流れ者 ギルバート ──二階・廊下── [必要最低限のハウスキーピングだけを終えて、メイドが帰る支度をはじめた頃、何やら一階の玄関辺りから騒がしくなって来た。 二階廊下にあるソファで煙草を燻らせていたギルバートは、メイドと一緒に手すりから階下を覗き込んだ。] …へえ、アーヴァイン氏が行方不明ねえ。 ここに居る人間がかれをどこかから拉致してくるのは、外部との連絡手段を個人で確保していて、外部共犯者が居ないと無理なんじゃないかなあ。 だって、俺たちをここから出してくれないのは、あんた達でしょ? [ギルバートの横で、メイドが階上まで登って来た警官に遠慮がちに口を開く。本来は関わらない方が良いのだろうが…と言う口調だ。すでに、アーヴァインが手をつけている娘なのかもしれない。] 「アーヴァインさんがもし、内密にこちらにいらしている可能性が……。」 [ギルバートは煙草を消して、ひょいと肩を竦めた。] | |
(40)2006/08/22 23:12:32 |
流れ者 ギルバート [警官は、メイドの示した身分証明書を確認してから、彼女に対して大仰に頷く。ギルバートに対しては、侮蔑する様な視線。 ギルバートはギルバートで警官を気にした様子はなく、メイドの腰に馴れ馴れしく腕を回している。] 嗚呼、なるほど。 おっさんが内密でここへ来て、運悪く殺人淫楽症患者に遭遇、そのまま監禁されたって筋書きか。 と言うか、屋敷の出入りは監視してたんでしょ? アーヴァイン氏が確実にここに来てるってんなら、屋敷内をひたすら真面目に捜索すれば良いんじゃない? まあ、俺はおっさんには会ってないけど。 [警官が去って行き、メイドもそろそろと言う風にギルバートを見上げる。] 嗚呼、なになに。 必要最低限以上は家事をしないように言いつかっていますが、もしお声を掛けていただければ、なんなりと。ただし、危険物をお持ちするような事は出来ませんが…だって。そりゃ、助かるね。 [メイドの腰に回した手をひらひらと振って、八重歯を見せて頬笑む。メイドはマンジローが食事を作って運んできた旨をギルバートに伝えると、2人に一礼。そして、去って行った。] | |
(43)2006/08/22 23:20:48 |
流れ者 ギルバート [マンジローに、] …何。 リックが何も食べてない様子だから、食事を運んで来たって。 なるほど、嗚呼、リックなら俺の部屋にいるが。 (って、俺の部屋に居るってのはあからさまに不自然だよな。…、今、部屋の扉を開けたら、俺のしでかした事がバレバレだ。マンジローだって、淫行罪程度でどうこう言えるようなヤツじゃないかもしれないが。…嗚呼。) [内心の動揺を表情に出す事はなく、話題を変える様に、] そう言えば、まったく男に関心が無いのは…。 この中じゃ、実はマンジローだけになっちまったかもね。 嗚呼、マンジローも、欲しい道具があれば俺に声をかけてくれればいいよ。 [リックは起きているだろうか、と自分の部屋の扉を後ろ手に軽くノックしてみる。] | |
(47)2006/08/22 23:38:20 |
踊り子 キャロル 病気…ね。 ――もし、そんな生易しい原因で兄が…あの人が命を落とせたら。どれほど楽だったでしょうね…。 唄を忘れたカナリアほど…。残酷な運命を辿るものは。多分無いんじゃないかしらね……。 [絶えず微笑をたゆたえて居た彼女から、一瞬だけ笑みが消え去る。最後の言葉は、まるで自嘲するかのように呟いた後、はっとしたように視線を上げ] って、ごめんなさい。詰まらない話をしちゃって。こんな辛気臭い話なんてやめて、ご飯食べちゃいましょう?折角の美味しいものが台無しになっちゃうわ。 [いつも通りの柔らかい笑みを浮かべ、口を噤むようにマンジローの作った食事を口に運んだ。] | |
(48)2006/08/22 23:38:37 |
踊り子 キャロル ――二階 自室―― [部屋に入るなり、キャロルは結い上げていた髪を解き、身に着けていた服を次々と脱ぎ捨てると窓際に寄り添い…] ねぇお兄様。わたし…とんでもない事件に巻き込まれたようよ? 淫楽殺人者なんて…、お兄様を死に追いやった奴らと大して変わらない者が居る檻に…放り込まれちゃった。 ねぇお兄様。わたしを護って下さる?――享楽を欲望の捌け口にしか捉えていない輩の餌食にならないよう、見守って下さる?せめて…穢される前に今一度…あなたの思い出で。わたしの体を満たして? [窓にうっすらと映る自分の姿に兄を重ねたのか。キャロルは滑らかに動く自分の指を前身に這わせ、快楽の海へと身を*投げ出していった*] | |
