お尋ね者 クインジー 【医務室/朝】 ローズ、ルーサーを信じる…畢竟、人外の存在を信じるということだぞ? 確かに、あの傷跡は人ならぬものではなかった。狼…の一種であると言われれば納得行く部分も多々ある。人ならぬ者の存在を信じなければならぬのか。この目で見るまでは俺には信じられぬ。 が、可能性は充分にある。それが現実のものとして分かった時に行動を起こしても遅い。今から…銀の武器が本当に有効であるのならば探しておくのもやぶさかではない。そしてそれがこの暗い現実の光になり、望みになるのならばな。何かして無いと落ち込んでしまうからな。 [そうローズに答えると、空腹を満たせたのでギルバートとニーナの作業を手伝いに外へ出て行った。] | |
(201)2006/02/21 09:24:30 |
牧師 ルーサー 【昼/医務室】 『巨大な獣の仕業と言われれば、そう信じるだろう。あの傷跡を見ればな。 が、人狼となると…俄かにはな。』 [ ルーサーはクインジーの言葉に一つ頷くと、ゆっくりと口を開く。] ……ええ。私も獣の仕業であるかもとも考えました。ですが、いかなる獣であればこのような事がなし得るのでしょう。 トラやライオン、あるいは熊といった肉食の大型獣でさえ、あの短期間に一頭や二頭でこれほどの殺戮を行えるとは思えません。さりとて数多く居たのであれば、もっと姿を見た方がいるのではないかと思えます。それにそういった獣であれば、空腹でもなければ人を襲う事は多くないと聞き及びます。 また、ローズが扉を開けるまでここは閉ざされて居ました。獣であったなら、初めから中に居て、ローズが扉を開けた後にその後から出て行った事になります。そうであったなら、ローズは襲われていたのではないかと思います。 そして……思い出してください。 あの晩に響いた遠吠えを。 皆さんには……あれはいかなる獣の声に聞こえたでしょうか? [ ルーサーの問いかけに、医務室には暫しの沈黙が流れた。] | |
(209)2006/02/21 13:05:42 |
流れ者 ギルバート 【夕方/医務室】 [ 外につまれた悪趣味なオブジェの前で、俺は深く溜息をついた。このオブジェもどうやら完成に近付き、あとは最後のしめを残すのみだった。 先ほどまで俺たちを包んでいた眩しい日はその身を隠しかけ、 薄い影がゆっくりと島をつつみこみ始めている。 作業に従事していた奴らは、一様に疲れた様子でその場にたたずむ。吹き荒ぶ風が冷たく骨にしみた。 どれだけそうしていただろう。神父様がゆっくりと口をひらいた。 ――皆様をあつめてください ――このかたたちに祈りを…… 神父様の言葉にいくつかの影が、建物の中へと吸い込まれていく。 俺は荷車に凭れ掛かり、その様子を見送った。 ] | |
(210)2006/02/21 14:00:31 |
牧師 ルーサー 【午後/医務室】 [ クインジーの問いかけ。ヒューバートも、そうだルーサー殿、生き残るために役に立つ事があれば聞かせてくれと真剣な面持ちで言う。 ルーサーは記憶を手繰りながら、ゆっくりと口を開く。] ……そうですね。人狼ではない、伝承に残る魔物……例えば、吸血鬼と言われるものなどもおりますが、あの遠吠え、そしてこの惨状。それらの符合するものは……それは、やはり人狼ではないでしょうか。 これが人ならざる者の仕業であったなら、人狼の仕業である可能性が一番高いと思われます。 確か、そう……人狼は銀の他に、トリカブトを苦手とするという話もあります。トリカブトで人狼を追い払う事が出来ると言います。 | |
(211)2006/02/21 14:12:05 |
牧師 ルーサー そう……キャロルさんが言っていましたね。退治できずに終わったというのであれば、言い伝えにならずにこのような話も滅んでいるはずだと。 そう、真に人狼がいたとて、人はそれに打ち勝つ事も出来るのです。 どんなに長くとも……明けぬ夜はありません。この地方に於いては、冬は一月もの長きに渡って空は闇に閉ざされます。しかし、それでも、光は訪れるのです。 十三本の銀のナイフ。これは、私達にとり一つの希望ではないかと思えます。十三という、イエス・キリストの処刑された日での数字である事に不吉なものを覚える方もおられるでしょう。しかし、イエスはその際に己が運命を呪ったでしょうか。 いえ……イエスが遺したのは、許しと祈りではなかったでしょうか。 | |
(212)2006/02/21 14:13:18 |
牧師 ルーサー [ ――夕映えの茜の色が景色を染める。 その色は、血の赤さを包み隠してくれるかのようであった。 やがて、骸たちの前に皆が集まると、ルーサーは言葉を紡ぎ始めた。] ――神は恵み豊かにあわれみ深く、怒るにおそく、いつくしみ深い。 罪に従ってわたしたちをあしらわず、とがに従って罰せられることはない。 父が子どもをいつくしむように、神の愛は神をおそれる者の上にある。 神はわたしたちの姿を知り、ちりにすぎないことを心に留められる。 人の日びは草のよう 野の花のように咲く。 風が通り過ぎると消え去り、その場所を訪ねても、だれも知らない。 いつくしみは、神をおそれる者の上にとこしえに注がれる。 その正義は子孫に及び、契約を守り、さとしを心に留めて行なう者に及ぶ…… [ 吹き荒ぶ風の中、居並ぶものたちはそれぞれの思いに暮れる。明日はわが身かも知れずなかった。 夕陽に染められた景色に、朗々とルーサーの声が響き渡っていた。] | |
