人狼審問

随分楽しそうじゃあないか。
ちもう少し心晴れやかになる話をしてみようか。

お嬢様はまずおそらく偽者。オードリーさんはほぼ無実。
そう言う話だが。

――マンジローの言葉に――
楽しそうかどうかは、置いておいて。
俺もそういう話しか出来ないな。

実のところ、私は自分でもが何故お嬢様をそんなに疑うのか、よくわからなかったのでね。つらつら思い返してみたのだよ。
それで、引っかかるところが一つあった。

ヘンリエッタ嬢は、リックとローズマリーに占い希望に挙げられていることを「偽からも指名されている」と言っている。(1:>>575)
お嬢様が本物なら両方が偽だ。どちらかが本物、のような物言いをするのはおかしいだろう。

お嬢様は占い師ではないし、その時自ら占い師を名乗る気もなかった。しかし、自ら占われることになったので嘘をついた。
うまく辻褄が合う。

楽しくないかね。
ヘンリエッタお嬢様が偽者なら、リックとローズマリー、どちらが本物にせよ、オードリーさんは普通の人間、だろう。
私たちは無辜の犠牲を出さずにすむかもしれんよ。

お嬢様とオードリーさんに順に薬を与える必要はないと思うね。もちろん、オードリーさんを先に、などは断固反対だ。

ああ、俺の中でもオードリーさんは村人以外の何者でもない。
そしてヘンリエッタは信者か人狼だ。間違ってはいないし、先にオードリーさんを薬飲ませる気もねぇ。

ただ、こんなにもお前と意見が合うと、不安になるっつーか、お前が、ヘンリエッタを切るという行為が、わからないんだ。
昨日とは随分違うじゃないか。

暇を貰った身なのでね。

私が、お嬢様を疑っている、というのは昨日と同じじゃないかね。
理屈を曲げて、オードリーさんを殺せといったらお前さんの気が済むのかね、トリ？

どう言う腹中で私がこれを言ったか、貴様にわかるとでも？

。o0(よ、酔っ払い…？素面？わからねぇ)


わかんねぇよ、俺はお前じゃない。
ま、俺ももしシャーロットが、と思うと寝れなくなるし、ローズマリーが…とここは割愛しておこうか。

わからんなら教えてやろう。煮えくり返っているよ。
この状況と、自分にな。
ともあれ、この鬱憤を貴様にぶつけて晴らそうというのは筋違いだろうな。

―身体の汚れを払いつつ―

鳩は無事届いたようだな。
結論だ。エッタ嬢を教団の者と推測し、２人を放置の考えだ。

―不意に酒場の扉が開いた―

あ、あの…、こっそり抜け出してきたの。お掃除しながら、昼の自分の言動思い返してたら…恥ずかしくなってたまらなくて。
ネリー、どうしてあんなに疑心暗鬼になってたんだろう。決めてたのに。みんなが疑いあっていてもネリーは明るくいようって。…間違ってる…？

――二人の様子にはらはらしていたが、ふと思い出したように――

あたしも、言わなきゃね。
今日見たいのはハーヴ。薬はローウェイのお嬢に。

――トビーを撫でる手を止め、テーブルを順繰りに拭きながら――

ハーヴは色々知っていて、弁が立つ。正体がわからないままだと、少し不安…。そういう意味ではナットやネリーもそうなんだけど、ね。まず、ハーヴを見たい…かな。薬の事は…。これでも一応悩んだのよ？奥さんとの二択じゃなくてね。今日は他の人？ってね。でも、決め手がない。客観的に見てもお嬢さんの役目は終わってる。あたしの目から見れば確実偽物…あんな小さいお嬢が。

でも、決めたわ。これがあたしの結論よ。

ぶつけてもかまわんが、俺にぶつけて晴れるような鬱憤ではないだろ？
純粋に憤りを発散したいだけなら、付き合うが。

――ネリーの言葉に微笑み――

うん。あんた間違ってない。
あたしもそう思ってたよ。

あんた、良い子ね。可愛い子。

わからないけど、とりあえずこれっ！みんなで食べてほしいの！

…あ、フレディさんありがとう。でも抜け出すのとっても難しいから。来れるかわからないんです。

―熱々のピーチタルトを置くと声をかける暇もなく駆け去った―

（あ！まずい！皿洗い忘れてたじゃないのさ！マスターにばれる前にやらなきゃ…）

あ、あたし、ちょっと厨房にいるわ！
話は聞こえてるからね！

――軽く鼻をすすりあげて――
ぼ、僕もちょっとお星様ながめてくるね。
今言い合いになるとちょっと自分保つ自身ないから･･･
タルトは食べちゃってて、余ったら貰うよ。
そんなに遠くへはいかないから、気になったら窓から呼んでね。

