呟いた]

…朝までに…か。くそっ！

ああラッセル。君達がこの手紙を本物だと信じてくれるのなら、俺達は純粋な人間だという事だ。

モーガン！モーガン！

[ヴィンセントは突然、爆発した様に笑いだした。]

ならば、選別は慎重に行われているわけだ。あなたは騙された。私も、はめられたんだ。この実験は、恐らく何かに使えるのでしょう。研究を捨てて、利用価値のなくなった私の使い道としては、上々です……。
申し訳ないが、私には納得がいきました。お嬢さん、残念ながら、あなたは罠にはめられた様だ。
モーガン教授が、患者のために何かをするなんて、考えられませんからね。

ミッキーとギルバートさんが･･･今回との直接の関わりが無い･･･人間ってことだよね･･･。
信じていいのかな･･･。
色々ありすぎて頭がぐるぐる回って上手く考えは纏まらないけど、信じていいんだよね？
[メイはギルバートとミッキーをすがるような目で見ている。]

･･･僕は、人狼なんかじゃ、ない・・。

･･･クソッ。僕は、パパに、捨てられたんだ・・。

[ミッキーは椅子に座ったまま、テレビから流れる内容を聞き、ボソボソと呟き続ける。]

･･･殺してやる。人狼を全て殺して、この島から出てパパを、殺してやる･･･！
そう、誰かを、人狼を、処刑するんだ・・・。
誰が人狼だ？誰が人狼だ？･･･誰が、人狼だ？

[ミッキーは椅子に座ったまま、何度も何度も呟き続けた。]

…とりあえず、外に出てる者が戻るのを待とう。
寝室にいる者にも集まってもらった方がいいだろう。

…話はそれからだ。

とりあえず、この三人で協力することには賛成だよ。一匹狼を気取っても意味ないからね。

…ところで、そろそろ集会場に戻らないか?

なるほど、わかりました。
私の力が及ぶ限り、お二人を守りましょう。
あと、私が殺された時は誰かに取られる前にどちらかがこれを持っていってください。
ではそろそろ戻りましょうか…
あまり時間をかけすぎるのもマズイでしょう。

いや、使えそうな武器を持ってる奴らが他にも何人かいた。
残酷な話だが、そいつらが死んだときに奪ってやろう。
逆に、死んだ奴の武器が他に渡っちまったら、危険だな。

[流れ者 ギルバートは、皆から次々と発せられる質問に辟易したようだ。]

もういいだろう。俺達二人は殺さなくてもいいってこった。他で誰を殺すべきか考えるべきだろ？

………どこまでも、モルモットなのでしょうか、私たちは。

[シャーロットは、現実に耐えきれず、ぎゅっと目を閉じた。]

[ウェンディは、寝室からホールの様子を窺っている]

ギルバートさんとミッキーさんは絶対に人間？
……あまり信用できないとは思うけど、でも、この状況で嘘をついても疑われるだけだよね。
ミッキーさんの反応も、演技とは思えない……。

ギルバートとミッキーには因縁があるようだな。
それが人狼でないことの証明にはならんが。

「どちらかが殺されれば」信憑性は上がるか……。

誰を殺すか･･･？
くっ･･･。

[テレビ画面をしばらく見て、周りの様子を2、3分眺めていた]
なるほど、今日誰を殺すか話し合ってる真っ最中ってわけか。

年齢の離れた者、不良、優等生風、聖職者、双子、東洋人……。モルモットの毛色もきちんと揃っているわけだ。
皆、それぞれ何かを考えて行動を開始しているだろうし、人狼として目覚めた者も居るとするなら、人狼の立場で、何らかの手を打つんだろうね……。
処刑か……。

[カミーラは、テレビに繰り返し映る文字『朝までに処刑対象が決まらなければ…』を見て、深く溜息をついた。]

