見習い看護婦 ニーナ 『後はラッセルさんを……』 [そう考えはするが、間違いなく病み上がりのニーナにラッセルを背負う事などできない。方法は一つしかないのだが――] 『戸惑っている時間なんてない!』 [ニーナは自分のスカートをちぎると即席の包帯にし、ラッセルの傷口を固定させた。 そして異形へと変貌していくステラの前に立つと、思い切り平手で頬を叩いた] シスター! 手伝いなさい! どんな状態でも怪我人は怪我人。ケネスさんは助かります! だから、貴方も人として手伝って! [普通であればそのような事はしないだろう。だが、ニーナは強引にステラを引っ張るとラッセルの足を持たせた] いいですか? なるだけ膝を曲げないようにしてください。そうしたら楽に運べますから。 | |
(6)2006/08/25 15:00:29 |
見習い看護婦 ニーナ [動かないステラに再び近寄ろうとした時、半ば強引ともとれるようにハーヴェイがラッセルに駆け寄った。 声は届かない。 それは悲しい事なのだと、思った。 ハーヴェイは元々異形だったという。ならば彼にも同じ経験があるのかもしれないとニーナにも予想はついた。 だから今のステラは放置できない。だが怪我の手当てが必要なのも理解できた] シスター。また来るからそれまで、早まらないで……。 [そう呟いて頬を撫でると、ニーナは己の痛みも無視して収容所を見据えた] ハーヴェイさん、私も地下に降ります。看護士ですからそこを理由に中でみんなの治療をします! だから……シスターを……ステラをよろしくお願いします……。 [零れる涙を一つだけ落とし、彼女は走り出した] | |
(10)2006/08/25 15:50:38 |
書生 ハーヴェイ −自室− [左腕に巻いていた包帯を解いて、傷の再生具合を確かめる。状態は悪くない、と確かめ、気持ちを切り替えるために、シャワーを浴びた。 部屋に戻ると、クローゼットの隅にしまっておいた包みを取り出す。 中に入っていたのは、黒一色の装いと、銀色の鎖。そして、透き通る黒い石をあしらったペンダント。 軽く肩の傷痕を見やった後、黒衣に身を包み、左腕に鎖を巻きつける。次にペンダントを手に取り、黒い石に軽い口付けを落としてから首にかけた。 その装いが意味するのは、戦装束。『霧の堕天使』としての、正装] …さて、と。 [呟いて、鞄の中にしまっておいた核の入った包みを取り出す] …純度が高いのは…こっちだな。 [取り出したのは、砕けていない方の核。手の中のそれをしばし見つめた後…無造作に、飲み込んだ。 紅い光の、微かな乱舞。それを経て] …行くか。 [小さな呟きと共に、屋上へと向かった] | |
(14)2006/08/25 20:57:32 |