書生 ハーヴェイ ……やはりか。 [サンドイッチをほおばりながら、ナサニエルの言葉に頷いた。ハーヴェイはメモを走らせる。] ……やはり彼女には、どこか不穏な空気があるな。まるで神話か、おとぎ話の姫君みたいな口振りだ。今が中世ならば彼女の話をマトモに受け止められたが、あいにく我々は、20世紀の夜明けをとうの昔に迎えているからな。 ……発言内容は、妄想的で被害的。質問を投げ掛けると涙を流して回答を拒絶する節がある……か。 そういえば彼女の家族は?今まで家族と一緒に暮らしていたのか?病歴は?精神科の通院歴は?「遠くから聞こえる声」は、一体誰のものなのか?家族の中の誰かか、或いは他者か……と。 [ハーヴェイは細かくメモを取っている。] | |
(239)2006/08/24 02:03:40 |
流れ者 ギルバート 「全員の取り調べが終った訳じゃないが、ここに殺人淫楽症患者は確実に居るんだ。お前達は全員、ここから出る事は出来ない。 アーヴァインさんから、ケーキと一緒にメッセージは貰ってただろう? あの人がやられちまうとは皮肉な結果だが、アーヴァインさんの事だ。案外楽しんだかもしれん。…ククク。 ここから出たければ、殺人淫楽症患者を見つけて自分達の手で殺す事。まあ、出られても────かもしれんがね。死にたく無ければ自らの手で確実に殺す事だ。もしくはいつも通り、変態行為を楽しんでれば良いかもしれんね。」 [工事の過程で、監視カメラの接続や、今までもあったらしきカメラ、盗聴録音機の調整をしている様子が見て取れた。屋敷内には、電話すら無いと言うのに、丁寧な話だった。] | |
(246)2006/08/24 02:22:11 |
書生 ハーヴェイ [ハーヴェイは、溜息をついた。] 殺人淫楽症の正体を知り、その治療方法を探ろうともせず、容疑者同士を互いに疑わせ、殺し合いをさせようとは……。なんたる怠惰だ。 もし仮に我々が探し出すことに失敗し、皆殺しになった場合、警察は犯人達をどうするつもりなのだろうな?そのまま警察も巻き込まれて、仲良く天国に召されるつもりなのか? あのロボトミー(*注)だって、今では使われなくなったというのに。まずは「問題箇所は、取り除きさえすれば良い」というわけか。……ひどく短絡的で、前時代的な話だな。 -------------------- (*注)ロボトミー: 前頭葉に外科的侵襲を加えることによって精神症状の改善を図る治療法。戦後に精神分裂病患者に対する治療法として試みられ、全世界に普及した。しかし自発性の低下などの人格変化、てんかん症状などが見られる場合があるため、現在は使われていない。 | |
(252)2006/08/24 02:47:10 |
学生 ラッセル ――一階 ホール―― [自分の作ったサンドイッチを美味しそうに頬張るハーヴェイに、微笑みを浮かべ、ギルバートとのやりとりをも余裕で見つめていたラッセルだったが。 ふいに交わされたギルバートとハーヴェイのキスに、息を飲みながらただ為す統べもなく見て居たが、ギルバートが居なくなったのを確認して] ハーヴェ…、汚されちゃったね…。待ってて…今…消毒…してあげるからから… [込み上げてくる感情を押さえるように、ハーヴェイの膝を割って入り、跪くと。ゆっくり彼の唇を貪っていった。 彼らのやりとりを軽蔑しながらも、面白そうに見て居る、警察の目など*気にせずに*] | |
(265)2006/08/24 07:46:56 |
書生 ハーヴェイ ―2階・ハーヴェイの部屋― [窓際には、優しい朝の光。ハーヴェイはまどろみの中でラッセルの温もりを感じている……] [夜の闇の中――仲直りをしたような、ギルバートのキスをすんなり受け入れてしまった(あくまで表面上だが…)のが混ざり合い、ラッセルは複雑な顔をしていた。ハーヴェイはそんな彼を優しくたしなめ、闇の中で当たり前のように抱きしめ、キスをした。] むにゃ……ラス………。 [朝の柔らかい光の中、素肌から伝わる温もりを慈しむかのように……或いは、いつぞや取られた抱き枕の代わりのように、ラッセルを抱き締めて、微笑む。] ――たとえお前が何者でも、私はお前の味方だよ。 ――そうだ……私の命は、全てお前に預けよう。 ――お前の命の在処と、私の命の在処を、同じ地平線の上に置かねばならぬ。 ――私は、お前と共に、在らねばならぬのだから…… [2人の欲望が絡み合う寸前…ラッセルに囁いた言葉をハーヴェイは頭の中で何度も繰り返す。 そして、眠りと覚醒の狭間――自らの「想い」のみが優しく支配する場所へと、ハーヴェイは緩やかに意識の歩みを踏み入れていった……*] | |
(268)2006/08/24 08:35:20 |