馬鹿げてるね、まったく。

ヘンリエッタ、余計な疑心暗鬼を植え付けようとしていないかい？
人狼ってのは高い知能を持っているのかな。見た目は子供でも人狼かもしれないか…

・・・・・・なるほど。ようやく事態は理解した。

認識を改めるべきだな。この物的証拠は否定しきれない。


人間の出来る所業ではない。それに、狂っている。

ギルバートが本当に人間ならば、お前は自ら人狼に狙われやすい立場に身を置いた。疑心暗鬼もクソもない。私は事実を指摘しただけだ。
フェンサーなら、その剣で人狼を殺してみせるんだな。

[ウェンディはテレビの画面を見つめている]

朝までに、誰かを殺さないといけないんだ……。

[流れ者 ギルバートは、ヘンリエッタの言葉に頬を紅潮させながら答えた。]

もちろんさ。この剣があれば人狼なんかには負けない！！

[剣を横一文字に振る。
すると、刀身の部分が柄からすっぽりと抜けて、部屋の反対側にいたヴィンセントをかすめ、奥の壁に突き刺さった。]

既にこの中の誰かが、人狼として変化したのは事実なんですよね？
あの死体の画像が作り物って事はないんですね？

昼間の放送では「人狼を全て処刑」って言ってたけど、それは…１人？２人？
人狼って何人いるの？

[カミーラはセシリアに向かって言った。]

死体は本物だよ。さっき埋葬してきたからね。酷いもんだった…

セシリア。
あの死体は･･･事実だった。ウェンディを探しに行った時に、村で見てしまったよ。
そして人狼はおそらく３人だ。
アーヴァインの死体の周辺には争った跡と･･･それらしき足跡だ。

壊れてるし…

これでどうやって闘えと？

[ウェンディはセシリアに向けて話しかけた]

あれは……作り物なんかじゃないよ。
私、実際に見たんだから……。

あんな風にだけは、殺されたくないよっ！！

[カミーラはラッセルに向かって言った。]

…3人、ね。随分と具体的じゃないか。私も死体や足跡は見たけど、人狼が何匹いるかなんて分からなかったよ?

メイも･･･あれを見ちゃった。
まだ気持ちが悪いよ･･･。
ウェンディちゃんはあれを見つけてしまって気絶してたみたい。

[マンジローは、暫く考え込んでいたが、組んでいた腕を解くと、ラッセルに語りかけた。]

…その…アーヴァイン殿の遺体だが、どんな様子だった？
つまり…いつ頃殺されたのか…分かるか？

…３人もですかっ？！

その３人全てを殺せと？
人狼には…私たちの武器は通用するんでしょうか…。

随分な、なまくらを掴まされたもんだね。

[ヴィンセントは、壁に突き刺さった刀身を眺めて、かぶりを振った。]

牧師さんは、処刑人におあつらえ向きの様じゃないか。牧師さん自身が処刑の対象になったり、殺されたりしない限りは、汚れ役をお願いしてもいいんじゃないか？無論、この上の殺生を望まないというなら、ハナシは別だが……。

[クインジーは、しばらく場を眺めていた。そして、]

このまま話し合ってても決まりそうにないな。
どうだ？ お互い「誰を殺したいか」を言い合うってのは。名が挙がった数が一番多かった奴を処刑だ。

先ほど埋葬してきた時に軽く調べましたがラッセルの見解に同意します。
ギルバートとミッキーが人間である、この前提だと残り１５人の中に３人の人狼が存在する、ということになりますね。

ウェンディさんが、アーヴァインさんの死体を発見されたのですか。それでずっと、テレビの前であの調子で……。

言われてみれば、確かに。
足跡だけで数が判るのでしょうか…？

殺されたのは、おそらく昨夜から今朝にかけて。
地面には争った跡が見られた。
詳しく見てはいないけど、大小異なる足跡があった。
数からして４人分。
一つは･･･アーヴァインのものだったと思う。引き算だ。

よく、三人だと言い切れるものだな。
人狼が全員出てきたとは限らんというのにな。

言われるかもしれないとは思ってましたがヴィンセントから言われるとはね…。
誰もそれを望まないのであれば確かに私の役目でしょうね。

3人･･･？
そんなに居るの？

ヘンリエッタ。
あの惨状に人間も加わっているのなら、言い直そう。
多くて３人。と。
そうでないなら、全部で３人と僕は考えている。

[ミッキーは話を聞いていてオカしな点に気がつき、顔を上げた。]

