酒場の看板娘 ローズマリー ころされた、 殺された キャロルが人に殺された。 酷い。 酷い。 酷い。 キャロル、あ、ぁあ、ねぇ、キャロル。 私ね、キャロルに訊いてなかったわね。 世界は綺麗?って。 でもね、訊かなくても良かったの。わかってたの。だってキャロルと一緒に働いてた、あの頃。とても世界は綺麗だったもの。 うん、だから、知ってる、キャロルも世界は綺麗だったのよね、綺麗な世界、見えてたのよね。 わたしたち、おなじ、きれいなせかいで、いっしょに、たのしかったわよね。たのしかった、すごくたのしかった。 ……キャロル。 [女の瞳から零れる涙は、キャロルから溢れる血液に落ち、少しじわりと混じって、すぐに、紅く染められた] | |
(9)2006/07/01 01:27:51 |
酒場の看板娘 ローズマリー あ、ぁ――世界って、世界って―― [女はキャロルの亡骸の傍から立ち上がると、銃を握った侭、ふらふらと集会場を彷徨う。何を目指して、何が目的で、何の為に。――理解出来る理性など微塵も残っていない] あ。 [カツ、と足元に何かが引っかかって、その場に転んだ。見遣る。ボブの身体から削げ落ちた腕だった。転がった腕、単体で見ると、何かの虫のように見えた。主を失っても尚、ピクリ、指先が蠢く。] あ、ぁぁ、あああ!! 来ないで、こないで!!! 気持ち悪い、 ―――気持ち悪い。 [あんなにも不慣れだった銃の扱い。それなのに。女は無造作に安全装置を外しては、転がった腕を、撃った。転がった腕の先にくっついた、掌が、パン、と弾け飛んだ。] | |
(12)2006/07/01 01:34:28 |
酒場の看板娘 ローズマリー ふふ、うふふ、生きてる価値なんてなかったんだから。せめて死んだ後くらい、価値を私が見出してあげる。 ――――美味しくしてあげるからねぇ。 うん?ネリーも食べたい? あぁそうだ、胡椒取ってきてくれる? [無造作に言っては、めらめらと燃える焔を瞳に宿して] あ、此の儘じゃ、焦げちゃうわね。いけないいけない。 [その手に火傷を負うことに気付くでもなく、炎の中に手を入れて、肉片を取り出す。ふんわり、幸せそうに目を細めた] ほぉら、美味しそうなハンバーグ。 我ながら上出来! へぇ、料理すればまともになるんじゃない。 ちょっと、味見させてね。 [そして女は、肉片を、口に含んだ] | |
(26)2006/07/01 02:13:27 |
のんだくれ ケネス [ボブの首に唾を吐きかけると、右瞼の下から引っ掛けるように、中指を突きたてた] ったくよぉ、こんなになってまでヘラヘラしやがってよぉ、気にいらねぇ、気にいらねぇぜぇ! ほら、てめぇなんざFuckだ!Fuckin'なクサレ芸人さんよぉ!!! 何が魔法使いだコラ、魔法使えるなら首だけで何か言ってみやがれやコラ。 [そのままの勢いで、ぐりぐりと中指を押し込んでいく。 眼球がゆっくりと押され、歪み、そして……圧力に耐え切れずに、飛び出した。] ヒャハハハ!!これでおあいこだ!これでおあいこだ!ざまぁみやがれ!これでおあいこだ!!ざまぁみやがれ!これでおあいこだ!! [それでも、中指を押し込むのを止めない。眼窩の奥の肉と神経を押し開き、薄い骨が指先に当たっても。 そして、そのまま自分の指がありえない方向に折れるのと同時に……ぞぶり、とその指先が柔らかなものに休息に包まれていくのを感じた。] | |
(28)2006/07/01 02:16:50 |
のんだくれ ケネス [口元を吊り上げたまま、ボブの脳髄にグリグリと中指を突き入れ、捏ね回し、抉り、穿り返す。] ほらよ、こんだけやりゃいくらなんでも死ぬだろ? 死ぬよなぁ? 死ねよ!!!!! この脳味噌がくっだらねぇこと考えて、ムカつくセリフを連発してやがったんだろう、えぇコラ!? ガキの味方みてぇなツラしてよぉ、自分だけはイイ人みてぇなツラしてよぉ!! どうせてめぇも、自分の身が危うくなったらガキも女も皆ほっぽりだして自己弁護するんだろう!? 客ほっぱりだして夢をおっかけてるみてぇなことをほざくくらいだもんなぁ!!?? ―――けっ、くだらねぇ! [そう悪態を着くと、面倒臭そうに頭蓋を適当に放り投げた。 内出血でどす黒く染まった中指には、灰白色と暗赤色の混じったプリン状のカスが、ベタベタとこびりついている。 それを酒で洗い流し、その場に座り込んで*再び呷り始める*] | |
(31)2006/07/01 02:36:26 |