(65)2006/08/23 00:23:11 |
学生 ラッセル [自分より一足先に食べ終わったキャロルの後姿を見送り、ラッセルは、相変わらず文献と睨めっこをしているハーヴェイと、その横でなにやら意味深な言葉を吐いているナサニエルを見ながら…] ハーヴェイは…俺の事なんてもう、気に留めてもくれないんだろうな…。 こんな子供染みた俺なんて…。淫楽殺人の話だって…ナサニエルの方が対等に応えられるだろうし…。 俺なんて居ない方が。ハーヴェイの足を引っ張らなくて良いのかもな…。 ごめんね、キャロルさん。俺、あなたの言葉無駄にしそうだよ…。 [キャロルに遅れを取ったが、ラッセルも食事を済ませると食器を片し、ソファで不機嫌そうにしているハーヴェイと、その隣に居るナサニエルに視線を送りながら] お休み。良い夢を。 [力なく呟き、二階の自室へと*上がっていった*] | |
(69)2006/08/23 00:30:58 |
流れ者 ギルバート [普段から寝起きが情緒不安定である事を知らないギルバートには、リックの行動の真意が掴めずに。困ったような曖昧な笑みを浮かべて、顔を背けるリックを後ろから見つめる。] (多分、今はもう怯えていない。 けれど、昨日とはまた様子が違う…。 俺には、わからん。 わからんが、俺の所為なんだろうか。 ……昨日はなんでこの子をヤッちまったんだ、俺は。あんなに強引に。) [脳裏に焼き付いて離れないリックの白い肌の感触と、蕩けるような眼差しを思い出せば、背筋がゾクと震える。首を振れば、受けとった食事のトレイが、サイドボードに置かれているのが目につく。] 食事をマンジローが運んでくれた。 リックの為にと、旗までついてる…。 空腹なら、食べるといいよ。 | |
(75)2006/08/23 00:53:52 |
書生 ハーヴェイ ああ。仕事でここに、な。 [煙草を一口吸い、煙を吐き出す。] ……私は研究者でね。専門は神経心理学。 人間の脳機能障害と可塑性、そしてその機能回復の過程を研究している……と言えば少しは伝わるだろうか。 今回私がこの村に来たのは、大学病院に入院していた患者……私の調査対象が、故郷のこの村に戻ってきたことに関係していてね。いわば彼の「脳機能の回復過程」に関する定期調査が目的だ。 ……で、どういうわけかその滞在中に、ここの警察に捕まってしまったというわけだ。とある夜に遊びに行ったバーでの「おいた」が、少々過ぎたらしい。 [ハーヴェイは思わず苦笑した。] | |
(105)2006/08/23 02:34:54 |
書生 ハーヴェイ ふうん…… そういうものなのか。大学時代にそういう道もあるものなのか…。研究に没頭していて、昼間に楽しむ遊びを一切やってこなかった私にとっては、未知の世界だ。 まあ、私も或る意味では「うっかり道を踏み外した」類だが。 どうして「本格的な趣味」を持ってしまったか……か。 もう殆ど覚えてないな。数年前の「パートナー」だった相手が、いきなり縄を持ち出して私を縛り上げて快楽を得ていたのが最初だった……かな。ある日「逆に自分を縛って欲しい」と乞われ、試しにやってみたのが「縛る側」に回ったきっかけやもしれぬ。……確か、10代最後の頃だったかな。 縄はな……あれだ。縛り上げた後が美しいと、それだけでこの上なく嬉しくなるんだ。縛った相手が愛する者なら、なおのこと。……いろいろ加虐嗜好的なことを試してみたが、縄に勝るものは無かったな。 | |
(110)2006/08/23 03:08:44 |
流れ者 ギルバート [“縄”と言う意外な共通項が、ハーヴェイと自分にあった事に軽く目を見開いて。] なるほどねえ…。 俺は大学時代に夜のお遊びが過ぎて、ヤクザな女に引っ掛かったのが運の尽き。イク寸前に首に縄を回してきて目の前が真っ白になったのが、悪かったみたいでね。この仕事を選んだのも一種のマゾヒズムなのかもしれないな…。 パートナーとの一対一の関係ってヤツは、得意じゃないんで分からないが…。相手が拘束される事を望んでるなら、良いんでないですかねぇ。嗚呼、底なし沼は困りますが。 [ふと、ラッセルが夜這いに来れるなら来てみろと言った捨て台詞を、ギルバートに投げて行った事を思い出し。2人がこじれる原因までは他人が関与は出来ないなあと呟く。ナサニエルも同じ様にして部屋に戻って行ったのだろうと、思い至り。] …と、長い立ち話をしてしまった。 俺は下で水でも飲んでくるので、ハーヴェイさんも適当に。 | |