オ、オカしいじゃないか･･。3人分の足跡があったとしてもその場に居ない4人目がいるかもしれないんじゃないか？

・・・・・・何やら疑問を感じるな。
まず、何故皆ギルやミッキーを人狼ではないと言い切れる？
この二人が口裏を合わせているという疑問は浮かばないのか？信じる信じないは別にして。

あと、何人かよく分からないが、我々にとって不確定情報である内容にも関わらず、過剰な情報所持があるようだ。

クインジーの言う通りだね。このまま話を続けても、誰を殺すか決まりそうにないよ。

…どうする? みんなで罵り合いでもするかい?

[カミーラは冷めた笑いを浮かべると、ポケットからナイフを取り出して弄びはじめた。]

言い直すのか、ラッセル。
ならば、私はお前を疑おう。

……アーヴァインさんを襲ったのが、ラッセルさんとルーサーさんの言うとおり３人だとしても、実際にはそれ以上居るかもしれない……そういうことだよね。

[マンジローは暫く逡巡していたが、意を決して話し始めた。]

…昨夜も俺は、このホールで仮眠をとった。
窓から出入りするなら別だが、ドアから人の出入りがあればすぐに分かる。

昨夜から今朝にかけて、外に出たのは３人だ。

ハーヴェイ、ヘンリエッタ、トビー…は、いないのか。
君たちが外に何をしに行ったのか、教えてほしい。

人狼本人ならば、より多くの情報を知っているはず、か…

その場に居ない４人目･･･か。
すると惨状の場所に居た者は、人狼の仲間ということになるのかな？

意外ですか？
[ヴィンセントは、牧師にキャンディーの缶を差し出した。]
子供に処刑人の役割をさせるよりはマシでしょう。元兵士ならなおさらです。
ああ……。あたなは軍と教団、少なくとも二つ以上の組織を経験してここに来ている……。軍歴や教団について聞いても、私には何もわかりませんが……。それはそれで興味深い……。
[ヴィンセントは口の中に持っていたキャンディーを噛み砕いた。]

[ヘンリエッタに向き直って]

…そして、ヘンリエッタ。
君は夜の間中、戻ってくることはなかったな。

どこで何をしていた？

結託して人間を襲ったってことは、人狼にとっちゃ仲間が誰か分かってるはずだろう? 仲間の人数もね。

昨日も言いましたが……、
人狼の身体能力は、月の出ている間に飛躍的に向上するようです。
月が昇り切るまでは、私たち人間と同じ…だと。ので、アーヴァインさんが昨夜から今朝にかけて…殺されたとしたら、それには納得出来るものがあります。……前回もそうでしたから。

ん、僕を疑うのかマンジロー。
僕は昨日トビーと楽しい会話をしていたのだがな。
その後、宿舎に戻っている。トビーは見ている筈だ。
今トビーがいないのが残念だが。

まさか、宿舎で寝ていた事すら疑うのかい？
それは酷いな。

ふ……。ははは。
そこの東洋人とラッセルの言葉を信じるならば、私とハーヴェイ、トビーを処刑すれば終わることになるな。笑える話だよ。

私がどこで何をしていたか？
マルケスと一緒に丘で寝ていたよ。
こんな空気の悪い場所に長居したくはないのでな。

惨状の場面に出くわして、複数の人狼に何かできるほど、強い人ばかりでもないと思うけれど…。

でもラッセルさんの言うような、そういう可能性もあるという事なんですね。

別の考え方もあるな。

人狼は自分の正体を隠すために、なるべく俺達との会話を避けているのかもしれない。

今日のトビーは存在感がないな。昨日は普通に会話していたのを考えると、怪しくないか？

[ハーヴェイに向き直って]

君とトビーが戻ってきたのは知っている。
それまでの間、君達が何をしていたのかは、君たち自身の言葉を信じるしかないが…

ただ、それならば、夜はお互いを監視しあえばよい……という話になるのですが、事実あの時もなったのですが…。

昨日話した姉妹はトイレに行く時さえ、常に一緒に行動していたのです。でも、……姉が人狼で、妹は姉が死ぬまでその事実に気がつきませんでした。

[シャーロットは、どうしようもなく沈み込んだ口調で……、マンジローの方を向いた。]

