人狼審問

[小さな声でささやく]
…誰か来ます。
扉の前に来たら銃撃します。
いいですね…？
[そういうと撃鉄を起こした]

どうやら、今日も集会所で死体が転がることになりそうだ。

出てきてもいいぞ、ステラ。

やはりターゲットはヴィンセントか。
きっとまだ集会室にいるはずだ。戻るぞ。

[先に立って歩き出す。]

[メイはラッセルが誰かに話し掛けているのに気付き、後ろを確認してから扉を閉めるとラッセルのそばに駆け寄った。]

[ヴィンセントは、静かに応えた。]
私ではないな。

ギルバートさん、待って。
集会室に入る前に、誰か居ないか確認を……。

わかりましたわ……。
なんだか、安心したような複雑な気持ちですわ。
集会場で……、ですか……。

……今夜は一体、誰が……。

[メイに手を引かれていたリックは、そこでヴィンセントのほうに歩み寄り、場にそぐわない口調で語りかけた。]

先生…、ウェンディは…大丈夫みたいですか？

さてな……。
だが、どうやら今夜も人狼を殺せないようだ。

ヴィンセントとラッセル組か…

どうするシャーロット、ここからなら狙い撃ちできるか？

……双子か。
[ヴィンセントは、紅茶のカップをリックに手渡した。]
この紅茶の温かみ、君の手に伝わるかい？どうだい？

[ミッキーは集会場の割れた窓の外から、ひそかに中を見ていた。]

ふん・・・。アイツらは、医者狙いか・・。
他の奴らはどこにいったんだ？･･･死ぬのが恐くて、どこかに潜んでいるのか・・。

僕は、気に食わないやつを殺す・・・。
そう、僕は、気に食わないヤツなら、誰でも良いんだ・・・。
それに、ソイツが人狼じゃなければ殺さなければ良い・・。クヒヒハハ・・・。そうなんだよ、このゲームは殺さなければいいんだ・・。
結果的に死ななければいい・・・。

[ミッキーは、標的を変更して歩き出した。･･･次の標的は、ステラ。]

・・・アイツも、気に食わない。

今夜も……？
……いつになったら、この悪夢は終わるのでしょうか……。

[リックはカップを両手で受け取ると、しばし硬直した。]

・・・あったかい…

ここから狙撃するにはテーブルが邪魔ですね。
……中で、何か話し合いが？
ギルバートさんは、ヴィンセントと台所で何か話ましたか？

人狼を殺すまで終わらんな。
つまり、当分終わらんな。

[ヴィンセントは、反応の鈍いリックを悲しげに見つめて、診察カバンの中から聴診器を取り出し、耳にかけて毛布の中をまさぐった。]
そうか……。そうだね。では、私の頬に触ってみて……。
温もりはあるかな？
[ヴィンセントは、リックの手を取って、自らの頬に当てた。]

…どうします？
このまま待ちますか？
それとも…そろそろ出ますか？

俺か？ヴィンセントが仲間になるかどうか誘ってみたんだけど、微妙な返事だったな…

今でも大勢に囲まれて悠然としてるし、よく分からない奴だ…

[リックは、ヴィンセントの頬を両手で挟みながら、ややあって頷いた。]

…少し待った方がいいんじゃないかな? どうも状況が良く分からない。

……うぅ。辛い、ですわね。
こんな状況に何日も置かれたら……、精神がやられてしまいそうで怖いですわ。

先生…。解ったよ。

[リックはヴィンセントに背を向けると、黙って集会所の出口に向かった。]

……リック。ウエンディの頬に触れて。
……勇気を出して、先生に本当の事を言うんだ。
[ヴィンセントは、リックの瞳をみつめた。]
ウエンディの頬は……。ウエンディの頬はどうだい？

人間は、どんな状況にも慣れるものだ。
慣れる前に死ぬなよ、ステラ。

………。

リック･･･。
ラッセル。リックと一緒に行こう。
ヴィンセント先生。････ありがとう。
[メイはヴィンセントに頭を下げた。]

[立ち止まり、振り向く。]