(216)2006/02/21 14:33:04 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【夕方/娯楽室】 [厨房を出たローズは、去り際に発したキャロルの言葉を、自分自身の中で繰り返していた。 『――信用できる人は少ないわ。皆、犯罪者ですもの。』 そう…刑務所内に居る自分を含めた13人は、犯罪者であった。とはいえ、ローズは罪を犯していた時も、ここに投獄されてからも、一度も自分が''犯罪者''であるとは思っていなかった。ローズの服役態度は優秀ではあったが、それは罪を犯した事への反省ではなく、少しでも早く母に逢うためであった。] (ここに居る皆…犯罪者…… あの…ニーナでさえ・・・… 信じられるのは…罪を犯してないルーサーさんだけ…?) [そう思いながら、ローズは娯楽室にある本を必死に調べ始めた。] | |
(221)2006/02/21 19:32:20 |
牧師 ルーサー 【現時刻(日没後)/医務室】 [ ローズマリーから受け取った本にルーサーは目を通し、そして語り始めた。] これは……中世の魔女狩りについて書かれた書物のようですね。 確かに……このような事もあったそうです。 ……昼間、遺体を運び出した際にも刑務所内をすべて見回りましたが、しかし、私達十三人の他には誰も見つけることは出来ませんでした。 人狼が存在しているのであれば……私達の内の誰かという事になるでしょう。しかし、人狼はその本性を露にしているのでなければ人と変わる事はないと言います。 そう、人狼が居るのであれば……誰が人狼だとしても私達には解らないという事です。 その中で人狼を探そうとするならば――誰が人狼かを知ることなく探し出そうと、滅ぼそうとするのであれば……魔女狩りのように、正体定かならぬ者を手に掛ける事になるのかも知れません…… [ ……重い沈黙が流れる。 ローズマリーは胸の前で組んだ手を震わせながら、押し黙ったルーサーをただ見詰めていた。] | |
(225)2006/02/21 21:01:38 |
踊り子 キャロル 【回想/昼過ぎ/女子房から男子房へ】 [ネリーはドイツ出身でスパイの容疑で入れられているとのことだった。キャロルはフランス出身なのでやや出自は近いか。けれどもドイツ人とは感覚がかなり違うこと、そしてフランス人のほうが扱い難いと認識されていることをキャロルは百も承知だった。なるべくやわらかい応対を心がける。] そろそろ、男子房のほうも片付けが済んだかしらね? 「そうね…しかし寒いわ。」 [ネリーと共に、礼拝所を抜けて男子房へと足を運ぶ。 囚人服は既に汚れてボロボロだ。] 今晩にでも、囚人服の換えを見つけて、洗濯でもしようか…。 [壁の小さなイコンに目をやる。イコンには血の跡はない。聖域は相も変わらず清浄に保たれているようだ] | |
(240)2006/02/21 23:01:10 |
書生 ハーヴェイ ふむ…?俺が危険を顧みないと…。周りが見えなくなることはあるが、危険は顧みているつもりだ。 神か…、人は神の元に平等というが、はたしてそうだろうか、と考えたことはある。答えはもちろん不平等、だろうな。だからこそ平等を謳う思想が生まれ、いま帝国をひっくり返そうとしている。 人は神の元に不平等であってもいいだろう、人を平等にするのは人であればよいからな。ただ、誰しも心の拠り所は必要だろう。それこそが宗教の役目だと俺は考える。今の俺には恐怖から逃れるための心の拠り所が必要なんだと思う。 ここは刑務所の中でもっとも神という存在に近い神聖な場所だろう。だからこそ安全という気がしたのだ。 クインジー、君が元軍人とはいえ、神の目の前で殺戮を犯すとは思えないな。 | |
(251)2006/02/21 23:38:48 |
見習いメイド ネリー 【回想】 [ニーナの騒ぎのあと、私はキャロルと共に清掃作業に従事していた。 腕力のない私には相応の仕事ではあったが、血の痕を洗い流すという作業は殊更惨劇を思い返す。、 現状に対する疑問を感じ頭の中に様々な思いが湧き上がっては消えていった] 看守を初め多くのものが殺された状況… アーヴァインさんが殺されたこと… 牧師様が言うように謎の獣がいて人を襲っているなんていうことあるのかな。 後は…ハーヴェイさんが言っていた伝染病、か…… 伝承とかあんまり詳しくないけど… 人が狂ってあんなことをする病気があるってこと? でも…… なんのために? 目的がここから逃げるためだとするなら看守だけ…殺せばいいはずだよね… なんで囚人達まで殺す必要があったんだろう。 …わからない。 ねえ、キャロルさんはどう思いますか? [一緒に手を動かすキャロルに取り留めのない自分の疑問をぶつけた] | |
(276)2006/02/22 00:15:44 |