酒場の看板娘 ローズマリー [乱れた息を、何とか落ち着けようと。幾度も幾度も呼吸を繰り返し、訥々と零す。誰が聞いているのか、誰も聞いていないのか、構わない、唯、自らが視た其れを、訥々と零す] ……殺人鬼は……元は悪魔である存在。 旧聖書にも綴られている、悪魔であり、獣。 《それは、終末を知らせに降臨する獣。幾つもの獣や魚の身体からなる、天地創世より存在するこの終末の獣は、来るべき最後の審判の日、救い主の手によって捕らえられ、その巨大な肉は聖なる人の食物として厳かに献上されるという。》 その存在は嘘を得意とし、人に取り憑くことも出来る。 ――そう、おそらくは、今のように。 [此処に居る誰かに。人々を見回して、涙を流しながら続ける] | |
(33)2006/07/01 02:39:19 |
双子 ウェンディ (ボブのかけらと目があったリックの視線に割り込んで、すぐそばで見つめ合う。) はじめてトビーと会ったときのこと、覚えてる? いつもボクたちが一緒に遊んでるからって、絡んできて。あいつ、いつも小さい子をたくさん連れててさ。 からかわれてウェンが泣きだして。 トビーにつかみかかって、げんこつ固めてごろごろ転がって。 痛かったし、痣も作ったけれど。ああなってなかったら、トビーは秘密基地のこと、教えてくれなかったような気がする。 あのほらあな、最初はなんにもなかったよね。木の箱がいくつか転がって、それだけの秘密基地。 あちこちからいろんなものを見つけてきて、だんだん基地がかっこよくなって。 自転車の車輪持ってきたときは、大変だったよね。ぜったい捨ててあると思ったのに大人に追いかけられてさ、車輪を運ぶ役と囮役と、手分けして力を合わせて。 うまくやって、基地に運び込んだ車輪の上に掌を重ねてさ。 | |
(41)2006/07/01 15:34:55 |
文学少女 セシリア [リュックサックを手繰り寄せて、中からソーイングキットを取り出す。 思い出したように、ついでにチョコレートも取り出し] そういえばね、チョコレートって造血作用があるんだって。 ボブさん、血だらけだから、分けてあげるね。 食べたらきっと、元気になるよ。 [銀紙から取り出した一片を、笑みの形に歪んだままの口に押し込む。] おいしいでしょ? 疲れたときには甘いものって言うしね。 [無表情で呟くと、ソーイングキットから針と糸を取り出して、針穴にくぐらせた] 私、家庭科の成績、よくないんだ。 上手に縫えなかったらごめんね。 [肩と腕をくっつけると、無造作にその腕に針を突き刺した。 つぷり。つぷり。つぷり。つぷり。 肉の中に潜り込んだ針が、ボブの肩と腕を行き来する。] | |
(78)2006/07/01 19:23:53 |
学生 ラッセル そんな・・・嘘・・・だろ? [..は茫然と呟く。ナイフが下に落ち乾いた音を立てるが全く気付いていない やがてその口から乾いた笑いが漏れはじめる] く、くくく、ははははは・・・・ 間抜けな話だなぁ。僕はボブさんをこうやって死なせるために必死で手当てしたってことか!! いつもそうだ。僕のやることなんていつも空回りで意味のないことなんだよな。あははははは。 [..はそこでセシリアがボブの死体を触っているのを見つける] セシリア・・・ボブさんの体を片付けてるのか。偉いなぁ。 僕もキャロルさんの体を片付けなくちゃね。 [..はそういってキャロルの死体を持ち上げようとした] | |
(86)2006/07/01 20:13:38 |
酒場の看板娘 ローズマリー [いつから覚醒していたのだろう。――目を覚ました瞬間、まだ夜が明けていないことに絶望したのは覚えている。嗚呼、此処にはまだ居る、終末を告げし獣が] リヴァイ、アサン…… [伏せた女の涙は横に流れ、髪を濡らした。終わっていない、終わっていない――重い身体を、起こす。] 聞くまでもないけど、セシリアの占い判定は? それと、ネリー……霊能判定は? [ぽつり問う。靄の掛かる頭。けれど視界に入るシャーロットの姿に僅かに目を見開いた後、少女の傍に這って行く] ど、したの、シャーロット? シャーロット、シャーロットっ! あぁ、似合わないわよ、シャーロットは青がよく似合う。 こんな赤、似合わない―― | |
(106)2006/07/01 21:18:41 |