―着替えが済ませてカウンターに立った。―

それでだ…服毒の指名だが…こいつが難しい問題だ。決めかねている。自身の死を持って俺にその正体を見せろと言っても…納得はすまい。

が…３人。　今は３人の中から絞っている。
しかしこの３人も怪しい点はあまり見当たらないのも事実だ…　もう少し時間をかけて今までの話を思い出そうと思う

占はハーヴェイ。エッタの占う先は他の同じ星の名乗りを挙げた二人から。どちらかはコーネリアスに決めてもらえばいい。

――ピーチタルトを切り分けながら考え込んでいる――
.o（マジローさん、とても辛そう。この状況では無理もないわね。誰もがエッタちゃんを疑ってる。誰を信じて良いのかわからないけど…）

――タルトがどんどんと細く切り分けられていく――

では、遠慮なくタルト手を出させてもらうとするか…


ん、マスターは今日毒を飲むのは、ヘンリエッタ以外の三名から選ぼうとしているのか？

お、おい、ローズマリー！！

―かた…と扉を開け、後ろ手でノブを掴み静かに閉めた―

…遅くなって済まない。今戻った。

話の具合はどうなっている？

ナサニエル、俺は双方放置か双方服毒の考えを持っていると書簡で飛ばしたが？

――厨房からひょいと顔を出す――

ナット？なあに？

…って、ロッテ！
タルトをみじん切りにするつもり！？

――あわててシャーロットからタルトを取り上げる――

占いにあげる相手はまだ決められん。

だが、ハーヴェイは今日は外してもいいのではないかと思う。
彼のように切れるものは、例え狼の偽装でも、違う視点や切り口を提供してくれるだろう。
占って結果をみてみたい気もするが、薬と同様、占う回数も限られているしな。

―シャーロットから今までの話を訊き―

…そうか。皆それぞれの意志で決を出している、か。
頼もしいな……未だに悩み続ける私とは大違いだ。

―ゆっくりと椅子に掛けて、す…と眼を閉じ―

だが一つ、私の結論を出してきた。
今日はヘンリエッタに……此の薬を飲んで貰おうと思っている。
…そして今後オード嬢には、薬を与えない。
今までの話を訊いて、其の思いがより一層強く為った。

。o0(コレ全部食べちまえば…)

なあ。

少し遅くなってしまいました。どなたか今までの話を教えていただけるとありがたいですわ。

――タルトをどうにかしようと眺めていたが――

…随分、細切りになったけど。
食べる？

お茶、入れてポット置いておくわね。

――タルトが取り上げられて、ようやく切り分け続けていたことに気付いて赤面し――

あ、、、ごめんなさい。

その･･･考え事をしてたら、つい･･･

――細切れをひょいひょい口にいれてゆく――

うん、うまいぞ。

服毒の希望は前も申しましたが、ヘンリエッタさんですわ。

占いの希望ですが、私はマンジローさんを挙げさせていただきたいですわ。狼の仲間は狼だと思いますの。ただ…、今日のヘンリエッタさんとのやり取りで…狼ではないのではないかという思いも同時に生まれてますの。今一番気になる方という意味で挙げさせていただきますわ。

フレディさん。少し疑問なのですが…。私とヘンリエッタさん、両方服毒ならば私からとおっしゃいましたよね？
それは、あなたの中でヘンリエッタさんが本物である可能性が高いと思ってらっしゃるのでしょうか？
でもヘンリエッタさんは教団のものだと思うとその次におっしゃってましたわ。ヘンリエッタさんが偽者でしたら私は狼ではないはずですわ。どういうことでしょうか？

