人狼審問

【アーノルドは、集会場の外へ出ると、一人、デボラの名を石板に刻んだ】

どうなることやら……。

【アーノルドは、集会場に戻り、目を閉じた】

ふ、ふ……。

夜が終わる。
朝日とともに訪れるのは、怨嗟と呪縛の影。
霧に包まれた日の光は、もはや何物をも照らすことなく……。
ただ、速やかなる死をもって訪れる。
だが、何も変わりはしない。

『トビーは今デボラが集会所でほとんど発言しないことを不審に感じはじめた。投票をどうするか、また悩んでいる。』

もうすぐ夜が明ける。それまで少しは眠る事ができる。
夜が明けたら、あたしはいつものあたしに戻る。

あたしには、やるべき事がある。あたしは、過去に勝たなきゃいけない。
あたしは、戦わなきゃいけない。

あたしは、戦ってみせる。

ギルバート……

あんたは、何故そんなに強くなれるんだ……？

…夜明け…か。まぁいい。
もう一度だけ、お前を信じよう…

…死ぬなよ、アーノルド。

【村長の娘 シャーロットは、ペンダントを月の光にかざした。】

シャーロットの瞳に、翡翠と同じ色の光が宿る。白磁の頬には僅かに赤みがさし、髪が風に揺れた…

遠くから、獣の遠吠えが聞こえる…

はは・・・。
人狼なんて騒ぎにまきこまれるなんて。
空想の話ではなかったのか？

そう、辻褄つけようにも・・・。この目で見たことが現実だ、と強く訴えかけている・・・。

さぁ。呪わしき朝の訪れだ。
静謐な夜は、もう取り戻せない。
昨日は失われた。呼び戻すことはできない。

もう、誰も後戻りできないんだ。
誰も。誰も。誰も……。

…風が…止んだ？