人狼審問

[明かりが再び灯る…]
…まだ、終わらない。
そんな…そんな事って！！

[手には緑の糸、違う、髪の毛が握られていた…]
あ、ああああああああああ！！

[ベンジャミンを処刑する最中、明かりが消える……幾度と無く繰り返されてきた、死の予告。

今度こそ、自分か？

半ば覚悟を決めたその時、微かな嬌声と耳障りな粘着音。

慌てて明かりを灯すと、そこには。]

―――なんてこった。
つまり、犯人は……

[ネリーの死体から、レベッカに視線を移す。]

―――ちっ……

［短い舌打ち。
不意に訪れた暗闇、

刹那

―――裂帛。］


…っ！！！

[眼前に移るのはネリーの変わり果てた姿…白のメイド服は朱に染まり、死へと誘う想いが、ネリーを無残な死体へと変えていた]

ネリー…盾なんて言うから。
私は貴女に死んで欲しくなかった！！
生きていて欲しかった…ただ、それを望んだだけなのに。
それなのに…それだけなのに…。
どうして、逝ってしまうの？
どうして、みんな私を置いて行くの？

ねぇ…ネリー。
私、何もやってあげられなかったね？
死んでからじゃ遅いけど…私もネリーを愛していたんだよ。
もう、何もかもも手遅れに…ッ！！！

[レベッカを睨みつけて]
……！！何をほざいてやがる！！
ラッセルが潔白だとしたら、レベッカ……いや、てめぇ以外に人殺しはいないだろうがよ！？

えぇ、どうせてめぇは「カミーラが犯人でしたー」って言うんだろ？それ以外の答えはありえないからな！？

ああ、頭では少しずつ疑ってたさ！
でも、アタシはアンタを信じたくて、信じたい一心でここまで踏ん張ってきたのに！！

あぁ、なんだ！？ネリーがてめぇに惚れてるのを見越して、利用しやがったのか！？

……アタシ、アイツのこと疑っちまったじゃねぇかよぉ……
[膝から崩れ落ちるが、すぐに血走った目でレベッカを見上げ]
殺してやる！！てめぇを殺して全てが終わりだ！！殺してやる！！

―――信じてたのに！！！！！！！！！！

［広がる翡翠の髪は血の色に鮮やかで眩暈がした。
くらり、寂しげな笑顔が重なる様で］

――っぁ、ネリ……！
盾、盾…盾だって、馬鹿―――！

遺してどうすんだ。
お前、遺して――！

［崩れ落ちそうになるのを必死でささえる。

ベンジャミンの小綺麗な装いは見るも無残な斑模様］

[驚くほど軽くなっていたネリーの遺体を起こして、椅子へと降ろす]

地面に横たわっているネリーなんて、見たくない。
ネリーの笑顔が私の唯一つの支えだった…。
神様はネリーが幸福になる事すら許してくれないんですか？

いつまでも、自らの身を削る生活を続けさせて、最後までネリーに幸福の一時すら与えようとしない。
試練を与えるだけ与えて、最後には…死。

そんなの…間違ってる！！

[狂気の果てにカミーラの叫びが聞こえる]
…はぁ？
カミーラがネリーを殺したんだよね？
ベンジャミンは私が殺したんだから…。
それでも、ネリーが死んだから！！！

私こそ、信じていたのに！！！
信じていたのに…
カミーラ！！！ネリーの苦しみを全て味合わせてから殺してやる！！コロシテヤル！！！

カミーラさえ殺せば、カミーラさえ殺せば！！！
こんな、悪夢のような世界とはオサラバできる。
残酷な夢とは、お別れ出来るんだ。

ネリーは、この残酷な夢のような悪夢に咲く、ただ一つの花…。
それを、それを…
よくも、よくも踏みにじって！！！

は、ははは……馬鹿じゃねぇの……

ネリー、お前身を呈した結果が此か――
あんまりだ。
あんまりじゃねぇか。
ふざけてる、ふざけてるふざけてるふざけてる――！！

あんまりじゃねぇか！
馬鹿じゃねぇの！
っ、あいつが何をしたよ――…！

生きる為に
愛される術を

全、部


っ、く……ぁ…

［机に突っ伏し、拳を打ち付ける］

こんな悪夢から、とっとと抜け出したいよ…。
夢のような悪夢…。おかしい。
悪夢、そうに違いない。

みんな、みんなが死んでいく…。
死んだら、どうなるんだろう…。
それが終点なんだろうか？
ネリー、どう？
死んでしまったら、何が見えたの？
[返答など無いのを承知でネリーに対して語りかける]

