人狼審問

[ナサニエルはセシリアの首の絞め痕を手をあて覆った。見る見るうちにナサニエルの手は掻き毟られ血に染まっていく]

………。

[暴君は”処女”を解き、苦しむセシリア、
そして自分へ向けられるナサニエルらの視線を感じ
狂気に満ちた笑い声をあげる]

ククククククッ･･･ハッハッハッハッハッハ！！
このような愉快な祭典は久しぶりだ！
ハッハッハッハッハッハ･･･。

[人間の形状はしている･･･だが、暴君の表情は
人間のそれには程遠かった。それは･･･ケダモノ･･･。]

[胴薙ぎは空振り、刃は呆気なく空を切った]

そりゃあ、やってみなければ分からないぜ。
前回の祭典とは密度の濃さが違うって事はひしひしと伝わってきやがるからなぁ。

だが…俺を惹きつけるお前の姿、形。
そして…ヒトを弄ぶその行為そのものが嫌いなんでね。
だから、俺は…お前を壊す。

[刃を戻す隙に右手で火球を３つ、こぶし大のサイズにしてヘンリエッタに向かって放った]

[今まで生命を刈り取ってきた物書き達。セシリアを取り囲む。


ある者は羽ペンを。

ある者は万年筆を。

ある者はタイプライターを。

ある者はワードプロセッサーを。

ある者は――眼鏡を掛けて、鋭い栞を持って。


ぐさ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ごすっ。
　　　　　べきっ。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぐさり。]

［中ほどで立ち止まり、暴君を睨付けた。］

聴け、我が声を。
我は常葉の千年を渡る風。

［凛と澄んだ声が、若葉の薫りを呼んだ。
鎌で砂を撫でると、セシリアとナサニエルの周りに瑞々しい草花が生い茂る。
香り高く、少しでも悪夢を和らげるだろうか。］

……。

[振り上げた足をそのまま踏み出し、大股に更にハーヴェイに追い縋る。
メイに向けられた鞭を払いのけるように、腕を一杯に伸ばして再び太刀を振り上げ]

...理由？
無いさ。ただ、やってみようと思っただけだ。
行く所？そんなモノも無いよ。

［メイはハーヴェイから大きく跳びすさりながら、鞭が来るのを認識する、や否や手首を大きく返して巻き取られかけたトンファ自体を、そのまま鞭に叩きつける。
メイの手から離れたトンファを弱い黒の軌跡を残しつつ、鞭をメイの手首から引きはがす］

ユージーンさん、貴方が血の騎士になったのは何故ですか？

[白砂に突如出現した新緑の中片膝を立てセシリアの顔を覗き込む。肩を揺さぶる]

セシリアさん、
しっかりして下さい。

［不意にコーネリアスの真後ろに現れるとその喉元に長い鉤爪を突き付け］

……慢心して油断か？
やはり貴様の頭はからっぽと見える。

［そのままコーネリアスの喉を掻ききるように鉤爪を動かそうと］

…ボクは…。

[包帯は蛇のように少女の胴に絡みつき]

馬鹿な死神、Sunburst。
愚かな死神、Sunburst。

エッタに敵う訳ないのに！！！

[鈴の音の声と孕む殺気のギャップがSunburstに直接叩きつけられた。火球をステップでかわすと懐に潜り込み、下からキョトリと笑った]

ァ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ。

･･･いや。アーヴァイン殿そのものが「寺院」の機能のひとつであるのかも。
死神ではなく。
この「血の寺院」に死神たちを迎え、滞りなく「死者の祭典」を行わせる為の。

［瞳の緑柱石の輝きを激しく揺らめかせ］

……赦しません。



［ざわ、と解けた髪が揺れ、きらめく。
緑の風が吹き、
ネリーは漆黒のドレスを身に纏う。
首には繊細なレースが巻き付き――

緑柱石の輝きが全身から立ち上ぼった］

[気持ちよく笑っている後ろからステラに鉤爪を突きつけられる。
急に不機嫌そうな表情になる]

ふぅ･･･私は愉快さを邪魔されるのが嫌いでね･･･。
油断だと･･･？貴様こそ油断しているのではないか？
私に近接距離から攻撃を挑むとは･･･
”ココハ誰ノ領地ダ？”

[暴君の体からステラの体へ鎖が伸びる。
鎖はステラの体に触れるとある形に作られていった。
ステラには見覚えがある形･･･”審問椅子”]

[狂喜するヘンリエッタの背中に向かって]

愚かな死神、Femme enfant.
……主はいつも正しい者に味方致します。

[ギルバートの放った火球を、正確にヘンリエッタの後頭部に向けて弾き返した]

［鞭の軌道から目を逸らさぬまま、高く跳び、落下速度と残った片方のトンファの振りから生まれた黒い軌跡を鞭の先端にぶつける。
自身はそのふくれあがったエネルギーを利用してもう一段後ろに跳び、着地した。白砂が上がる］

…ッ！！！

[真下から笑っている顔を見せるヘンリエッタに、ギルバートは一瞬怯み、刃を叩きつけ反動を利用して寺院の上部へと飛び上がった]

［射程外の位置まで下がったメイは、ぴょこんと体を上げスカートに付いた白砂をぱたぱたと払う。そして思い出したように］

もう。痛いよー。

［言って鞭に触られただけですっぱり切れている左の手首をさすった。］

[思いの外、動きが素早い。目の前を黒い筋が流れ、太刀は空を切る。
もう一歩を踏み出す。
ハーヴェイの鞭はメイへ。
ラッセルは、振り切った太刀をハーヴェイへ向けて振り下ろした。
メイの巻き起こした砂嵐が、足下から吹き上がる。]

［己の体に触れた鎖が見覚えのあるものに変化していく。
悪夢が、脳裏を過ぎる］

…………っ？！

［鎖から逃れようと至近距離からコーネリアスに向かって匕首を投擲］

2人で来たいの？
ァ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ。

エッタに敵うなら、



フ、タ、リ、デ、オ、イ、デ、ヨ。



[綺麗な声と顔はそのままに少女は跳躍した]

『ボクは生きるために』

[一時、その主が闘気を失うと共にただの大鎌となっていたグリム・リーパーが、その刃より虚無の気を放射し始めた。

いろのない、全てを滅ぼす虚無が。]