―酒場の扉を考え事をしながらぼーっとあけている―

・・・・・・

―はっと我に返り―
こんばんは

教団の者である可能性が一番高い。教団の者に薬を使うかどうかは色々な考えがあると思うが、俺は決め打って節約を取る。

アンタが村人なら偽の判定を出したエッタ嬢を偽者と思って当然だろう。アンタの視点ではこれ以上確かな情報はない。

が、俺はアンタじゃない。疑って当然のことだ。

が、あんたがどう思っていようが俺からすれば全て条件節と可能性を考えねばならん。それだけだ。

逆に双方服毒になるのであれば石橋を渡って歩かせてもらう。今日決め打つか慎重にいくかだ。　

―リックに小さく挨拶を交わす―

（未来を担う小さな子達ですら…こうして在らぬ疑を掛けられ…
そして死なねば為らない刻がある…
更に手を下すのは、此の私か……とんだ偽善という物だ…
今までの思考は全て棄て、零に為らなければ駄目なのか…？）

誰を占うのか考えてて、マスターか先生占いたいなって考えた。でも、それはみんなを占えるなら良いことだけど今の状況では、してはいけないよね・・・
誰も彼も、信じられない、そして疑えない。
今になってもまだ誰を見るかきめかねてる・・・・
ヘンリエッタに服毒を進めたということは、自分にも勧めてるって事だって僕・・・理解してる。

占って狼でなければいいと考えちゃうよ・・・
僕だって死にたくない！
でも、狼を見つけなければ、食べられちゃうんだよね

――もぐもぐ――
マスター、俺は決め打つのは危険だと考える。
あくまで可能性が一番高いだけだろ？確証はねぇ。

――トビーが集会所のドアをくぐりかえってきた。すこし目元が赤い――
ただいまみんな！って、、うわ！なにこのタルト！
ななな、なにがあったの？

―トビーの声にタルトに気が付く―

あ、タルトだ、いただきます！

こんばんは、トビー君。
んと、、みんなが食べやすい様に、先生が一口サイズに切ったのよ。
ネリーさんのお手製だから味は保証付きね。

――少ししどろもどろになっている――

そこがよくわかりませんわ。教団のものには使うのは節約する。しかし村人には使ってもかまわないという風に取れますわ。
あなたの中で彼女は偽の可能性が高い。つまり私は村人である可能性が高い。それなのにまず私に服毒を勧める。
私、貴方は教団のものではないかと思い始めましたわ。

う、うんなるほど、、
確かに一口サイズだね！これなら食べやすいやシャロ先生っ！
――トビー、無理やりテンションをトップギア。何があったのか大体察したようだ――

いまだ占われていない中で気になるのは二人。ハーヴェイとトビ―だな。

ハーヴェイは、人狼が占い師と霊能者の中に二匹とも潜んでいる可能性をただ一人あげているのがひっかかる。
確かにその場合、その他の占われていない者を占うのは無意味だし危惧するのもわかる。
が、狂者二人と狼二匹がとも名乗り出た場合我らの網はかなり絞れる。そのような博打を狼が打つ可能性がどれほどあるのか？
これを言っては言いがかりが過ぎるかも知れないが、彼の言うとおりだとした場合、彼自身を含む我々から目をそらすことにもなるしな。

トビーについては、昨日のやりとり(>>234〜）で、「ヘンリエッタ嬢が偽者だという結論が先にあって、つまり我々が知りえない事を知っていて、後から理屈をつけている」のではないかと思ったよ。
ネリーやナサニエルから疑われて、怒って見せているのは、人間らしくもあるし、狼らしくもあるが。

だが、さっき言った理由でハーヴェイは一旦外す。
私の占い希望はトビーだ。

ほかの者についても思うところはあるが、正直、よくわからん。今言った二人についても、決定的に怪しいというほどの疑惑はないのだが。

すまんな、皆。
私は理屈が先に立つほうだし、今は楽しく菓子をつまむ気にはなれん。
しばらく大人しくしておこう。

ミセス、俺の中じゃエッタ嬢は本物か教団、狼はその二つより可能性は低いと考えている。

さんざん推理を述べたはずだ。

まぁ、昼間あんな口論しちゃったから注目あびてもしかたないよね。マンジローさんが僕を占いたい気分もよくわかるよ。
でも、甘いもの食べないと頭はうごかないよ？
――トビーは、パイを一切れとり、マンジローに強引にあーん――

マンジロー、うまいモノをうまいと思う心と、誰を疑うという心は、別物だぜ？

とはいえ、ムリなものはムリだよな。

まぁ…あのタイミングででた彼女を信用することができるなんて…余裕があるのね。フレディさんは。

まぁいいわ。これ以上話しても平行線。無意味ね。

>>393
今まで彷徨った村ではよくある話だな。役目を終えた能力を持つ者を吊っていく論理は。気に入らんがその手の戦略は確実な手だとは充分承知だ。

僕はナサニエルさんを見たい

理由は誰も信じられない、そして疑えないから。
ナサニエルさんなら偽者に嘘の判定を出された時、反論するだけの力があると思うんだ。
そして、その反論で他の人にも偽者が分かると思うんだよ。
マンジローさんと考えがとても似ているよね？どちらかを占えば、占わないほうも判断する材料が増えると思うんだ。だからナサニエルさんを占いたい