(111)2006/08/23 03:27:16 |
書生 ハーヴェイ [ギルバートに握られた指先をじっと見つめる。] ……被虐側、か。 ラッセルの目の前で縛られ、なぶられ、犯される……この私が? [刹那、人目もはばからぬ場所で、自分がギルバートとナサニエルに縛られ蹂躙され、この上ない恍惚を覚えるヴィジョンがハーヴェイの脳裏をよぎる。目の前でラッセルが惑いながらも、自分を視線で、指先で…そして性器をもって、自身を深く犯してゆく……その光景を。] ……まさか。何を考えているのだ、私は……! [頭を横に振ると、灰皿にすっかり短くなった煙草を擦りつけて、溜息をつく。そして……] 「仲直りをしたいなら、そっちの部屋」……か。 [ハーヴェイはひとつ大きく深呼吸すると、ラッセルの部屋の扉を*ノックした*] | |
(115)2006/08/23 04:05:29 |
異国人 マンジロー [厨房でこそこそと何か作っている。甘い香りが漂っているところを見るといわゆる食事を作っているのではないようだ。] みんなこういうの、嫌いじゃないといいんだが。飲み助で甘いものが駄目とかいうやつには、これで勘弁してもらうとして、と。未成年者もいないわけじゃなし、よかろう、うん。 [戸棚のブランデーと紅茶の葉を交互に見る。お茶を入れるつもりで、今薬缶を火にかけたところだ。] にしても未成年者、ね。────何だってギルバートの部屋にリックが? [想像をめぐらせて一瞬顔をしかめたものの、傍から見れば自分も大差ない事をしてるとしか見えないのかもしれないことに気づき] ま、差し入れをギルバートが横取りまでしたってんなら、それなりに出方はあるだろうが。 [無理にあほらしい方向に考えを持っていきつつ苦笑した。 ──叫び声が聞こえた。] あれ、あの声──まさか? [とりあえず火を止め、声のしたほうに*向かった*] | |
(126)2006/08/23 18:25:32 |
学生 ラッセル ――失うのが怖くて、相手を傷つける。幾ら甘い言葉を並べられても、体を手に入れても。信用なんかで気やしない。 信じて裏切られるのが怖いから。だから相手の心を試す様な事ばかりしてしまう。 ねぇ、貴方はどれ程傷付いたら僕の手を離す? どれ程の痛みを与えたら、裏切りの笑顔を僕に向ける? どれ程の苦痛を与えたら…僕は君を信用できる? ――解からない。そんなの解かったら、苦労しない。 解かったら…こんなに苦しんだりしないよ…。 [暗闇が覆う夢の中、ただひたすら自問自答を繰り返す夢に魘される。無限ループの悪夢。 「誰か…助けて…」 うわ言のように呟いた自分の声で。ラッセルは目を覚ます。 暗い部屋。何となく見慣れた景色に、ふっと溜め息を漏らす。 「ここは俺の部屋だ」 紛れもなく。愛しい貴方と過ごした蜜室ではなく、味気ない孤独が漂う部屋。] 今…何時だろう? [瞳が暗闇に慣れた頃、そっと上体を起こした瞬間感じる人の気配に、僅かに身を震わせながら呟く名は…] ハー…ヴェ? | |
(127)2006/08/23 19:24:18 |
書生 ハーヴェイ ……ならば何故、お前は私に痛みを与えようとするのだ。 痛みが、私の胸の中に何を生みだすか、お前は知っているのか? 堪え忍ぶ慕情が美徳だとは、私は思わぬ。 痛み、苦しみ、焦り、……怒りと、憎しみ。 私の胸の中には、それしか生まれぬ。 だから私は、今、お前を愛しいと言うことはできぬ。 抱いてやることもできぬ。 ……自暴自棄になり、お前の目の前で、他の誰かに我が身を食らわせようとさえ、考えた。 お前は私を絶望の淵に、追いやる。 その連続に、私は少々疲れた。 ……お前に嘲笑われた方が、まだ気が楽だったよ、ラス。 私もお前を、何ひとつの躊躇なく傷つけることができただろうからな…… | |
(150)2006/08/23 20:54:54 |