[レベッカの叫びを聞き、身構える]
はぁ！？てめぇがいつアタシのことを信じたっての！？
テメェはそうやって、ネリーをだまして、自分の身を護らせて、散々利用させて挙句にポイ捨てするのにご執心だったじゃねぇか？

ネリーも、ニーナも、ナサニエルも、ヘンリエッタも、アーヴァインも、村の連中も、
全部全部テメェとハーヴェイで殺ったんじゃねぇか！！！！！

挙句の果てに、アタシとラッセルも仲良く頂きますする気かい？
「自分を殺せばいつでも終わる」って餌をぶらさげて、周りからどんどんぶち殺していく……ニーナの言った通りじゃないか！！

はん、何が「死に向かう想い」だ！

殺したのはテメェの殺意じゃねぇか、レベッカ＝ランカスター！！

そうか……

殺す――躊躇う理由が何処にある？

殺す――戸惑う理由が何処にある？

殺す――迷う事など何も無い。

ああ、くくくっ……そうか、絶っちまえば終わりなんだよな……

［叫び罵り合うふたりを見て口の端だけで唖う］

くくっ……

悪夢だろう……？
生きるのは地獄だ――死ねば死ねば死ねば楽なのに―――

死ねば助かるのに？

最初はうちに買い物に来る素足の少女に興味があっただけだった…。
いつの日か、商売以外の会話をするようになった。

ネリーは姉の事を大好きな人として私に話しを聞かせてくれた日もあったね。

ネリーをどんな手段を使ってでも排除しようとしたカミーラをころしてしまえばすべて終わるから。

あと少し、あと少しだけ待っていてね…。
カミーラぁ、鉛球は何発欲しい？

そうやって、私に近づき占われない為に媚を売って今まで生きてきた怨念。
女狐を殺してしまえば、きっとネリーは生き返るのよね？

それまで、ネリーは寝ているだけなんだよね？
そうだ…私、少し前にネリーに渡したいと思って探していたものがあったの。

[レベッカを睨みつけながら]
鉛球ねぇ？テメェの腐った脳ミソか、小汚ねぇハラワタにぶちこむ分なら何発でもかまわねぇよ？

アタシのだいすきなにいさまをころして、フランスからわざわざここまでおいかけてきやがってこのクソ野郎！！！！

……アンタにも選ばせてやるよ、どっから何インチずつ切り刻んで欲しいんだ、このアバズレ！！

死ぬのは死ぬ、殺されて死ぬ殺して死ぬ、死ねしねしねしねしねしねしね―――
そう、死ね。

嘘つきはどちらだ――

……殺しても同じ事、同じ事、同じ事――
ああ、でも殺さねば終わらない、終わらない、終わらない――


［右目が赤く染まった様に見えた］

くくくっ、
たった3人だ。
あれだけ居た村に、3人。
死への想いよ、満足か……？
たらふく食らって食傷気味なんじゃねぇか……？

何とか言ってみろよ――…！

っははは……

[倉庫へふらふらと移動。箱の中から靴を持ち出してネリーの元に]

…ネリーの足。ずっと寒そうだったから。
いつか、時機を見てプレゼントしようと思っていたの。
大丈夫、これ私のプライベートのお金で都会から仕入れたものだから。店のものじゃないから…。

[既に力がなく、人形のような素足に靴を何とか履かせて微笑む]

[ネリーに靴を履かせたが、滴る血が靴を赤く染め上げる]
どうして、赤くなるの？
赤く染まってしまうの！！
ネリーにそんな赤い色なんて似合わない。
似合わないから！！

私の知っているネリーの色は白。輝くような笑顔。
赤じゃない…よぉ。

待っててね、ネリー。
ウェディングドレスは全てが終わったら、店まで戻って取ってくるからね。
その時には、お願いだから目を覚まして。
今はお昼寝していていいから…。絶対に目を覚ましてよ。約束…だからね。

[レベッカの手を掴んで、ネリーの身体から振り払う]
テメェが汚い手でコイツに触るんじゃねぇ！！

なんだ、オイ？
そんな靴履かせて、死に装束のつもりか？
それで罪が許されるとでも思ってるのか？

テメェでこんな真っ赤な装束着させたくせによ、何ほざいてやがるこの化け物！！

[血によって赤く染まったネリーの頬に口付け。再び立ち上がって辺りを見回す、殺意に満ちた目で]