シャーロットの言うことが事実なら、人狼には催眠術の力でもあるのか、それとも妹がよほど抜けているのか……。前者だとするなら脅威だな。

ふっ、どうした？突然昨晩外出していた人間を人狼扱いか？

君達は本気で考えているのか？
そんな分かりやすい馬鹿が人狼だと？
僕なら、一人で寝室にいたと主張する人間の方がよっぽど怪しいと思うけどね。
アリバイなんてものがどこまで有効なのか、聞きたいな。

そう思わないか、ヘンリエッタ？

[リックはじっと右手を見つめ、昨夜の温もりを必死に思い出した。]

…ずっと…握っていた、はずだ。

信じられる方を……、探して欲しいのです。

[言葉をうまく選べないもどかしさを感じながら、シャーロットはそう付け加えた。]

マンジローさん、ハーヴェイさんを疑っているんですの……？
わたくし……眠れなくて、ハーヴェイさんに付き添っててもらっていましたの……。
トビーさんと外に出たのはいつか、わたくしは存じませんけど、トビーさんがいらっしゃれば、時間的にハーヴェイさんの疑惑は晴れますわ。

人狼が集会場に出入りしても、人間は気付かないって訳か… やっぱりお伽話だねぇ。

ふと思ったんだけどさ。シャーロット、人狼は、自分が人狼だってことを昼間も覚えているのかい? それとも、夜だけ人狼になっちまうのかい? 今はそれが知りたいかな。

アリバイか…
俺は、、、夕べはずっとセシリアと一緒にいた。

セシリアは人狼ではない。いや、例え人狼だったとしても、殺させない。

メイは･･･ラッセルとリック、ウェンディとトビーと一緒に寝てたよ！
でも、熟睡してて･･･起きたら昼だった。
メイ自身も、他の人も･･･証明できないよ。

現状では、人狼達にどんな能力があるのか、私達には判りませんね…。
確実にこの中に居るという話を聞いても、私には誰もが普通の人間と変わりなく見えます。

僕の話は、人狼が人間と同じ行動をした場合でしか考えてない。
人狼というものがそれ以上の存在なら、全て成り立たないさ。

なんだ？ 人狼ってのは分裂でもできるってのか？
どういう存在なんだよ。まったく。

[『わけわかんないよ！』
言いかけて、ギルバートのセシリアへの気持ちを察した。]

…オレにも分かる気持ち…だな、それ。

[ラッセルとメイをちらりと見る。]

[ミッキーはマンジローのほうへ向き、オドオドとしながら話した。]

ちょ、ちょっと待て・・。夜にどこかへ出かけたと言うのが、そこの妙な服を着たヤツしか居ないというところでオカしいじゃないか・・。
そ、ソイツが人狼なら仲間が誰だろうとソイツが見なかったと言うだけでアリバイになる・・。
つ、つまり誰かと会っていたと言っただけでも、口裏を合わせていたとすれば、誰も信用出来ないじゃないか･･･。
それに、人狼が複数いるなら完璧なアリバイがあったとしても、他の人狼が動いていたなら、意味がないじゃないか・・。

疑惑が晴れるのであれば、それが一番望ましい。
ならば、そうなるように努力してくれ。

極端な話、俺自身の潔白を証明する事も今は出来ない。

ホールにいた者も熟睡しているようだったし、先ほどのシャーロットの言葉の通りなら、アリバイ自体が無駄になるからな。

あぁ…人狼となった人が、玄関から出て行くとも限りませんよね…。

カミーラさんが言うように、昼間の事を覚えていると考えておいた方がいい気もします…。つまり昼間に私たちが相談する事は、人狼たちにも筒抜け…という事を踏まえた方がいいかと。

私は、お兄ちゃんたちと一緒に居たよ。
もし誰か居なくなったら、たぶん、解ると思うんだけど……。

そもそも、人狼を人間と同じようにとらえる発想こそが理解できないな。
未知の存在を過小評価するのは危険だ。

…このまま意見がまとまらずに時間切れで全員が死ぬ、という状況だけは避けたいですね。
やはり確定した情報がほとんどない、というのが痛いですね。
どうしたものでしょうか…