冒険家 ナサニエル −2階 自室/回想− [堕情に睡眠を貪っていた中遠くから聞こえてきた少女の悲鳴にも目覚めずに、しかし無意識にベッドの空いた空間を手が探る。温もりの無い敷布の冷たい感触に徐々に血の気が引いていき] …―――っ! [声にならない叫びをあげながら飛び起きる。何時もの部屋ではなく未だ見慣れぬ内装に安堵しながら、深く息を吸って荒くなった呼吸を整える。] ……目覚め最悪…。 [ガリガリと頭を掻きながら強く目を瞑って煙草を咥え。悲鳴が本物だったのか、夢の中の物だったのか判断はつかないがその場では探る気にもなれず。火をつけながらぼんやりと空を仰いでいた。] | |
(153)2006/08/23 21:09:14 |
学生 ラッセル [ラッセルは、ハーヴェイの言葉を聞きながら、ぼんやりと、「あぁ、この人ともまた解かり合えなかったんだね」と一人語ちながら…] ハーヴェがどれだけ心を痛めているか位、俺にも判っているよ…。どれだけ苦しい思いで今、俺と向かい合っているか、もね。 ただ、最後の我儘が許されるなら…。俺はハーヴェに、諦めて欲しくなかった。俺すら持て余すこの感情事包んで欲しかった。 今はもう、叶わぬ夢かもしれないけど…。 俺を傷付けたければ傷つければいい。罵り踏みつけ、そして殺してしまえばいい。俺の目の前で他の男にでも抱かれたければ抱かれればいい。 でも、忘れないで。 俺を傷つける事だけに他の男に抱かれることは、貴方の心も傷つけることを。俺に復讐をしたければ別な方法で傷付けて欲しい。俺はこれ以上、貴方を傷付けたくない。 | |
(154)2006/08/23 21:10:19 |
異国人 マンジロー [この場の責任者らしき男がこちらに寄ってくる。発見者や発見状況を詳しく聞きたいらしい。 女性陣から少しだけ離れ、声を落として応対する。] ……ああ、あの場所を見てるのはこの子達[とネリーとニーナを指す]と俺だ。 いや、もう一人のお姉さんはあんたたちが入ってくるのと一緒くらいに2階から降りてきてるからな。 彼女を含めて後の奴らは恐らくあれを見ちゃいないはずだ……犯人以外。 で、わがままを言って悪いんだが、取調べがあるのは覚悟してるが、あの子達に関しては、 なんか腹に入れて人心地がつくまで待ってやってもらえないかな。 ……特に、一人、空きっ腹抱えてる子がいてな。 [頼む、と刑事に頭を深く下げた。] | |
(155)2006/08/23 21:15:24 |
書生 ハーヴェイ [ハーヴェイは、ラッセルの腕を強く掴んだ。] 何を言う、ラッセル!知ったような口を聞いて……!何が「俺を傷つけるために他の男に抱かれるのは、貴方の心を傷つける」だと!?そんなことは、言われなくても知っている!! 自分勝手に私を傷つけたまま放置して、また「傷つけられた」と棄てられる不幸に浸って、それで終わりか!?ふざけるのも、たいがいにしろ!! [ラッセルの腕を掴んだまま、ハーヴェイは息を荒くして声を搾り出す。] ……こんなことが、一度や二度なら……耐えられると思っていた……。 だけどな……ラス…… ずっと、何年も、何十年も、お前と時を過ごすことを考えたら……私には、こんなことの連続が、耐えられ無かったんだ……! 傍にお前が居てくれる、その長い長い時間を、愚かしくも夢見てしまったから…… だから………っ! [ラッセルを引き寄せ、力の限り抱き締めた。] | |
(156)2006/08/23 21:23:54 |
流れ者 ギルバート ──二階・自室── [リックが出て行き扉を閉める気配で目を開く。 実際の所、部屋にもどった時にサイズの合わない大きなシャツを着たリックを見て、…リックが起きていたなら衝動的に襲いかかりそうな自分がいて、危機回避の為にしばらく寝た振りを継続していたのだが。] …ちゃんと着替えて出て行ったか、不安だな。 そういうの、平気そうな所もありそうだし。 トレイがないから、ちゃんと食事は取ったらしい…か。 [溜め息をついて、身を起こす。 下半身に燻っている微熱を拡散させたくて、冷水でシャワーを浴びる事にした。浴室でまた半勃ちの己自身を見て、皮肉っぽく口唇の端をつり上げ。 浴室の壁は薄い所為か、通気口を通してなのか、何処からか声が響いてくる。警官が怒鳴る声、相手はどうやらマンジローの様だ。] アーヴァインがここの地下室で死体で発見された? …マジかよ。 | |
(185)2006/08/23 23:26:28 |