お目覚めのキスは、全てが終わってからね。
さぁ、何処にいるのかしら？
死を内包する存在が…ようやく醜悪な姿を見せてくれた。

それさえ、殺してしまえば…。
死へと誘う想いさえ断ってしまえば、みんな、みんな生き返るよね？

所詮は取り付かれた化け物だものね。
カミーラって人格は既に消え去っちゃってるんでしょ？

本当のカミーラが何していたか知らないけど、
眼前にいるカミーラは…人の形をした化け物なのだから…。殺してあげる。
殺せば、ネリーは目を覚ます。

愛してるネリー…。この世界に咲くただ一つの花。
あと少しだから。カミーラを殺してくるから。
それまで、待っててね。

[ネリーの方を向いて微笑み、鉛玉を銃へ装填し、殺意に満ちた表情でカミーラの方を向いた]

[レベッカの殺意を帯びた視線を、真っ向から殺意で受け止める]
そうだな、テメェを殺して全ておしまいだ。
この村の連中の弔いも、
アタシの故郷の人々も、
カミーユ＝アンゲルブレシュトの地獄も、

ユベールにいさまの復讐もなぁ！！！

[逆手に持ったナイフを舌先で舐める――最高級の菓子を味わうように、少しずつ]

[レベッカは向かい合うカミーラに向けて手をかざし、呪文の詠唱を開始]

汝、光と闇の狭間にて何を望む…。
未来への希望か、太古の果てに風化した知識か。
言霊は紡ぐ…唯、真実のみを…。

[レベッカはぼんやりと光を宿し始めた手を十字に斬り、詠唱を完成させる]

見える…あらゆる死の意思が融合しカミーラの肉体を乗っ取った混沌そのものが…。
あなたさえ殺してしまえばネリーは目を覚ます。この悪夢も終わる。
昨日までのカミーラは…既にいない。そこにいるのは死へ誘う想い…。

…あなたを殺すことによって、昨日までのカミーラの命を奪うことになる。
だが、この悪夢が終わるのであればすぐにでも殺してあげるわ。

それで、ネリーが…みんなが再び目を覚ますのであれば…。

[既に始まっている殺し合いの中、銃口をカミーラへと*向けた*]

[呪文を唱え始めたレベッカを鼻で笑って]

ふん、なんのおまじないだい？
それがアンタら化け物の儀式ってやつかい？
そういえば、そうやって占いまがいのことされてた連中は悉く食われてたなぁ？
そうやってアタシもブッ殺して食うんだ？

はん、そういやアンタ、ちょっと前のラッセルの「違和感」に対して妙な返答してたねえ？

ラッセルは「セシリアとネリーが両方犯人だってのはおかしい」って言ってた。
アンタは「そうだねぇ」って肯定してから、
「ネリーが取り憑かれてるとしたらセシリアもだと思う」
「セシリアとネリーが取り憑かれていたとしたら不利すぎる」

―――なんだい、この矛盾だらけの返答？
アンタ、自分が誰を食えば楽かの計算に必死だったんじゃねぇの？もしくは、そういうシナリオでことを運ぼうとしてた？

[空いている手でナサニエルのナイフを拾い、両手にナイフを構える]

「ナイフは斬り殺すもんだ」ってアンタ言ってたねえ……今から、勉強の成果を見せてやろうじゃないか！！

[ナイフを構えたままで]
まあ、理屈はこの際どうでもいいさ。
アタシはアンタを殺す。
それで皆が生き返るかどうかは知らないが、
それでもアンタを殺す。
アタシの憎しみで、皆の悲しみで、
アンタを完膚なきまでに殺す。

―――ラッセル、選ぶのはアンタだ。

アタシと一緒にアイツを殺すか、
アイツと一緒にアタシを殺すか。

ヘンリエッタの嬢ちゃんが死んだ時にアタシは言ったな？

「アタシは情けないウジウジしてるヤツが嫌いだ。―――大事なモノを失うばかりだから。」って。

嬢ちゃんが命を張って残した、アンタの未来を今選ぶんだよ、
サー・ラッセル・エーデルシュタイン！！！！
[正気を失っているラッセルに、*背中ごしに呼びかけた*]

[ふとレベッカの腕の中に居たネリーに眼を遣って]

