文学少女 セシリア [数刻にも感じられた均衡は、ギルバートに軍配が上がった。 「Padlock」は健気にも熱に耐え、破壊される事無く熱塊を防いでいた。 だが其れでもギルバートの渾身の力が込められた推進までは、止められなかった。 ぼこぼこになった溶岩の固まりは、「Padlock」ごとナサニエルへ衝突した。 青いコートが焦げ煤ける。転身し白砂に転がり、ダメージに身体を揺らがせて。 しかしナサニエルは、何処か微笑む。 たぷり。 近くで聞けば、そんな音がしたのだろうか。 ギルバートの影から雫が1つ跳ねると、其の影が実体化した。 地上で見かけた、道路標識の様に丸い顔と胴体が浮かぶ。 不意を付いた「Shadow」の攻撃は、ギルバートに十分な隙を作った。] | |
(1)2006/01/27 00:15:04 |
文学少女 セシリア [多くのものを失って尚、セシリアは存在し続けている。 其れでも疑問に思った。私が残るべきだったのだろうかと。 失った。信じなかった。見ているだけだった。そしてこの手で――殺めた。 何故私が残されたのだろうと、セシリアは暗闇の中考える。 ナサニエルは、誰かに守られている――そんな風な事を言っていた。そうだろうか。 答えは出ない。今や答えは導き出せる事が出来ない問なのかもしれなかった。 手を握る。まだ身体は壊れていない。 頭を振る。まだ思考は止まっていない。 セシリアは壁龕の壁に念じた。開け、と。何度目になるだろうか解からない言葉を。] ―壁龕より回廊へ― | |
(26)2006/01/27 22:32:23 |
吟遊詩人 コーネリアス [卿と・・・対峙しなくてはならぬ・・・? ステラ・・・いやいや・・・何を考えているのだ・・・。 自らの”血肉”を傷つける想像を追い払う。 今の自分には”狂気”に憑かれていた頃の闘いはできない・・・。 それならば守り一辺倒のサンドバッグと同じ・・・。 しかも卿ほどの死神なら気付いているはずだ。 コーネリアスの致命的な弱点を。 コーネリアスは心から喜んでいる。 ギルバートが”トリムルティ”ではなかったこと・・・ 彼と対峙しなくて済んだこと・・・炎に焼かれずに済んだこと。 そう・・・彼の”結界”は・・・燃えるのだ。 卿なら確実に自分の弱点に気付きそこを突いてくる。 情けなく灰になる自分を想像し、コーネリアスは汗だくになっている] | |
(30)2006/01/27 22:45:17 |
文学少女 セシリア … …。 [セシリアは鎖を纏う。隙間無く身を包む鎖は、宛ら繭の様に。 幾許かの間を置いて、ほんの僅かな光と音を伴い― ―羽化したばかりの蝶の様に、すっと僅かに胸を仰け反らせ。 ロングドレスと、長い藤色の髪がふわりと風を孕む。 その容貌はまるで―――。] ――卿よ。気高き黒騎士よ。 私にはメイの様に見える力など無い。唯、歪みを知る事の出来た、一介の死神。 [銀の栞を空へと放る。くるりくるりと舞いながら、変わり行くは死神の鎌。 シンプルであり、栞の面影を残した、赤い紐の付いた銀の鎌。 "the Marker"と呼ばれた時より"the Book Marker"と呼ばれるまでの魂の片割れ。] …全身全霊を掛けて、挑ませてもらう! | |
(62)2006/01/28 01:23:28 |
美術商 ヒューバート やはり貴公は意地を張る馬鹿者よ。 [ヒューバートは優しく微笑みステラの右肩に手を置いた] 私はな、貴公が居らねば血の騎士になろうと決意なぞしなかったよ。一人の男を死地に向かわせる力はある。 貴公は生きている時から戦乙女(Valkyrie)の才があったと言う事よ。 それにな… 護符はそれ自体に力は無くとも、 それを持ち、誓いを詰め込み祈る事が出来る。 地にある膝を、土から離す事が出来る。 少なくとも翼を狩るヒューバートには無き力さ。 過去に囚われるのみでは血の騎士の地位は押戴けぬ。 何度問わせるのだ。 「死してなお在る命は何故か?」と。 [そう言うとヒューバートは*去っていった*] | |
(100)2006/01/28 05:36:04 |
修道女 ステラ [セシリアの呟きに小さく微笑みを向け。 ただ今は、悪夢の終わりが来るのを祈るかのように――] Die Art verruchter Sünden Ist zwar von außen wunderschön; Allein man muß Hernach mit Kummer und Verdruß Viel Ungemach empfinden. Von außen ist sie Gold; Doch, will man weiter gehn, So zeigt sich nur ein leerer Und übertünchtes Grab. Sie ist den Sodomsäpfeln gleich, Und die sich mit derselben gatten, Gelangen nicht in Gottes Reich. Sie ist als wie ein scharfes Schwert, Das uns durch Leib und Seele fährt. | |
(128)2006/01/28 22:52:39 |