人狼審問

…生きるために殺す。
それしか無いとしたら、私が殺意を向ける相手は…セシリアしかいない。

ハーヴェイは…殺させない。

…ラッセル！
だまされちゃ駄目。あの子は、ヘンリエッタはこの事件を起こした犯人か、あるいはトチ狂ったおかしな奴…、どっちにしてもまともじゃあないの。

ヘンリエッタ、あなた…ラッセルに近づかないでよ！

[さらに、セシリアに向けて続ける]

ええ、どなたも怪我など致しませんでした。ご心配をかけるようなことを言いまして、申し訳ありません。


[ネリーの方を見遣り]

…ネリーさま。
考えたくはないですが、万が一ラッセルさまが殺人鬼なら。
わたくしは全身全霊で、ラッセルさまをお止め致しますよ。
それこそ命がけでも、ね。
信頼とはそういうものだと、考えております。

[ 血にまみれ、引き裂かれてちぎれかけた遺体がゆっくり倒れる光景を思い出し、顔が青くなる。]

…そう。ですね。扉なんかじゃ、とうてい塞げそうもない。

それだったら…。

――絶望が邪心を生む。しかし絶望は止め処なく生まれ来る。絶望の終止符を打つための、犠牲。

[自らに言い聞かせるように呟いて、少しの間の後、言う]

殺す、なら、わたしは……

セシリアちゃんを。

［ヘンリエッタを追い払うソフィーを見て］

なっ…！！何を言うんですか！
ソフィーさんこそラッセルから離れてください！！

…あうっ！？

［ラッセルとソフィーの間に割り込もうと
　車椅子を進めるが床のくぼみにはまって
　車椅子が動かなくなる］

レベッカには……そう、だな。

……ナサニエル。
分からないんだ、とても落ち着いて居るし。
――頼りになる。と、思う。
が、分からない……
ネリーも、気になったんだけどさ……あんな目立つ事、殺人鬼はしないんじゃないかってさ。

最終的には、レベッカに託すさ。

[と、交わされる会話に唇を噛み]

殺すって……
殺されるって…！
何だよ――否応、無いのか……
決めなきゃいけないのかよ……

[ヘンリエッタの言葉に、そう、と小さく相槌を打って]

心無き殺人鬼。
命懸けで止めるなら、殺されるでしょうね。

……あなたがそう言うなら、それでいいの。

カミーラさんを疑っている方が多いようですね。
私としては、カミーラさんは昨日霊能者を名乗る２人が疑っているって事からどうなのかって思いましたが…霊能者の嘘つきが犯人なのか、自殺志願者なのか…。

セシリアについては自殺志願者の可能性は十分あると考えているけどね…。

それだったら…。

[ その先にある言葉が、どうしても口に出来なかった。]

ソフィーさま。
わたくしへの敵意のあまりに、わたくしの信頼までも攻撃なさるのですか？
いえ、それだけなら、まだいいです。
でも、でも、ラッセルさまにまで、そんな酷いことをおっしゃいますか！

…いい加減にしてください！
わたくしに言わせていただけるなら、あなたこそがまともじゃありません。

[と、セシリアの車椅子が動かないのに気づき、あわてて助けにいく]

[ソフィーの言葉に表情を曇らせ]

――そう、かもしれないけれど……
分からないだろ？
分からないんだ、俺には――

！！

[ヘンリエッタを追い払う様子に慌てて立ち上がり]

[ナサニエルの意識は混濁していた、･･･―殺さなければ殺される―･･･自らが言い放った言葉に、自らが納得出来なかったからだ。]

俺は･･･何がしたいんだ･･･！

[レベッカの言葉に憮然として]
ま、この通りの性格だ、敵は多いさ（苦笑）
でもねえ、アタシは自分が生き残るためなら誰だって容赦なく殺すよ。
自分が生きていなければ、平和なんざ意味が無い。
……生きていないと罪滅ぼしも出来やしない。それに、アイツはアタシに「生きろ」って言ったんだ。だから生きる。
生きるために……疑わしいヤツは殺す。
[血の滲む包帯を見つめながら]

