雑貨屋 レベッカ ありがとうございましたー……。 はあ……若い、ママだったな……。 赤ちゃん……あのひとも、ほしがってたもんね……そりゃ、うちには帰りたくないわよね……。 可愛い子だったわ……。 きっと、毎日名前を呼んでもらうのね。 [既に自分の個人を特定する<名前>を誰にも呼んでもらえなくなったレベッカは、悔しさと悲しさで拳を強く握り締めた。] わたしだって、20代の頃があったわ。 結婚して、家にずっといて枯れていくなんて嫌だったから、こうして夢だったお店も開いて、自分自身も磨いてきたの。 でも……現実って、こんなものなのね……。 [握り締めた拳に、雫がぽたぽたと*落ちた。*] | |
(15)2006/05/10 17:24:17 |
書生 ハーヴェイ なになに。 [姉、イザベラからのメール。翻訳済み。 「ハーちゃんこんにちは。珍しいのね、メールなんて。 それでやっぱり女の人にだまされたのね。 あれほど日本の女の子には気をつけなさい、といい含めたでしょ? これをいい薬にして日本の若い子はやめておきなさい。 それから相談の件だけど、私とその人じゃ歳は近くても育った環境が違うからなんとも言えないわね。 でも本当に辛そうにしてるなら力になってあげなさいな。 でもね、ハーちゃん。姉さんより年上をつれてこないでね? それからたまには戻ってきて元気な顔を見せてちょうだい。隣のネリーも寂しがってたわ。 それじゃ、またメールかくのよ。 イザベラ」] | |
(49)2006/05/10 22:19:49 |
異国人 マンジロー [樹那〜、樹那〜。アナウンスが流れる。十字郎は眠ったままだ。このままでは寝過ごして今日はマンションに帰れない。ピンチだ。誰か。] [そのときだった。十字郎が抱えていたモンチッ●人形の目が赤く光り、十字郎にラリアットを食らわせた。] ぐへっ。 あ?ああ?あらあら樹那に着いたのか。 危ないぜ。危うく寝過ごすところだった。 [十字郎は電車を下りた。モンチッ●人形は動かずただの人形に戻った。果してこんなご都合主義で良いのか?周りの人がみるみるうちに逃げていく。大人も子供も泣き叫んでいるひどい事態だった。] [とにかく、十字郎は最大の危機を脱した。] | |
(115)2006/05/10 23:18:16 |
文学少女 セシリア ―秘密基地・ブリーフィングルーム― 『昨日は初めて人の死を目撃したおかげで、なかなか寝付けませんでした。ええ、ええ。まさかこの私が人殺しの片棒を担ぐなんて思いもしませんでした。未熟かつ純粋でまっとう精神を持つ私にはやはり、この仕事には向いていませんね……それでも今日もけなげに出勤しなければいけないなんて、嗚呼、不運です』 [ぶつぶつとつぶやきながら、特別急ぐわけでもなく静かな足取りで入ってくる。ラッセルが死んだものと思いこんでいるようだ] 『でも、通勤時間短縮と身の安全が得られたのはとてもありがたいことです。風雲再起は強くて賢いですからね。私はか弱い美少女ですし』 | |
(128)2006/05/10 23:26:47 |