赤い靴―――赤い靴かネリー。
踊れ、踊れ踊れ―――悪夢から抜け出して踊ればいい―――

踊り狂えばもう止まらない―――ー
残酷な悪夢など忘れてしまえ。

セシリアも
ヘンリエッタも
ナサニエルも

――――皆皆、だ。

皆踊ればいい―――

っく、くくくく……でもお前らの思うとおりになるのは癪なんだよな―――

嗚呼、気分が悪ぃ、最悪だ最悪だ最悪だ――――

奪って奪って蹂躙して踏み荒らして
引き千切って刺して刺して痛み憎悪
爛れて剥けて斃れて貫いて死と裂帛

ヘンリエッタを血塗れにして
セシリアを襤褸切れにして
ナサニエルを引き裂いて
ネリーに紅い靴を履かせただろう

――――そして俺は此処に居る


何故？

[がしゃり。

集会場の窓ガラスの1つに拳を叩きつける。
散らばる欠片。]

[幾つもの透明な刃が突き刺さり、少年の手は血を流す。]

ああ、痛い、痛いな、痛い。すげぇ痛い。

[カミーラに向き直り]

―――ああ、でも殺されたヤツらはこんなのよりよっぽど痛かったんだろうさ――――
決めるのは俺だ、そうさ決めるのは俺。

[一際尖ったナイフのような欠片を手に]

殺す殺される殺す？
俺は何故残された？
ネリーの方が好みだったか？
そうやって引き裂いて楽しんでんのか悪趣味だないい加減にしろよクソ野郎――――！！！

…最後の選択はラッセルに任せるわね。
なぜ、あなたが生かされたか。
それをよく考えて…。決めて欲しい。
私を殺したら次は貴方が死ぬ。

カミーラは矛盾といったが、ネリーが取り付かれているとしたらセシリアだと思ったが、その可能性は少ないって言ったまでだよ。決して矛盾していない。

[狂気に飲まれているラッセルに対して、*祈るように語りかけた*]

[血まみれのラッセルを見つめて]
そりゃアンタ、敵にしてみればさ、ネリーがアンタを守ってる可能性だって見るだろう？
奴らは汚いからよ、他人の善意なんて信じられないだろうさ！

あんな引き裂くのはあそこの悪趣味な女だ、てめぇの手じゃねえだろう！？

[眼を細めて硝子のナイフを構える。
千切れそうな痛みなど今は遠い遠い遠い遠い]

っくくくくく―――終わらせるさ、すぐに終わらせてやる。
刺し貫けば終わりだろう……？
簡単だ、簡単なことだ――――！！

っははははははは！！！

死がどうした！！
皆殺しにしてみろよ口ほどにもねぇなぁ！！！
殺したいかそんなに殺したいなら今すぐ殺してやるよ化け物が！！！！
結局皆人殺しだ！

はっはははははははは！！！！

――――――なぁ？

　　　　　　　[にやり、と笑って]

――――俺がどうして此処にいる？

俺はどうして此処に居る？

ニーナは死んだ。
ナサニエルは死んだ。
ネリーは死んだ。
俺は生きている。

なぁレベッカが取り憑かれてるンならネリーを残すだろうよだってネリーはネリーはネリーは――――信じてた！何処までも信じてた！

俺なんか残すよりネリーが生きていたほうが幸せなんじゃねぇのかよ―――。


でも、俺は生きている。

―――狂ってたとしても生きる方を選ぶんじゃねぇのかよ――――
レベッカが取り憑かれてるんなら、もしそうなら。

ネリーと一緒にお前を殺すんじゃないのかカミーラ。

でも、でも俺は生きている。
何でだ？
セシリアを信じてたから？
ずっとレベッカを狙っていたから……？

セシリア、セシリア
―――お前だって望んでたわけじゃないんだろ？
なら俺は殺して全てを終わらせる―――終わらせるよ。

結末がどうあれ終わらせてやる―――。

ネリーはきっと俺なんか守らない。
レベッカをずっと守ってる。
きっときっとそうだろう。

俺を襲いたかったか？
どうなんだ？
悪夢の元凶よぉ。

ああ、くそったれ、くそったれだ―――
いっそ狂って仕舞え
皆狂って仕舞え。

[ラッセルの殺意に相対して]
……ふん、その狂気がアンタの選んだ「強さ」かい？
なぜベンジャミンなのか、考えてみるんだな？


……ははっ、にいさま？