自警団長 アーヴァイン
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。 この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。 当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。 とにかく十分に注意してくれ。 |
美術商 ヒューバート [厨房へと戻るとシチューの鍋に再び火を点ける。そして隣のコンロでミルクを温めているラッセルに、ありがとうございます、と小さく礼を述べた。] 申し訳御座いません、ラッセルさん。 そのようなことは私の仕事ですのに。 けれどこのまま甘えてよろしければ、お嬢様にミルクをお持ちいただけますか? 私はその間にシチューを温めてしまいます。 [よろしくお願いします、と、ラッセルに向かって礼をするが、紅茶の話には僅かにその引き締めた表情を緩ませた。] いい茶葉であろうとも、淹れ方次第では台無しですから。 適当な茶葉であろうとも、愛情を篭めて淹れればそれなりに美味しくはなるものですよ。 | |
(18)2006/04/01 22:56:37 |
美術商 ヒューバート [胸の内ポケットから手鏡を取り出して、軽く身繕いをする。僅かに髪が乱れていた。身だしなみが整っていない執事など執事失格だ、と、一人苦笑をする。 手鏡を仕舞い、ぼんやりとどこか遠くを見ているようなヘンリエッタを見やると、ヒューバートは人知れず一つ息を吐いた。] 【祭りが、お嬢様の心を少しでも癒してくだされば…】 [そして二階を見上げ、まだ眠っている様子な自分の娘のことを想った。彼女もまた、可哀想な子だ。 幼い子供が心を抉られると、そこには残酷なものしか残らない。 娘と、そしてヘンリエッタのことを僅かに重ねつつ、ヒューバートは*ヘンリエッタの傍で佇んでいた*] | |
(175)2006/04/02 14:13:23 |