ウェンディは死んだんだ！！
この中の誰かが殺したんだろ！！！
解ったよ！！

こんな状況に慣れるのも、それはそれで辛いですけれど……。
……、ヘンリエッタさんに、そう言って貰えて嬉しいですわ。

[マンジローは、ホールから聞こえてきたリックの叫び声に身を硬くした。]

ウェンディが…死ん…だ？

……そうですか。
[シャーロットは、過去の記憶の苦痛に顔を少し歪ませた。]

あの部屋の窓から外へ出て、東側へ回り込みましょう。
外部からの方が、狙いがつけやすいかと。
石かなにかで窓を割っていただければ、私がすぐ狙撃します。
[シャーロットは囁くと、右隣の部屋へとギルバートを誘導した。]

はやくここから出なさい。安全な場所に行くんだ。
リック。ウェンディも連れて行ってあげなさい。

[カミーラは、マンジローの言葉に頷いた。]

ああ… 今日の犠牲者はウェンディだったらしいよ。

分かった。その作戦でいこう。
俺が石を投げつけて窓を割る。
その後は頼むぞ。

[窓の縁に足を掛けて、シャーロットの手を引く。]

リック。
誰が人狼だと思う？僕はヴィンセントさんだと、ずっと思ってたんだ。
でも……。

[まわりの意見を確認すると再び待機の状態に入る]
…後で説明しますが、そのようです。
テレビで放送されてましたから…

[ミッキーは、２０メートルほど離れた場所にステラとヘンリエッタと見つけだして哂い、棍棒を横に構えてゆっくりと歩き出した。]

クヒヒハハ・・・。見つけた、見つけたぞ！
まずはあの邪魔なガキのほうからだ・・・！

[メイはブーメランを仕舞うとウェンディの包まった毛布を受け取った。]
行こう。二人とも。先生は････違う気がするよ。

ステラ、隠れていろ。
誰か来る。

先生じゃないと思う…。でも誰が人狼か…それはわからない。でも絶対見つけて…ころしてやる。

[先に庭に飛び降り、シャーロットが怪我をしないように気をつけながら、手を引く。]

よし、君はあっちの草むらで待っていてくれ。
俺はもう少し窓に近寄ってから、石を投げつけて地面に伏せる。

ヴィンセントを狙撃した後は、俺が窓から突入してとどめを刺す。
これでいいな？

わ、わかりました……。
[ヘンリエッタの言葉に頷き、さっきまでいた物陰にさっと身を隠した。]

[マンジローは、今すぐ飛び出していってリックを助けてやりたい衝動を必死で抑えた…]

リック…気を強く持てよ…。

わかった。
ヴィンセントさん、すみません。
[一礼したあと、電気の消えた廊下に歩き出す。]

何たら家のガキか・・。僕は、お前のように気取ってるヤツも、嫌いだ・・。

うぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお！

[ミッキーは、棍棒を構えて一気に走り出し、ヘンリエッタに向けて棍棒を横薙ぎに払い、先制攻撃を仕掛けた。]

……っと。

デブ。お前か。
ふふん。

ラッセル?
こっちへきて。
メイは手が塞がってるんだよ。
誰がリックを守るの？

……ありがとう。でも、出来れば一撃で……。
私は、ヴィンセントさんのソファが正面にみえる、集会所の東窓の手前の壁まで行きます。

[シャーロットはクロスボウの状態を確認し、ギルバートに頷くと、すばやく壁伝いに移動した。]

[鉄パイプをカラカラと音をさせ引きずりながらながら、一つ目の部屋の扉を蹴破る]

死にたいのか？
その棒切れで、私を殺せるとでも？

…行きます。指定された時刻は残り少ないです。
クインジー、フォローお願いします。
[そういうと扉を蹴破る音に反応して扉から外に飛び出す]

ふん･･･ッ。
お前のような、蔑まれる事を知らないヤツが・・！
ただのガキの、クセに・・っ！

[ミッキーは大振りに右上段から棍棒を振り下ろしたがまたハズレ、何度も棍棒を振り回した。]

クソ・・・クソ・・・クソ・・・っ！
邪魔だ、俺はお前と一緒に居た女を殺すつもりだ・・。お前とは直接関係ないだろう？ドケェェッ！

[ミッキーは叫びながら、また横に棍棒をなぎ払った。]