リック、それネリーの意見とソックリに聞こえるんだが。
反論する力？なんだそれ。

あと、お前は俺が村人確定になったらマンジローも村人だと、決め付けるのか？よくないと思うぞ。村人と同調し、綺麗に隠れる人狼だっているはずだからな。

――ヘンリエッタはシャーロットに話の内容を聞いてコーネリアスを見ている――

コーネリアス、決まったのか？
決まったら皆に聞こえるように宣言して欲しい。

言わんとするところが良くわからないな、リック。
私とそこのト……ナサニエルの意見があうのは、ヘンリエッタお嬢様が怪しい、という部分。つまり多くの意見が一致しているところだ。

それに、既に偽者の星が三名いる。ナサニエルが狼であったとしても、占われていない者と共謀できる立場にはない。
彼を占って得られるのは、彼が何者か、だけだと思うが？

……。

まあ、考えることは似たようなこって。

ネリとそっくりかぁ
そんなこと考えなかったよ。反論って出来ない人も居ると思うんだよ。もし僕が力がなく、占われる立場だったら、狼だって言われて理論立てて反論できるかって考えると出来ないなって思う。
ナサニエルさんなら今みたいに、反論するでしょ？
それを力って現したんだ。
ナサニエルさんが人間だと分かったらマンジローさんも人間と決めるつもりはない。
今占われていいない人の中に狼は一匹しか居ないわけでしょ？

――柱時計をチラッと見てからコーネリアスの方に向き直り――

コーネリアスさん。もう夜明けまであまり時間がありませんわ。決断をお任せしてしまうのは申し訳ありませんが、コーネリアスさんだけが背負う事ではなく、私たち全員の決断と思っておりますわ。

―ヘンリエッタを見ると、すっと眼を細めた―

ああ…決まった。
悪いが、ヘンリエッタの要望は呑めぬ…今日は貴方に薬を与える。
貴方自身が手に取る必要はない…私が飲ませよう。
…貴方が死ぬのでは無く、私が殺す。

占術の対象は…ハーヴェイ、お前にしたい。
…私が死んだ刻の為の後釜として、だ。
喩え結果が人と認められずとも、お前の事は信じている…
本来ならば人狼と思う者を探るべきだとは思うが…
この侭私が死んで仕舞えば、皆は更なる闇へ堕ちる。
其れだけは避けたいのでな……

…強い不満が在る者は私に述べてくれ。

リック、お前だって偽者だって言われたら遠慮なく反論するだろ。ボクは本物だよ！って。
それと同じことだろ。

―扉を静かに押し開けた―
只今戻りました…。皆さんお揃いでしょうか。

―シャーロットに話を聞いている―

コーネリアスさん。私は異存ありませんわ。

実のところ、もう決心なさっているのしょうね。

――コーネリアスの決定を聞いてヘンリエッタはゆっくりと立ち上がり、
何かの呪文を唱えると左手の掌から古びた剣が姿を現した――
私を殺すと言うのか…神の子よ。
しかも、私は星ではないと断言した決定か…
悪いけど最後の仕事をしてくる。必ず戻ってくる。
不安なら付いてきても構わんぞ…

―苦笑しつつ―

ほんと、二人って似てるね
僕が言いたいのはどちらかが狼じゃないかなって事だよ
狼が村人に同調するなら、二人のどちらか。
って可能性があると考えたんだよ

――コーネリアスの言葉に頷いた――


。o0(後釜、俺じゃ不満なのか？正直ハーヴェイの話はちっともわからんのだがな)

…コーネリアス、お前が私を殺してくれるのならば異論は無い。
本来ならば自分で命を絶とうと思っていたが…
神の子のお前ならば他の人間に飲まされるよりは許せる。

うわっ！エッタなにそれ手品！？

――ヘンリエッタは酒場から姿を消し闇夜へと消えた。
彼女の左手に握られている剣は月の神官家の秘宝であり、神殺剣とも恐れられてる宿り木の剣（ミストルテイン）――

トビー君お返事有難うございます…カマトトだなんて…私を幾つだとお思いですか？
言葉はその言葉尻一つで大きく意図を変えてしまいます…私が貴方に分からないといった言葉に嘘や罠はありませんよ…。私は気になる言葉には罠なぞ仕掛けずに堂々と聞きます。