俺は、自分の知っている事を話した。
君達も、気付いた事、知っている事があったら教えてくれ。

誰かを殺さなければいけないのであれば…それは人狼だけであって欲しい。

[流れ者 ギルバートは、意を決して皆に向かって言った。]

なあ、こうやってみんなで疑い合っても、人狼の特徴が分からない現状では、いつまで経っても誰が人狼なのか分からないだろう。

人の命をこんな事で決めてしまうのはどうかと思うが、今日は多数決で犠牲になってもらう者を決めてはどうだろうか？

明日になればヒントが増えて、人狼が見つかるかもしれないし。

カミーラさん、それは…わかりません。
……思い返せば行動が非人間的だったような、そうでなかったような……。疑心暗鬼のまま正体もわからず殺された者もいましたし。

ただ、その姉妹の姉と、最後の人狼の２人。
あの時は人狼が２人いたのは確かです……。

でも、本当にトビーは何処にいったの？
……ここまで姿が見えないと、ギルバートさんの言うとおり、怪しく感じちゃうよ。

まあ……人狼がどういう奴かってのについては、まだ考える材料が少なすぎるな。
まだ、俺達の中では誰も殺されてねえんだ。

格好だけ見る分には、人間と人狼の区別は全然つかない訳だろ? 言いがかりで誰か殺しちまうって訳か…

[カミーラは、シャーロットに目を向けた。]

そっか。そうだね、あんたにはよく分からないはずのことだよね。…ありがと。

牧師さま……、全く同意ですわ。
それに……、わたくしも人狼がアリバイだけで見つかるとは思えませんの。
もし人狼が人間と同じ能力しか持たないのなら、相互監視で全て解決してしまいますわ。
これだけ大掛かりなことをする必要はないのではないでしょうか？

……ですけど。……「ゲーム」扱いされてる以上、気まぐれということも充分に考えられますわね……。

『朝までに処刑が終らない場合、全ての者が処分される事を心に銘記せよ。』

[シャーロットは、点滅を繰り返している白い文字に、憎しみを感じた。]

………。

[ウェンディは意を決したように、声を上げた]

誰かが言わないといけないと思うから、私から言うね……。

私、ヘンリエッタさんが怪しいと思う。
何でこんな状況なのにそんなに落ち着いてられるの？
全て知ってるから、落ち着いてられる……そんな風に見えるよ……。

落ち着いているから怪しい、か。
ウェンディ。お前が人狼で今の事態を全て知っていたとして、落ち着いていられるか？　いつ処刑されるかわからないのに？

私が落ち着いているのは、慌てても意味がないからだ。

いや、みんなの気持ちは分かるけど、やっぱり疑い合っても今日のところはキリがないよ。

悪いが仕切らせてもらう。今日は多数決でいきたい。
反対の者はいるか？

トビー！
寝てただけなのか･･･よかった･･･。

［トビーは、あたりのただならぬ雰囲気を感じ取って身を硬くしている］

……殺し合いの、ゲーム？

……テレビが流していた言葉。あれは、ほんとうだったの？

まあ、仕方ない。今日は君に従おうじゃないか。
結局処刑しなければ死ぬのは自分だ。もはやそれしかないな。

神でなく、書生の手にすがって不安をまぎらわせる修道女の方が、私には、ちぐはぐで怪しい様に見えますがね。

[一同の顔を見回して、ヴィンセントはソファーで横になった]

メイさん、ラッセルさん……ごめんなさい。

僕、昼からずっと、部屋にこもって一人で考え事をしてたんだ……そうしたら、いつのまにか、眠ってしまってた、みたい……。

やあトビー、やっと起きたのか。

まあ、そういう事らしい。

昨日も言ったはずだ。命は自分で拾うものだ。

特に反対はないようだな。では決定だ。

[と言って、懐に入れていたメモ用紙を取り出す。]