[ギルバートは体を丸めながら窓に近寄り、手頃な石を拾う。]

ふう、緊張するな。
後は運次第だ。行くぞ。

！！！！

[廊下に出たとき、人影を視認すると迷わず胴体に向けて拳銃を撃った。
拳銃の発射音が集会所の空気を振るわせる]

ステラに手を出すつもりか。


……ならば、死ね。

[ヴィンセントは、ドアを蹴破る音を聞き、はっとしてカップをテーブルに置いた。]
何をしようというんだ！

ルーーーサーーーー！！
トビーの仇だ！！
[そう叫ぶと、鉄パイプを振り下ろした]

[拳銃の音と同時に、派手な音を立てて窓ガラスが崩れ落ちる。]

今だ！！

[そう叫ぶと、身を伏せた。]

【ヘンリエッタはミッキーの頭部めがけてマルケスを投げ放つと、同時に大きく踏み込んで蛇腹剣を鞭のようにしならせた。マルケスの翼に視界を遮られたミッキーは、抗う術もなく蛇腹剣に足首を絡めとられた。】

[シャーロットは、東窓の正面に立ち、スコープでヴィンセントの喉元に焦点を定めると、クロスボウから矢を放った。]

[左手に持っていた懐中電灯でラッセルを照らし出す]
君か…
悪く思うなよ…
[そういうとラッセルの頭部に銃口を向ける]

死ね、ミッキー。
短い人生だったな。

クソ･･･放せ、このガキィ！
何でお前はあの女を庇うんだ？何でお前はあの女を信じれるんだ？
あの赤毛とかもそうだ・・・。ナンデ、オマエラは信じれるんだ？

クソ･･･ッ。クソ･･･ッ。

放せぇぇぇぇぇぇぇええええええ！！

哀れだな、ミッキー。
天国で好きなだけ喰え。

[ヴィンセントは、ガラスの割れる音を聞いて、反射的にそちらを見た。何かが頬をかすめていくのを感じ、身をこわばらせた。]
！
[ガラス窓の向こうに、ボウガンを構えたシャーロットの姿を確認する。]

[腹を押さえながら、ぬらりと立ち上がる]
くっ……。

銃声……？

誰か死んだか？

ヴィンセントさん、死んでください。

[シャーロットはもう一度矢を装填し直し、ヴィンセントを再び狙う。]

……いや、花火が上がらない。


やはり、今夜死ぬのはお前だ。ミッキー。

[メイはウェンディを置いてラッセルの方に走った。]
ラッセル！メイを置いていかないで！

…いい気迫だよ。
どうやら別の場所でカタがつくらしいな。
君だとわかっていれば最初から頭部を狙ったんだが、運がいいな…
君には明日を生きる資格があるようだ。
[ラッセルにそういうと銃を下ろした]

どういうことだ！あなたは！

[後ろを振り返る。シャーロットは次の弾を装填し、狙いを定めている。
一瞬迷ったが、立ち上がって窓に突っ込む。]

うおおおおおお！！！

[片手を掛け、ひらりと窓枠を飛び越える。]

クソ･･･ッ。クソ･･･ッ。
お前らは、何で、人を信じれるんだ・・・

[ミッキーは無様によろめきながら、ヘンリエッタから全力で逃げ出そうと走り出した。]

[銃を降ろしたルーサーに突っ込み、渾身の力を込めて鉄パイプを振り下ろす]

落ち着け、ステラ。
私もミッキーも死んでいない。

[流れ者 ギルバートは、雄叫びを上げながら、素手で持った剣でヴィンセントに突きを放った。]

クソ･･･ッ。クソ･･･ッ。クソ･･･ッ。
コロシテヤル・・・。コロシテヤル･･･ッ。

[シャーロットの青い瞳は、割れたガラス越しにヴィンセントを見据え、冷たく輝いている。]

人狼よりも、政府の人間に先に死を……。

[シャーロットは、今度はヴィンセントの心臓を狙い、矢を放った。]