ヘンリエッタさん……

トビー、手品というか。
すでに服に隠していて腕から出しただけなのにな…
せめて、村のためになる事をしたい。
怪しいと思うなら付いて来い。

ヘンリエッタ……貴方を殺す理由を述べておこう。
…其れを訊かずに死ぬのは腑に落ちんだろうからな。

初めはオード嬢とヘンリエッタ…二人に死んで貰うつもりだった。
だが、フレディの言葉で私は貴方の殺害を決め込んだ。
"両者の服毒"か"両者の生存"…そして"それ以外の3人"。
…何故この様に彼が言えるのか、些か疑問だった。
ヘンリエッタ…私は貴方を教団の手先と思っている。
そして同時にオード嬢は勿論人間だとも…。

フレディの言葉が、仲間を識る者が故の言葉に聞こえた…
そして其れが出来るのは人狼のみ…だから、先ずは貴方から殺す。
成り行き次第では、フレディにも死んで貰う事に為るやも知れぬ。

ちょっとしたおせっかいだよ。見ていると良い。
――ヘンリエッタは村でも景色の良い丘へとやってきた。
いつもは良い景色が見えるこの丘も、今では雨雲が漂っていて景色が良く見えない。
彼女は呪文を唱えると剣が光り輝き、村を覆っていた雨雲が取れた！
そして、彼女は剣を天空へ向かって投げた。
剣は役目を終えたのを分かっていたかのように天へと消えていった…――

仕事は終わった…
いつまでも暗雲の中でこんな事件と向き合っていたら気が滅入るだろう。
これで明日からしばらくは雲には覆われないだろう。
私が村に残せるのは私以外の人間の明日を生きる権利と快晴の日常くらいだ。

――激しい風に負けないように少し大声でエッタに話しかける――
や、怪しいとか逃げるとか思ってないけど！きになってさ。これからなにをするの。ひょっとして魔法？

うわ。もろ魔法！？魔法じゃないいまの？
なんだったのあの剣？

――ヘンリエッタはトビーの方を振り向いて――

トビー、ついてきていたのか…
私の気持ち、聞いて欲しい。

魔法？
そうだな…月の神官としての最後の力かな。
占い師の力とは無関係だ。
これを私の身で使ったら長生きはできないだろうほどの禁呪だけどな。
どうせ、死ぬ身だ。気にするな。

…。

―静かに丘の上を眺めた。―

――途中まで追っていたが、空の様子を見て息を呑み――

…凄いわね。世の中は謎に満ちてるわ。
子供の方が、色んな事を知ってるのかしら。

トビアスが追っていたし…。
あたしはあたしのすべき事をするか。

――酒場に踵を返すと、占う相手を聞き、頷いた――

トビー、聞いて欲しい。
私はトビーにあこがれていたんだよ。
トビーのようになりたいといつも思っていた。

…もうどうでもよいか。
酒場へ戻るぞ。

――帰り道でエッタを追いかけながら話しかける――
そんな、照れるな・・・
僕はエッタがうらやましいよ。守りたい人を守る力を持ってるじゃん。僕はただの子供、羊の世話をするぐらいしかできないからさ。。

――ヘンリエッタは酒場のドアをあけ、コーネリアスに決定の理由を聞いた――
私を殺しオードリーを人間と見ること自体が致命的な間違いだが、決意は変わらないんだな。
そうだな…すでに村人は私を信じる気など全くないのだろうけど、
２つだけこの事件について言わせて欲しい。

１つ目は私のことだ。
私は真の星だ。それを偽と断定して以後もオードリーを人間と決め付けて放置するようだが、
必ず村は滅亡する事となる。
オードリーは人狼だ。コーネリアス…その選択は村を滅亡に導く決定的な選択肢を選んだと言う事を自覚せよ。

２つ目は、シャーロット＝パーシヴァル。
彼女は人間だ。信者でも人狼でもないと保証する。
占い師の力を使うまでも無く彼女は無実の人間だと断言できるのです…
彼女は…帝国の息のかかった存在なのです。人狼でもディアネの子ら教団のものでもありません。
ルーサー牧師とつながっていて、帝国軍を村の境近くまで呼び出したのですから…