みんな、このメモ用紙に今日処刑したい人の名前を書いていってくれ。
書く順番は好きにしていい。

一番多く名前が書かれた者に犠牲になってもらう。同数の場合は俺が決定する。

金髪のお嬢ちゃん、そうかね？
俺ぁいろいろと悪い事をしたり、する奴を見てきたが、大体そういう奴は目立たず他の雰囲気に紛れようとするもんだ。

この中で言うと、セシリア・メイとかは結構怪しいもんだぜ。

[シャーロットは、ギルバートの事態に対する気遣いの感じられる提案に頷いた。]

「処刑したい」ってのは言い方が悪かったな。
「処刑する」にするべきだったかな。

[と言ってギルバートは、ここにいる者の人数を数え始めた。]

……。

［トビーは、書生 ハーヴェイを、ただ、じっと見つめている。］

[ミッキーは違和感を抱き、トビーのほうを振り向いてボソボソと呟いた。]

・・・寝ていた、だけ？

銃声が起きていたのに、寝ていた？
オカしいじゃないか・・。人狼が居ると聞かされて、そして何で寝ていられるんだ・・？

[ヴィンセントは、メモ用紙を受け取って思案げに見つめた]
処刑投票か……。はてさて。

同数の場合にギルバートが決定することには反対だ。
サイコロでも転がして決めればいいだろう。
その役は、牧師がふさわしいだろうな……。

……ところで、私は、ルーサーさんがやっぱり信じられませんし、多数決であれ、自ら誰かを選択し殺すことにかわりはありませんので、処刑人になっていただこうとは思いません。

手を汚さなくてはならない時は、私は私自身の手で……。

僕が今疑っているのは･･･お医者さんです。どこか超然としているように見受けられます。大人だからと言われてしまえばそれまでなのですが、牧師さんの方がまだ人間らしく見えます。

[ヘンリエッタに]

人狼の可能性が残る人に、そういう決定を委ねるのは何故でしょうか。
牧師さんの決定に、皆さんは納得できるのでしょうか？

[カミーラは、メモ用紙を見ながら呟いた。]

怪しいヤツに投票する、か。今んとこはどうせ誰が人狼だか分かりゃしないし… どうせなら、心おきなく殺せるヤツがいいね。

そう思うだろ、ハーヴェイ。

[カミーラは陰惨な笑いを浮べた。]

サイコロなら誰が振っても同じだろ？
なら俺が振るさ。手品師じゃないから安心してくれ。

セシリア？
ギルバートにも人狼である可能性は残っているが？
それに、牧師が全員の目の前でダイスを振れば何も問題あるまい？

[じっと、考えを巡らせている。]

サイコだ。クレイジーだ。
でも、…同意するオレも、狂ってきてるのか…？

明日までに誰かを処刑しないと全員殺される…
だから今、1人を処刑する…

それが…オレだった時。
いや…ウェンディだった時、オレはどうする？

[リックの瞳が、影を帯びた。]

ダイスを振るなら私ではないほうがいいと思いますがね。
自分から憎まれる役を買って出たギルバートにゆだねるのが正道だと思いますよ。

メイは･･･ウェンディちゃんと同じ理由で･･･お医者さんかハーヴェイさんを疑ってるよ。
ヘンリエッタさんも落ち着いてるんだけど、メイの料理をつき返したときとか、今日の発言１つ１つが･･･存在感があって目立つんだよね。
メイは･･･ハーヴェイさんに入れるよ。

わたくしは……ウェンディさんに、いれますわ。
……この状況で、いきなり……疑惑をぶつけられるだなんて……、少し信じられませんの……

［状況を見ていたトビーが小さく呟いた。］

……僕は、ギルバートさんがダイスを振れば、良い。そう思うんだ。

……だって、ギルバートさんは、人間だと思うから。


理由は、言えないけれど。

なるほど…でもそれならば、ギルバートさんの言うように、誰が振っても同じという事ですよね。

ふん、つまらん話だなカミーラ。

君は何か勘違いしていないか？

俺を殺してもこの島からは出れない。
私念で命を落とす事になるぞ。

もし、お兄ちゃんが選ばれたら、私が守るよ。

たとえ、この場に居る全員を殺しちゃう事になっても……。

魂を込めたダイスには聖霊が宿ると言う。
ならば、少しでも神と聖霊の座に近い牧師の手に委ねたいだけだ。

本人が辞退するのならば栓も無いが。

ま、ハーヴェイの言うとおりだぜ、カミーラよ。
俺達は人狼を処刑しないとここから出られないんだ。

こいつが人狼に見えるってわけじゃあるまい。単なるヤク中だろ。

残るはトビーとヴィンセントだ。

[カミーラは、ハーヴェイを睨めつけてからニヤリと笑った。]