…っ、ギルバートさん？

げほっ。
ルーーーーサーーー！
なぜ僕なら、頭を狙うんだ？
別の場所？

シャーロットの言った通り、政府の回し者という事なんだな？

[ギルバートの剣の切っ先が、ヴィンセントの脇腹をかすめて、鈍い金属音をたてる。]
く！
[ヴィンセントはバランスを崩して、その場に倒れた。]

……っ、よ、良かった……ですわっ。
ヘンリエッタさんに何かあったら……あったら……っ。
[ステラは静かに泣き出した。]

泣いているヒマはない。
誰が誰を殺すか、見届ける必要がある。

[メイはラッセルに気付いてルーサーの手を狙ってブーメランを投げつけた。]
ラッセル！

[次の瞬間、激しい痛みがギルバートを襲い、思わず剣を落とした。右肩に手を当てると、矢が突き刺さっている。]

うっ…

[バランスを崩して膝を落とす。]

[ヴィンセントは思わずポケットに手を突っ込んだ。昼に自警団の詰め所で拾ったビスケットの缶が触れる。]
なんてこった。
[ヴィンセントは、窓の外のシャーロットに視線を向けた。]

ごめんなさいっ！

[シャーロットは、クロスボウを一旦投げ捨てると、矢だけを握り、ギルバートの方へ走りよった。]

[振り下ろされた鉄パイプを左腕で受ける。左腕の骨にヒビが入るのを自覚しながらラッセルの動きを止めた]

怒りのあまり冷静さが足りないのだよ。
疑問があるなら…夜が明けた時に聞きに来るんだなっ！
[そう言い放つとラッセルを突き飛ばした]

ぐぁっ。
疑問だと？
ルーサーに朝は来ない！
今夜殺す！！

あなたは、私を殺すつもりだったのか？
あなたは教授の協力者か？
[ヴィンセントの表情は、暗く凍り付いている。]

ラッセル！
無茶だよ！
やめて！？
[メイはラッセルを押さえ込んだ。]

[その言葉に、動きを止める。]

教授…？協力者…？
何の事だ…？

[メイが投げたブーメランが壁に当たって落ちるのを見届けた]
状況に合った武器ではないな…
誰かを殺さないと夜が明けない。
今、二人で明日を迎えたいと願うなら私の邪魔をしないでもらおうか。
今日死ぬべきは君達ではないのだからな…
[そういうと開いた扉の向こうに見えるヴィンセントに銃口を向けた]

メイ。
僕はもう、誰も殺させたくないんだ！！
[メイを振りほどいて、ルーサーに突っ込む]

彼女は私を訪ねてこの島に来た。
私は、彼女が訪ねて来ることなど、知らなかった。
彼女は、人狼プロジェクトを生き残った後、私がかつて師事した研究者の治療を受けていたそうだ……。
教えてくれないか、これは一体どういう茶番だ。一体何をしようとしているんだ！

違う！
……ヴィンセント、あなたの方こそ！

[ヴィンセントは背中に衝撃を感じ次の瞬間、頬に痛みを感じた。床に倒れている自分に気覚くには、ほんの少し間があった。]

医師を撃ってしまったか。
まだ情報を引き出せそうなものを……。

[ギルバートが口を開きかけた瞬間、操り人形のようにヴィンセントが崩れ落ちる。]

[シャーロットは青ざめ、囁くような低い声で、言葉を続けた。]

ヴィンセント。
あなたが、今回の人狼プロジェクトの生体データを集めている、政府の人間その人……ではないの？

[カミーラは、新たな銃声を聞いてドアから飛び出しそうになったが、すんでのところで思い留まった。]

ラッセル！
お腹怪我してるじゃない！
だめ、だめだよ･･･。
[メイはラッセルにしがみついて泣いている。]

ヴィンセント！！！

[さっきまで殺そうとしていた事も忘れ、駆け寄って抱え起こそうとする。]

[渾身の力を込めて、ヴィンセントは仰向けになる。牧師の顔が視界に入るが、視界は徐々に暗くなっていく。]
教授。……やってくれるな。
[ヴィンセントは全てを諦めて、ゆっくりと瞳を閉じた。]