村長の娘 シャーロット ―地下室→1階広間― [広間に戻ってすぐに目に入ったのはハーヴェイとラッセル] 恋人達は呑気だね…… [ハッっと笑いを吐き捨てると、キッチンへ] ……私はもう愛情も何もいらない。 愛情なんて所詮性交する理由を作る建前。 ハハッ……自由だよ。私が欲しいのは自由… こんな貞操帯もいらない。籠にもいたくない。 犯られて…殺されてたまるか…アイツのような奴らに。 ……何。アンタまだ愛情なんて欲しがってんの? 愛情欲しがって裏切られたのは誰だよ。シャーロット… それとも何…アンタまさか…あいつに未練残ってるんじゃないだろうね。…そんな事許さないよ。 [ナサニエルの顔を思い浮かべ――キッチンから小さな折りたたみナイフを取り出すと、それを*ポケットにしまった*] | |
(269)2006/08/24 08:40:41 |
書生 ハーヴェイ ―再び、2階・自室― [目を覚ましたハーヴェイは、傍らで寝息を立てるラッセルを見て微笑んだ。ふと周囲を見回すと……] ん……?カメラ……悪趣味な。我々の生活を24時間体制で監視……いや、観賞するつもりか? [起き上がりベッドの上で煙草を巻きながら、不機嫌そうな表情を見せる。] プライベート・セックスまで覗き見されるのは気分が悪い……。どんな表情をしてラスを抱いていたかと思うと……さすがに恥ずかしいな。 [煙草を吸いながら呟く。] 愛情と幸福感を覚えながら誰かを抱くのは何年ぶりだろう……?いや、元々何かの捌け口のように身体を弄ばれていた私に、そんな相手ができるとは……悪い気はしないが、些か奇妙だな。 ……不躾な覗き見の目や、殺人事件や処刑などさえ無ければ、悪くないのだがな。 いや…処刑に殺人、か…。冗談にもなりはしない…… [ハーヴェイはラッセルに手を伸ばし、*そっと髪を撫でた*] | |
(273)2006/08/24 14:13:19 |
冒険家 ナサニエル ―2階 自室― [長い時間冷たい水を浴び、体も冷えたが頭も冷え切ったようで。落ち着いた表情で戻ってくると昨夜とは違った余裕のある笑みをカメラへと向けて] …せめて手を振り返してくれる明るい人に見ててもらいたいね。 根暗な人にニタニタ笑って眺められるのは気持ち悪いから。 [冷たい敷布の中に滑り込み、その感触に身を埋めながら] ……淫楽殺人者がこの中に…か……。 ……――ィー。 あんたが殺された時みたいに、また誰かが死ぬのかもね…。 …違う…か。もう誰かが死ぬことは決定してるんだ。 淫楽殺人者も何ももう関係なく…今日からは殺し合いのはじまり…。 俺らは全員人殺しの共犯。 …やっぱり最後は全員処分する気なんじゃない…。 [くすくすと笑いながらカメラを一瞥すると、温もりを感じる前に*眠りに落ちていった。*] | |
(274)2006/08/24 14:17:30 |
見習い看護婦 ニーナ ─一年前─ [ニーナはある病院で働いていた。中くらいの病院で明るい彼女は皆の人気者だった。 ある日、看護婦の間で嫌われていたオズワルドに呼び出された彼女は彼に強姦されかけた時に弾みで彼を殺してしまっていた。 看護婦の間で同性愛が普通にあり、また男性との経験もあった。 故に冷静であればまた違う結果だったかもしれない。だが薬で体の自由を奪われ全身を嬲られた彼女は薬の効果が薄れた時にヴィンセントを撥ね退け打ち所の悪かったオズワルドを死亡させている。 正当防衛が認められ、病院が事件を表沙汰になることをよしとしなかったため自主退職という形で病院を追われた彼女は今の病院に落ち着くのだが・・・・] ─自室─ またあの男が・・・ いつまで付きまとうの・・・ [半ば諦めのまじった口調でそう呟いた | |
(277)2006/08/24 18:55:52 |
書生 ハーヴェイ [ハーヴェイは、4連のパズルリングのうち、1つを外し、ラッセルの掌にそっと収めた。] ラス…お前に一時、これを預けるよ。これはパズルリングと言って…4つのピースが揃って始めて、ひとつの形を成すんだ。 まあ貰い物だし、こうやって1本だけ渡すのは本来の使い方とは少々違うのだがな。……願掛けとして、お前に1本だけ渡すよ。好きな指にはめておいてくれ。 この事件が終わったら、ちゃんと返してくれよな?代わりのものを、用意するから。 [照れ笑いを浮かべるハーヴェイの左の人差し指に、3本だけの不完全なパズルリングが再びはめられる。そして服を着込み、ハーヴェイは一人先に広間へと向かった。] | |
(284)2006/08/24 20:16:38 |
流れ者 ギルバート ──二階・リックの部屋── […暗闇の中で、目を醒ます。 随分時間が経過した様な感覚が有るにも関わらず、周囲は闇で。ここがリックの部屋である事に気付くのに、しばらくの時間を必要とした。 腕の中には、昨夜、自分が蹂躙する様に抱いた華奢な少年の身体。闇に慣れて来た目で顔を覗き込めば、随分と泣かせた所為か目元が赤くなっていた。首筋や胸元にも、赤い痕が、昨夜よりも増えている。] (……酷い。虐待された子どもみたいだ。 否、俺のやっている事は……虐待と同じか。) [それでも、リックの滑らかな頬はギルバートの胸に寄り添っており。ギルバートは首を振り、涙の跡をゆっくりと舌で拭う。] | |
(294)2006/08/24 20:48:24 |