もし、シャーロットに危害を加えるような事があれば帝国軍はすぐにでも突入してこの村は滅亡するでしょう。
人狼よ、命が惜しければシャーロットに牙をかけないことだな。
シャーロットが死ねば、人狼、人間…この村にある全ての生命の無事は保障されないだろう。

―酒場の窓辺で呟く様に―

僕は村のためにがんばる・・・
見つけ出して、平和を取り戻すんだ

以上だな…最期のお願い聞いてくれるか？
私が眠りに付くまで、トビー、前に聞かせてもらって羊飼いの歌を聞かせてくれないか？
その歌を聞きながらなら永遠の眠りにつくのも怖くないと思うからな。
是非、聞かせて欲しい。

うん。わかった。リクエストに応えるよ。

エッタのように強い使命を持って毅然としてなすべきことをやってのけられる人って大人にもそうそういないよ。世界が環のように繰り返すならエッタは次の世ではきっと世界を震わせるような凄いことをやってのけると思う。

――トビーは、朗々と羊飼いの歌を歌いだした――

――少しだけ苦笑混じりに――

エッタちゃん………

よく調べたわね。
でも、売った、と言うのは正確じゃないわ。
が、その言い訳は後にしましょう。

こんな事でもなければ、あるいは貴女がローウェイ伯のご息女でなければ、もっと仲良くなれたかも知れないわね。

では、コーネリアス、飲ませてくれ…
準備は終わっているのだろう。

ローウェイ家は滅亡だ。
神の子が幕を引いてくれるなら悪くない。

私には、真実など何一つ見えない……
だが貴方の告げた言葉が真の物かを信ずる事も出来ない。
…私の心は常に迷いを抱え、陽炎で覆われている。

しかし其れでも…決断の刻は他者と等しく迫る。
…そして私は此の聖印の下、動かねば為らない……。
喩えどの様な方向だとしても…導かなければ為らないのだ。

許せ、ヘンリエッタよ…。

―小瓶を手に取り、物音を立てずに椅子から起きた―

――牧杖のリズムが加わり、羊飼いの歌はすこし調子を変える。なだらかに続く丘陵のように、ゆっくりとメロディーは流れる。トビーのすこし哀しげな高い声にのせて――

――コーネリアスはヘンリエッタにすでに分けてある小瓶の中身を飲ませた――

―ヘンリエッタの首を抱え、口を上に向けさせる―

…この薬が、果たしてどの様に作用するかは解らぬ。
苦しければ其の力果てる迄私を傷つけよ…。
貴方の息が絶える迄、傍を離れる事はしない。

…ごちそうさま、コーネリアス。大儀であった。
下がってよいぞ。

――コーネリアスが薬をヘンリエッタに飲ませて約３０秒後、
ヘンリエッタはゆっくりとテーブルへ倒れ寝息を立て始めた…
その寝息は序々に弱くなり…薬を飲んで約一分後、彼女の呼吸は安らかに停止した。――

―グラスの残りの酒を開けると椅子に座った―

では…俺も今から俺は死ぬとするか。

――こうして薬の効果は見事に証明された…――

すぐに戻るが…　俺の身体には絶対触らないでくれ。
帰ってくる場所がわからなくなるのでな。

しかしコイツはいつも慣れんな……。

……夜明けまで休ませて貰う。

ヘンリエッタさん……。

―眠るヘンリエッタの寝顔を見て、やりきれなさそうに呟いた―

――目に涙を浮かべてヘンリエッタをじっと見つめながら――
さようなら、ヘンリエッタ＝ローウェイ。

私は貴女が人狼だと確信して手を汚す。
そうでなくては、この村の人達みんなを守れないから。

だから………

ごめん……ごめん………ごめん

――シャーロットは泣き崩れた――

――羊飼いの歌は静かなフレーズのリフレインになっていた。少しずつ弱く弱く声量を落としつつリフレインは終わりへと流れ続ける――

―ヘンリエッタの死に様を見て―

僕も役目を終えたら・・・

―小さく震えている―

それじゃ行くか………

―静かに目を閉じ…そして動かなくなった―

――目を閉じて祈る――

――俯きながら――
私は…あなたを狼だと思っている。でも…でもどうして…こんなに…かなし…。

――あとはもう言葉にならなかった――

貴方が…私達の敵で在ったとしても……
其の心に敬意を表しよう…

…小さく、儚い命よ……