[メイがラッセルにしがみつく所を横目でみつつ余裕を持って後ろに下がる]
すでに終わっている…

[ルーサーが人を撃つところを目撃した上、ヴィンセントが倒れ、その目が閉じられる瞬間まではっきりと目で見てしまい、ステラはその場にふらっと倒れた。]

[ミッキーは洞窟に向かう途中で森の中で花火が上がる音を聞いて立ち止まり、花火の方を向いて毒づいた。]

誰か、死んだか･･･。
誰だろうと、僕には関係ない・・。僕は、アイツを殺す・・。クソ・・・僕には、武器がない・・。何か、武器を探すんだ・・。
クソ･･･あのガキを、殺す・・・。何か、何か武器だ・・。
こんなフォークじゃ、勝てない･･･ッ。

あぁあああああああああああ！！！！！！

駄目だ…死んでる…

ちくしょう！！
どうして俺達は傷付き、殺し合わなければならないんだ。
人狼め、今すぐ出て来い！！俺が相手してやる！！

[ギルバートは、両拳を床に叩き付けた。]

[結果を確認すると振り向いてそのままマンジローたちの待つ部屋に戻って行った]

ステラ……？

大丈夫か？

……分からない。
ヴィンセントが、どちらだったのか…分からない。
もしかして、彼もこのプロジェクトの犠牲者にしか過ぎなかったというの？

[花火の音がやけに小さく聞こえる。腹部の痛みに気を失う前に、ちいさく呻く]

どこまで……僕らは監視されているんだ………。

[ドサリと崩れ落ちる]

……それに、ルーサー。
ヴィンセントの口を塞ぐように、銃を放ったあの人は一体……。

[シャーロットは、肩を押さえうめいているギルバートに、慌ててかけよった。]

動かしては駄目……。

[毛布に包まれたウェンディを抱えていたリックは、ルーサーの顔を心に刻み付けた。]

…あいつ…先生まで殺した…。

[部屋に戻ってくると残っていた３人に言葉をかける]
…すみません、添え木になるようなものと包帯の代用品をお願いします。
少し甘く見すぎていたのかもしれませんね…
[そういうと左腕の袖をめくり上げる]

[カミーラは、ルーサーの腕を見ると、無言で添木を探しはじめた。]

うっ、すまんシャーロット。
どうやら足手まといになってしまったみたいだな。

あつつ…

[シャーロットの膝の上に頭を落とす。]

[添木を探していたカミーラは、ふと自分の荷物に目をやった。そういえば、あの中には… ]

ルーサー、今日死んだのは誰なんだい?

添え木か…これが手頃でしょう。

[マンジローは壁に掛かった額縁を床に叩きつけた…が、力が足りず、額は壊れない]

…すまん、クインジー頼む。

[クインジーは頷くと額縁を叩き割り、その縁木をルーサーの左腕に添えた]

ステラ、立て！

こんな所で寝ている場合か！

ラッセル！？
ヴィンセントさんが死んじゃったからメイがどうにかしないと。
[メイはラッセルを集会所まで引きずると、傷の具合を調べ始めた。]
よかった･･･。わき腹を掠めただけだね。
薬草と包帯を巻いておけばよくなると思う･･･。

今日死んだのはヴィンセントだよ。
殺したのは私だ。
[添え木を当てられ包帯を巻かれた腕を確認する]

…うむ、大丈夫だな。まだ戦える。
とりあえず休もう。
マンジローが動けるようになれば状況は好転する。
今日は…少し…疲れたよ…。休ませてもらうよ…
[そういうと隣の部屋のほうに歩いていこうとする]

[メイは傷の手当てをしながら考えている]
どうして･･･ルーサーはメイやラッセルを殺さないでヴィンセントさんを殺したの･･･?

