自警団長 アーヴァイン
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。 この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。 当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。 とにかく十分に注意してくれ。 |
酒場の看板娘 ローズマリー 気だるそうにベッドから起き上がり髪をかきあげキッチンへと向かい、冷蔵庫をあけて冷たいミルクを取り出しグラスに注ぐ。 いつも通りの行動をただ無意識に繰り返す。 昨日は部屋に戻った後も、遅くまで飲みすぎて頭が痛い。 それは、日常の一部といっても過言ではない。 ミルクの入ったグラスを片手に、窓辺に立ちいつも通り窓を開け村を眺める。 妙に静かな朝だ。音が…無い。風も吹かない。 寝ぼけた頭では、その違和感すら感じる事も無く静かにミルクを口に運ぶ。 今日もまた、いつもの日常が始まると信じていた。 あの人が消えてから、何度こうした朝を迎えただろうか。 酔いが冷めると、見えてくる現実。顔を歪め、自分を嘲笑する。 「今日の気分も、最悪だわ…」 誰に言うわけでもなく、一人そう呟くとベッドに倒れこみそのまま瞳を閉じた。 | |
(47)2005/03/27 13:09:21 |
村長 アーノルド 嗚呼、なんということだ! デボラ婆さんの言い伝えどおり、村が霧で覆われているではないか! これは、我々が30年前の戦いに敗北していたという証……。 やはり只の御伽噺ではなかった……ということか。ユージーンに電話線を切らせて外部との連絡を絶ったのは正解だったな。この状況で村に部外者を呼ばれては話が面倒になるだけだ。しかし、野犬に噛み切られたような跡と聞いたが……ユージーンは一体どんな切り方をしたのだ? 真面目に仕事をしてくれるのはいいが、やはり気味の悪い奴だ。 ハワード卿は……皆に気付かれないよう、上手く他の村人達を霧の外へ避難させてくれたのだろうか。エッタと別れるのは辛かろうが、これも運命だ。 今、この霧の中には満月の夜に生まれた者しか居ないはずだ。呪われた運命に目覚めた人狼と、その人狼を倒せる強さをもつ人間しか居ない。この霧が晴れたとき、我々は、この呪われた血を浄化することに成功しているのだろうか。 それとも、再び失敗しているのだろうか……。 | |
(49)2005/03/27 16:05:29 |
お嬢様 ヘンリエッタ ノノお昼は、お父様にしかられるのが怖くて、内心ビクビクしながらお屋敷に戻ったの。「帰ったらお説教だぞ」ってお父様もおっしゃっていたし……。 でも、お屋敷に戻ったらお父様は私をめずらしく、抱きしめてくださったの。それも大事そうに……。 お母様は私が集会所に出かけた後、隣町から戻られて、それからお庭で倒れられたとかで、ひどく青ざめたお顔だったわ。でも、いつものようにお部屋に引きこもってしまわずに、お父様と一緒に私を待っていらした……。おかえりなさい、と言って優しく微笑んでくださった。 ……いつも夢みてたみたいな風景に似てる、でもなんだか、怖い。そんな気がしたの。 | |
(135)2005/03/28 00:46:40 |
村長 アーノルド さすがに『容疑者達』も村の異変に気付いてきたか。しかし、なんと説明すればよいのだろう。私はハワード卿のように口達者ではないのだ。上手く説明できるだろうか、気が変になったと思われないだろうか……。 ええい、まだ霧が出ただけだ! 被害者が出るまでは無駄に恐怖をあおることも有るまい。 それよりも、キャロル……。 キャロルはどこだ? キャロル! もうすぐ二時になる。この村の人間の霊力が最も高まる時間だ。私の調査に狂いが無ければ、キャロルは人狼と人間を見極める目を持っているはずなのだが……。呪われたジプシーの血を受け継ぐ踊り子キャロル……。 今日から、お前の、本当の仕事が始まるのだ。 嗚呼、キャロル、どこに行ったのだ、キャロル! | |
(168)2005/03/28 01:52:02 |
学生 ラッセル ……といっても、アーヴァインはともかく、僕がこの村に滞在していたのは、そっち関連の任務のためじゃない。まだ新米だからね、小悪党の調査を任されてただけさ。 天使の涙っていう、60カラットのダイアモンドが盗まれる事件があったんだが……それの被害者が組織と繋がりのある人物で、どうやら上が揉めたらしくてね。駆り出されたってわけだ。 捜査線上に浮上してきたのが、ヒューバートだった。 ギャラリーを漁ってみたりしたんだけど見つからなくて、別件で引っ張ろうかと思っていたところだったよ。まさかキャロルの首にかかってるなんてさ。盲点だった。ていうか反則だよ。 | |
(189)2005/03/28 02:19:21 |