ふん… あんたが人狼でないなんて保証なんて、どこにもないだろう?

ふっ、お前達と話していると絶望する。

そんなにトビーを殺したいか？中々狂っているな。
つまり、自分より弱い存在なら殺しても平気なのか？

ならば勇気をもって俺に投票しなおしたらどうだ？
そうすれば俺が今日処刑されるだろうな。そして誰も悲しまない。さあ、入れなおしたまえ。

こんなのはナンセンスだ。

クインジー… あたしは「誰も人狼に見えない」んだよ。

ステラ、君は信じてくれた。嬉しいよ。
だが、今日誰かが死ななければ君が死ぬ。

ならば今日は僕が死のう。

[ハーヴェイの今までとは違う強い言葉に恐怖を覚えた。]

は、ハーヴェイさん……っ。
そんな言い方……、ハーヴェイさんらしくないですわ。

[リックは息を飲み、ウェンディを凝視した。]

オマエは絶対に、そんなことしちゃダメだ…

[目を閉じ、小さく首を振った。]

それに、遺言と思ってもらって構わないが。

カミーラ、どうやら君が人狼のようだね。


君はただ、体よく殺せる人間を探している。そうだろ？

人間の思考とは逸脱している。

残念だよ、君を追い詰められなくてね。

全く、絶望的な状況とは思えない程、牧歌的な光景だな……。

[ヴィンセントは眼鏡を外して本を顔の上に乗せ、体の力を抜いた。]

……ハーヴェイさんは、昨日の「ゲーム」という言葉で、何が起きるか分かった上で参加してきた『志願者』なのではないかと思っていましたが…。

何を考えてらっしゃるのですか？

諸君、私を殺すがいい。

だが、今晩誰かがカミーラに殺されるだろう。
それを覚悟して私を処刑したまえ。


人狼を処刑できず散る、残念だよ。

ハーヴェイ、なんでトビーを庇うんだ？
しかも、自分より弱い存在だから殺そうとしているって思い込み。おめぇらしくもねぇ。
それによ、ハーヴェイを殺したいと思ってる奴なんてそう多いわけじゃないだろう。
焦ってるんじゃねえか？

ハーヴェイ、あんた語るに墮ちたね。

誰を殺したって、殺されるヤツからすりゃ理不尽だろうよ。自分を殺そうって相手が人狼なら、ここにいるヤツはみんな人狼ってわけさ。馬鹿げてるね、まったく。

[ハーヴェイをじっと見つめて…]

俺は人狼がどういうモノなのかは知らない。
だが、人間とはどういう者なのかは知っているぞ。

君がした事は、人間にあるまじき事だ…

そろそろ頃合か。
トビーは恐れているようで、決められなかったみたいだな。そんなに震えなくていいよ。

5票　ハーヴェイ
3票　トビー
1票　ヘンリエッタ、ルーサー、ウェンディ、カミーラ、ラッセル、ヴィンセント、クインジー、ステラ

ハーヴェイの主張は主観的すぎるが、もしハーヴェイの経歴から彼に投票した者がいるなら、軽率ではあるだろうな。

焦る、か。そう言えば誰もがひるむと考えている君の単純な思考に感服するよ。

まあ、この二人に殺されないよう気をつけたまえ諸君。

[ミッキーは、ハーヴェイのほうをじっと見ながらボソボソと呟いた。]