こういう時には、さすがに大人の力が必要か。

仕方ない……。

ステラを集会所に入れたい。
手を貸せ。

……矢がささったまま、腕を動かすから…。
無茶すぎます……。

[シャーロットは、ギルバートの体を抱え込むような体勢で、そっと右肩に触れた。]

あつっ…！

[ギルバートは、人目もはばからず大声で呻いた。]

[マンジローは、ルーサーが…そして後を追うようにクインジーが部屋を出て行くと、ベッドの端に座り込んだ。]

…この程度の運動でも、まだつらい…か。
体が重い…。

[カミーラは、マンジローの横にちょこんと座った。]

まだ無理しない方がいいよ。今晩はゆっくり寝て、明日に備えよう。

…そうだな。
だがその前に…

[マンジローはバツが悪そうにカミーラを見て言った。]

こんな時になんだが…腹が減って死にそうだ…

……私の所為で、ごめんなさい。本当にごめんなさい。

でも、この矢を…なんとか摘出しなくては。
痛むと思いますが、我慢してくださいね？

[シャーロットは慌てて手を離すと、ギルバートをゆっくりと座らせ、さとすように瞳を覗き込んだ。]

うん？
ステラさんがどうかしたの？

気を失ったまま動かないんだ。
私の力ではどうにもならない。
手を貸せ。

[ミッキーは洞窟にたどり着いて水を一気に飲み干すと、奥に寝転がった。]

クソ･･･僕には、武器がない・・。どこかで、武器を得ないとダメだな・・。

あのガキを、コロシテヤル・・。僕が、コロシテヤル・・・。　ボクガ　コロシテヤル　・・・。

[ミッキーは、もう手段が目的になっていることに気がついてなかったが、そのままブツブツと呟き続けて眠りだした。]

ああ、お願いするよ…
なるべく痛くないように、一瞬でな。

[目を閉じて苦しそうだ。]

[カミーラは、にっこり笑った。]

じゃ、水を取ってくるよ。携帯食料は今日の分があるし…

[カミーラはリュックから携帯食料を取り出してベッドの上に置くと、部屋を出て厨房に向かった。]

私は足を持つ。
メイは脇に腕を入れて持ち上げてくれ。

…すまない。

しかし…食欲があるのは回復しつつある兆しとはいえ…
俺の神経も、だいぶ麻痺している…か。

分かったよ。
[メイはステラの腕を持ち上げて運び始めた。]
なんで･･･ステラは気絶したの？

目の前で人が死んだせい……だろうな。

ともあれ、助かった。礼を言う。

[カミーラは、集会場に足を踏み入れた。集会場は酷い有様だった。怪我人とそれを介抱するもの、そして放置された死体… カミーラは目を背けると、厨房に入って白湯を汲んだ。]

……大丈夫。
痛むけど、時間はかからないはずよ。

[シャーロットはソファの下に転がっていたヴィンセントの鞄から、消毒薬と包帯を取り出し、ナイフを消毒した。]

目を開けて……。

水… 持ってきたよ…

[カミーラは伏し目がちにそう言うと、マンジローにグラスを手渡し、水差しから水を注いだ。]

[マンジローは礼を言ってグラスを受け取ると、カミーラの顔色を見て尋ねた]

…そんなに酷い…有様なの…か？

ああ… みんな、部屋の真ん中に転がっている死体も目に入らないような状態だよ。怪我人も多かったみたいだ…

[カミーラは、自分のグラスに水を注いだ。]

うん、ヘンリエッタさん、別にいいけど･･･。
ヴィンセント先生･･･。
[メイはヴィンセントを集会所の隅まで運んだ。]
あれ・・・？これは･･･。
[メイはヴィンセントの上着からピストルを見つけた。]
ヴィンセントさん･･･ごめんね。使わせてもらうよ。

[マンジローは水を一気に飲み干すと、ポツリと呟いた…]

カミーラ…お前だけは…いや…
俺たち二人…必ず…生き残るぞ…

シャーロット…

【ヘンリエッタはステラをベッドに横たえると、気力が尽きたようにその傍らに倒れこんだ。】

[カミーラはマンジローの瞳を覗き込んで、こくりと頷いた。]

ん… 二人で帰ろう。元の世界に。

[マンジローはカミーラを愛しげに抱き寄せると、そっと唇を重ねてから耳元で囁いた…]

…その為にも、早く体力を戻さないとな。
さぁ…もう寝よう。

それに…

[マンジローは赤面し、口篭りながら続けた…]