ネリー。やめて…
おねがいだから、セシリアを殺めようなんて。

公園で３人でお話しして、笑いあったでしょう？
なのに…なのに…

[ニーナに向けて言った]
それだったら。
その先の事は、俺だってツライ。
だけどこうなった以上、
セシリアかハーヴェイを･･･な。

[ヘンリエッタを睨み]
…白々しい。

[ニーナの言葉に目を瞑り]

もう、あんな平和な時間は過去のお話。
あなたの信じている人だって嘘を吐いているかもしれない。
殺人鬼かもしれない。

[そう告げては、チラリとソフィーに目を向けて]

ニーナちゃん。
殺人鬼を殺さない限り――あんな平和な時間は、もう、戻ってこないの。

…決断したわ。
今からナサニエルを占いで視るわ。

私を正気に戻してくれた事は…嬉しいけど。
それでも、どうしても…疑念までは拭い去れない。
昨日も占うべきか悩んだ相手だし…。

…殺さなければ殺される。
誰かを死なせて、魂の『いろ』を視る。
そんなことしかわたくしにはできないのですか？
それしか道がないというのですか…。

セシリアさまを信じたいです。
でも、だからといって、ハーヴェイさまを、なんて。


[と、ソフィーの言葉を聞き、ソフィーを見返す]

…その言葉。そのままお返しいたします。

［車椅子の後ろに回りこんで窪みから
　出してくれたヘンリエッタに向かって微笑む］

ありがとう、ヘンリちゃん。
…あはは、情けないね、私。
止めに入るつもりが動けなくなって、
逆に助けられるなんて…

…ごめんね。

[車椅子に気付いて駆け寄る]

――セシリア、大丈夫か？
ドジだな、ったく…

[同じ様に駆け付けたヘンリエッタを見て]

……ありがとうな。

レベッカが本物だった場合、ハーヴェイは無実･･･そして、殺人鬼はこの中に一人と、色を見る者或いはセシリア･･･。
セシリアが本物だった場合、ハーヴェイが殺人鬼であり、同時に色を見る者或いはレベッカが殺人鬼だと言える･･･。

今夜、殺さなければいけないのは･･･。

[ナサニエルの声は徐々に弱くなり]

ハーヴェイ、なのか･･･？

［ヘンリエッタから視線を外し、
　ソフィーを睨みつける］

いいよ。そんなことを言うなら
あなたは私が見極める。
私の占術であなたの正体を確かめる！！

[ぎこちなくセシリアに微笑み返す]

…こちらこそ。
助けようとしてくださって、ありがとうございます。

それに。
わたくしは自分に能力があると言いながら、別の能力を持つというセシリアさまを信じきれずにいます。

…申し訳、ありません。

[ ネリーの言葉、ベンジャミンの決意、そして、ソフィーのくらい情熱。そのすべてに打ちのめされて、手をついた先にはメモ帳。]

なんで…
なんでみんな、殺すなんて言うの。

みんな、恐いハーヴェイさんが悪いのよ。
そうよ、ハーヴェイが居なければ…

[脳裏をよぎる人物に問いかけた]
なぁ、お前ならこういう時どうするんだ。
お前は大切なモノために生涯駆け抜いた。

俺の大切な･･･ちっぽけだが
大切なもんが今崩れ去ろうとしてる。

どうすれば良い。俺は誰を信じたら良い･･･。

[ナサニエルを占うと言ったレベッカに]

占いたければ、占うが良い。
俺は･･･自分が何者かすら、見失いそうなんだ･･･。

･･･俺は･･･。
[ナサニエルの声は、暗闇へと溶けて行く様だった]

ナサニエル、あなたは私に何を見せてくれるのかしら…。
[呟き、皆の方へと振り向いた]

駄目だ―――誰かを殺す、なんて……

でも。

俺は――セシリアを殺すなんて考えられない……
力が本当なら――セシリアは、こんな危険な言葉なんていわなかったはず。

だから――ハーヴェイを。

俺は、
醜い――醜い、な。

[カチ、と時計が響く音に、不思議とビクッと震え、時計を見上げる。何の変哲もなく、時を刻む時計見上げるも、不安げに]

……夢なら醒めれば、いいのに。

［殺意を向けられることが多くなったことにイラつく。］
ちっ・・・
疑わしきものは罰せ・・といいたいようだな・・・

こういうとき、自分の未熟が恨めしくなる・・・

[木々が再びざわめき立った事に一瞬恐怖を覚えた]