酒場の看板娘 ローズマリー [セシリアの判定を聞いていなかったけれど、様子を見るに、彼女は自身の真実を告げたのだろうと察す。一つ吐息を零し、考える] セシリアが本物なら、もう……残りは三人。 そうじゃない可能性も残って、る。 だとしたら、ケネス……。その場合セシリアは狂人だと思う。潜伏狂人は考え難いわ。でも狂人の視点で、ケネスがリヴァイアサン……獣であることは判らない。 潜伏狂人も在り得る?もしそうならセシリアが、獣――? [紡いでは、ゆるりと首を横に振った] ……私はセシリアを信じる。 そしてシャーロットも信じる。 つまり……双子揃って終末を告げに降臨したってこと? | |
(134)2006/07/02 00:41:08 |
のんだくれ ケネス [座り込んだまま、皆の様子をぼんやりと眺めて嗤う] ヒャハハハ……ガキも嬢ちゃんがたもヤル気マンマンってかぁ? 俺ぁこのザマじゃどうにもなんねぇしよぉ、黙って殺られんの待ってるしかねぇのかねぇ? しっかしよぉ、嬢ちゃんの占いもどうなんだかねぇ? 俺ぁ自分がヤッてねぇってことしかわかんねぇからよ、他のヤツなんざ知らないからよぉ? もしかしたらちっこい嬢ちゃんがイカれてるかもしれねぇし、弟の方がいい子ちゃんな顔してるだけかもしれねぇし、品のいい嬢ちゃんが敵みてぇな顔してグルかもしんねぇし、ローズマリーもメガネもグルかもしれねぇし、かもしれねぇし、かもしれねぇし、かもしれねぇばっかりだ!!! ハハハ!!!もうダメだ、もうダメだぁ!!! [高笑いを上げる。失血と酒とクスリで、もはや意識は朦朧としている。 それだけに、周囲の殺気をこの上無く敏感に感じてしまい、さらに神経のバランスを崩していく] | |
(140)2006/07/02 00:46:43 |
村長の娘 シャーロット ――Ich lie be dich so wie du mich,―― 《互いに忘れず》 ――A bend und am Mor gen.―― 《夕べに明日に》 ――Noch war kein Tag, wo du und ich nicht teil ten uns re Sor gen.―― 《心の憂いをいつも分け合い》 ――Auch wa ren sie fur dich und mich ge teilt zu er tra gen.―― 《悲しみは二人で労わりながら》 ――Do tro ste test im Kum mer mich,―― 《辛さを慰め》 ――ich weint' in dei ne Kla gen, in dei ne Kla gen.―― 《悲しみに泣く哀しみに》 | |
(144)2006/07/02 00:50:01 |
村長の娘 シャーロット ――Drum Got tes Se gen u ber dir,―― 《神の恵みあれ》 ――du mei nes Le bens Freu de. ―― 《この世の喜び》 ――Gott schut ze dich, er halt' dich mir,schutk' und er halt uns bei de,―― 《護れよ支えよ、守れ二人を》 ――Gott schut ze dich, er halt' dich mir,―― 《この世の嵐に》 ――schutz' und er halt' uns bei de, er halt', er halt' uns bei de,―― 《耐えよ命を、耐えよ命を》 ――er halt' uns bei de.―――― 《耐えてあれ》 | |
(146)2006/07/02 00:50:19 |
のんだくれ ケネス [半ばヤケクソに、調子っぱずれの歌をがなりたてる] Gin a body meet a body, Comin' thro' the Rye, Gin a body kiss a body, Need a body cry? (ライ麦畑を通ってやってきてさ、 誰かさんと誰かさんが会ってたとしたら 誰かさんと誰かさんがキスしてたからって 誰かさんが泣いたりするかしら?) Every lassie has her laddie,Nane, they say, ha'e I; Yet a' the lads they smile on me, When comin' thro' the Rye. (女の子にはみんないい人がいるみたい 私にはいないだなんて、言ってくれるわね 私が麦畑を通ってやってくる時は 誰でもみんな私に微笑んでくれるのに) [酒臭い息を吐きながら歌うのは、場違いにも程がある、大らかな出会いを歌った歌。……ここで出会ったものなど、見たくも無い面とどうしようもない絶望でしかないのに。] | |
(154)2006/07/02 00:55:48 |