それに…早く…お前を抱きたい…しな…。

ありがとう…

今日は外に行くのは無理だと思う。。
部屋に戻ろう。

そうだね、もう寝よっか。

[カミーラは、マンジローを先にベッドに横たえて毛布を掛けると、自らもその傍らに滑り込んだ。]

[カミーラは頬を染め、マンジローの胸に頬を寄せた。]

ん、あたしもだよ…

[シャーロットに支えられて、ベッドに横たわる。]

うう、ズキズキ痛む。痛み止めがあればいいんだが…

果たしてヴィンセントは人狼だったんだろうか？
いつこの悪夢が終わるのか…

[リュックから取り出した小さな白い錠剤を渡して、]
生理痛用なので効果は弱いと思いますが、せめてこれを……。
今夜は熱がでるかもしれませんね……。

[シャーロットは、明日以降の事を考え、胸が締め付けられるような苦しい気持ちになってしまった。]

ヴィンセントの正体以前に、人狼を倒すだけでは……。

[メイは集会所に戻ってきて呟いた。]
今日はラッセル動かせないね。リックも途中で寝ちゃったし･･･。ここで寝よう。
[背中で寝ているリックをおろして毛布をかけた。]
今日は二人で寝ようね。

[ギルバートは、シャーロットの最後の言葉の意味が分からなかったが、今は痛みを消す事が最優先だと考えた。]

ありがとう。水をもらえるかな？

[胸の痛みで意識が戻る]

ぐっ……。はぁはぁ……。

[急に飛び起き辺りを伺うが、痛みに顔をしかめよろける。]

うん。出来る範囲で、だけど･･･。
ヴィンセントさんが･･･殺されたから。
明日は熱が出るかも。お休み、ラッセル。

メイ。何も言わずについて来てくれ。
ヴィンセントさんを埋葬するのを手伝って欲しい。
[血にまみれたヴィンセントを担ぎ上げ、よろよろと外に出て丘の上に向かう]

[丘の上でヴィンセントを埋葬し終わると、周囲をうかがいながら、小さな声でメイに囁く]

メイ。これを着てくれ。

[そういって、おもむろに服を脱ぎ出し、防弾チョッキをメイに差し出す]

僕がこれを着ていたことは、皆にバレてしまった。
もうこれは、役には立たないんだ。
だから……メイ。

君が着るんだ。

ウェンディは銃を持っていたと言ってたね？それでも人狼には役に立たなかった。このチョッキも、人狼の役には立たないだろう。でも、人間の撃った銃には効果がある。
ウェンディの本物の銃を、誰が持っているか分らないが、メイの身を護ってくれるはずだ。

もう、眠った方がいいわ……。
[そう言ったシャーロットは、室内に椅子が無かったため、ギルバートの左隣に身を横たえることにした。]

…………。

どうした…？

……私の所為でこんなに熱が。

[そう言いながら、シャーロットは、包帯部分を除いて何も身に付けていないギルバートの胸をなぞった。]

[しばらくメイと話し合った後]

……これでいい。集会場に戻ろう。

[ホールに戻ると、リックを囲むように座り眠る事にした]

ごめんなさい……。
[シャーロットは、また涙をこぼしながら、ギルバートの残りの衣服を優しく脱がせた。]

シャーロット……いいのか？

[日頃の純真可憐な様子とは打って変わったシャーロットに、少し戸惑いを感じている。]

[ギルバートは、優しくシャーロットの服を脱がせた。
月明かりに細身のシルエットが浮かび上がる。]

きれいだよ…

[そう言って、もう一度キスをした。]

[シャーロットは頬笑んでキスを受け止めると、ギルバートの左手を自らの胸元に導きながら、そのままギルバートの上に覆いかぶさった。]

[ギルバートは少し驚いたが、すぐに手馴れた手つきでシャーロットの体を支える。]

[ギルバートは、少し違和感を感じた。]

血…？

[ぬるぬるっとした暖かい感触に、本能が刺激されていくのを感じる。]

………何も言わないでね。

[シャーロットは、舌を絡めなおすと、蝶が羽化するように軽やかな動きで、ギルバートの上で踊り続けた。夜が明けるまで。]