僕は･･･生き延びたい。この状況で死にたいなんて言うヤツは、頭がイカれてるとしか思えない・・。

残念ながら、今日の処刑はハーヴェイに決まった。
すまないな。いや、謝って済む問題ではないな。

決まり…だな。
残る問題は「誰が」「どうやって処刑するか」
ではないかね。
何の指示も無い以上、誰かがやらなければならないことだ。
誰もやらない、と言うのであれば私がやろう。

[メイの隣で、ラッセルが険しい表情で成り行きを見つめていることに気付く。]

ラッセルさん…？

ハーヴェイさん……。
わたくし……っ。

[言葉をきると、ステラは走って集会所の外へ出た。]

ハーヴェイが最多票を得たか。
人狼が三人以上存在するなら、彼は人狼ではないだろうな。
それでも、処刑せざるを得ないのか……？

ふっ、まあこんなものか。

せいぜい生き残りたまえ。私は先に行くとしよう。

やるなら一思いに頼む。

…俺がやろう。

俺は、彼に積極的に票を投じた。
ならば…その事に、最後まで責任を持つ。

[カミーラはヘンリエッタの言葉を聞きとがめた。]

じゃあどうするんだい? 票の集まらなかったヤツをぶち殺すのかい?

では処刑はマンジローにお願いする。
見たくない者は部屋に戻った方がいい。

すまない、マンジロー。

ヘンリエッタ、多数決と言った以上は覆す事はできない。誰だって死にたくないから、不満の声が上がるだろう。

わかった、マンジロー、君の意思を尊重する。
私は立ち合わせてもらうよ。

…殺める事への、せめてもの償いだ。
一刀で…仕留めよう。

何か…言い残す事はないか？

眠るに眠れないな。
見た所、彼はある種の薬物の常用者だろう。彼自身が望むなら、愛用の薬の過剰摂取で良いんじゃないか？
彼に限っては、誰も手を汚すことはあるまい。

ふっ、君も案外つまらない男だったな。

あの二人に踊らされているのだとしたら、とんだ道化だ。

あの二人は既に人狼を探すのではなく、殺しやすい奴を探している。

君が人間なら、明日から少し考えを改めたほうがいいぞ。

さあ、やれ。

ああ、カミーラ。私は票の集まらなかった者を処刑すべきだと思っているよ。むしろ、今日一票も入らなかった者を疑う。

ハーヴェィ！！

他に･･･他になにか無いのかっ？！

私はこの投票結果からハーヴェイが人狼ではないと推理した。

ギルバート。決定を覆せとは言わない。だが、ハーヴェイに投票した者の名を明かせ。

[マンジローは、低く腰を落とすと束に手をかけた。目を瞑り、深く息を吐き出す…。]

何故だ？私に何を期待しているのだ？

私は人間だ。君らの弱さのせいで死ぬ、一人の犠牲者だ。

私の死に様、その目に焼き付けろ！！！！

どっちにしろ、こいつは毎日「殺せ殺せ」と、いい続けるだけだろう。今日のうちに殺しておきたい。
いや、殺してやりたい。
お前らも見りゃわかるだろうがよ、こいつはこいつ自身が思ってるほど、冷静じゃない。幻覚を見てんのさ……。

いや、感傷で処刑してる場合じゃないがな。他に人狼って確実にわかる奴がいるわけでもねぇんだ。

…参る！

[マンジローは手元を一閃させると、ハーヴェイに切りつけた。剣筋は、誤る事無く延髄から頚動脈を切り裂いた…]

……なんてこった。

[ヴィンセントは煙草をもみ消すと、再びソファーで長くなった。]

っ！！！！！

…ギルバートさん？
大丈夫ですか？

[一瞬「ビクッ」と震えたハーヴェイの体は、ゆっくりと前のめりに倒れていった…]

……！

[一瞬の閃き。ウェンディの目を遮ろうとしたが、遅かった。]

……ハーヴェイさんっ……！！

…ハーヴェイ、今更あんたが死んだところで、あんたに殺されたヤツらが浮かばれる訳じゃない… それでも…

･････！

うっ、何て事だ…

[ゆっくりとハーヴェイの死体に近づき、一気に抱き上げる]

････せめて、星の見えるところに埋葬してくる･･･

[といって、ホールを出て行った]